受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

おしえてピグマはかせ

サピックスの通信教育・ビグマキッズくらぶ おしえてピグマはかせ

 「ピグマキッズくらぶ」は、小学1年生から4年生のために開発されたサピックスの通信教育です。そのテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていること、不思議に思っていることにお答えします。
 今回は自動運転のお話です。自動ブレーキなど運転をサポートする新機能を搭載した車が続々と登場し、自動運転への期待が高まっています。人が運転しなくても、車が自動で目的地まで連れていってくれるのなら便利ですが、本当にそんなことが実現できるのでしょうか。

自動運転って本当にできるの?

自動運転にもレベルがいろいろある

さやかちゃん 昨日、車で出掛けて、渋滞で帰りが夜遅くなっちゃった。運転したお父さんは、とても疲れていたわ。 さやかちゃんイラスト
げんちゃん そういうとき自動運転車ならいいよね。寝ていても、目的地に着いちゃうよ。
ピグマはかせ そこまで自動化されるのはまだ先だろうけど、ある程度の自動運転なら、そう遠くない未来に実現できるといわれているよ。
えりちゃん ある程度って?
ピグマはかせ みんなは全地球測位システム(GPS)を知っているかな。人工衛星と電波をやり取りして、自分が今いる場所を知る仕組みだよ。自動運転を実現させるには、このGPSの精度を高めなければならない。また、車に搭載したセンサーやカメラなどから周囲の情報を集めて、コンピューターが分析して進路変更したり、障害物を避けたりすることも必要だね。それがどの程度自動化されるか、どこを走るかなどによって、国際的にレベル分けがされているんだ。日本では、自動ブレーキが付いているという程度の「レベル1」から、完全に無人で、どんな場所でも車が自分で走行できる「レベル5」まで、5段階の基準を設けているよ(表参照)。
ひかるくん 自動ブレーキを搭載した車は、もう販売されているから、「レベル1」は実用化されているよね。前の車や人にぶつかりそうになると、車が勝手にブレーキをかけてくれる技術だよね。 ひかるくんイラスト
ピグマはかせ 「レベル2」の車もすでに走っているんだ。さらに技術は進んでいて、実用化されていないけど、「レベル3」の車も登場しているよ。日本ではオリンピックとパラリンピックが開かれる2020年を目標に、特定の限られた場所で、無人タクシーや自動運転バスを走らせるなど「レベル4」の実現をめざしているんだ。

「地域の足」としても高まる期待

げんちゃん 完全自動運転になったら運転免許がいらないね。 げんちゃんイラスト
ピグマはかせ 交通事故も大幅に減るんじゃないかと期待されているよ。交通事故の多くはドライバーのミスが原因。脇見運転や居眠り運転のほかに、アクセルとブレーキの踏み間違えのような操作ミスも多いよね。コンピューターなら、そんなミスはまずないし、常に全方向をセンサーで調べていれば、危険を察知して避けることができるはずだよ。また、渋滞の解消にもつながるといわれているんだ。渋滞の原因の一つは、適切な車間距離を保っていない車があること。自動運転なら、前の車との距離を一定に保って走ったり、混んでいない道を選んだりできるんだ。渋滞が少なくなれば、車も無駄な排気ガスを出さずに済み、二酸化炭素の排出量も減るから、環境面でも利点があるよ。
さやかちゃん いいことばっかりね。
ピグマはかせ 本当にそうかな? タクシーやバスの運転手は仕事がなくなって、困ってしまうかもしれない。それに、あらゆる事態に対応するには技術がまだ不十分なんだ。たとえば、一般の道では、人や自転車が急に飛び出してきたり、落下物があったりと、予測できないことがある。また、雨や雪、霧といった悪天候によって、センサーが人や標識を感知しにくくもなるから、性能をもっと高めないといけない。このほか、技術以外の問題もあるよ。万が一事故が起こったときの責任は誰にあるのか、法的に決められていないんだ。自動車を製造した会社、自動運転システムを開発した会社、自動車を持っている人、自動車に乗っていた人、このうちの誰が事故の責任を負うのか、簡単には決められない問題だよね。
えりちゃん 技術的にできるようになっても、わたしたちがすぐに自動運転車に乗れるようになるとは限らないのね。 えりちゃんイラスト
ひかるくん 最近、お年寄りの運転による交通事故のニュースが多いけど、自動運転車が普及すれば、そういう事故も減らせるのにね。
ピグマはかせ 高齢者や障害を持つ人が、自分で運転しなくても買い物や病院などに行けるようになれば、とても便利だよね。実際に、無人バスのようなものが早く実用化できるよう、交通が不便な地域を中心に実証実験が進められているよ。
さやかちゃん 駅から遠いところとか、路線バスがないところね。
ピグマはかせ そう、車を持っていない人や免許のない人は日常生活にも不自由していて、「買い物難民」なんていわれている。自動運転を切実に必要としているのは、そういう地域の人だと思うよ。

自動運転のレベル分け

レベル1 運転支援
自動ブレーキがある、
またはハンドル操作ができる
レベル2 部分運転自動化
レベル1の技術の両方ができる
レベル3 条件付き自動運転
特定の場所や状況下で自動で運転操作をして、必要に応じて人が対応する
レベル4 高度自動運転
特定の場所で無人で運転する
レベル5 完全自動運転
無人運転。どんな場所でも自動で運転する

保護者の方へ

 交通事故の削減や利用者の利便性の向上のため、国の政策として進められている自動運転の実用化。各自動車メーカーでもハンドルやブレーキのない自動運転車を試験走行させるなど、開発が急ピッチで進んでいます。自動運転を実用化するには、より高度な運転システムの開発も必要ですが、公道での事故発生時の責任にかかわる法整備の問題も大きな壁となっています。
 また、GPSの精度向上のために、日本版のGPS衛星「みちびき」を打ち上げるなど、大規模なインフラの整備も必要となります。車の完全自動運転を実現させるには、まだまだ解決すべき問題が多いですが、走行地域を限定した無人バスなどの実証実験は全国各地で進められており、地域住民の足の確保をめざす取り組みは、今後も盛んになっていくものと思われます。

ページトップ このページTopへ