受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

おしえてピグマはかせ

サピックスの通信教育・ビグマキッズくらぶ おしえてピグマはかせ

 「ピグマキッズくらぶ」は、小学1年生から4年生のために開発されたサピックスの通信教育です。そのテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていること、不思議に思っていることにお答えします。
 今回は動物の「笑い」についてのお話です。動物が笑っているような顔をしている写真がよくあります。動物は本当に人間のように笑うのでしょうか。

人間以外の動物も笑うの?

類人猿はくすぐり合って笑う!?

げんちゃん うちの犬、ときどき笑うんだよ。すごいでしょ。今日もぼくの顔を見て笑ったよ。 げんちゃんイラスト
ピグマはかせ 確かに犬は、笑っているような表情を見せることがあるよね。でもそれは、うれしくて笑っているわけではないんだ。人が笑っている顔を見て、まねているのではないかといわれているよ。
げんちゃん そうなんだ。そうか、犬ってうれしいときはしっぽを振るもんね。
ピグマはかせ 犬は飼い主の表情を観察しているんだよ。笑顔をつくると、飼い主が喜ぶことを知っているのかもしれないね。
ひかるくん ほかの動物はどうなの? 人間以外に笑う動物っていないのかなあ。 ひかるくんイラスト
ピグマはかせ それを考える前に、どうすることを「笑う」というのか、はっきりさせておこう。人は楽しかったり、うれしかったりするときに笑うよね。つまり、笑うことは感情の表現なんだ。人が笑う顔に近い表情を見せる動物がいたとしても、それが感情の表れでない場合は「笑う」とはいわないことにする。その意味で「笑う」のは、チンパンジー、ゴリラ、オランウータンなどの類人猿ぐらいだといわれているよ。類人猿とは、人に似た大型と中型の霊長類(サルの仲間)の総称だよ。
えりちゃん 類人猿って、どんなふうに笑うの?
ピグマはかせ チンパンジーを観察した研究では、追いかけっこや、くすぐり合いなどをして遊んでいるときに笑うことがわかっているよ。ゴリラも仲間に遊びを誘われると、口の端が引き上げられて笑ったような顔になり、遊びが始まると笑い声が上がるそうだよ。
さやかちゃん まるで人間の子どもみたいね。
ピグマはかせ 特に人に近い笑い方をするのはチンパンジーだよ。チンパンジーは類人猿の進化の過程で、人との共通の祖先と別れた時代が、ゴリラやオランウータンより新しいといわれているんだ。笑い方も、その共通の祖先から受け継いだものだと考えられているよ。

人間ほどよく笑う動物はいない

さやかちゃん そういえば、チンパンジーが口を横に「にっ」と引いて、歯と歯茎を見せて笑っているような顔をしている写真を見たことがあるわ。 さやかちゃんイラスト
ピグマはかせ それは笑っているのではなく、「あなたに従います」という気持ちを示しているんだよ。霊長類のなかでも類人猿の仲間は顔の筋肉が発達していて、表情が豊かなんだ。相手を怖がらせるために威嚇の表情をすることもあるよ。逆に攻撃の意思がなく、相手に服従する気持ちを伝えるときには、口を横に引いて歯茎を見せる表情をするんだ。
ひかるくん へえー。じゃあチンパンジーは、どんなときに笑うの?
ピグマはかせ 遊ぶとき以外は、ほとんど笑わないそうだ。
げんちゃん ことばを話さないから、お笑いネタを聞いて笑うこともないだろうしね。
ピグマはかせ 仲間同士が遊びながら笑っているのを見て、自分が笑うということもないよ。笑うのは自分が遊んで楽しい気分になっているときだけ。仲間の笑顔を見て笑うということはないんだ。
えりちゃん 人間だったら、他人が笑っていると自分も楽しい気分になって笑顔になるのにね。 えりちゃんイラスト
ピグマはかせ だから類人猿も笑うことは笑うけど、人間の笑いとはずいぶん違うってことだよね。何かを見たり、聞いたりして、それがおかしくて笑うのは、人間だけともいわれているよ。
ピグマはかせ つまらないギャグでも笑ってあげる、なんていうこともあるしね、人間なら。
ピグマはかせ そういう笑いを「作り笑い」とか「愛想笑い」というよね。笑いを使ったことばには、ほかにも「苦笑い」「照れ笑い」「思い出し笑い」など、いろいろあるよね。
ピグマはかせ 同じ「笑う」でも、いろいろな笑い方があるんだね。
ピグマはかせ 見ず知らずの相手でも、ことばが通じない外国人でも、笑顔を向けてくれるだけで安心するってこともあるよね。人類は長い歴史のなかで、生活をしていくためにいろいろな笑いを発達させてきたってことなんだろうね。

人間以外で笑う代表的な動物(類人猿)

●チンパンジー

●ボノボ

●ゴリラ

●オランウータン

保護者の方へ

 犬、猫、馬、ナマケモノなどは笑っているような顔つきをすることがあります。これはその表情が人間の微笑みに似ているというだけで、感情を表現しているわけではないので、「笑い」とは違います。人間のように笑うのは、チンパンジーやゴリラなど、霊長類のなかでも人に近い類人猿ぐらいだといわれています。ただ、遊びのなかでの笑いしか持たないチンパンジーやゴリラに対して、相手と笑いを共有したり、相手が笑うことを期待して笑い掛けたりするのは人間特有のことです。「笑い」については、古代から哲学、脳科学、社会学など多方面から考察・研究がなされてきましたが、類人猿の笑いと比べてみるだけでも、いかに「笑い」が人間社会のなかで重要な意味を持つものかがわかります。また、類人猿を知ることは、人間を知ることにもなるということです。

ページトップ このページTopへ