受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

おしえてピグマはかせ

サピックスの通信教育・ビグマキッズくらぶ おしえてピグマはかせ

 「ピグマキッズくらぶ」は、小学1年生から4年生のために開発されたサピックスの通信教育です。そのテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていること、不思議に思っていることにお答えします。
 今回はマグロのお話です。日本人はマグロが大好き。ところが、とり過ぎが原因でマグロの数が激減し、とる量が制限されるようになりました。今後、マグロを食べられなくなる日も来るのでしょうか。

マグロが食べられなくなるって本当?

マグロは絶滅危惧種!?

げんちゃん 昨日、スーパーでマグロの解体ショーを見たよ。大きなマグロをノコギリみたいな包丁でさばくんだ。すごかったよ。 げんちゃんイラスト
えりちゃん へえー。わたしも見たかったな。そのマグロは食べたの?
げんちゃん うん。とてもおいしかったよ。
ピグマはかせ みんなマグロが大好きだもんね。世界中どこを見ても、日本人ほどマグロが好きな国民はいないと思うよ。世界でとれるマグロの約5分の1は日本で食べられているくらいだよ。特に人気があるのはクロマグロ。日本の近くの海でとるだけでなく、外国からも大量に輸入しているよ。
さやかちゃん クロマグロってどんなマグロなの?
ピグマはかせ お店では「本マグロ」といって売られている、脂が乗った「トロ」の部分が多いマグロだよ。マグロのなかでは高級品で、お刺し身やおすしなどに使われているよね。
ひかるくん ぼく、おすしの中トロが大好きだよ。でもマグロは「これからあまり食べられなくなるかもしれない」ってお父さんが言っていたよ。
げんちゃん ええっ!? それは困るよ。本当なの?
ピグマはかせ お店ではマグロがたくさん売られているから、ぴんとこないかもしれないけど、マグロの数が減っているというのは随分前から言われているよ。
さやかちゃん どうして減っているの? さやかちゃんイラスト
ピグマはかせ 最大の原因はとり過ぎだよ。特に世界的に減少が心配されているのがクロマグロ、ミナミマグロ、メバチマグロで、これらのマグロは、自然保護・天然資源保全のための国際機関である国際自然保護連合から、絶滅の可能性が高い「絶滅危惧種」にも指定されているんだ。
えりちゃん じゃあ、クロマグロはとってはいけないの?
ピグマはかせ 絶滅危惧種に指定されたからといって、クロマグロ漁が禁止されることはないけど、放っておくと絶滅してしまうから、各国で漁獲量を減らす努力が必要だよ。

とる量を調節すればマグロは増やせる

ピグマはかせ 特に日本の責任は大きいよ。クロマグロなどは日本で高く売れるから、大きなまき網を使って、産卵期のマグロまで大量にとってしまうことが問題になっているんだ。
ひかるくん 少なくなったら養殖すればいいんじゃないの? 魚の養殖って結構あるよね。 ひかるくんイラスト
ピグマはかせ 確かにマグロの養殖も行われているよ。ただマグロの場合、卵を人工ふ化させて大人になるまで育てる「完全養殖」はまだまだ少なく、海からとってきた稚魚を利用して育てる「畜養」がほとんどなんだ。天然資源を使うという意味では、成長したマグロをとってくるのと同じことだよね。この畜養ができるようになったことで、安いトロが大量に食べられるようになって、それでますます幼いマグロのとり過ぎが進んでしまったんだよ。
えりちゃん 稚魚や産卵期のマグロをたくさんとってしまったのでは、減るのは当たり前ね。 えりちゃんイラスト
ピグマはかせ そこで各国の間で、マグロの漁獲量を減らそうという取り決めをするようにしたんだ。太平洋でとれるクロマグロに関しては、太平洋に面した国々がとっていい量を決め、特に体重が30キロより少ない小型のマグロは制限を厳しくしているよ。
ひかるくん 魚は世界の海を泳ぎ回っているんだから、一つの国だけが決まりをつくっても仕方がないものね。
ピグマはかせ そうだよ。日本はこの規制を受けて、小型のマグロについては2015年から、大型のマグロについては2018年から、都道府県ごとにとっていいマグロの量を決めているよ。漁業をしている人にとっては収入が減るわけだから、規制に反対する声もあるけど、規制を設けた結果、海にいる小型のマグロは増えたという調査結果もあるよ。
げんちゃん じゃあマグロが食べられなくなる心配はないんだね。
ピグマはかせ それは今後の努力次第だよ。マグロはもともと繁殖力が強く、上手に保護すれば数が増えていく魚なんだ。各国が協力し合って、貴重な水産資源を大事に守り育てていくことが必要だね。
主なマグロの種類と成魚のサイズ・特徴
クロマグロ日本沿岸を含む太平洋の北半球の熱帯・温帯海域に広く分布し、成長すると体長3m、体重400kg以上にも達する。主に刺し身に利用。
ミナミマグロ全長2.5mで、体重250kg前後。南半球の低水温の海域を中心に分布。インドマグロとも呼ばれ、クロマグロに次ぐ高級品とされる。主に刺し身に利用。
メバチマグロ全長2.5mで、体重200kg前後。世界中の温帯から熱帯の海域に分布。目玉が大きくぱっちりしていることから、この名前がある。主に刺し身に利用。
キハダマグロ全長2mで、体重200kg前後。全世界の熱帯・亜熱帯海域に広く分布。体色が黄色味がかっていることから「黄肌」と呼ばれる。刺し身のほか缶詰に利用。
ビンナガマグロ全長1.4mで、体重50kg前後と小型。世界中の海に広く分布し、刺し身のほかツナ缶などの原料になる。ビンチョウ、トンボとも呼ばれる。

保護者の方へ

 マグロは資源保護のため、海域ごとに分かれた五つの国際機関によって管理されています。このうち太平洋のクロマグロに関しては、加盟国が30kg未満のクロマグロの漁獲量を2002年~2004年の平均水準の半分とすることに2014年に合意しました。これを受けて日本では都道府県ごとに小型魚に漁獲枠を設け、2018年からは大型魚についても漁獲枠を設けて規制を強化しています。規制をすり抜けて水揚げするケースも相次いでいますが、日本はマグロの大量消費国としてしっかり漁獲量を管理し、資源の回復に努める責任があります。年末年始のごちそうとして欠かせないマグロ。この機会に、おいしいマグロが食べられる背景には複雑な問題があることを、食卓の話題の一つにしてもいいかもしれません。

ページトップ このページTopへ