受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

おしえてピグマはかせ

サピックスの通信教育・ビグマキッズくらぶ おしえてピグマはかせ

 「ピグマキッズくらぶ」は、小学1年生から4年生のために開発されたサピックスの通信教育です。そのテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていること、不思議に思っていることにお答えします。
 今回は深海のお話です。太陽の光がほとんど届かない、暗くて冷たい深海は宇宙以上に未知の世界だともいえます。そこはどんな環境で、どのような生き物が暮らしているのでしょうか。

「深海」ってどんな場所?

水深200メートルより深いのが「深海」

ひかるくん 昨日、水族館に行ったんだ。変わった形の深海魚がいろいろいておもしろかったよ。採集してきたばかりの魚もいたよ。
ピグマはかせ 太陽の光がほとんど届かない深海の水温は、一年中10度より低いんだ。そういう海で魚が浅いところに上がってくるとしたら、海面近くの水温が下がる冬。だから採集できるのも冬なんだ。
さやかちゃん どのくらいの深さからが「深海」なの? さやかちゃんイラスト
ピグマはかせ 決まりはないけど、一般には水深200メートルより深いところだね。
げんちゃん どうして200メートルなの?
ピグマはかせ 200メートルより深くなると、太陽の光がほとんど届かないので、植物が光合成を行うことができないんだ。つまり、植物が太陽光エネルギーを使って作り出す栄養分を利用しない生態系があるということ。また、このくらいの深さまでの海の底は「大陸棚」といって、陸地から緩やかに深くなっていくけれど、200メートルぐらいのところからは、急激に深くなっていくからね。
えりちゃん 200メートルってどのくらいの深さかよくわからないけど、日本の周りの海はどれくらいの深さなの? えりちゃんイラスト
ピグマはかせ 東京湾は一番深いところが70メートルしかないけれど、駿河湾、相模湾、富山湾の三つだけは深さが1000メートル以上もある。この辺りの海で珍しい深海の生き物が見つかってニュースになることがよくあるよね。
げんちゃん 巨大なダイオウイカとか、リュウグウノツカイとかだよね。
ひかるくん 世界にはもっと深い海もあるんでしょ。
ピグマはかせ 世界の海の平均水深は約3800メートル。いちばん深いのは太平洋にあるグアム島近くのマリアナ海溝で、水深が1万911メートルにもなるところがあるんだ。富士山の高さが3776メートルだから、その3倍くらいの深さだね。

怖い顔は厳しい環境で生きるため

えりちゃん それくらい深いと、本当に真っ暗で、冷たい世界なんでしょうね。
ピグマはかせ 暗くて冷たいだけじゃないよ。海の中では、そこより上にある海水の重さが「水圧」となってのしかかってくるんだ。実は陸上でもそこより上にある空気の重さが「気圧」となってわたしたちにかかっている。海面の高さでは指先ほどの広さ(1平方センチ)あたり1キロぐらい。これを気圧というんだ。でも水は空気より重いから、海の中では10メートル深くなるごとに水圧が1気圧ずつ増えていく。ということは、深さ1000メートルの深海では100気圧の圧力がかかるんだ。つまり指先ほどのところに100キロもの力がかかるってことなんだよ。
えりちゃん でも、そういうところで生きていける魚もいるのよね。不思議ね。
ピグマはかせ 陸上の1気圧でも物がつぶれないのは、物の中にも空気が含まれていて、その空気が物を内側からも押しているからだよ。ところが、海では外側から物を押す水の力は深さとともにどんどん大きくなっていく。その結果、物に含まれる空気の体積が小さくなって、つぶれてしまうというわけだ。その点、深海魚は体の中に空気がほとんどない。その代わり体の中に油があるものもいて、外側からかかる水圧と同じ力で内側から押していたりする。だからつぶされないんだ。
げんちゃん 目玉の大きな魚もいるよね。 げんちゃんイラスト
ピグマはかせ それは、わずかな光を最大限にキャッチするためだといわれているよ。
さやかちゃん 深海魚って人間から見ると不気味な姿をしているけれど、それも厳しい環境で生きていくためにそうなっているのね。
ピグマはかせ 昔は深海には餌が少ないから、あまり生き物がいないのではないかといわれていたんだ。でも実際にはたくさん発見されているよ。技術が進んで、深海の高い水圧に耐えられる潜水艇がつくられるようになって、いろいろなことがわかってきたからね。日本だと有人潜水調査船「しんかい6500」の活躍が有名だよね。
ひかるくん 人を乗せて6500メートルの深さまでもぐることができるんだよね。すごいよね。 ひかるくんイラスト
ピグマはかせ 「しんかい6500」は、深海の生き物について調べるだけでなく、海底の地形や地質の調査なども行って、資源の開発や地震の研究にも役立たせようとしているよ。また地球の最初の生命は深海で生まれたと考えられているから、深海を調べることは生命がどのように誕生したか解明するのにも役立つんだ。

海の深さ

保護者の方へ

 深海の生き物というと数年前に話題になったダイオウイカやリュウグウノツカイ、ダイオウグソクムシなどが有名ですが、家庭の食卓にも深海魚はたくさん登場します。たとえば鍋物などにするアンコウも深海魚で、煮つけにするとおいしいキンメダイやキンキも水深数百メートルのところにすんでいます。深海魚は目や口が異常に大きかったりして人間にとっては怖い印象がありますが、身がふっくらしていておいしいものが多いといわれます。魚屋さんやスーパーでグロテスクな顔の魚を見かけたら、「もしかしたら深海魚かも」と調べてみると、おもしろい発見があるかもしれません。

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