受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

おしえてピグマはかせ

サピックスの通信教育・ビグマキッズくらぶ おしえてピグマはかせ

 「ピグマキッズくらぶ」は、小学1年生から4年生のために開発されたサピックスの通信教育です。そのテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていること、不思議に思っていることにお答えします。
 今回は花のお話です。菜の花、タンポポ、フクジュソウなど、まだ寒さが感じられる春先には黄色い花をよく見かけます。これには何か理由があるのでしょうか。

春先にはなぜ黄色の花が多いの?

春の虫は黄色が好き!?

えりちゃん 春はいろいろな花が咲くから、わたし大好き。 えりちゃんイラスト
さやかちゃん 春っていうと、やっぱり菜の花ね。一面に広がる菜の花畑を見ると、春が来たって感じがするわ。
えりちゃん フクジュソウとかタンポポも春って感じがするわね。
ピグマはかせ どの花も黄色だね。
ひかるくん そういえば、サクラやウメなど木になる花は別だけど、野原に咲く花は黄色いものが多い気がする。どうしてかなあ。
ピグマはかせ 確かに春先は黄色の花を目にすることが多いよね。はっきりした理由はわかっていないけど、虫を集めるためということはよくいわれているよ。
げんちゃん 何のために虫を集めるの?
ピグマはかせ 虫に花粉を運んでもらうためだよ。おしべにある花粉がめしべに付くことを「受粉」といって、植物は受粉をしないと種ができないし、種ができないと子孫を残せないよね。受粉の仕方によって、花は「虫媒花」「風媒花」「鳥媒花」「水媒花」の4種類に分けられるよ。虫に花粉を運んでもらって受粉する花は「虫媒花」、風に花粉を運んでもらって受粉する花は「風媒花」、メジロやヒヨドリなどの鳥に花粉を運んでもらって受粉する花は「鳥媒花」、水に花粉を運んでもらって受粉する花を「水媒花」というよ。
 風媒花は虫を集めなくてもいいから、花自体は地味なんだ。ただし、花粉は大量で軽い。花粉症の人を悩ませるスギがその代表だね。一方、虫媒花は、色や匂いで虫を誘わなくてはいけないから、きれいな色をした香りの良い花が多い。
げんちゃん でも、春先って、虫はあまりいないよね。 げんちゃんイラスト
ピグマはかせ 確かに、まだ寒いからか、チョウやハチはあまりいないよね。いるのはハエとかハナアブの仲間ぐらいだよ。実は、そのハエやハナアブが好むのが黄色なんだ。赤は夏に活動するチョウが好きな色で、ハチは紫が好きだともいわれるよ。黄色も、特にハエやハナアブだけが好きな色というわけではなく、比較的どの虫にも見えやすく人気が高いんだ。花にしてみれば、虫が少ないこの時期にはどんな虫でも大歓迎だからね。

花の色には意味がある

ひかるくん 虫によって見えやすい色とそうでない色があるんだね。 ひかるくんイラスト
ピグマはかせ そうだよ。人と昆虫では見え方がまったく違うよ。昆虫は人が見えない紫外線が見えるから、黄色といっても、みんなが見ているような黄色には見えていないんだ。人と昆虫は見える色の範囲が違っていて、昆虫は一般に白とか黄色、オレンジ色は見やすいけれど、赤は見えにくい場合が多いんだ。鳥は赤が見えるから、鳥に花粉を運んでもらう花、たとえばツバキやサザンカなどは虫には見えにくい赤い色をしているものが多いよ。
げんちゃん へえー。花の色にそんな意味があるなんて知らなかったよ。
ピグマはかせ 一般に昆虫の視力は人間の視力よりずっと弱く、色を感じる能力も人間に比べてかなり低いんだ。だから、必ずしも色だけで虫が集まるわけではないともいわれているよ。たとえば匂い。花には独特の匂いがあるから、それにひかれて集まるということも事実だよ。
さやかちゃん わたしだって、花の香りがしてくると、そばに行って嗅いでみることがあるわ。 さやかちゃんイラスト
ピグマはかせ それから虫に来てもらえるよう、花の形を工夫しているものもあるよ。たとえばさっき話が出たフクジュソウ。日光を効率的に集められるよう花の真ん中がへこんでいて、そこに集めた熱で虫を誘うんだ。ハナアブはそこで体を温めて、元気になってまた飛んでいくことができるんだよ。まだ寒い時期に咲く花ならではの工夫だよね。
げんちゃん 蜜を吸いに来るハナアブにとっては、フクジュソウは〝温泉〟もあるし、おいしい食事もあって最高ってところだね。
ピグマはかせ 植物は地面から移動することができないから、いろいろな工夫をして、虫や鳥を集めて花粉を運ばせて子孫を残しているんだ。

ハチの目からの花の見え方(左)

保護者の方へ

 黄色い服を着て外で遊んで帰って来たら虫がいっぱい付いていた、そんな経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。黄色を好む昆虫は多く、特に春先に活動するハエの仲間(花の蜜を吸うハナアブもハエの仲間)は黄色に敏感に反応します。ただ早春に黄色い花が多い理由については、明確に解明されていません。被子植物が地球上に誕生した1億年以上前は風で花粉を飛ばしていたといわれ、やがて、花粉を食べにくる昆虫が体にそれをつけて運ぶようになったので、花は昆虫を集めるのに適した色や形に進化していったと考えられています。花の美しさは人に見られるためではなく、植物が生き延びるために獲得した形質なのです。

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