受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

おしえてピグマはかせ

サピックスの通信教育・ビグマキッズくらぶ おしえてピグマはかせ

 「ピグマキッズくらぶ」は、小学1年生から4年生のために開発されたサピックスの通信教育です。そのテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていること、不思議に思っていることにお答えします。
 今回はホタルのお話です。初夏の夜、水辺を飛び交いながらほんのり淡い光を放つホタル。ホタルは何のために、またどのような仕組みで光っているのでしょうか。

ホタルのお尻はなぜ光るの?

オスとメスが交わす光のサイン

えりちゃん 今度、ホタルを見に行くのよ。親戚の家の近くにホタルが集まる小さな川があって、そこでホタル観賞会があるの。 えりちゃんイラスト
ひかるくん そういえば、今はホタルがいちばんよく見られる季節だよね。
えりちゃん でも、たくさん見られるかどうかはお天気次第なんだって。
ピグマはかせ ホタルを見るには、雨上がりで湿気が多く、月明かりがない夜がいいよ。逆に、日中もずっと晴れていた、満月の夜などはあまり良くないね。
げんちゃん でも、どうしてホタルのおしりって光るの? 行き先を照らしているわけでもなさそうだし。
ピグマはかせ ホタルといってもいろいろで、世界には約2000種ものホタルがいるんだ。このうち日本にいるのは約40種で、光るホタルと光らないホタルがいるよ。日本で光っている姿がよく見られるのはゲンジボタルだよね。ゲンジボタルは卵から幼虫・さなぎ・成虫に至るまで一生光るんだ。成虫が光るのは、主にオスとメスが出会うためだといわれているよ。日が暮れるとオスが飛び始め、強く光ったり弱く光ったりしながらメスを探すんだ。
さやかちゃん メスに合図を送るのね。メスも光るの? さやかちゃんイラスト
ピグマはかせ メスは葉っぱの上などにいて、オスの光に対して返事をするように光るんだよ。オスの光に比べると弱い光だよ。日本ではゲンジボタルより小さいヘイケボタルも有名だけど、明るくなったり暗くなったりする間隔も違うし、種類によって光り方は違うよ。
げんちゃん じゃあ、間違えて、ゲンジボタルのオスがヘイケボタルのメスのところに行くことはないね。
ひかるくん でも、さなぎや幼虫はどうして光るの? メスを探す必要はないよね。
ピグマはかせ 繁殖とは関係ない幼虫やさなぎが光るのは、敵に警告するためだといわれているよ。ホタルは体の中に毒を持っているから、「自分には毒があって、おいしくないから食べないで」とアピールしているんだね。ほかに、毒の部分を除こうとする過程で体が光るのではないかという説もあって、ホタルが光る理由はまだわかっていないことが多いんだよ。

光るブレスレットはホタルの光!?

さやかちゃん でも、よく光ることができるわね。体の中に発電機や小さな豆電球を持っているわけじゃないでしょ?
げんちゃん それなのにお尻がライトみたいに、しかも光の強さを変えながら光るんだよね。不思議だよね。 げんちゃんイラスト
ピグマはかせ よくお尻が光るっていうけど、実際はお尻に近いおなかの部分に〝発光器〟があるんだ。発光器の中には発光のもとになる物質があって、それが発光を助けるたんぱく質の働きで、体の中の酸素とくっついて光を発するんだよ。このときの発光のもとになる物質を「ルシフェリン」、発光を助けるたんぱく質を「ルシフェラーゼ」というよ。からだを光らせる生き物はたくさんいるけど、多くがこうした体内の化学反応、つまり物質どうしが結びついて別の物質になることで発光が起こるんだよ。
げんちゃん 発光する生き物ってほかに何がいたかな。
ひかるくん クラゲも光るよね。あとホタルイカとか夜光虫とか。 ひかるくんイラスト
ピグマはかせ クラゲが光る仕組みはもっと複雑だけど、ホタルイカや夜光虫、ウミホタルなどは、ホタルと同じようにルシフェリンとルシフェラーゼが、酸素と結びついて光るんだよ。コンサートでお客さんが使うケミカルライトは、この仕組みを応用して作られたものだよ。お祭りでよく売っている、光るブレスレットも同じだよ。
えりちゃん 光るブレスレットって、電池が入っていないのにどうして光るんだろうって思ってたんだ。ホタルが光るのと一緒なのね。
ピグマはかせ 生物が光る仕組みを利用して物を光らせることで、たとえば食品に微生物が混ざっていないかどうかを検査したり、病気の原因がどこにあるかを探したりもできるようになったんだよ。生物の光はいろいろなところへの応用が期待されているんだ。

ゲンジボタルの成虫

保護者の方へ

 ホタルやクラゲのように自分で光を放つ生き物を発光生物といいます。発光生物の多くは、発光バクテリアの共生による共生発光を除き、体内にある物質どうしの化学反応、つまりルシフェラーゼ(酵素)を触媒とするルシフェリンの酸化反応で光ります。ノーベル化学賞を受賞した下村脩博士が研究したオワンクラゲは、これとは違う複雑な仕組みで光りますが、オワンクラゲも含め、発光生物の研究は医薬品の開発や病気治療の研究、食品の衛生検査、物質計測などに広く応用されています。たとえば、体内のがん細胞だけを光らせるようにすれば、がんがどのように広がっていくか見ることができ、治療にも役立つというわけです。

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