受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

おしえてピグマはかせ

サピックスの通信教育・ビグマキッズくらぶ おしえてピグマはかせ

 「ピグマキッズくらぶ」は、小学1年生から4年生のために開発されたサピックスの通信教育です。そのテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていること、不思議に思っていることにお答えします。
 今回は鉄のお話です。自動車、橋、ビル、電化製品など、わたしたちの生活は鉄でつくられたものに支えられています。では、その鉄は何から、どのようにしてつくられるのでしょうか。

鉄はどうやってつくられるの?

砂鉄と鉄の粉は違う!?

げんちゃん 海に行ったとき、砂浜で砂鉄を採ったよ。磁石で砂の上をなでるだけで、いっぱいくっついてくるんだ。
さやかちゃん へえー。おもしろそう。でも砂鉄って何なの? 砂の中に鉄の粉が含まれているの? さやかちゃんイラスト
ピグマはかせ 砂鉄は鉄の粉じゃないよ。その前に、そもそも鉄って何だと思う?
ひかるくん 金属でしょ。機械とか、いろいろなものをつくる材料だよね。
ピグマはかせ そう。自動車、橋、ビル、電化製品など、鉄がなくてはつくれないものはたくさんあるよね。じゃあ、そもそもその鉄はどうやってつくると思う?
げんちゃん そうだなあ。マグマみたいに、地中深くに、どろどろに溶けた鉄があって、それを集めてくるんじゃないの?
ピグマはかせ ははは。鉄の原料は鉄鉱石という鉱物だよ。鉄には酸素と結び付きやすい性質があって、酸化鉄という状態で鉄鉱石に含まれているんだ。金属として使える鉄を取り出すには、鉄鉱石を砕いて高温の炉に入れ、酸素を取り除くことが必要なんだ。それを製鉄というんだよ。
げんちゃん ふーん。それで砂鉄って何なの?
ピグマはかせ 砂鉄は鉄鉱石に含まれている天然の鉄が、長い時間をかけて元の岩から離れて、山や海岸などに堆積したもの。これも、酸素を含む酸化鉄だよ。日本でも昔は、「たたら製鉄」といって、粘土でできた窯(炉)に、たくさんの砂鉄と木炭を入れて、そこに「たたら」という道具で空気を送り込み、加熱して鉄を取り出していたんだ。
えりちゃん 今は製鉄所でつくっているのよね。 えりちゃんイラスト
ピグマはかせ そう。今は砂鉄ではなく、原料に鉄鉱石を使っているよ。鉄鉱石から純度の高い鉄を取り出すには巨大な高炉(溶鉱炉)が必要で、製鉄所では高炉で鉄鉱石と、コークス(石炭を蒸し焼きにしたもの)や石灰石を燃やして鉄を取り出し、その鉄をさらに別の炉に入れて、不要なものを除いて「鋼」というものにしているんだ。含まれる炭素の量によって、またほかの金属と混ぜることによって、いろいろな目的に使える鋼材がつくれるんだ。

古代からつくられていた最強の素材

げんちゃん 鉄って、重くてとても硬いよね。 げんちゃんイラスト
さやかちゃん 昔の人は、岩石からよくそんなものを取り出して使おうなんて思いついたわね。
ピグマはかせ 鉄鉱石は地球上にたくさんあって、比較的手に入りやすいから、古代から道具をつくる素材として使われてきたんだよ。今のやり方とは違うけど、3000~4000年前にはすでに製鉄が行われていたのではないかといわれているよ。鉄でできた農具があれば農作物がより多く生産できるし、鉄の武器があれば軍隊も強くなるだろ? 国を繁栄させることができるから、製鉄法がわかってからは各地で鉄がつくられたことは想像できるよね。
ひかるくん 鉄鉱石は日本でたくさん採れるの? ひかるくんイラスト
ピグマはかせ ほぼ100%が輸入だよ。製鉄所が海の近くに多いのは、外国から船に積んできた鉄鉱石をそのまま製鉄所に運べるからだよ。でも鋼のすべてを鉄鉱石からつくっているわけではない。日本でつくられる鋼の3〜4割は鉄くずを利用しているんだ。鉄は回収してリサイクルできるからね。
えりちゃん ジュースのスチール缶もそうね。わたしはごみを出すとき、ちゃんと分別しているわ。
ピグマはかせ 鉄は磁石にくっつけて分別できるから回収しやすいしね。高炉を使うと二酸化炭素を多く排出するけど、スクラップ鉄を利用すれば高炉で鉄を取り出すという過程が必要ないから、環境への負担が少ないんだ。
ひかるくん 製品が使えなくなっても、スクラップとして回収されれば、別の製品に生まれ変われる。無限に使えるってすごいね。
ピグマはかせ そのほかに、二酸化炭素の排出量が少ない製鉄法や新鋼材の開発など、さまざまな方面で研究開発が進んでいるよ。

鉄のつくり方

高炉で銑鉄をつくる

①高炉の中に鉄鉱石とコークスと石灰石を入れる

②高炉の下から熱い空気を送ると、コークスが燃えて炉の温度が上がる

③鉄鉱石から鉄分が溶け出して下に沈む
これを「銑鉄」という

銑鉄を転炉に入れて鋼をつくる

①銑鉄を転炉に入れて酸素を吹き付ける

②鉄以外の余分なものが追い出されて、頑丈で加工しやすい「鋼」になる

保護者の方へ

 現在のトルコのあたりで鉄器を生産して国家を繁栄させたヒッタイト帝国(紀元前1400年ごろ~同1200年ごろ)。2年前、日本の調査団がその遺跡から製鉄史上最も古いと思われる鉄の塊を見つけました。驚くべきことに、出土されたのはヒッタイト時代より1000年ほど古い地層から。しかも、ほかの地域から持ち込まれた可能性があることもわかり、製鉄や鉄器時代の開始時期の再考を促す大発見ともいわれています。ちなみに人類最初期の鉄利用は、鉄隕石(鉄やニッケル合金からなる隕石)を加工したもの。その出土した鉄の塊が隕石由来の鉄ではないことを調べる際には、探査機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」から持ち帰った微粒子を調べたときの先端技術が使われたそうです。人類史上「最大の発明」の一つといわれる製鉄。興味は尽きません。

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