受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

おしえてピグマはかせ

サピックスの通信教育・ビグマキッズくらぶ おしえてピグマはかせ

 「ピグマキッズくらぶ」は、小学1年生から4年生のために開発されたサピックスの通信教育です。そのテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていること、不思議に思っていることにお答えします。
 今回はAEDのお話です。日本語で「自動体外式除細動器」というAEDは、突然、心停止を起こして倒れた人を電気を使って救う医療機器。駅や公共施設など人が集まるところに設置されています。そのはたらきについて探ってみましょう。

AEDはどうやって人の命を救うの?

心臓に電気ショックを与える!?

さやかちゃん 図書館に行ったら、AEDが置いてあったわ。AEDって急に倒れた人の命を電気を使って助ける器械なのよね。
ピグマはかせ そうだよ。もし心臓が止まって急に倒れた人がいたら、周りの人がこのAEDを使って助けてあげることができるんだ。駅や役所、デパートのほか、君たちの学校にもあるはず。オレンジ色や赤のケースで、ハートのマークが付いているからすぐにわかるよ。今度探してごらん。
げんちゃん 突然、心臓が止まることなんてあるの? げんちゃんイラスト
ピグマはかせ 日本では1年間に約7万人もの人が心臓突然死、つまり心臓が突然止まることで亡くなっている。心臓は、心臓の筋肉を収縮させて全身に血液を送るはたらきをしているよね。筋肉が収縮するのは、心臓で電気信号を発生させているからなんだけど、急に電気がうまく流れなくなって、血液を送れない危険な状態になることがあるんだ。それが「心停止」。そのとき多くの場合、心臓は不規則に細かく動く、けいれんしたような状態になるんだ。これを「心室細動」といって、そのまま放っておくと、心臓が完全に止まって、死んでしまうんだよ。
えりちゃん そういうことは、心臓が悪いお年寄りに多く起こることなの?
ピグマはかせ 確かに高齢者に多いけど、交通事故や、ボールが胸に当たったり、冷たいプールにいきなり飛び込んだりして、心臓に大きな負担がかかると、若い人でも心室細動を起こすことがあるよ。だからいろいろな場所にAEDを置いて、すぐに助けられるようにしているんだよ。
ひかるくん 止まった心臓に電気でショックを与えて再び動かすのがAEDなんだよね。 ひかるくんイラスト
ピグマはかせ 実は、心臓が完全に止まってしまったら、AEDでも動かすことはできない。心臓が完全に止まるときは、その前に心室細動の状態になることが多く、その段階で電気ショックを与えてけいれんを止める。それがAEDなんだ。AEDは日本語で「自動体外式除細動器」という。「細動」、すなわち「けいれん」を除くのが役目だよ。
ひかるくん 不規則に乱れた心臓の動きを止める、というわけだね。
ピグマはかせ そのとおり。けいれんが止まれば、心臓の筋肉自体は生きているので、心臓マッサージなどを行うことで、再び規則正しく動き出す可能性があるんだ。

電気が有効か、AEDが調べる

えりちゃん でも、電気を心臓に流しても大丈夫なの? えりちゃんイラスト
げんちゃん そうだよ。雷が落ちて心臓に電気が流れると死んじゃうって聞いたことがあるよ。
ピグマはかせ 電圧が何億ボルト、電流が何十万アンペアもある雷に比べると、AEDは電圧(1200〜2000ボルト)も電流(30〜50アンペア)も低い。それでも人に使えばとても危険だよ。心室細動を起こして倒れている人にとっても、負担は大きい。でもそのまま放っておいたら心臓は止まる。いちばん良い方法が電気ショックなんだ。
ひかるくん でも、倒れた人に電気ショックを与えていいかどうか、普通の人はわからないよ。
ピグマはかせ AEDを使うときは、その人の胸に電極のパッドを貼り付けるんだけど、パッドを貼り付けたら、まず器械がその人の心臓の状態を調べて、電気ショックが必要な人かどうかを判断してくれる。だから必要のない人に電気ショックを与える心配はない。仮に誤ってショックボタンを押しても、必要がない場合は電気は流れない仕組みなんだ。
さやかちゃん 救急車を待っていたのではだめなの? さやかちゃんイラスト
ピグマはかせ 心室細動に陥った人を救うには一刻を争う。心室細動を起こすと、1分経過するごとに助かる確率が10%ぐらい減るといわれるよ。救急車が来るまで待っていたら、助かる可能性は低くなってしまう。だからこそいろいろな場所にAEDが設置されているんだ。
げんちゃん なるほど。出掛けたら、どこにAEDがあるか注意して見てみるようにするよ。
ピグマはかせ そうだね。そして、もし、倒れている人を見つけたら、大人の人を呼ぶこと。それが君たちの役目だ。

AEDを使った救命

保護者の方へ

 日本では毎日多くの人が心臓突然死で亡くなっています。その多くは「心室細動」と呼ばれる不整脈が原因です。平成29年版『消防白書』によると、1年間に救急搬送された、心臓に原因がある心肺機能停止者のうち、一般市民に目撃されたのは2万5569件。このうち救急車の到着を待っていただけの場合の1か月後生存率は9.3%ですが、AEDを実施した場合の1か月後生存率は53.5%。AEDを使うことで半数以上の人を救えるという結果が出ています。ただ使用率は低く、2万5569件のうち一般市民がAEDを使用したのはわずか1204件。4.7%です。一人ひとりが生活圏のどこにAEDが設置されているかを知り、いざというときは勇気のある行動がとれるようにすることが望まれます。

ページトップ このページTopへ