受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

おしえてピグマはかせ

サピックスの通信教育・ビグマキッズくらぶ おしえてピグマはかせ

 「ピグマキッズくらぶ」は、小学1年生から4年生のために開発されたサピックスの通信教育です。そのテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていること、不思議に思っていることにお答えします。
 今回は石けんのお話です。石けんで手を洗う。当たり前のことですが、なぜ石けんを使うとよごれが落ちるのでしょうか。それを知るためには、石けんが何から作られているのかを探る必要があります。

なぜ石けんでよごれが落ちるの?

よごれも石けんも油でできている

げんちゃん 今日、校庭で草むしりをしたよ。
さやかちゃん そうだと思った。手がよごれているもの。 さやかちゃんイラスト
げんちゃん 石けんがなくて、水だけじゃ、なかなかよごれが落ちないんだよ。
さやかちゃん 土や草のよごれは水だけではきれいにならないものね。
ひかるくん でも、どうして石けんを使うと、水では落ちなかったよごれが落ちるのかなあ。
ピグマはかせ その前に、まずよごれって何だと思う?
えりちゃん 体に付いたよごれなら、あせやホコリ?
ピグマはかせ そうだね。人のはだは「皮脂」という油で守られていて、あせにしてもホコリにしても、この油といっしょになって手に付いたり服にくっ付いたりして「よごれ」になるんだ。そでやえりのよごれを見るとわかるよね。
ひかるくん ふーん。つまり「よごれは油」なんだね。
ピグマはかせ そう。そして、みんなも知っているとおり、油は水と混ざらない。だからよごれを水で落とそうとしても、よごれは服にくっ付いたままで、きれいにならないんだ。
えりちゃん 石けんを使うとよごれが落ちるのは、石けんに油をとかす成分がふくまれているからなの?
ピグマはかせ 石けんの材料は動植物の油とアルカリ剤。アルカリ剤とは、水酸化ナトリウムのようなアルカリ性の物質で、石けんは油とアルカリ剤をいっしょににて作るんだ。そのときにできた物質には、水になじみやすい部分と油になじみやすい部分とがあって、それぞれよごれを落とすはたらきがある。水になじみやすい部分を「親水基」、油になじみやすい部分を「親油基」といって、こういう性質を持つ物質のことを「界面活性剤」というよ。
ひかるくん 「界面」ってどんな意味? ひかるくんイラスト
ピグマはかせ 性質が異なる二つの物質が接しているときの境目の面のことだよ。界面活性剤はこの境目にはたらきかけて、その部分の性質を変えることができるんだ。たとえばウールのセーターなどは、ただ水につけてもせんいが水をはじいてしまうけれど、水に石けん、つまり界面活性剤を加えてつけると、界面活性剤の親水基のはたらきで水がセーターによくしみ込んでいくんだ。そして界面活性剤の親油基がセーターに付いたよごれを包み込んで、水の中にとかしていくんだ。
さやかちゃん 石けんでよごれが落ちるのは、界面活性剤のはたらきがあるからなのね。

石けんがなくてもよごれは落とせる!?

ピグマはかせ 界面活性剤のはたらきをするものは植物にもふくまれているよ。大豆などマメ科の植物にふくまれるサポニンという物質は、油と水を混ぜ合わせるはたらきがある。昔はムクロジやサイカチの実などが石けんの代わりに使われていたんだけど、ともにサポニンをたくさんふくんでいるんだ。
げんちゃん 石けんがなかった時代は、植物の油を使ってよごれを落としていたんだね。 げんちゃんイラスト
ピグマはかせ ヨーロッパから日本に石けんが伝わってきたのは16世紀だけど、とても高価で、ふつうの人は買えなかったので、サポニンをふくむ、ムクロジなどの植物を使ってよごれを落としていたんだ。今でも世界には、サポニンをふくむ植物を石けんのように使っている人たちがいるよ。豆をにたときに出るあわにもサポニンがふくまれていて、使った食器をこのしるにつけておくと、油よごれが落ちるんだ。
えりちゃん 食器用洗剤がなくても、おちゃわんをきれいにできるのね。 えりちゃんイラスト
ピグマはかせ 洗剤ほどきれいにはならないけどね。それから植物を焼いた灰を水にひたしたときの上ずみ液も石けんの代わりになる。これはアルカリ性で、よごれの油分と反応して、石けんのようなはたらきをする物質ができるので、日本では、昔からこれを洗たくや手洗いに使っていたそうだ。
ひかるくん 昔の人の知恵ってすごいよね。
ピグマはかせ 原理がわかって使ったわけではなく、いろいろ試しているうちに、これを使うときれいになるんだと何となくわかって、使うようになったんだろうね。

石けんでよごれが落ちるしくみ

保護者の方へ

 古代メソポタミアのシュメール人は、石けんの製法をくさび形文字で粘土板に記して残しています。このことから、石けんが5000年も前に作られていたことがわかっています。この石けんは、天然の油脂とアルカリ性の木の灰と一緒に煮て作ったもので、製法や成分としては今も基本的に変わりません。ただ、同じ汚れを落とすものでも、食器用洗剤・洗濯用洗剤などの合成洗剤は石けんとは異なり、一般に石油から作られた合成界面活性剤が使われています。そのため、パッケージの品名に「石けん」と表示されているものとは区別されます。

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