受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

おしえてピグマはかせ

サピックスの通信教育・ビグマキッズくらぶ おしえてピグマはかせ

 「ピグマキッズくらぶ」は、小学1年生から4年生のために開発されたサピックスの通信教育です。そのテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていること、不思議に思っていることにお答えします。
 今回は冬眠のお話です。ヘビやカエル、リスやコウモリなど小型の動物のなかには冬眠をする動物がたくさんいますが、大きな動物で冬眠をするのはクマだけ。クマはなぜ冬眠をするのでしょうか。

クマはなぜ冬眠するの?

厳しい冬を生き抜くための省エネ作戦

げんちゃん きょうも寒いね。朝、布団から出るのがいやになるよ。クマはいいよね。穴にこもってずっと寝てればいいんだもん。
さやかちゃん でも、クマは冬眠中ずっと何も食べないでいるのよ。げんちゃん、できる?
げんちゃん えっ!? そうなの? それは無理だなぁ。
ピグマはかせ 冬眠といっても、動物によってさまざまだよ。冬眠しない動物もたくさんいるしね。それに、クマは何も食べないけど、冬眠する動物の多くは、時々目を覚まして、蓄えておいたエサを食べるんだ。
ひかるくん へえ。どうして冬眠する動物がいるの? ひかるくんイラスト
ピグマはかせ エネルギーをできるだけ使わないようにして、エサの少ない冬場を乗り切るためだよ。寒い時期に、少ない食べ物を探して動き回ると、エネルギーを使い果たして、厳しい冬を乗り越えられないからね。
ひかるくん どんな動物が冬眠するの?
ピグマはかせ まずは、ヘビのような爬虫類やカエルのような両生類。これらは、気温が下がると体温も下がる「変温動物」なので、体が冷たいと活動できなくなるんだ。
えりちゃん 哺乳類はどうなの? えりちゃんイラスト
ピグマはかせ 哺乳類は体温が気温によって左右されることはない「恒温動物」だけど、冬眠する動物はいるよ。でもほとんどがリスやヤマネ、ネズミなどの小さい動物だよ。だから大きいクマは特別だよね。
えりちゃん クマはみんな冬眠するの?
ピグマはかせ そういうわけでもないんだ。日本にいるツキノワグマやヒグマなど緯度が高い地域でくらすクマの多くは冬眠するけれど、熱帯地方など暖かい地域にすむクマは冬眠しない。東南アジアのマレーグマや、南アメリカのメガネグマなどは、冬でもエサに困らないから冬眠しないんだ。
さやかちゃん エサがあれば冬眠しなくてもすむのね。
ピグマはかせ そのとおり。寒い冬は木の実がないし、植物も育たないから、クマは冬になる前にたっぷり食べて脂肪を蓄え、冬になったらできるだけ動かずに過ごすんだ。もっとも、体が大きいから、相当な量を食べなければならないけどね。

食べなくても筋肉は衰えない!?

ピグマはかせ ただ、クマの冬眠には、ほかの動物の冬眠とは違う点があるよ。一つは、途中で起きて活動しないこと。もう一つは、あまり体温が下がらないこと。冬眠する動物の多くは、冬眠中は体温をぎりぎりまで下げて、エネルギーを使わないようにするんだけど、クマはそれほどでもないんだ。死んだように冷たくなって眠るヤマネなどと違って、うとうとしているような状態で過ごすんだよ。だから、エサを食べたり、おしっこをしたりすることはないけど、必要なときはすぐに起き出すことができるんだ。
ひかるくん 必要なときって?
ピグマはかせ 赤ちゃんを産むときだよ。
えりちゃん えっ!? 冬眠中に出産するの?
ピグマはかせ 驚くよね。出産したメスのクマは何も食べないで、お乳をあげ続けるんだよ。
げんちゃん 冬眠が終わって穴から出てきたら、クマの数が増えているんだ。すごいね。 げんちゃんイラスト
ひかるくん どうしてそんなことができるの? 人間だったら、たとえじっとしていても、何か月も食べなかったら死んじゃうよ。
ピグマはかせ 哺乳類の多くは、エサを食べられないと自分の筋肉のたんぱく質を分解して栄養として利用するから、筋肉が弱くなってしまう。ところが、クマはためたおしっこを再利用して、たんぱく質などをつくり出すことができるので、筋肉は弱くならないといわれているよ。カルシウムもおしっこで流れ出ないから、骨も弱くならないことが研究でわかっている。
さやかちゃん すごい体質ね。 さやかちゃんイラスト
ピグマはかせ 以前、山で遭難した人が24日後に、冬眠に近い22度という低体温の状態で保護されて助かったことがあったけれど、冬眠については、まだまだわかってないことが多いんだ。SF映画で、宇宙の遠い星に向かう宇宙飛行士がカプセルの中で長期間眠っているシーンを見たことはないかい? 実際、人体を低温状態にして長期間眠らせる「人工冬眠」の研究も行われている。そう遠くない未来に実用化されるかもしれないね。

ヒグマが冬眠する様子

保護者の方へ

 冬眠は動物が活動をやめ、体温や呼吸数、心拍数を低下させてエネルギー消費を抑えることで、厳しい冬の時期を乗り切る生存戦略です。そのように代謝を抑えれば哺乳類は死んでしまうのが普通ですが、冬眠する動物は生き続け、冬が過ぎれば、もとの活動を再開できます。なぜこのようなことができるのか、冬眠のメカニズムはまだはっきりとは解明されていません。特にクマは水やエサを一切とらずに何か月も冬眠を続けた後も、筋肉量や骨量を減らすことなく活動を再開できる、驚くべき能力を持っています。こうした機能のメカニズムが解明され、ヒトやその臓器に応用できれば、代謝が高い状態では困難な手術や臓器の保存など、医療の分野での大きな進歩が期待できます。

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