おしえてピグマはかせ

「ピグマキッズくらぶ」は、小学1年生から4年生のために開発されたサピックスの通信教育です。そのテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていること、不思議に思っていることにお答えします。
今回は外国の小学校についてのお話です。義務教育の年数も、入学の時期も、学校生活の様子も、国によってさまざま。日本の小学校と比べるとどのような違いがあるのでしょうか。
外国の学校は日本の学校とどう違うの?
小学校でも「落第」することがある
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春休みが終われば新学年ね。かわいい新1年生が入ってくるし、クラス替えもある。4月は毎年どきどきするわ。 | |
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4月はやっぱり特別な月だよね。海外も同じなのかな? | |
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海外は4月じゃなくて、9月に新学年が始まるところが多いと聞いたことがあるよ。 | |
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そのとおり。ヨーロッパの国々の多くは、9月に新学年が始まるよ。 | |
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これから少しずつ寒くなっていく時期に入学・進級するなんて、変な感じね。 |
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いやいや、実は、入学の時期は国によってバラバラなんだ。4月に新学年がスタートする国は日本とインド。韓国は3月、ブラジルは2月、シンガポールやマレーシアは1月だよ。そうしたなか、最も多いのが欧米諸国の9月だね。欧米からの留学生も増えているし、逆に日本から欧米の大学に留学する人も多いので、日本でも9月入学に変えようという意見の人もいるよ。 | |
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ふうん。ぼくは桜の季節がいいけどな。 | |
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はは、そうだね。ほかにも、日本と外国の教育制度で異なる点は多い。たとえば、小学校から落第や留年の制度があったりするよ。 | |
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えっ!? 上の学年に上がれないってこと? | |
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日本では、義務教育の小・中学校の間は、自動的にみんな上の学年に進級するよね。でも外国では、成績が悪かったり欠席日数が多かったりすると、同じ学年をやり直さなければならない場合があるんだ。アメリカ、フランス、ドイツなどが、この制度を採用しているよ。 | |
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厳しいね。 |
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逆に、アメリカやフランスなどでは、「飛び級」といって、成績が優秀な子は学年を飛び越えて進級することもできるんだ。 | |
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3年生から、4年生を飛び越して5年生になれたりするんだね。 | |
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日本では、義務教育期間は無理だけど、たとえば千葉大学は、数学や理科の才能が飛び抜けていれば、高校2年生でも入学試験の受験を認めているよ。 |
お昼の過ごし方もさまざま
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給食はどうなの? 外国の小学校でも給食はあるよね。ないと困っちゃうよ。 | |
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給食がない国もたくさんあるよ。そもそも、お昼前に授業が終わる国も多い。ブラジルやトルコでは、2部制の学校もある。午前の部と午後の部に分かれて、入れ替え制で授業を行うんだ。 | |
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午前と午後で生徒が違うってこと? |
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そう。子どもの数に対して学校の数が少ないところでは、そうせざるを得ない場合が多いんだ。また、それぞれの国の文化は学校生活にも表れている。たとえば、昼食を重んじるスペインでは、2時間ぐらいお昼休みがあるし、中国の学校では、昼食後、お昼寝の時間があるよ。 | |
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午後の授業中は、眠くなることがあるから、お昼寝の時間があると助かるなあ。 | |
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朝から午後3時くらいまで授業がある場合でも、給食の国もあれば、お弁当を持参したり、学校のカフェテリアで食べたり、一度家に帰って食べたりする国もある。欧米では個人の考えを大切にしているから、好きなものを食べる学校が多いよ。 | |
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給食がないなら、給食当番もいないよね。 |
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そうだね。給食がある国でも、日本のように、子どもたちが当番を決めて給食を配る国はほとんどないよ。それに、みんなは給食の後や放課後に、全員で教室や廊下の掃除をすると思うけど、子どもたちが学校の掃除をする国も、実はとても少ない。日本では、給食も掃除も「教育の一環」としてやっているのが大きな特徴なんだ。好き嫌いをなくす、みんなで使うものをきれいにする、といったねらいがある。給食や掃除から学べることは多く、特に掃除については世界でも注目されているよ。日本にならい、子どもたちが教室を掃除するようにした国もあるんだ。 | |
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へえ。給食当番や掃除については、面倒くさいと思うときもあるけど、外国から注目されているなら、がんばろうかな。 | |
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そうだね。少し誇らしいよね。 |
●国・地域によって違う「新学年が始まる時期」
※外務省 「諸外国・地域の学校情報」、文部科学省「世界の学校体系」より
保護者の方へ
義務教育の年数も、6・3・3制といった学制も、小学校での過ごし方なども、国や地域によってさまざまです。教育制度や学校生活には、その国や地域の考え方や文化、生活習慣などが反映されています。たとえば、「和」を重んじる日本では、給食も教室でみんな一緒に同じものを食べます。欧米諸国の小学校に留年があるのは、日本人には厳しい気がするかもしれませんが、それも欧米の国々には個の違いを重んじる考え方があるからです。ほかにも学校への行き方、授業の進め方、おやつタイムの有無、行事のあり方など、外国と日本の学校を比べると、違うところは想像以上に多いのです。調べてみるとおもしろいことがわかるかもしれません。
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