受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

おしえてピグマはかせ

サピックスの通信教育・ビグマキッズくらぶ おしえてピグマはかせ

 「ピグマキッズくらぶ」は、小学1年生から4年生のために開発されたサピックスの通信教育です。そのテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていること、不思議に思っていることにお答えします。
 今回はインターネットのお話です。仕事や学習、娯楽、買い物、公共サービスなど、日常生活のあらゆる場で欠かせなくなったインターネット。インターネットはいつ、誰がつくったのでしょうか。

インターネットはいつ、誰がつくったの?

インターネットの元祖は「アメリカ」

さやかちゃん 昨日、田舎のおばあちゃんとインターネットを使ってビデオ通話をしたの。パソコン画面を通してわたしが描いた絵を見せたら、「上手ね」ってほめられちゃった。
えりちゃん インターネットを使えば、遠く離れた人といつでも会えるし、家にいながら商品を見比べて買い物もできる。本当に便利で、すごい発明だと思うわ。 えりちゃんイラスト
ひかるくん はかせが子どものころは、インターネットはなかったんだよね。
ピグマはかせ そうだよ。ちょっとした調べものをするのに、図書館に行って、何時間も資料を調べたり、遠くの人と何回も手紙でやりとりをしたり。ビデオ通話なんてSFやアニメの世界の話だったんだ。それが今では、パソコンやスマートフォンの操作一つでできるんだから、驚きだよ。
げんちゃん インターネットって、ぼくたちが生まれたころにはすでにあったけれど、実際にはいつ、誰がつくったの? げんちゃんイラスト
ピグマはかせ その前に、インターネットってそもそも何だと思う?
さやかちゃん ええと、パソコンを使って、情報をやりとりする仕組みのこと?
ピグマはかせ そうだね。実は、インターネットが生まれる前から、離れたパソコンどうしの情報のやりとりはあったんだよ。「回線交換方式」という、電話のつなぎ方に少し似たやり方だ。でも、電話と同じで、つながっている1対1のパソコンどうしでしか情報を交換できなかったんだ。ほかのパソコンとやりとりするときは、回線をいちいち切り替えなければならず不便だった。そこで、複数のパソコンが同時に、効率的にやりとりできるように開発されたのが「パケット交換方式」という通信方法なんだ。これを世界で初めてネットワークとして運用したのがアメリカ。1967年に、アメリカの国防総省が資金を出して研究が始まった「ARPANET」(アーパネット)というネットワークが、現在のインターネットの元祖だともいわれているよ。
ひかるくん 国防総省って、軍隊を統括する行政機関だよね。
ピグマはかせ そうだよ。「ARPANET」は、アメリカ国内の大学・研究所の4か所に分散したパソコンをつなげたネットワーク。情報を「パケット」という小さな単位に分けてやりとりすることで、複数台のパソコンの情報を処理できるようにしたんだ。

急速に普及したのは1990年代後半

さやかちゃん 日本では、いつごろからインターネットが使われているの? さやかちゃんイラスト
ピグマはかせ 1984年にできた「JUNET」(ジェイユーネット)が最初だといわれているよ。東京大学・東京工業大学・慶應義塾大学の三つの大学を結んだネットワークで、これがほかの機関にも広がったんだ。
さやかちゃん 日本も研究情報のやりとりが最初なのね。
ピグマはかせ そうだね。1993年には、国がインターネットを研究用だけでなく商用サービスでも使うことを許可して、広く使われるようになったよ。ちなみに「インターネット」という単語は、1995年の新語・流行語大賞のトップ10にも入っているんだ。
げんちゃん へえー。今ではすっかり当たり前になっている「インターネット」が流行語だったなんて、何だかおかしいね。
ピグマはかせ そうだね。また1995年は、「Windows 95」が発売された年でもある。これはOSといって、パソコンシステムの基本となるソフトウェアなんだけれど、世界中で大ヒット。このソフトを搭載したパソコンを買う人が急増して、インターネットが普及するきっかけになった。当時はまだ通信速度が遅く、文字情報のやりとりが中心だったけれどね。
ひかるくん 今は静止画も動画も速く送れるよね。 ひかるくんイラスト
ピグマはかせ そう。情報のやりとりのスピードはどんどん上がっているよ。昨年からサービスが始まった5G(第5世代移動通信システム)は、今までと比べ物にならないくらい高速大容量の通信ができる。遠隔医療の高度化、遠隔操作による農作業など、多くの分野で活用が期待されているよ。
えりちゃん インターネットは、この50年ぐらいの間ですごい進化を遂げたのね。
ピグマはかせ 世界中の研究者やエンジニアたちが努力を積み重ねた結果だね。

便利なインターネットだが、利用するうえで心配なことも…

※総務省「令和元年通信利用動向調査の結果」より

保護者の方へ

 インターネットは、通信衛星を利用してつながっているように思われがちですが、実は国際通信の99%は、「海底に敷設した光ファイバーケーブル」を使って行われています。通信衛星経由の衛星通信と比べて伝達距離が短いので、高速通信ができることに加え、伝達できる情報量も圧倒的に多いのです。国際通信の99%を担うだけあって、トラブルが起これば、経済活動などに大きな影響を及ぼすのは間違いありません。そのため海底ケーブルの敷設には、水圧や経年劣化に耐えるケーブルの開発はもちろんのこと、海底の地形や波、魚類などの影響を考えた難しい工事が必要となります。わたしたちが日々インターネットを使えるのは、研究者・技術者による徹底した管理・対策と、地道なメンテナンスのおかげだといえます。

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