おしえてピグマはかせ

「ピグマキッズくらぶ」は、小学1年生から4年生のために開発されたサピックスの通信教育です。そのテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていること、不思議に思っていることにお答えします。
今回は虫歯のお話です。人間は歯磨きを怠けると、たちまち虫歯になってしまいます。でも動物はどうでしょう。特に野生動物は歯を磨きませんし、歯医者さんにも行きません。虫歯にはならないのでしょうか。
動物も虫歯になるの?
虫歯になるのは「糖分」のせい
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今日は6月4日だね。何の日か知ってる? |
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ええと…誰かの誕生日だったかしら。 | |
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違うよ、虫歯の日だよ。6(ム)と4(シ)で「ムシ」だから虫歯なんだ。 | |
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わたしも知っているわ。昔は6月4日を虫歯予防デーとしていたけれど、今は6月4日から10日までを「歯と口の健康週間」としているのよね。 | |
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へえ。わたし、虫歯は1本もないわよ。毎日きちんと歯磨きしているもの。 | |
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でも歯を磨くのって面倒だよね。動物は歯を磨かなくていいからうらやましいよ。 |
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そういえば、犬や猫などの動物は歯磨きしないよね。虫歯にならないのかしら。 | |
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野生の動物はほとんど虫歯にならないよ。 | |
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ペットはなるんじゃない? お菓子や人間が食べているものを食べたがるから。 | |
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答える前に、まずは虫歯について考えてみよう。虫歯になるのはなぜだと思う? | |
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ええと、お菓子を食べたのに歯を磨かなかったから? | |
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それも原因の一つだね。虫歯は、歯のカルシウムが溶けて穴が開いてしまう病気だよ。口の中には、もともとたくさんの細菌がいて、そのなかの「ミュータンス菌」という細菌が虫歯を引き起こすんだ。食事をすると、歯の表面や、歯と歯の隙間に食べかすがつくよね。それを掃除せずに放置していると、ミュータンス菌が食べかすの中の糖分をえさにして、どんどん増えてしまうんだ。その過程で酸性の物質がつくられて、それが歯を表面から溶かしてしまうんだよ。 | |
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虫歯はやっぱり糖分のせいなのね。歯が溶けるってなんだか怖いわ。 |
犬にも歯ブラシが必要な時代!?
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じゃあ、野生動物はお菓子など甘いものを食べないから、虫歯にならないんだね。 | |
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そうだね。野生動物が虫歯になる可能性はほぼゼロだといえるよ。虫歯の原因となる糖質は「ショ糖」という、砂糖の主な成分になっているもの。ライオンなどの肉食動物が食べる動物の肉や、ゾウなどの草食動物が食べる草や木には、糖分はほとんど含まれていない。それに、人間のようにそれらを加熱調理して食べるわけじゃなく、生のまま、硬いまま食べるから、よくかむし、唾液もたくさん出る。だから、食べかすが歯につきにくいんだ。自然のものをよくかんで食べれば、歯磨きの代わりになるというわけだね。 | |
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ふうん。でも、動物園の動物はどうなの? チンパンジーはバナナが大好きだし、ゴリラはリンゴをよく食べるでしょ。果物には糖分が入っているわよね。 |
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飼育員さんが歯磨きをしているんじゃない? ぼく、前に動物園でカバの歯磨きを見たことがあるよ。 | |
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カバの歯磨きは、子どもたちに歯磨き習慣の大切さを伝えるために、動物園で見せることがあるよ。えりちゃんが言うように、動物園の動物は、おやつにショ糖を含む果物やサツマイモを食べるけれど、それだけを大量に食べるわけではないし、飼育員さんが定期的に口の中の健康をチェックしているから、虫歯になることはほとんどないそうだよ。 | |
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犬や猫はどうなの? 虫歯になるの? |
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犬や猫は、虫歯より「歯周病」になることが多いよ。歯周病は、たくさんの細菌がくっついてできる「歯垢」がたまり、歯を支える骨を溶かしてしまう病気。犬は人間よりも、歯垢が固まりやすいうえ、それが歯ブラシでは取れない「歯石」に変化するのも早い。ただでさえそうなのに、軟らかいペットフードばかり食べさせていると、よけいに歯垢がたまって歯周病にかかってしまうんだ。また最近は、お菓子をたくさん与えたせいで、虫歯になる犬も多い。ペットショップでは、犬の歯ブラシも売っているそうだよ。 | |
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犬って甘いものを食べたがるのよね。でも喜ぶからって、あげ過ぎてはだめね。 | |
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そのとおり。人間なら歯医者さんが治療してくれるけれど、動物は歯が抜けたり溶けたりしてえさを食べられなくなったら、生きていけないからね。 |
●虫歯はなぜできる?
保護者の方へ
6月4日から始まる「歯と口の健康週間」に合わせて、動物園では虫歯予防のイベントとして、よくカバの歯磨きを行います。動物園のカバは実際、歯磨きをするなどして歯を削ってもらっています。カバの歯は一生伸び続ける性質がありますが、野生のカバは硬いものをかみ砕くことで自然に歯が削れていきます。しかし、動物園のカバの歯は放置すると伸び過ぎて、口内を傷つけてしまうのです。
動物園では、飼育員さんたちがいつも動物の歯をケアしていますが、それでも虫歯や歯周病になる例はあるそうです。動物には入れ歯もなければ、高度な歯科の治療技術や設備もありません。症状が重くなれば、歯を抜くしかないのです。動物は歯が悪くなれば、えさが食べられなくなり命にかかわります。それはペットも同じです。犬や猫を飼っている人は気をつけたいものです。
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