受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

おしえてピグマはかせ

サピックスの通信教育・ビグマキッズくらぶ おしえてピグマはかせ

 「ピグマキッズくらぶ」は、小学1年生から4年生のために開発されたサピックスの通信教育です。そのテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていること、不思議に思っていることにお答えします。
 今回は登山者が利用する山小屋のお話です。標高が高く、そこまでの道も舗装されていないことのほうが多い山小屋ですが、そもそもどのようにして資材を運び、小屋を建設したのでしょうか。また、ふだん、食料などはどのように運んでいるのでしょうか。

山小屋はどうやって建てたの?

山小屋で買うジュースが高い理由

さやかちゃん もうすぐ夏休みね。今年は登山をしたいな。山小屋があるような、標高の高い山に挑戦してみたいわ。
ひかるくん ぼくも、休日には時々家族で登山をするよ。たくさん歩いた後、山小屋で飲むジュースは最高においしいんだ。 ひかるくんイラスト
えりちゃん ふーん。山小屋って行ったことないわ。どんなところなの?
ひかるくん 山小屋は登山をする人が休むところだよ。食堂でご飯を食べたり、宿泊したりすることができるんだ。
ピグマはかせ 山小屋は、休憩や宿泊する以外に、緊急時の避難小屋としての役割もあるよ。山は天気が変わりやすく、土砂崩れや雪崩が起こることもあるからね。遭難事故があれば、山小屋が救助活動の基地になるんだ。天気が荒れた後などの登山道の状態や、クマなど野生動物の目撃情報を登山者に伝えるのも、大事な役目だよ。
げんちゃん 食べたり休んだりするだけの場所じゃないんだね。 げんちゃんイラスト
ピグマはかせ そうだよ。山小屋の屋根は赤いことが多いんだけれど、その理由の一つは、遠くにいる登山者やヘリコプターから見つけやすいようにするためなんだ。
えりちゃん 山登りをする人にとって、山小屋は命を守る場所でもあるのね。
ひかるくん ただ、食べ物の値段がちょっと高いのが困るよね。コンビニだったら150円くらいで買えるペットボトルのジュースが300円くらいすることもあるもん。
ピグマはかせ 仕方がないよ。山小屋まで飲み物や食べ物を運ぶのは手間がかかるからね。
えりちゃん どうやって食材を運ぶのかしら。車が通れる道があればいいけれど、そうでないところも多いでしょ。 えりちゃんイラスト
ピグマはかせ 昔は「歩荷」といって、荷物を担ぐ専門の人が、生活に必要なものを背負って山小屋まで運ぶ場合が多かったんだ。今は道が整備されてきたから、車やへリコプターも活用するよ。山小屋の食事といえばカレーライスが定番だったけれど、ヘリコプターで生鮮食品を運べるようになってからは、いろいろなメニューが増えたんだ。
げんちゃん カレーもいいけど、ハンバーグやアイスクリームも食べられたらうれしいよね。
ピグマはかせ ヘリコプターなら、トイレやシャワーなどの重い機材も運べるから、設備も昔に比べてずいぶん良くなってきているんだ。

小屋造りも営業も苦労の連続

さやかちゃん ヘリコプターや車が使えなかったころは、山小屋を造るのも大変だったでしょうね。資材を人の力で運ぶしかないもの。 さやかちゃんイラスト
えりちゃん 山小屋って昔からあったの?
ピグマはかせ うん。日本最古といわれている山小屋が、北アルプスの立山にあるよ。江戸時代に建てられたものなんだ。
げんちゃん 江戸時代から登山をしていたってこと?
ピグマはかせ 昔はレジャーではなく、参拝する目的で山に登る人が多かったよ。山は昔から信仰の対象になっていたからね。山小屋はそういう人が休むための小屋だったんだ。明治時代の終わりごろから、レジャーとしての登山が盛んになり、大正から昭和の初めにかけて、各地に山小屋が造られていったんだ。山を愛する人々が、大変な苦労をして建てたものが多いよ。山に資材を運ぶには費用も手間もかかるし、冬は作業ができないから、完成までの年数もかかる。それに、電気や水も使えるようにしないといけない。山小屋を建てるのは本当に重労働なんだ。
えりちゃん 山小屋では電気や水はどうしているの?
ピグマはかせ 水は、雨水をタンクにためて浄化して使ったり、湧き水を小屋に引いたりしているよ。電気はガソリンを燃料とした発電機を使うほか、太陽光や風力などの自然エネルギーを使う場合もあるね。
ひかるくん じゃあ雨が降らないと、水不足になるね。山小屋では「水を大切に」って言われるけど、そういうことなんだ。
ピグマはかせ そのとおり。天気が荒れて雷が鳴れば、発電機が壊れてしまうこともあるし、山小屋の運営は苦労の連続なんだ。
げんちゃん 山が本当に好きな人でないとできないね。
ピグマはかせ 山小屋で働く人には頭が上がらないね。

標高が高い場所にある山小屋

保護者の方へ

 日本最古の山小屋といわれているのは、北アルプスの立山にある「室堂小屋」です。立山は富士山、白山とともに日本三霊山の一つ。その登拝者のための宿泊拠点として、加賀藩の援助によって1726年に建てられました。建物は太い柱をぜいたくに使った強固な構造で、国の重要文化財に指定されています。
 このように、山小屋は登山がレジャーとして盛んになる前からありました。それは登山道も同じです。昔は巡礼の道だったり、交易の道だったりしたものが、後に登山道となったという例は多くあります。山小屋や登山道の歴史を調べてみると、地理や歴史に関するおもしろいことがわかるかもしれません。

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