受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

おしえてピグマはかせ

サピックスの通信教育・ビグマキッズくらぶ おしえてピグマはかせ

 「ピグマキッズくらぶ」は、小学1年生から4年生のために開発されたサピックスの通信教育です。そのテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていること、不思議に思っていることにお答えします。
 今回は動物の「しっぽ」のお話です。しっぽは、動物の種類によって形も長さも、動かし方も違います。しっぽがない動物もたくさんいます。しっぽとはいったい何なのでしょう。何かの役に立っているのでしょうか。

動物のしっぽは何のためにあるの?

しっぽがないとうまく歩けない?

げんちゃん この前、牧場に行って牛を見たんだ。ずっと、しっぽをぶるんぶるんと振っている牛がいて、なんだかおもしろかったよ。 げんちゃんイラスト
ピグマはかせ しっぽを振って、虫を追い払っていたんだろうね。ウマやゾウもそうやって虫を追い払うよ。
えりちゃん しっぽって、虫を追い払うためにあるの?
ピグマはかせ そうとは限らないよ。しっぽがどう使われているかは動物によって違うんだ。
ひかるくん 動物園で、長いしっぽを使って木にぶら下がるサルを見たことがあるよ。
ピグマはかせ 確かに、サルのなかには、器用にしっぽを使うものがいるね。木の上で生活するクモザルは、枝にしっぽを巻き付けて体を支えるよ。しっぽが手の代わりになっているんだ。
さやかちゃん リスは、寒いときはふわふわのしっぽを体に巻き付けて眠るよね。
ピグマはかせ そうだね。リスは大きなしっぽを毛布のように体に巻き付けて寒さをしのぐんだ。キツネも同じだよ。
ひかるくん イヌのしっぽもおもしろいよ。うれしいときや興奮しているときはしっぽを激しく振るけれど、警戒しているときや威嚇するときはしっぽをぴんと立てるんだ。 ひかるくんイラスト
ピグマはかせ イヌは、自分の気持ちをしっぽを使って表すんだ。みんなが挙げてくれたとおり、動物によってしっぽには違う役割がある。哺乳類には、歩いたり、走ったりするときに、しっぽでバランスを取るものや、しっぽで木から落ちないようにしているものが多いよ。
えりちゃん しっぽがあるから、うまく歩けたり走れたりするってこと?
ピグマはかせ たとえばカンガルーのしっぽは、「第5の脚」といわれるくらい、重い体を支えるために大事なはたらきをしているよ。歩くときはしっぽをつえのように使って、後ろ足を地面から浮かせるんだ。それから、足が速いチーターは、しっぽを回しながら走るから速く曲がることができる。ネコ科の動物をはじめ、速く走れる動物には長いしっぽを持つものが多いんだ。

もし人間にしっぽがあったら?

げんちゃん 人間にはしっぽがないよね。どうして?
ピグマはかせ 人類の祖先は、もともと木の上で生活をしていて、そのときにはしっぽがあったんだ。なぜしっぽがなくなったのか、はっきりした理由はわかってないけれど、2本の足で立って地上で暮らせるようになったので、しっぽが必要なくなったからではないかという説があるよ。
ひかるくん でもはかせ、動物園で見たチンパンジーやテナガザルにも、しっぽはなかったよ。木の上で生活しているのにどうして?
ピグマはかせ テナガザルは、森の中を、長い手を使って枝から枝へ体を揺らしながら移動していくよね。そのとき、しっぽがあると逆にバランスを取りにくいんだ。
えりちゃん ニホンザルはしっぽがあるけれど短いよね。同じ理由なの? えりちゃんイラスト
ピグマはかせ テナガザルやオランウータン、チンパンジーなどは、類人猿といって、サルというよりもヒトに近い種類なんだ。英語では、しっぽがない類人猿は「エイプ」、しっぽがあるニホンザルやクモザルは「モンキー」といって区別するよ。ニホンザルの仲間はもともと長いしっぽを持つけれど、ニホンザルは寒いところで生活しているから、しっぽが長いと体温が奪われやすい。だから、しっぽが短くなったといわれている。すむ環境が違えば、しっぽも変わってくるんだ。
ひかるくん もし人間にしっぽがあったら、どんな感じかなあ。やっぱり邪魔だよね。
ピグマはかせ 実は今「ロボットのしっぽ」の研究が進んでいて、人の体に付けたり外したりできる人工のしっぽも作られているよ。体が傾くと、動物のようにしっぽがバランスを取ってくれるんだ。
さやかちゃん へえ。それがどんな役に立つの? さやかちゃんイラスト
ピグマはかせ 歩くのが難しい病気の人や高齢の人、それから高い所などで作業をする人に役立たせたいと、開発が進められているよ。
げんちゃん 考えてみたら、もしお尻にしっぽが付いていれば、それを椅子の代わりにして、どこにいても座って休めるかも。
ピグマはかせ いろいろ想像してみるとおもしろいよね。

しっぽにはこんな使い方もある

保護者の方へ

 陸上動物のしっぽはもともと、海で生活していた魚が泳ぐために発達させた「尾ひれ」が変化したものだといわれます。生き物が陸に上がって生活できるようになると、尾ひれだったものは、生息する環境によってさまざまな役目を持つさまざまな形に変化し、必要のない場合は次第に退化していきました。動物園では、しっぽに注意を払うことはあまりないかもしれませんが、しっぽの長さや動かし方など、動物の種類による違いを比べてみると、おもしろい発見があるかもしれませんよ。

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