おしえてピグマはかせ

「ピグマキッズくらぶ」は、小学1年生から4年生のために開発されたサピックスの通信教育です。そのテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていること、不思議に思っていることにお答えします。
今回は動物の「しっぽ」のお話です。しっぽは、動物の種類によって形も長さも、動かし方も違います。しっぽがない動物もたくさんいます。しっぽとはいったい何なのでしょう。何かの役に立っているのでしょうか。
動物のしっぽは何のためにあるの?
しっぽがないとうまく歩けない?
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この前、牧場に行って牛を見たんだ。ずっと、しっぽをぶるんぶるんと振っている牛がいて、なんだかおもしろかったよ。 |
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しっぽを振って、虫を追い払っていたんだろうね。ウマやゾウもそうやって虫を追い払うよ。 | |
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しっぽって、虫を追い払うためにあるの? | |
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そうとは限らないよ。しっぽがどう使われているかは動物によって違うんだ。 | |
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動物園で、長いしっぽを使って木にぶら下がるサルを見たことがあるよ。 | |
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確かに、サルのなかには、器用にしっぽを使うものがいるね。木の上で生活するクモザルは、枝にしっぽを巻き付けて体を支えるよ。しっぽが手の代わりになっているんだ。 | |
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リスは、寒いときはふわふわのしっぽを体に巻き付けて眠るよね。 | |
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そうだね。リスは大きなしっぽを毛布のように体に巻き付けて寒さをしのぐんだ。キツネも同じだよ。 | |
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イヌのしっぽもおもしろいよ。うれしいときや興奮しているときはしっぽを激しく振るけれど、警戒しているときや威嚇するときはしっぽをぴんと立てるんだ。 |
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イヌは、自分の気持ちをしっぽを使って表すんだ。みんなが挙げてくれたとおり、動物によってしっぽには違う役割がある。哺乳類には、歩いたり、走ったりするときに、しっぽでバランスを取るものや、しっぽで木から落ちないようにしているものが多いよ。 | |
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しっぽがあるから、うまく歩けたり走れたりするってこと? | |
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たとえばカンガルーのしっぽは、「第5の脚」といわれるくらい、重い体を支えるために大事なはたらきをしているよ。歩くときはしっぽをつえのように使って、後ろ足を地面から浮かせるんだ。それから、足が速いチーターは、しっぽを回しながら走るから速く曲がることができる。ネコ科の動物をはじめ、速く走れる動物には長いしっぽを持つものが多いんだ。 |
もし人間にしっぽがあったら?
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人間にはしっぽがないよね。どうして? | |
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人類の祖先は、もともと木の上で生活をしていて、そのときにはしっぽがあったんだ。なぜしっぽがなくなったのか、はっきりした理由はわかってないけれど、2本の足で立って地上で暮らせるようになったので、しっぽが必要なくなったからではないかという説があるよ。 | |
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でもはかせ、動物園で見たチンパンジーやテナガザルにも、しっぽはなかったよ。木の上で生活しているのにどうして? | |
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テナガザルは、森の中を、長い手を使って枝から枝へ体を揺らしながら移動していくよね。そのとき、しっぽがあると逆にバランスを取りにくいんだ。 | |
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ニホンザルはしっぽがあるけれど短いよね。同じ理由なの? |
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テナガザルやオランウータン、チンパンジーなどは、類人猿といって、サルというよりもヒトに近い種類なんだ。英語では、しっぽがない類人猿は「エイプ」、しっぽがあるニホンザルやクモザルは「モンキー」といって区別するよ。ニホンザルの仲間はもともと長いしっぽを持つけれど、ニホンザルは寒いところで生活しているから、しっぽが長いと体温が奪われやすい。だから、しっぽが短くなったといわれている。すむ環境が違えば、しっぽも変わってくるんだ。 | |
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もし人間にしっぽがあったら、どんな感じかなあ。やっぱり邪魔だよね。 | |
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実は今「ロボットのしっぽ」の研究が進んでいて、人の体に付けたり外したりできる人工のしっぽも作られているよ。体が傾くと、動物のようにしっぽがバランスを取ってくれるんだ。 | |
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へえ。それがどんな役に立つの? |
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歩くのが難しい病気の人や高齢の人、それから高い所などで作業をする人に役立たせたいと、開発が進められているよ。 | |
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考えてみたら、もしお尻にしっぽが付いていれば、それを椅子の代わりにして、どこにいても座って休めるかも。 | |
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いろいろ想像してみるとおもしろいよね。 |
●しっぽにはこんな使い方もある
保護者の方へ
陸上動物のしっぽはもともと、海で生活していた魚が泳ぐために発達させた「尾ひれ」が変化したものだといわれます。生き物が陸に上がって生活できるようになると、尾ひれだったものは、生息する環境によってさまざまな役目を持つさまざまな形に変化し、必要のない場合は次第に退化していきました。動物園では、しっぽに注意を払うことはあまりないかもしれませんが、しっぽの長さや動かし方など、動物の種類による違いを比べてみると、おもしろい発見があるかもしれませんよ。
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