おしえてピグマはかせ

「ピグマキッズくらぶ」は、小学1年生から4年生のために開発されたサピックスの通信教育です。そのテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていること、不思議に思っていることにお答えします。
今回は地球の気候についてのお話です。地球では260万年ほど前から、寒冷な「氷期」と温暖な「間氷期」が繰り返されてきたことがわかっています。今は間氷期ですが、近い将来、氷期が来るのでしょうか。
氷河時代って何?
2万年前の地球は冷え切っていた!?
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今日も寒いね。外に出るのが嫌になるよ。 | |
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ぼくも。でも氷河時代が来たらこんな寒さじゃすまないよね。 | |
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えっ! こんなに地球温暖化がいろいろなところで問題になっているのに? | |
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近い将来「氷河時代が来るかもしれない」っていう話を聞いたことがあるんだ。 | |
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確かに、太陽の活動が活発じゃなくなっているから、「ミニ氷期が来るかもしれない」と言う研究者はいるよ。でも確かなことはわかってないんだ。 |
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「氷期」って何? | |
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長い地球の歴史のなかで、北極や南極に氷があった時代のことを「氷河時代」というんだけれど、氷河時代といっても地球全体が寒かったわけじゃない。氷河時代には、「氷期」という、広い範囲に氷河が広がっていたとても寒い時期と、「間氷期」という氷期と氷期の間の比較的暖かかった時期があるんだ。260万年ほど前から、氷期と間氷期が繰り返されてきたことがわかっているよ。 | |
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ふーん。今はそこまで寒くないから氷期じゃないよね。 |
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そうだね。今は間氷期だよ。でも、北極や南極には氷があるから、「氷河時代」ではあるんだ。 | |
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氷期になると、どのくらい寒いの? | |
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最近の氷期でいちばん寒かったのは、およそ2万年前だということがわかっているよ。そのころの地球の平均気温は、今より5~6℃低かったんだって。北極に近いヨーロッパ北部などは、今より10℃以上も低かっただろうと推測されているよ。当時は、そういう地域を中心に、陸地のおよそ3分の1が氷で覆われていたんだ。陸の上に氷河ができると、その分、海水が減るよね。だから海面の高さも間氷期に比べて低くて、2万年前は、今より100メートル以上も低いところに海面があったといわれているよ。 | |
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海がそんなに低いところにあるなんて、想像できないね。 | |
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今は海になっているところも、昔は陸だったかもしれないってことだね。 | |
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ぼく、そのころの地図を見たことがあるよ。日本が大陸とつながっていたけれど、地球の気温とも関係していたんだね。 |
地球の回転がぶれれば気候も変わる
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次の氷期はいつごろ来るのか、わかってないの? |
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氷期がいつ来るかを予測するには、なぜ氷期と間氷期が繰り返されるのかを解明することが必要だよ。氷期と間氷期が繰り返されるのは、日射量、つまり太陽から地球に降り注ぐエネルギーの増減が大きく関係しているといわれている。地球に届く太陽のエネルギーが、およそ10万年ごとに増えたり減ったりしているらしいんだ。 | |
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どうして増えたり減ったりするの? | |
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セルビア人のミランコビッチという研究者によると、地球が太陽の周りを回るときの軌道の形や、地球が自転するときの地軸の傾きが周期的に変わることで、地球に当たる日射量が変化するというんだ。この周期的な日射量の変化を「ミランコビッチ・サイクル」と呼ぶよ。この理論から考えると、近い将来、氷期が始まる確率は低いといわれている。とはいっても、地球の気候変動にはさまざまな要因が絡んでいるよ。人間の活動によって大量の温室効果ガスが放出され続けているため、地球の気温が急激に上がっていることも重要なポイントだね。ミランコビッチ・サイクルだけで予測するのは、とても難しいんだ。 |
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へえ。氷期がいつ来るのか、今の時点ではわからないんだね。 | |
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そうだね。未来の予測は過去を調べることから始まる。地球は誕生して46億年。その歩みを何千万年、何億年と地質学的な証拠を探してさかのぼらなくちゃならないわけだから、大変なことだよ。 |
●大昔には地球全体が凍ってしまったことも⁉
保護者の方へ
今の地球は間氷期ですが、およそ2万年前は氷期のピークでした。でも、なぜ地球に、そのような氷河で覆われた時代があったことがわかったのでしょうか。きっかけとなったのは「迷子石」です。迷子石とは、氷河の流れに乗って遠くに運ばれたまま残った岩のこと。学者たちは、発見された場所の岩盤とは異なる種類の岩石が、各地にあることに疑問を抱きました。そして研究を重ねて、北半球の広い範囲が氷河に覆われていた時代があったことを突き止めたのです。今より広範囲が氷河に覆われていた時代があることを教えてくれる迷子石。化石同様、過去の地球環境を教えてくれるものとして興味は尽きません。
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