おしえてピグマはかせ

「ピグマキッズくらぶ」は、小学1年生から4年生のために開発されたサピックスの通信教育です。そのテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていること、不思議に思っていることにお答えします。
今回はAI(人工知能)のお話です。コンピューター技術の進展で身近な生活の場でもAIが活用されるようになりました。そもそもAIとは何なのでしょう。どんなところに使われているのでしょうか。
AIってどんなところに使われているの?
AIはロボットではない!?
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感染症対策として、お店や建物に入るとき、入り口で体温を測るようになったよね。時々、カメラが複数の人の体温を同時に測っていたりするけど、どうして体に触れずに、しかも一瞬でたくさんの人の体温が測れるんだろう。不思議だなあ。 |
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確かに。画面に顔が映ったかと思うと、すぐに体温が表示されるよね。 | |
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それはAI検温器のことだね。AIで人の額の位置などを認識して、その部分の表面温度を機械で測っているんだよ。 | |
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へえ。AIって最近はいろいろなところで聞くけれど、どういうものなの? | |
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ロボットなら見たことがあるよ。いろいろな質問に答えてくれるし、ペットみたいなロボットもいるよ。 |
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AIってロボットなの? | |
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いや、「人工知能」と訳されているAIは、ロボットそのものではなく、ロボットの「頭脳」に当たる部分なんだ。すべてのロボットにAIが使われているわけじゃないし、逆に、検温器のように、動かない、しゃべらないAIもある。また、「○○の作業をしなさい」と指示すれば、そのとおりに動くロボットはたくさんあるけど、その多くはAIを使っていないんだ。指示に従って、ただ動くのではなく、大量のデータを基に、自分で判断したり、分析したり、予測したりできるのがAIなんだよ。 | |
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お掃除ロボットはAIで動くんだよね。 | |
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そのとおり。いろいろなセンサーが付いていて、家具や壁の位置、床の段差やごみの量などを調べて、効率的に掃除ができるようになっているんだ。 | |
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自分で充電器のところまで戻れるし、賢いよね。普通の掃除機とは全然違うね。 | |
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家庭用のロボット掃除機は2000年代に登場したけれど、AIそのものは1950年代から研究されていたよ。最初のころは、AIに覚えさせる知識を、人がすべてコンピューターに入力しなくてはならなかったけれどね。でも、インターネットが急速に発達して、AIが自分で情報を集めて分析したり、経験を基に学習する「ディープラーニング」をしたりできるようになった。それによって、AIを活用できる場が増えたんだよ。 |
画像を見て判断するのは大得意
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お掃除ロボット以外にはどんなものに使われているの? |
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人の声に反応して、照明やエアコンなどを操作するもの、人の声を認識して文字に書き出すもの、日本語から英語に翻訳できるものもある。データとして処理しているだけで、ことばや指示の意味を理解しているわけではないけどね。AIの活用が最も進んでいるのは、そういう音声認識や画像認識の分野だよ。 | |
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さっき言っていた検温器も画像認識だね。 | |
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そうだよ。画像認識ができるようになって、AIの活躍の場は大きく広がったんだ。工場では、製品のなかに不良品がないか、AIを搭載したロボットが調べているし、病院では、体内を撮影した画像をAIが見て、病気の発見に役立てているよ。 | |
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スーパーのセルフレジもAIなの? お客さんが買った商品のバーコードをスキャンすれば、合計金額を出してくれるよね。 |
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それだけではAIとはいえない。お客さんが商品をまとめてレジに置くだけで、何円の商品をいくつ買ったか読み取ってくれて、合計金額がわかる場合は、AIが活用されているね。無人レジと言って、数は少ないけれどそういうお店も登場しているよ。 | |
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それなら店員さんがいなくてもいいね。 | |
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機械が人の代わりに仕事をやってくれれば、人を雇うためのお金がいらなくなる。AIがいろいろな場で使われ始めたのは、正確さやスピード面のメリットもあるけれど、この人件費を抑える目的が大きいんだ。 | |
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便利っていう理由だけじゃないのね。 | |
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これからもっともっとAIは活用されていくだろうし、気づかないうちに使っているなんてことも多くなるかもね。 |
●AIが人のように絵を描く!?
保護者の方へ
家電製品、買い物サービス、検索サービス、売り上げ分析、自動運転、病理診断、天気予報など、ありとあらゆる場で活用が進んでいるAI。多くの人が利用しているだけに、正常に機能しなかった場合には大きな影響が出ることもあります。人が行っていたことを機械が行うようになったために発生する新たな問題もあり、収集した個人情報の利用がどこまで許されるかなどの問題が議論されています。AIは、今後ますます活用が進むと予想され、技術進化への期待は高まる一方ですが、予測されるトラブルに対するルール作りや法整備の進展も待たれています。
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