受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

おしえてピグマはかせ

サピックスの通信教育・ビグマキッズくらぶ おしえてピグマはかせ

 「ピグマキッズくらぶ」のテキストでおなじみのピグマはかせが、皆さんがふだん疑問に思っていることにお答えします。今回は化石のお話です。時々、大昔の生き物の化石が発見されたというニュースを耳にすることがありますが、どんなところで、どのようにして見つけているのでしょうか。

大昔の生き物の化石は どうやって見つけているの?

化石の発見は奇跡に近いこと!?

げんちゃん 上野の国立科学博物館で、ティラノサウルスの骨格標本を見たよ。大きくて迫力があったなあ。 げんちゃんイラスト
ひかるくん ステゴサウルスの標本も立派だよね。でも、恐竜の骨ってばらばらの状態で発見されることが多いんでしょ? それなのに、どうしてどんな骨格をしていたかまでわかるんだろう。
ピグマはかせ そうだね。ひかるくんの言うとおり、骨格がわかる状態で化石が埋まっていることはめったにない。ほとんどの場合、地層の中に、化石になった骨が、細かく、ばらばらになって埋もれているんだ。それをすべて発掘して、一つひとつ体のどの部分の骨か調べて、その型を取って標本を作り、骨格を組み立てていくんだ。時には何十年もかかる作業なんだよ。
えりちゃん 化石が見つからなかったら、恐竜がいたかどうかもわからなかったってことだよね。
ピグマはかせ そうだよ。骨の化石が一か所でたくさん見つかれば骨格がわかるし、体の大きさも推定できる。骨の厚さや状態を調べれば、筋肉の付き方も、どんな動きをしていたかも想像できるんだ。歯の化石からは何を食べていたかが推定できるよ。
さやかちゃん 化石のおかげで、大昔の生き物のいろいろなことがわかるのね。 さやかちゃんイラスト
ピグマはかせ でも、化石が見つかるのは、実は奇跡のようなことなんだ。動物は死ぬと体の柔らかい部分は腐り、分解されるよね。骨もいずれ粉々になり土と混ざり合い、化石にはならない。でも、遺体が海や湖に流されて底に沈み、そこに土砂が積もって埋もれると、骨の成分が周りの鉱物に置き換えられて、石みたいになることがある。それが化石だよ。ただ、そうやって運良く化石になったとしても、地中深くに埋まったままだと人に発見されないよね。大地が盛り上がるなどして、化石がある地層が表面に出て、初めて人に見つけられる可能性が出てくるんだ。
げんちゃん へえ。こうしてぼくたちが化石を見られるのは、すごいことなんだね。

見つかるのは堆積岩の地層から

えりちゃん 専門家は、どうやって化石を見つけているの? 運任せというわけではないよね。 えりちゃんイラスト
ピグマはかせ 化石がある場所はだいたい決まっているよ。砂や泥が風や流水などで運ばれ、積もり積もって固まったものを「堆積岩」と呼ぶけれど、化石はこういった岩の中から見つかるんだ。堆積岩の地層が地表面に出ていれば、化石を発見しやすいよね。日本の場合、全国の地層にある岩石の性質や状態を調査した地質データをまとめていて、専門家はそうした資料を参考に、化石がある地層かどうかを判断するんだ。過去に恐竜の化石が見つかった地層なら、近くで新たな化石を発掘できる可能性があるからね。
さやかちゃん 化石があるかもしれないとわかったら、どうやって発掘を進めるの?
ピグマはかせ 日本では、1978年に岩手県で発掘された化石が恐竜のものと確認されて以来、北海道から鹿児島県まで、各地で恐竜の化石が発見されているよ。なかでも圧倒的に多いのが、「恐竜王国」とも呼ばれる福井県で、化石発掘現場では、毎年、発掘調査を行っているんだ。まず、ショベルカーなどの重機を使って地層を大きく崩して、取り出した岩石をハンマーで少しずつ割りながら、化石が含まれているかどうかを手作業で調べていくそうだよ。
ひかるくん とても手間のかかる作業だなあ。化石か、ただの石かを見分けるのも大変だよね。 ひかるくんイラスト
ピグマはかせ 化石かどうかは、石を割ったときの断面を観察して見分けるそうだよ。骨の場合は中がすかすかの空洞になっているから、穴が空いている部分があったら、動物の骨の可能性があるというわけだね。
げんちゃん ぼくも恐竜の化石を見つけたいなあ。
ピグマはかせ まず、化石とはどういうものか、博物館などでたくさん見るといいよ。発掘体験をさせてくれるところもあるから、そこでハンマーで石を割る経験をしてみるのもいいね。

化石はこうして地層の表面に現れる

保護者の方へ

 化石などを調べて昔の生き物について研究する学問を、古生物学といいます。古生物学の分野では、近年、世界中で新種とされる恐竜の化石の発見が相次いでいます。恐竜を研究する人が増え、発掘調査が盛んに行われるようになったからだと考えられています。また、すでに見つかっている化石を詳しく調べ直した結果、恐竜の体のつくりや、生態に関する新しい発見がなされることも珍しくありません。恐竜などの古生物には、解明されていない謎がたくさんあります。これからも新発見は続くと見られており、図鑑はまだまだ更新されていきそうです。

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