受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

Booksコーナー

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2017年3月のBooks

 桜前線が北上するこの時季は、日本列島をさまざまな渡り鳥が行き交います。日本から北に渡っていく鳥、南から日本に渡ってくる鳥、さらに南から北に渡る途中で立ち寄る鳥も見られます。今月紹介する『鳥のいる地球はすばらしい』は、野鳥観察の楽しさを教えてくれる本です。干潟を歩くシギなどの写真を見ていると、野鳥を見に出掛けたくなります。学校の校庭でも街の公園でもビルが並ぶ街中でも、野鳥は観察できます。あなたも双眼鏡を持って出かけてみませんか。

『神隠しの教室』

  • 山本悦子=作
  • 丸山ゆき=絵
  • 童心社=刊
  • 定価=1,600円+税
  • 対象:小学校高学年向け

“もう一つの学校”に 迷い込んだ5人 どうしたら戻れるの?

注目の一冊

 学校や家でつらいことがあったとき、「どこか別の場所に行きたい」と思うことはないでしょうか。でも、そう望んだせいで、本当に「どこか別の場所」に行ってしまったとしたらどうでしょう。
 それは5年生の加奈が授業中に腹痛を起こし、ブラジル人のクラスメート、バネッサと共に保健室に行ったときのことでした。保健室には誰もいなかったので先生を探しに行くと、職員室にもほかの教室にも誰もいません。校内にいたのは、独りで図工室に行っていた4年生の亮太、独りでトイレに行っていた1年生のみはる、遅刻してきた6年生の聖哉だけ。校舎にも校庭にも5人以外に誰もいません。みんなどこに行っちゃったんだろう。
 なぜみんなはいないのか。なぜこの5人が取り残されたのか。みんなのところに行くにはどうしたらいいのか。閉ざされた空間の中で生き延びる方法を考え、言い争いをしたり、助け合ったりしながら、解決策を考えていく5人。それぞれに悩みや問題を抱えている5人は、心の中を同じ思いがよぎります。みんながどこかに行ったのではなく、自分たちがどこかに来たのではないのか。そしてそれは自分が別の場所に行きたいと望んだからではないのかと。
 突然、今生きている場所から「避難」させられた5人が、それぞれの悩みと向き合いながら、今までの自分を見つめ直していきます。ボリュームはありますが、SFや謎解きのおもしろさも盛り込まれ、先の展開にわくわくしながら一気に読ませてくれます。

『3日ずつのおくりもの』

  • レミ・クルジョン=作
  • こだましおり=訳
  • 文溪堂=刊
  • 定価=1,500円+税
  • 対象:幼児向け

寿命のプレゼントを 断ったおじいさん その幸せな最期とは?

 うさぎのリトルは学校が終わると毎日、ひいおじいさんのホープの家に行って、畑仕事を手伝います。顔がしわくちゃで、腰が曲がっているホープじいさん。リトルは聞きました。「どうしてそんなに年寄りなの」と。実はホープじいさんは、3日間だけ余分に寿命をもらえるよう、家族や友だちに願ってもらっていました。それが毎年の誕生日プレゼントだったのです。ところが次の誕生日には別のものがほしいと、ホープじいさんは言いました。
 月日が過ぎていくなかで、確実に人は年をとって、やがて別れの時を迎えます。見送る者と見送られる者。その交流を通して、幸せな最期とは何かについて考えさせられる絵本です。

『4年2組がやってきた』

  • 野村一秋=作
  • ささきみお=絵
  • くもん出版=刊
  • 定価=1,300円+税

  • 対象:小学校低学年・小学校中学年向け

話すことも歩くことも できないマーくん、 でも一緒に大きくなろう

 5年生のマーくんは脳性まひのため、歩くこともしゃべることもできません。学校では車いすに座って独りだけ、にじ組で勉強をしています。そのにじ組に4年2組の生徒たちが週1回来て、交流することになりました。先生は楽しみだって言うけど、交流って本当に楽しいのかなあ。マーくんはちょっと心配です。
 マーくんの心の声が物語を進めていくので、交流を深めるうちに変わっていくマーくんの気持ちがよくわかります。初めは戸惑っていたものの、マーくんと一緒に楽しめるものは何か、知恵を出し合って考える子どもたち。交流の時間が、双方にとって貴重な成長の時間になっていくまでがさわやかに描かれています。

『世界中からいただきます!』

  • 中山茂大=文
  • 阪口克=写真
  • 偕成社=刊
  • 定価=1,800円+税

  • 対象:小学校中学年・小学校高学年向け

ごはんを食べれば お国の文化が 見えてくる

 外国に行ってその土地になじむ手っ取り早い方法は、その土地のふだんのごはんを食べること。そのためには、一般家庭に居候をするのがいちばんです。というわけで14か国、17家族の家に居候をさせてもらった著者。その経験をもとに、お母さんたちが作った手作りごはんを中心に、世界の国々の仕事や食習慣などを紹介します。
 出てくる料理はモンゴルの羊肉の蒸し焼き、タイのドリアンごはん、ハンガリーの牛飼いたちのシチューなど珍しいものばかり。それぞれその国ならではの食材があり、料理法があり、食べ方があり、台所の様子もさまざまです。食を通じて人々の暮らしぶり、文化、伝統が生き生きと伝わってきます。

『鳥のいる地球はすばらしい 
人と生き物の自然を守る』

  • 国松俊英=著
  • 関口シュン=絵
  • 文溪堂=刊
  • 定価=1,300円+税

  • 対象:小学校中学年・小学校高学年向け

干潟の保護活動で気づいた 野鳥観察の楽しさと 環境を守る大切さ

 遠浅の海岸で潮が引いたときに現れる砂地、干潟。そこにはカニやエビ、貝などの小さな生き物たちが生息しています。多くの魚が卵を産んだり、飛んできた渡り鳥が羽を休めたりする場所でもあります。千葉県にある東京湾の谷津干潟の近くに引っ越したのをきっかけに、干潟の保護活動を始めた著者。その活動の歩みをつづるとともに、他県の野生動物の保護活動についても紹介します。
 特に著者が興味を抱いたのは野鳥です。「野鳥の観察を楽しむことによって自然環境の変化がわかり、地球の自然環境について考えるようになった」と著者は言います。地球環境を守るには、まずは身近な自然を観察することが大切だということがわかります。

『三島由宇、当選確実!』

  • まはら三桃=作
  • 講談社=刊
  • 定価=1,400円+税
  • 対象:小学校高学年向け

おじいちゃんの選挙運動を 間近で見守った わくわくどきどきの春休み

 児童会の副会長として忙しい毎日を送る5年生の由宇。ある日、おじいちゃんの家に行った由宇は、町で見かけた政治家のポスターで、おじいちゃんが政治家だと知ってびっくり。「おじいちゃんは偉い人なんだね」と言う由宇に、お父さんは「政治家が偉いというのは大きな誤解だよ」と言うのでした。
 その後、衆議院が解散され、一挙に選挙モードに突入。春休みにおじいちゃんの選挙運動を見守ることになった由宇の目を通して、公示や小選挙区比例代表制などの制度の仕組みや、選挙運動の実際がよくわかります。うまくいかないことの多い児童会活動と重ね合わせながら、政治の役割と難しさについて知っていく由宇の春休みを描きます。

『数の悪魔 算数・数学が楽しくなる12夜』

  • エンツェンスベルガー=著
  • ベルナー=絵
  • 丘沢静也=訳
  • 晶文社=刊
  • 定価=1,600円+税

物語を通して知る 数の不思議な世界 数の感覚を育てる一冊


横浜校 校舎責任者
西川 敦 先生

 「低学年のうちから数に対して興味を持ってほしい」という願いを込めてこの本を選びました。算数嫌いの小学生・ロバートの夢に「数の悪魔」と名乗る老人が現れ、毎夜、数の不思議な世界を見せてくれる。そんな物語形式で話は進んでいきます。算数・数学の本ですが、イラストも豊富なので、楽しく読めると思います。
 ふだんの授業で算数の問題を解くとき、計算して答えを出して終わりにすることが多いと思います。でも何も思わずにただ解くのと、「この数って見たことがあるぞ」とか、「この数とこの数って何かの組み合わせだったな」などと思いながら解くのとでは、授業の楽しさも理解度も大きく違ってきます。数に対する興味を引き出してくれるのが、この本の魅力です。
 取り上げられたテーマのなかには、中学入試の題材にされるものも出てきます。たとえば、パスカルの三角形などは、そのまま入試問題に出てきます。近年の中学入試では、数に関する遊びを取り上げた問題も増えています。最近は子どもたちの数に対する感覚や計算力が落ちているといわれ、中学の先生方も数に親しんでほしいと願って、こうした出題をしているのだと思います。
 三角数、素数、平方数、フィボナッチ数列など、小学生でも知っている内容以外に、数学につながる内容もありますが、整数の四則演算がわかっていれば理解できるものがほとんどなので、3年生以上なら読めると思います。低学年のうちは保護者の方が読み聞かせをしてあげてもよいでしょう。「書き出してみたらこんなふうになったね」などと、一緒に書きながら読むといいと思います。
 テーマごとに全12話で構成されているので、一日に1章ずつでも1週間に1章ずつでも、少しずつ読むことができます。学年が上がれば新しい知識が身につきますから、そのときにもう一度読むと、また違うおもしろさが出てくると思います。そういった意味では、何度読んでも楽しめる本です。

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