受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

Booksコーナー

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2017年9月のBooks

 11月1日は「犬の日」。1・1・1でワン・ワン・ワン。語呂合わせから制定された記念日だそうです。皆さんは犬を飼っていますか。病気になって獣医さんにお世話になったことはありますか。今月紹介する『珍獣ドクターのドタバタ診察日記』は獣医さんが動物治療の経験をつづったもの。驚きの治療エピソードだけでなく、ペットを飼ううえで大切なことも教えてくれます。犬をかわいがり、犬の知識を深めるための記念日には、こんな本を読んでみませんか。

『春くんのいる家』

  • 岩瀬成子=作
  • 坪谷令子=絵
  • 文溪堂=刊
  • 定価=1,300円+税
  • 対象:小学校中学年向け

春くんは言った 「なんか自分って、 めんどうくさいじゃん」

注目の一冊

 両親が離婚したため、母と一緒に母の実家で暮らしていた日向。祖父母との4人暮らしのなかに、ある日、春くんが同居することになります。春くんは日向より4歳上の中学2年生。春くんの父親は日向の母親のお兄さんなので、2人はいとこ同士です。春くんの父親が病気で亡くなった後、母親が再婚したため、おじいちゃんの家の跡取りとして春くんだけが日向の家に来たのです。
 大人の都合で名字が変わり、転校させられ、家族として一つの屋根の下に住むことになった日向と春くんに、おじいさんもおばあさんもお客さんのように気をつかいます。春くんは春くんで、おじいさんの家なのに敬語を使って他人行儀に振る舞い、心配するおじいさんが何を聞いても、そっけない返事しかしません。そのうち、春くんは学校から帰るとすぐ、自転車でどこかに出掛けるようになりました…。
 家族なのに家族でないようなぎこちない生活が続くなか、日向は春くんと話をするうちに、少しずつ春くんの行動が理解できるようになります。「なんか自分って、めんどうくさいじゃん」と言う春くん。血がつながっているから家族なのか、一緒に暮らしているから家族なのか、家族がいなかったらどうなるのか。何げない描写によって、日向と春くんの、ことばでは表せない、行き場のない気持ちがていねいに描かれています。環境の変化に戸惑う2人が、日常の小さな出来事を通して、自分なりの方法で安心できる居場所を見つけていくまでの物語です。

『ノボルくんとフラミンゴのつえ』

  • 昼田弥子=作
  • 高畠純=絵
  • 童心社=刊
  • 定価=1,300円+税

  • 対象:幼児向け・小学校低学年向け

おじいさんのために、 フラミンゴのおまわりさんが 貸してくれたつえとは?

 ひざが悪いおじいさんに「つえを買ってきて」と頼まれたノボルくん。さっそく街に買い物に行きますが、うっかりして預かった財布を落としてしまいます。ノボルくんが困って交番に行くと、そこにはフラミンゴのおまわりさんが片足で立っていました。
 さて皆さんなら、この続きをどんなお話にしますか。ここではほかに、足の悪いオランウータンのおじさんやヤマアラシのお医者さんが登場します。そんな社会人(?)としての動物たちを、ごく当たり前に受け入れるノボルくんと、そんな世界を信じないおじいさん。動物が人間と話をする絵本はよくありますが、ひと味違うおもしろさがある、不思議で心温まるお話です。

『かぶきがわかる ねこづくし絵本①
仮名手本忠臣蔵』

  • 吉田愛=文・絵
  • 瀧晴巳=解説
  • 講談社=刊
  • 定価=1,600円+税

  • 対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け

主君も家老も浪士も猫の役者たちが演じる 歌舞伎の入門絵本

 雪が降りしきるなか、大星由良之助を先頭に塩冶の浪士46人が、高師直の屋敷前に集まりました。いよいよ切腹した主君の無念を晴らすときがきたのです。「ドン! ドン!」と、由良之助の陣太鼓が鳴ると、浪士たちは一斉に屋敷になだれ込んで行きました。
 歌舞伎の人気演目「仮名手本忠臣蔵」は、テレビや映画でおなじみの赤穂浪士の実話をもとに描かれたもの。この名作を、子どもたちに親しんでもらえるよう、猫が登場人物となって演じています。美少年役は白猫、美人役は三毛猫など役柄に合わせた配役で、歌舞伎の魅力を伝える名ぜりふの数々にも注目です。難しい表現もあるので、親子で一緒に読むといいでしょう。

『珍獣ドクターのドタバタ診察日記
動物の命に「まった」なし!』

  • 田向健一=著
  • ポプラ社=刊
  • 定価=1,200円+税
  • 対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け

治療した動物は100種以上 ペット治療の最前線は 挑戦と発見の連続

 イヌ、ネコ、ウサギ、サル、ブタ、カエル、ヘビ、トカゲ、時にはアリクイやワラビーまで。著者の動物病院にはさまざまな動物がやってきます。体長2㎝のアマガエルの手術もすれば、リクガメの硬い甲羅を切って手術をすることもあります。ガン、骨折、口内炎、虫歯、誤飲など、治療の種類もさまざまです。
 ペット医療は歴史が浅く、未知のことばかり。でもどんな病気の動物でも、苦しむ命がある限り、著者は立ち向かいます。「大変であると同時に挑戦や新しい発見があり、大きなやりがいがある」と著者。動物好きはもちろん、将来への夢を持つすべての子どもたちへのメッセージが散りばめられています。

『メキシコへ わたしをさがして』

  • パム・ムニョス・ライアン=作
  • 神戸万知=訳
  • 偕成社=刊
  • 定価=1,500円+税

  • 対象:小学校高学年向け

自分を捨てたママが 突然やってきた どうする? ナオミ!

 アメリカのカリフォルニア州で、ひいおばあさんと弟のオーウェンと一緒に暮らすナオミ。住んでいるトレーラーハウスは狭くて快適とはいえないし、体に障害を持つオーウェンのことも心配ですが、ひいおばあさんがたっぷり愛情を注いでくれるので、毎日元気に暮らしています。ところがある日突然、7年前に姉弟を置き去りにした母、スカイラがやってきます。スカイラはナオミを引き取りたいようでした。
 母の突然の来訪で、ナオミの心は心配でいっぱいになります。母を求める気持ちと突き放される恐ろしさ。そして幼くして別れた父への思い。父を探すメキシコへの旅を経て、強く成長するナオミの姿を描きます。

『名門校「武蔵」で教える
東大合格より大事なこと』

  • おおたとしまさ=著
  • 集英社=刊
  • 定価=760円+税
  • 対象:小学校高学年向け・保護者向け

ユニークすぎる授業や 学校生活の日常を細かくルポ 見えてくる教育の本質とは?

 校内の一角でヤギの世話をする者もいれば、構内に自生するキノコを見つけることに夢中になる者もいる。そんな武蔵の授業はとてもユニークです。たとえば中1の地学。顕微鏡で岩石を見て種類を判別する授業では、プレパラートの教材を使わず、岩石を削って磨き上げるところから始めます。顕微鏡で見られるまでに数週間。磨きながら生徒は思います。「おれたち、なんでこんなことをやっているんだろう」と。
 そんなユニークな授業にこそ、独創的な研究で各種コンテストに多数の受賞者を出す秘密が潜んでいます。高3生による座談会など、生徒の生の声も盛りだくさん。武蔵の日常を通して、教育のあるべき姿が見えてきます。

『何のために「学ぶ」のか』

  • 外山滋比古、前田英樹、今福龍太、茂木健一郎、本川達雄、小林康夫、鷲田清一=著

  • 桐光学園+ちくまプリマー新書編集部=編
  • 筑摩書房=刊
  • 定価=820円+税

知りたい、学びたいと 思ったときの指針として 読んでほしい一冊


お茶の水校 校舎責任者
原田 正倫 先生

 各界の著名な大学の先生たちが、「学ぶ」をテーマに、中学生向けにメッセージを贈っています。皆さんには少し先のことですが、受験が終わってこれから中学生になろうという時期に読んでほしいと思い、選びました。がんばってきた受験勉強が終わって、時間がぽっかり空く2月、3月。これから自分が入学する中学に思いをはせながら、この先にどんなことをしていこうか、どんな本を読もうかと考えるきっかけになる本です。
 皆さんは中学に入ってから、それまで以上にいろいろなことを学んでいきます。知らないとどうしようもないこともたくさん出てきます。「もっと知りたい、もっと知ろう」と思ったときに、ではどうやって知るのか。本の選び方や時間の使い方も含めて、自分でどうアクションしたらいいかをこの本は教えてくれます。小学生のうちは、「ああしたらいいよ」「こうしたらいいよ」と、周りから教えてもらってきたと思います。でもこれからは、自分なりにどうしたらいいかを考えなくてはいけません。自分で主体的に判断したり、ものを選んだりするようにしなくてはなりません。自分で考えたことがうまくいかないこともあるでしょう。それでも自分から動こうとしないと、大切な機会を逃してしまうことになりかねません。しかし、いざ自分から動こうというとき、こういう本を読んでいるのといないのとでは、大きな違いが出てくると思います。
 著者は文学、文化人類学、脳科学、生物学、哲学など各界の7人の専門家たち。それぞれ自分が専門とする内容に近い事柄を、子どもに興味を持ってもらえるよう、かみ砕いて書かれています。そのなかで一つを選ぶとしたら、前田英樹先生の「独学する心」です。いちばん理解しやすく、これからのことを考えるうえで、たくさんのヒントが見つけられると思います。著者の先生たちは、メッセージの最後に「若い人たちへの読書案内」として、お薦めの本を紹介しています。これもぜひ参考にしてください。

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