受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

Booksコーナー

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2018年7月のBooks

 この夏は火星観察の絶好の機会。15年ぶりに火星が地球から6000万kmより近い距離にまで大接近します。今月紹介する『となりの火星人』では、物語の終盤で主人公たちが、接近する火星を近くで見ようと富士山に登ります。満天の星くずの中に見つけた赤く輝く星、火星。望遠鏡で見ると表面にうっすら模様まで見え、主人公はその存在感に圧倒されます。火星が最接近するのは7月31日。夜9時ごろには南東の低い空に明るく光っているのが見えるはず。あなたも観察してみませんか。

『魔法学校へようこそ』

  • さとうまきこ=作
  • 高橋由為子=絵
  • 偕成社=刊
  • 定価=1,400円+税

  • 対象:小学校中学年向け・高学年向け

9秒間、時を止める魔法!? そんなせこい魔法、 何の役に立つ?

注目の一冊

 4年生の圭太とリッチと紅子。3人は同じクラスですが、特に仲が良いわけではありません。自分と違ってお金持ちで勉強もできるリッチを、圭太はあまり快く思っていません。一方、紅子はクラスでは仲間外れにされ、いつも独りぼっち。そんな接点のない3人が、ある日、同じ不思議な体験をします。
 朝、圭太が家を出て学校に向かおうとすると、道路に白い矢印が書かれていました。見ていると矢印はぴょんと飛びはね、道を滑っていきます。夢中で後を追いかけた圭太がたどり着いたのは、古ぼけた赤レンガの家。中に入ると学校と同じ机と椅子が三つ並んでいる部屋があり、同じようにして導かれたリッチと紅子がいました。3人が不思議に思って席に着くと、白いエプロンを着けたお婆さんが入ってきて言いました。「魔法学校へようこそ」
 このおばあさんこそ、魔法学校の先生なのですが、先生が教える魔法はとても地味です。たとえば9秒間、時間を止める魔法。「9秒なんてあっという間じゃないか。なんもできねえよ」。リッチは文句を言います。でも測ってみると、9秒って意外に長いものです。さて、あなたならこの魔法をどう使いますか。
 それにしても、なぜこの3人が魔法学校の生徒に選ばれたのでしょう。理由は物語を読み進めるうちにわかります。それぞれ悩みを抱える3人は、魔法を習ううちに仲良くなり、学校では見せないお互いの良さに気づいていきます。「自分を変えたい」と思っている人に勇気を与えてくれる、楽しく心温まる物語です。

『四人のヤッコ』

  • 西内ミナミ=作
  • はたこうしろう=絵
  • 鈴木出版=刊
  • 定価=1,200円+税

  • 対象:小学校低学年向け・小学校中学年向け

「あんた、わたし?」 自分にそっくりな子が なんと3人も現れた!

 「ヤッコ、ゲームはやめてピアノの練習をしなさい」。今日もママからがみがみ言われるヤッコ。「あーあ、もう一人のわたしがいたら、ピアノの練習を代わってもらえるのに」。そんなことを考えて、うーんと伸びをして振り向くと、なんとそこには自分そっくりの女の子が立っていました。「わたしたち、ふたごでよかったね」「えーっ!?」
 もう一人の自分がいたら。そんな願いをかなえた女の子の物語です。最後はヤッコが4人になって、それぞれ得意なことをしてくれます。やることがなくなった本物のヤッコはさてどうなるのでしょう。イラストが多いので、文字が多い本が苦手な人でもすらすら読める楽しいお話です。

『ビワイチ! 自転車で琵琶湖一周

  • 横山充男=作
  • よこやまようへい=絵
  • 文研出版=刊
  • 定価=1,300円+税

  • 対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け

琵琶湖一周200km! お尻の皮がむけたって 絶対にゴールするぞ!

 6年生になった斗馬。あこがれの結花ちゃんが春休みに「ビワイチ」に挑戦したことを知り、自分もやろうと決意します。「ビワイチ」とは自転車で琵琶湖を一周すること。滋賀県の子どもなら、一度は挑戦すべきことだと思われています。さっそく斗馬は親友を誘って、サイクルショップで募集していた1泊2日の「ビワイチ」に参加することにします。
 遅刻者のせいで出発が遅れたり、ペースの遅いメンバーにいらいらしたり。思いどおりにいかないなか、斗馬のなかに人を思いやる気持ち、あきらめずにやり遂げる強さが育っていきます。場所ごとに違う湖面の色、吹く風の強さ。琵琶湖の広さを感じつつ、一緒に一周している気分になります。

『となりの火星人』

  • 工藤純子=作
  • 講談社=刊
  • 定価=1,400円+税
  • 対象:小学校高学年向け

生きていると いろんなことがある 昨日とまったく違う今日もある

 学校では極力人とのかかわりを避けている水野かえで。陰で「水野さんって変だよね」と言われているのを知っていますが、どうしていいかわかりません。かえでは人の感情の表と裏を見分けるのが苦手。「空気が読めない」のです。
 コミュニケーションが苦手なかえで、ささいなことでキレて乱暴なことをする和樹、マイナスの感情にとらわれると叫び声を上げてしまう美咲、中学受験に失敗して投げやりな生活を送る聡。弱さを抱えながら生きづらい毎日を送る彼らが、一歩を踏み出すまでの物語です。悩む和樹にカウンセラーの先生は言います。「あなたは困った子なんかじゃない。困っている子だよ。だから手助けしたいの」と。

『その情報、本当ですか? ネット時代のニュースの読み解き方

  • 塚田祐之=著
  • 岩波書店=刊
  • 定価=900円+税
  • 対象:小学校高学年向け

情報氾濫のネット時代、 「真実につながる事実」を どう見つければいいのか

 「ローマ法王がトランプ氏支持を表明」「クリントン氏が過激派組織イスラム国に武器を売却」など、2016年のアメリカ大統領選挙の際、「ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)」にこうした「フェイクニュース」、つまり偽のニュースが投稿されました。
 あふれる情報のなかから誤った情報に惑わされずに、「真実につながる事実」を見つけるにはどうしたらいいのでしょうか。中学入試でも出題されるようになった「フェイクニュース」や「情報の信頼性」の問題について、NHKで長らく報道に携わってきた著者が、その在り方やインターネット情報の仕組みを説明しながら、若い世代に向けてわかりやすく解説します。

『開成・灘・麻布・東大寺・武蔵は転ばせて伸ばす』

  • おおたとしまさ=著
  • 祥伝社=刊
  • 定価=820円+税
  • 対象:保護者向け

男子教育の エキスパートに聞く 21世紀の男の子の育て方

 子どもが進む道を勝手に決めて、その道を進みやすいように親が掃き清める。「わたしは“カーリング親子”って言いますが、それはやめてくださいと保護者には注意します」と語るのは開成の齊藤幸一先生。齊藤先生は「失敗が経験になる。“経験泥棒”だけはしないでほしい」とも言います。
 日本を代表する男子校5校のベテラン教師たちが、幼少期から中学受験期、中高生の時期までの男子の育て方について語ります。5校の先生方の話に共通するのは、「男の子は転ばせて伸ばす」こと。過保護になりがちな親たちにとっては、耳が痛い話ばかりですが、優秀な生徒を育ててきた男子教育のエキスパートたちだけに、説得力があります。

日本の川 あらかわ・すみだがわ』

  • 村松昭=作
  • 偕成社=刊
  • 定価=1,500円+税

単なる地図上の線ではなく、 実感としてとらえる 源流から河口までの川の旅


社会科 教科責任者
西船校 校舎責任者

加藤 宏章 先生

 秩父の山奥から流れ出して、東京湾に注ぐ荒川。その水源から河口までを、上空から見下ろすように描いた詳細な絵地図で紹介しています。
 たとえば、上流にはかつてトロッコで木材を運んだ線路の跡や、石灰石の採掘場などが見られます。住人が多くなった中流では堤防で囲まれた集落や、洪水に備えた「水塚」という蔵がつくられていたこともわかります。これを見ると、川の近くに住むとはどういうことなのかが感じられると思います。東京湾近くになると、川の両脇が「スーパー堤防」になっている様子が見てとれます。「スーパー堤防」もそうですが、絵地図には授業で習ったり、聞いたことがあるものがそのまま描かれているので「そうか、こういうものなのか」と、ことばと感覚を結び付けることができます。
 現代は生活のなかで川とのつながりを意識する機会がほぼありませんので、子どもたちにとって、川は地図上の線にすぎないかもしれません。しかし、この絵本を見ると、人々の生活は今でも川と深いつながりがあることがよくわかります。水源から河口まで流域の様子が詳細に描かれているので、場所ごとの違いを見比べて、それぞれの地域で人々はどんな工夫をして暮らしてきたのかを知ることもできます。
 絵から得られる情報量は豊富で、細かく見ていると、いろいろなものに気づくと思います。見る人の興味によって気づくものは違いますから、その楽しみ方は無限です。親子で一緒に読み、気づいたことを言い合ってみるのもいいでしょう。また「今度ここからここまで散歩してみよう」などと、絵地図と見比べながら実際の風景を見て歩くのも楽しいと思います。
 この本は『日本の川』シリーズの一冊で、ほかにも『たまがわ』など、何冊か出版されています。自分が住む地域や、行ったことがある地域に流れている川について見てみると、よりたくさんの発見があることでしょう。

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