受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

Booksコーナー

※お好きな本のタイトルをクリックして下さい。その本に関する内容が、表示されます。

掲載月一覧 2018年12月|2018年11月2018年10月2018年9月2018年8月2018年7月
2018年6月2018年5月2018年4月2018年3月2018年2月2018年1月
Books目次へ△

2018年12月のBooks

 ことばはおもしろいもので、1字変わるだけでまったく違う意味になります。たとえば、日直の人が黒板に明日の持ち物として「ぞうきん」と書くつもりが、「ぞうさん」と書いてしまったら、教室は大爆笑。「どうやって持ってくるんだよー」なんて言われてしまいます。今月紹介する『ぼくのジユウな字』は、書いた字が自由に動いて違う字になってしまうという楽しいお話です。「字なんて読めればいい」と雑な字を書いていると、もしかしたら、字が怒って勝手に動き出してしまうかも。気をつけましょう。

『いいたいことがあります!』

  • 魚住直子=作
  • 西村ツチカ=絵
  • 偕成社=刊

  • 定価=1,400円+税

  • 対象:小学校高学年向け

母には母の来た道があり わたしには わたしの行く道がある

注目の一冊

 中学受験まであと少し。それなのに陽菜子は「塾をやめてもいいかも」と思っています。兄が受験したので当然のように4年生から塾通いをしていますが、このところ塾のみんなは真剣さが増し、自分だけ場違いなところにいる気がするのです。家でも勉強に身が入らず、つい好きなイラストを描いては母に叱られてしまいます。完璧主義の母からは、勉強だけでなく、洗濯物をたたむ、食器を洗うなどの手伝いもしっかりするように言われています。お兄ちゃんは何もしないのに。
 ある日、これから塾に行こうという矢先、友だちから遊びの誘いがきます。母はパートに行って留守。なんとか遊びに行く方法はないかと考えていると、隣の部屋で音がしました。そこには見慣れない女の子、スージーが立っていました。
 お母さんが自分や家族のために一生懸命にやってくれているのは知っている、でも…。思い悩む陽菜子は、母から「あなたと話していると悲しくなる」と言われ、言いたいことがますます言えなくなります。進む道に迷う陽菜子にスージーは言います。「何となくこっちかなと思うほうに行けばいい。どの道を選んでも真っすぐな道はない。でもそれが陽菜子ちゃんの道なんだから、おもしろがって歩けばいい」と。このスージー、いったいどこの誰なのでしょうか。
 中学入試問題でも作品が取り上げられることの多い作者が、難しいといわれる母と娘の関係性に切り込みながら、ラストでは受験期の女の子のもやもやした気持ちを鮮やかに吹き飛ばしてくれます。

『クリスマスツリーのお話』

  • やすひでこ=作・絵
  • 三恵社=刊

  • 定価=1,900円+税

  • 対象:幼児向け・小学校低学年向け

ぬくもりが伝わるツリーが次々登場 あなたのお気に入りは?

 楽しいクリスマス。最初に登場するのは、ちらちら雪が舞い降りた真っ白なクリスマスツリーです。次に登場するのは、今まさにプレゼントを配ろうとするサンタの赤いツリーです。プレゼントをもらってうれしそうな動物たちのジャングルツリー、ピエロたちが楽器を奏でる音楽隊のツリーもあります。
 本誌の表紙でおなじみのイラストレーター、やすひでこさんの作品が絵本になりました。ペーパークラフトの技法で作られたクリスマスツリーはどれも、紙の肌触りが伝わってきそうな心温まるものばかり。雪のツリーに夜のツリー。ピエロのツリーに動物のツリー。あなたならどのツリーを飾りたいですか。

『ぼくのジユウな字』

  • 春間美幸=作
  • 黒須高嶺=絵
  • 講談社=刊

  • 定価=1,300円+税

  • 対象:小学校中学年向け

「字を書くのは面倒」 「字なんて読めればいい」 本当にそれでいい?

 漢字テストは100点満点で10点。字は雑で汚く、おまけに名前の「鷹野龍彦」と書くのが面倒で、名前欄には名前の最初と最後の字をとって「タコ」と書く始末。答案を見たお母さんの怒りは爆発し、タツヒコは書道教室に通わされることになります。書道教室のミチコ先生は、やる気のないタツヒコにモップのような大きな筆を使っておまじないをかけました。
 きちんと書いたつもりなのに、書いた字が勝手に動き出して違う字に変わってしまったとしたら? 字を書くのが苦手なタツヒコが、ミチコ先生のおまじないのおかげで、本気できれいな字を書けるようになりたいと思うようになるまでを描く、楽しい物語です。

『稲妻で時をこえろ!』

  • 小森香折=作
  • 柴田純与=絵
  • 文研出版=刊

  • 定価=1,300円+税

  • 対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け

過去を変えれば 未来が変わる、それでも ぼくは助けに行く!

 学校からの帰り道、雨が降ってきたので、学校に置き忘れた傘を取りに戻った瞬。そのとき校庭に雷が落ち、爆風ではじき飛ばされます。気がつくと、机の上に見慣れない赤いランドセル。「なんだ、これ?」と思った瞬間、閃光が走り、ランドセルは消えていました。翌々日、瞬は同じような体験をします。今度は赤いランドセルの持ち主と思われる女の子が現れました。
 過去にタイムスリップし、そこで出会った子と一緒にさらに昔の時代に行くという、二重にタイムスリップする物語です。「過去を変えたら未来が変わってしまう。でもこのままではいられない」。そんな思いから、勇気を出して困難に立ち向かう瞬の姿をさわやかに描きます。

『ドリーム・プロジェクト』

  • 濱野京子=作
  • PHP研究所=刊

  • 定価=1,400円+税

  • 対象:小学校高学年向け

おじいちゃんの古い家を 「地域の憩いの家」に ぼくらの挑戦が始まった

 拓真は両親、姉、祖父との5人暮らし。祖父は祖母が亡くなるまで、山間の集落にある古い家で暮らしていました。祖父がその家を懐かしむ様子を見て、拓真は家を修繕して、時々そこで過ごせるようにしてあげたいと思います。とはいえ、そんなお金はありません。そんなとき、拓真はクラスメートから「クラウドファンディング」という耳慣れないことばを聞きます。
 インターネットで支援者を募る「クラウドファンディング」を利用して、古民家再生プロジェクトに取り組む中学生たちの物語です。その熱意に動かされ、家族、同級生、学校、地域、企業を巻き込んで、一人また一人と支援の輪が広がっていく過程を描きます。果たして、拓真たちの夢は実現するのでしょうか。

『40億年、いのちの旅』

  • 伊藤明夫=著
  • 岩波書店=刊

  • 定価=860円+税

  • 対象:小学校高学年向け

多様化の道を たどりながら考える 命の未来

 40億年に及ぶとされる、地球における生命の歴史。そのなかで、ヒトがチンパンジーとの共通の祖先から分かれたのは、約700万年前と考えられています。ヒトやチンパンジーの属する霊長類は、恐竜が絶滅したのと同じころに出現しました。霊長類は哺乳類の一種で、その祖先をさかのぼると両生類、そして魚類にたどり着きます。
 そんな命のつながりをテーマに、「命とは何か」「命はどのように誕生し伝えられてきたのか」などについてわかりやすく説明します。40億年の命の旅は、生き物たちの多様性の歴史でもあります。命の旅の終点では、生き物の頂点に君臨するヒトが、未来をどのように旅したらいいのかを考えます。

『鳥類学者の目のツケドコロ』

  • 松原始=著
  • ベレ出版=刊

  • 定価=1,700円+税

カラスもスズメも 観察者の目で見れば 興味深いことばかり


センター南校 校舎責任者
川嶋 千秋 先生

 動物行動学の専門家がカラス、スズメ、ヒヨドリ、ウグイス、トビなど身近にいる鳥たちの生活や行動などについて話してくれます。身近な鳥についての本は珍しくありませんが、この本は専門書などから仕入れてきた知識ではなく、専門家である著者自身が調査したことをもとに、観察者の視点で書かれているところに特徴があります。調査にまつわる苦労話をはじめ、カラスの縄張りの具体的な調査方法も書かれていて、将来何かのフィールドワークをするときには参考になると思います。
 鳥のなかでも、著者の専門であるカラスについては、特に詳しく書かれています。身近なところでよく見るカラスには、ハシブトガラスとハシボソガラスがいます。河川沿いはハシボソガラス、市街地に行くとハシブトガラスというように縄張りが決まっています。どちらも似たようなカラスですが、からだの大きさやくちばしの形が違うので、よく見ると見分けがつくと思います。こんなこと一つでも知っていると、カラスの見方も変わってくるのではないでしょうか。
 一般にいわれていることが正しいとは限らない、ということも教えてくれます。たとえば、カワセミは清流の近くにすむと思われていますが、人間にとってのきれいな川がカワセミにとってのすみやすい川というわけではありません。フナやコイがいる清流とは程遠いところでも、魚さえいればカワセミは生きていくことができます。また、わたしたちは鳥の巣というと木の上にあると思いがちですが、チドリのように地面に巣を作る鳥もいます。チドリの足は3本指。木の上に止まれないので海岸や河川敷に巣を作り、小石や砂利にまぎれやすい色の斑点のある卵を産みます。
 鳥に関していろいろな切り口から教えてくれるので、それぞれの鳥の特徴をよくつかむことができます。野鳥はどこにでもいます。巣を探したり、鳥たちの行動を探ったりしながら歩いてみると楽しいと思います。

ページトップ このページTopへ