受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

Booksコーナー

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2019年1月のBooks

 家には門松や鏡餅を飾り、家族でおせち料理やお雑煮を食べて祝う。2日には書き初めをして、7日には七草がゆを、11日の鏡開きには鏡餅を食べる。1月ほど行事やしきたりが多い月もありません。今月の「先生お薦めの一冊」は、行事や祝い事のしきたりがわかる本です。古くから伝わるしきたりには、日本人の生活の知恵や人生に対する考え方が表れています。この機会に、お正月行事の意味や由来について調べてみませんか。

『大林くんへの手紙』

  • せいのあつこ=作
  • PHP研究所=刊

  • 定価=1,300円+税

  • 対象:小学校高学年向け

いつか書きます。 ちゃんとした うそのない手紙を

注目の一冊

 手紙を書くのは難しいものです。ましてやほとんど話したことのない相手に、何も伝えたいことがないのに手紙を書くなんて、できることではありません。うそでも書かないかぎり…。
 同じクラスの大林くんが学校を休むようになってしばらくしたある日、クラス全員で大林くんに手紙を書くことが決まりました。主人公の文香は作文も読書感想文も苦手です。思ってもいない前向きなことを書かなくてはいけないからです。大林くんへの手紙も悩みに悩んだ末、思ってもいない、表面的な励ましのことばを書き連ねました。
 ところが大林くんの家に全員の手紙を届けるとき、偶然、みんなの手紙を読んでしまった文香は驚きます。どうせみんな心にもないことを書いたに決まってる。そう思っていたのに1枚、2枚とめくるうちに、文香は頬が熱くなりました。どれもうそのない本音の手紙だったのです。文香は自分の手紙を抜いてくしゃくしゃに丸めました。
 考え方は人それぞれ違います。人とのかかわり方も思いやりの示し方も違います。一人の生徒の不登校をきっかけに、それぞれの違いに戸惑い、ぶつかり合いながら、文香と大林くん、そしてクラスメートたちが少しずつ互いの距離を縮めていく姿を描きます。「余計なことをせず、かかわらないであげたほうがいいのだろうか」「いやかかわっていたい、ことばを掛けたい、でもどんなことばを掛けてもうそになる気がする」などと思い悩む文香。最後にやっと一言だけ書いた大林くんへのうそのない手紙が、さわやかな風を運んできます。

『ポケットに色をつめこんで』

  • エイミー・グリエルモ、ジャクリーン・トゥールヴィル=文

  • ブリジット・バラガー=絵
  • 神戸万知=訳

  • フレーベル館=刊
  • 定価=1,600円+税

  • 対象:幼児向け・小学校低学年向け

ディズニーの伝説のデザイナー、 その色鮮やかな人生が絵本に

 小さなころから色を集めるのが好きだったメアリー。レモン色の家、緑の木々、水色の海など、目にした色を絵の具でスケッチブックに集めていました。ところがメアリーの絵は自由で鮮やか過ぎて、わかってくれる人はいません。でも1人だけ、メアリーの絵を気に入ってくれた人がいました。ウォルト・ディズニーです。
 ディズニーランドの「イッツ・ア・スモールワールド」のデザインを担当し、ディズニーアニメにも大きな影響を与えたメアリー・ブレアの生涯を伝える絵本です。自分が創る世界を信じて絵を描き続けたメアリー。その生き方を象徴するかのように、どのページからも、ポップでおしゃれな絵が飛び出してきます。

『アチチの小鬼』

  • 岡田淳=作
  • 田中六大=絵
  • 偕成社=刊

  • 定価=1,200円+税

  • 対象:小学校低学年向け・小学校中学年向け

「そらえらいことやん」 おじいちゃんが話す まさかの話とは?

 ぼくのおじいちゃんは話好き。今日の話は、おじいちゃんの同級生だったサキザキくんの話です。サキザキくんは人が話し始めると、その先を言ってしまうのが癖。そのせいで周りから相手にされなくなりました。ところが郵便局に強盗が入ったとき、その癖のおかげで犯人が自首したというのです。いったいどんなことをしたのでしょうか。
 元魔女のおばあさんの話、あくびをするゆでたまごの話、壺を持った小さすぎる小鬼の話など、おじいちゃんが語る話はどれも奇想天外なものばかり。ぼくとおじいちゃんの漫才のような関西弁の掛け合いが楽しく、ここまで想像が膨らむかと思うほど、予測がつかない展開に大笑いです。

『大好き! おじさん文庫』

  • 深山さくら=著
  • 文研出版=刊

  • 定価=1,200円+税

  • 対象:小学校中学年向け

42年間にわたって 本代を送り続けてくれた おじさん、ありがとう!

 山形県羽黒町(現在は鶴岡市の一部)の羽黒第四小学校は、総児童数24名の小さな小学校です。ある日、学校に一通の手紙が届きました。差出人の名前はなく、封筒の中には「毎月、本代を送ります」と書かれた手紙と、千円札が2枚入っていました。これが「鶴岡のおじさん」からの最初の手紙でした。
 図書室のない山間の小さな小学校に、42年間にわたって毎月、手紙と本代を送り続けた人がいます。子どもたちはその人を「鶴岡のおじさん」と呼んで、感謝の気持ちをさまざまな形で伝えました。おじさんもまた子どもたちから勇気と元気をもらっていました。本をとおして続けられた、おじさんと子どもたちの温かな交流の歩みをつづります。

『ハートウッドホテル1ねずみのモナと秘密のドア

  • ケイリー・ジョージ=作
  • 久保陽子=訳

  • 高橋和枝=絵
  • 童心社=刊

  • 定価=1,300円+税

  • 対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け

お客の動物たちの 細かい注文に 森のホテルは大忙し

 嵐の日、森を歩いていたモナは川に落ちて流されてしまいます。水からはい上がると、目の前にとても大きな木がそびえていました。幹にはハート形が彫られ、手を触れるとハートがくぼんでドアが開きました。中は広々とした部屋になっていて、着飾った動物たちが集まっていました。そこは森で評判の高級ホテル、ハートウッドホテルでした。
 親とはぐれた独りぼっちのねずみ、モナが、個性豊かな動物のお客さんや従業員に囲まれて、メイドとしてがんばり、自分の居場所を見つけていく物語です。しかし、そんなホテルをオオカミが狙っていたのでした…。森の香りでいっぱいのホテルの雰囲気も楽しめるこのシリーズ、1月には2巻も出る予定です。

『龍にたずねよ』

  • みなと菫=作
  • 講談社=刊

  • 定価=1,200円+税

  • 対象:小学校高学年向け

愛する国を守るため 龍神の力を借りて 少女は立ち上がった

 八姫は、海に面した小国、青海の領主の末娘。豊かな自然の中で伸び伸びと暮らしていましたが、14歳のとき、父に命じられ、龍がいると伝えられる隣国、萩生に人質として送られます。家族を人質として預けることは、領主の家では当たり前のことでしたが、萩生では領主の奥方にいじめられてばかり。元領主のおじじ様といるときだけ、八姫の心は安らぎました。あるとき、萩生に敵国が攻め入り、城下で戦が始まりました。
 戦国時代を舞台に、愛する国と領民のために戦う八姫の活躍を描きます。萩生にいるという龍神は、八姫に力を貸してくれるのでしょうか。八姫とおじじ様に仕える不思議な少年、ゴンザとの恋の行方も気になります。

日本人のしきたり

  • 飯倉晴武=編著
  • 青春出版社=刊

  • 定価=667円+税

感謝、敬意、気遣い…、 行事・しきたりに込められた 昔の人の思いを知ってほしい


千里中央校 校舎責任者

 正月行事や年中行事、祝い事など日本人が大切にしてきたしきたりを紹介しています。しきたりには物事に感謝する気持ちや、人を敬い、気遣う気持ちが込められています。たとえば七五三。今ではイベントのようになっていますが、もともとは子どもの死亡率が高かった昔、7歳まで無事に生きてきた子どもの成長を氏神さまに感謝する行事でした。お正月のおせち料理にしても、あらかじめ料理を作っておけば、いつも忙しいお母さんが、三が日はゆっくり休むことができるという意味が込められています。また、七草がゆには、1年間の無病息災を願うだけでなく、正月のごちそうで疲れた胃腸を休めるという意味もあります。昔ながらのしきたりには、このようにそっと手を差し伸べるようなところがあり、一日一日を感謝しながらていねいに一生懸命に生きてほしい、そんなメッセージが込められている気がします。
 行事のほか、贈り物や手紙などのしきたりについても書かれているので、自分の興味のあるところを読んでみてください。なかには聞き慣れないことばも出てくると思います。たとえば「八十八夜」は、「茶摘み」の歌で知っている人もいるかもしれませんが、もともとは明け方に遅霜が発生しやすい時期なので、農作物に被害が出ないよう注意を促すために設けられた季節の目安です。現代の都市生活ではなじみのないことばですが、農業が中心だった昔の生活では大事なことばでした。こうしたことば一つをとっても、昔の人がどんな暮らしをしてきたのか、ふだんの生活のなかで何を大事にして生きていたのかを想像するきっかけになると思います。
 保護者の方にもお薦めです。何か行事があるとき、この本でその意味を知ったうえで、お子さんと一緒に行事を楽しんでいただけたら、より実のあるものになると思います。

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