受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

Booksコーナー

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2019年11月のBooks

 皆さんはふだん大豆をよく食べますか。大豆は豆のままだと地味ですが、いろいろなものに変身できるすごい力を持っています。豆腐になったり納豆になったり、しょうゆやみそになったり。きなこのようなスイーツにだってなれるのです。今月紹介する絵本『おおいなる だいずいちぞく』は、そんな大豆のすごさを、大豆の王子がユーモアたっぷりに紹介してくれます。食欲の秋には、こんな食べ物が主役の本を読んでみませんか。

『十四歳日和』

  • 水野瑠見=作

  • 講談社=刊

  • 定価=1,400円+税

  • 対象:小学校高学年向け

誰もが持っている それぞれの境界線 壊せるのは自分だけ

注目の一冊

 矢代大地は中学2年生。入学したときから成績が良く、中1の春の試験では学年1位。家族は大喜びで、自分でも「おれって天才?」と調子に乗っていました。
 ところが1位になったのは1回だけ。以後はどんなにがんばっても2位で、どうしてもトップになれません。おれがこんなに必死に勉強しても追いつかない1位って、誰なんだろう。見えないライバルに闘志を燃やす大地はある日、偶然にもそのライバルが思いもよらない人だとわかって驚きます。「なんであのさえないやつが…」。大地の心は怒りにも似た思いでいっぱいになりました。
 田んぼが広がる地方都市の中学校を舞台に、14歳の男女4人の1年間を描くオムニバスです。ありきたりの毎日がちょっとしたことで崩れたり、輝いたりするのが14歳のころ。何事にも燃えやすく、流されやすく、傷つきやすく、危うい時期です。それでいて、芯のところでは何が正しいのかがしっかりわかっていて、自分の言動を振り返っては、心の奥がちりちりするような痛みに襲われる。だからこそ、登場人物の一人ひとりがいとおしくなります。
 収められているのは、同じ中学に通う4人の男女が主人公となって繰り広げる四つの物語です。14歳の時期の少年少女たちの心の揺れ動きが、クラスのグループ、恋、SNS、嫌がらせなどをめぐるさまざまな出来事を通じて描かれています。例年中学入試で取り上げられることの多い、講談社児童文学新人賞受賞作品です。

『おおいなる だいずいちぞく』

  • はしもと えつよ=作・絵

  • 偕成社=刊

  • 定価=1,500円+税

  • 対象:幼児・小学校低学年向け

姿を変えて大活躍 「われらは えいえんなのだ!」

 ここはだいず畑。ある春の日、畑から声が聞こえてきます。「ねえ、じいや。そろそろ世に出てもいい?」「王子、あと少し。からだが大きくなるまでしんぼうなされ」。だいず一族の王子は早く世に出て、一族の力を見せつけたいのです。だいず一族の力はとても強く、鳥がつつきにやってきても、かたい殻とにおいで身を守ることができます。ぽん! ぽん! 何日かたつと、仲間たちが芽を出し始めました。
 畑から食卓へ。春から秋へ。だいず一族の成長を追っていくうちに、その大いなる力がどんどん明らかになっていきます。ひと粒ひと粒に描かれた顔がユーモラスで、楽しいストーリーを追ううちに、だいずが大好きになってきます。

『コロッケ堂のひみつ』

  • 西村友里=作
  • 井波ハトコ=絵

  • 国土社=刊

  • 定価=1,300円+税

  • 対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け

「自分はいちばん大事な人、 いなくていいなんて 思っちゃだめ」

 夏休みの1か月間、弟の潤と京都の祖母の家で暮らすことになった6年生の希美。祖母の家は和菓子屋さんで、お店の横の細い路地を通り抜けたところに家があります。隣はお総菜屋さんのコロッケ堂。2軒だけがこの路地を使っています。ところがあるとき希美は、路地に着物を着た見知らぬ女性がいるのを目にします。その人はなぜか、白髪なのにかわいい少女のような顔をしていました。
 両親から期待されず、家族の役に立てないことで悩む希美。そんな希美が、境遇は違っても期待に応えようともがく少女に出会うことで、生きる意味を見いだしていくまでを描く物語です。祗園祭に沸く京都の町で、一つの友情が生まれます。

新版 科学者の目』

  • かこさとし=文・絵

  • 童心社=刊

  • 定価=1,400円+税

  • 対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け

天才ばかりじゃない 生身の人間として描く 41人の科学者の人物伝

 科学技術史に名を残した古今東西の科学者たち。そのなかから41人を選び、絵本作家で工学博士でもあった著者が、独自の視点で子どもたちにわかりやすく、その生涯と業績を紹介します。
 登場するのは医学・天文学・地質学・生物学・原子物理学など、さまざまな分野で活躍した、古代から近代までの科学者たち。著者はその優れた業績を生むもとになった発想や視点、研究に向かう姿勢などが描かれています。彼ら彼女らも我々と遠い存在のいわゆる「偉人」ではなく、時代の激流や人間関係のなかで傷つき、周囲の無理解に耐え、間違いも犯した生身の人間だということがよくわかります。昨年92歳で亡くなった著者が1974年に刊行した伝記集の新装版です。

『あの空はキミの中』

  • 舞原沙音=作
  • 柚庭千景=絵

  • ポプラ社=刊

  • 定価=1,400円+税

  • 対象:小学校高学年向け

わたしはわたし。 野球好きの女子として がんばるしかない!

 小学6年生まで、少年野球チームの4番打者だった陽向。中学生になったら野球部に入るつもりでしたが、女子であることを理由に特別扱いされることが嫌になり、野球をやめてしまいます。中3になり、父の仕事の都合で転校することになった陽向。転校先の中学の同じクラスにはなんと、6年生最後の大会で死闘を繰り広げた相手チームのエースがいました。
 かつてのライバルとの再会で再び野球を始めた陽向が、女子である自分と葛藤しながらも野球に打ち込んでいく姿が共感を呼びます。仲間と共に夢を追い続ける日々を縦軸に、恋のライバルとの交流を横軸に、1人の少女の成長を描くさわやかな青春小説です。

『21世紀の『男の子』の親たちへ −男子校の先生たちからのアドバイス

  • おおたとしまさ=著

  • 祥伝社=刊
  • 定価=1,500円+税

  • 対象:保護者向け

男子教育のプロが語る 「手を放して抱きしめる」 その方法とは?

 人間の幸せとは、お金持ちや有名人になることではないはずです。「今まで見えていた同じものが、ある瞬間にすごく輝いて見える体験が幸せではないか」と言うのは栄光学園のある先生。子どもは社会の一員として成長していくなかで、多くの思い込みを身につけ不自由になっていく。だからこそ「自由になる方法を身につけてほしい」とも言います。
 先行き不透明な時代に男の子の親は、子どもとどう向き合えばいいのか。栄光学園、開成、麻布、灘など男子名門校の先生たちへのインタビューを通じて、親として心得るべきポイントを示します。親ができるのは「手を放して抱きしめる」ことだという、芝の先生のことばが心に残ります。

『植物はなぜ5000年も生きるのか』

  • 鈴木英治=著
  • 講談社=刊

  • 定価=880円+税

生き物の長生き「いちばんは?」 みんなが知りたい疑問の ヒントが詰まった一冊


日吉校 校舎責任者

 「いちばん大きいのは何?」「いちばん長いのは?」「いちばん明るいのは?」などなど。授業をしていて生徒からよく聞かれるのが「いちばんは?」という質問です。では、いちばん長生きする生き物は何でしょう。その疑問にいろいろな角度から答えを示してくれるのがこの本です。
 タイトルからは植物の本のように思えますが、植物と動物を対比させながら説明しているので、動物の話も多く、動物の寿命について知りたい人にとっても有意義な本です。
 動物にはからだを支えるつくりとして骨格があるのに対し、植物には骨格はありません。そのかわり、植物は細胞の一つひとつが硬い細胞壁で覆われています。木の幹ではある程度の年数がたつと、中央部に近いほうから細胞の活動が止まり、心材という部分ができます。心材は水がしみ込みにくく、腐りにくくなっていて、折れにくくなっています。死んだ細胞でできていたとしても、心材は樹木を支える役目を果たし続けます。動物のからだの細胞のほとんどが生きているのと異なり、樹木のからだはすべての細胞が生きているわけではないのですね。だとすると、生きている細胞を比べたら、植物と動物のどちらが長生きなのでしょうか。結論は読んでからのお楽しみにしたいと思います。
 章によっては細胞や遺伝子に関する難しい用語や説明が出てきますが、そうしたところは読み流しても構いません。読み進むうちにまた、理解できるおもしろい話が出てきます。章や見出しのタイトルを見て、おもしろそうなところを読むだけでもためになります。
 日本の巨木に関しては、掲載されている1991年の環境省のデータでは、スギの最大直径は約513センチ。でも最新のデータを調べると、約615センチの木が見つかっていることがわかります。この本にはいろいろなデータが出ています。興味のあるものについて、今の「いちばんは?」を自分で調べてみるのも楽しいと思います。

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