受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

Booksコーナー

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2020年5月のBooks

 楽しい時間はあっという間に過ぎ、退屈な時間はとても長く感じるという経験は、皆さんにもあるのでは? もし、それを逆にする方法があるとしたら、試してみたくないですか。脳科学の研究者によれば、脳に与える聴覚刺激や視覚刺激によって、楽しい時間を長く、退屈な時間を短くできる可能性があるそうです。今月紹介する『科学の最前線を切りひらく!』では、研究者7人がそれぞれの研究について熱く語っています。ふだん知り得ない、驚きに満ちた研究室の日々をのぞいてみませんか。

故郷こきょうあじうみをこえて』

  • 安田菜津紀=著・写真

  • ポプラ社=刊

  • 定価=1,400円+税

  • 対象:小学校高学年向け

母国を追われた人たちが 作る故郷の家庭料理 そこに込められた想いとは?

注目の一冊

 ことこと煮立つ鍋。食欲をそそるニンニクとトマトの匂い。日本に来て2年、カメルーン出身のチャングワさんは、母国の家庭料理「オクラスープ」を作るたび、「家族や友人とご飯を囲んだ故郷の暮らしを思い出すの」と言います。
 政府軍と、過激な活動をするグループとの衝突が続くカメルーン。そのせいでチャングワさん一家はばらばらになってしまいました。「一刻も早く安全な場所へ」と迫られてやってきたのは、ビザが早く手に入るという理由だけで選んだ、見知らぬ遠い国、日本。ことばもわからない、友人もいないこの国で、仕事を探して生きていけるのだろうか。故郷の家族は無事でいるのだろうか。大きな不安を抱え苦難の日々が始まりました。
 民族、宗教、政治的な意見の違いが理由で、母国では迫害されるおそれがあるため、国外に逃れた人たちを「難民」といいます。難民は欧米に多い印象がありますが、日本でも少数ですが暮らしています。彼らはどんな事情で日本に来て、どんな思いで毎日を過ごしているのでしょうか。異なる国・地域出身の7人を取り上げ、そのたどってきた道のりを、故郷の料理に宿された記憶からひもときます。
 外国に逃れた人たちの最大の望みは、難民認定を受けて、母国から家族を呼び寄せること。ところが日本の難民認定率は非常に低く、2018年に日本で難民申請をした1万493人のうち、認定を受けたのは42人という少なさです。難民について知るとともに、彼らが経験する日本での厳しい現実を通して、日本という国を考えるきっかけにもなる一冊です。

『ジェンと星になったテリー』

  • 草野あきこ=作

  • 永島壮矢=絵

  • 岩崎書店=刊

  • 定価=1,000円+税

  • 対象:小学校低学年向け

死んだはずの 前の飼い犬が現れて おもしろくないジェンは…

 パパとママとユイが暮らす家にやってきた、ゴールデンレトリバーのジェン。以前、この家には、テリーというジェンそっくりの犬がいました。でも死んでしまい、ユイが泣いてばかりいたので、代わりにジェンを飼うことになったのです。ところがあろうことか、死んだはずのテリーがジェンの前に姿を見せるようになったのです。
 「テリーに会いたいなあ」「テリーならこんなことしなかったのに」。ユイたちが、ことあるごとにテリーを思い出すのが気に入らないジェン。でもテリーが現れてくれたおかげで、ジェンは家族のピンチを救うことができます。飼い犬の気持ちでつづられていく心温まるお話です。

『ピーターとオオカミ』

  • セルゲイ・プロコフィエフ=作

  • 降矢なな/ペテル・ウフナール=絵

  • 森安淳=文

  • 偕成社=刊

  • 定価=1,500円+税

  • 対象:小学校低学年向け

ページをめくれば あのプロコフィエフの名曲が聞こえてくる

 森の近くの家で暮らすピーターは、野原で遊ぶのが大好きです。でも野原はオオカミが出てきて危険なので、おじいさんに連れ帰られてしまいます。ピーターがいなくなると、森から1匹のオオカミが現れました…。
 ロシアの作曲家プロコフィエフが作った音楽物語『ピーターとオオカミ』は、アヒルがオーボエ、オオカミがホルンなど、オーケストラの楽器が豊かな表現で人や動物たちを演じる楽曲です。この曲が長野県松本市で昨年夏に開催された音楽祭で演奏された際に、映し出された絵と台本が一冊の絵本になりました。場面ごとに聞こえてきそうな楽器の音色を想像しながら、ページをめくってください。

『わたしたちのいえ火事かじです』

  • ジャネット・ウィンター=文・絵

  • 福本友美子=訳

  • すずき出版=刊

  • 定価=1,500円+税

  • 対象:小学校低学年向け・小学校中学年向け

グレタは言った。「どんなに小さくても 何かを変えることはできる!」

 グレタはスウェーデンの首都ストックホルムに暮らすおとなしい女の子。学校ではいつも独りぼっちです。ある日、授業で地球環境の話を聞いたグレタ。温暖化で絶滅しそうな生き物がいっぱいいること、自分たちの命も脅かされていることを知り、頭がいっぱいになりました。
 環境活動家グレタ・トゥーンベリさんが始めた「気候変動を考える学校ストライキ」が、どのように世界中に広がっていったかを伝える絵本です。国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)で彼女はこうスピーチしました。「どんなに小さくても何かを変えることはできます」。このことばがうそでないことを教えてくれる絵本です。

『科学の最前線を切りひらく!』

  • 川端裕人=著

  • 筑摩書房=刊

  • 定価=940円+税

  • 対象:小学校高学年向け

研究室訪問は 「センスオブワンダー」に 満ちている!

 沖縄の美ら海水族館には世界屈指のサメ研究所があります。そこで研究されているテーマの一つがサメの繁殖です。「サメは繁殖様式のデパートみたいなものです」とリーダーの佐藤圭一さん。卵を産むもの、赤ちゃんを産むもの、子宮の中でミルクを与えるもの、ほかの卵を食べさせて子を成長させるものなど、サメの仲間の子どもの産み方は実に多種多様なのです。
 サメのほか、恐竜・雲・脳・マイクロプラスチックなど、各分野の研究者たちから聞いた話を、小説家でノンフィクション作家でもある著者が生き生きとした語り口調でまとめています。著者いわく「研究室は新しい知識と驚き(センスオブワンダー)に満ちている!」

『みつきの雪』

  • 眞島めいり=作

  • 牧野千穂=絵

  • 講談社=刊

  • 定価=1,400円+税

  • 対象:小学校高学年向け

離れたくない でも今なら言える 「行ってらっしゃい」

 行人が山村留学生としてみつきの住む村にやってきたのは、みつきが5年生のときでした。山村留学生は2年たったら都会に戻って行くのが普通です。「今まで楽しかったよ、元気でね」と手を振って別れる。後に思いを残さない。そう思ってよそよそしい態度を崩さなかったみつきですが、ある日、行人にこう言われてしまいます。「ずっと、ぼくのこと、避けてたよね」
 みつきにとって「お客さん」だったはずの行人が、気の合う友になり、高校3年生の春に別れがくるまでを、小中高と異なる時間軸を行ったり来たりしながら描いていきます。えりすぐった表現が、微妙な距離を取りながら相手を思う美しい場面を紡ぎ出します。

『美しい幾何学』

  • 谷克彦=著

  • 技術評論社=刊

  • 定価=2,980円+税

規則性、対称性、繰り返し きれいでおもしろい 図形の世界をのぞいてみよう


日吉校 校舎責任者

 美しい図形や不思議な図形がたくさん出てくる本です。本書の説明には、数式や数学用語も含まれるので、完全に理解することは大人でも困難です。しかし、カラーでの図が多く掲載されていて、図鑑のような感覚で眺めることもできるので、子どもでも十分に楽しめます。多面体や家紋のような対称の図形、万華鏡で見る規則性のある模様、伝統紋様のような無限に繰り返されていく図柄、そういうものを見て「きれいだな」とか「規則性とか対称性があるとおもしろい形になるんだな」なんて思ってもらえるだけでもいいと思います。
 鏡に映るような、左右がひっくり返った図形は低学年の算数でも出てきます。また左右対称になる線対称の図形は5年生の学習で出てきますし、日本の伝統文様は中学の入試問題の題材になることもあります。この本で図形に親しんでおくと、そうした図形の勉強にも入りやすいと思います。
 ぱらぱら見て気になった図形があれば文章を読んで、図と説明を照らし合わせ、どんなことをいっているのだろうかと考えてみてください。頭のトレーニングになります。また、おもしろいと思った図形を、自分で描いてみるのも楽しいと思います。同じものをまねしてうまく描こうとしているうちに、どのようにすればきれいに描けるかがわかってきます。図形を見たとき、この図はどんな順番で描くときれいに描けるのかと考えたり、実際に描いてみたりすることは大事です。図形のしくみを理解することにつながり、図形問題を解く力もついてきます。
 6年生までの勉強がひと通り終わってから読んでもおもしろいと思います。習ったことがたくさん出てくるので、興味が広がります。また年齢が上がり、数学をたくさん勉強した後にあらためて読んでも、存分に楽しめる一冊です。
 美しいと思う図形や模様には数学的な理由があります。そこを探っていきながら楽しく読んでください。

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