受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

Booksコーナー

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2020年7月のBooks

 皆さんは「おもしろい本はないかな」と思ったとき、どこで探しますか? 書店ですか? 図書館ですか?「博物館・水族館・動物園などのミュージアムショップには、書店には置いていないおもしろい本がありますよ」。こう教えてくれたのは、今月の「先生お薦めの一冊」担当の日出谷治先生。先生お薦めの『生きものの持ちかた』のように、物事を変わった視点で捉えたようなユニークな本は、ミュージアムショップで見つかることが多いそうです。「機会があったらのぞいてみてください。お宝が見つかるかもしれませんよ」

天邪鬼あまのじゃく皇子おうじと唐の黒猫』

  • 渡辺仙州=作

  • ポプラ社=刊

  • 定価=1,500円+税

  • 対象:小学校高学年向け

中国生まれの猫の王が 平安時代の日本で 天皇を助けて大活躍

注目の一冊

 中国が唐の時代だったころ、蘇州に猫たちを束ねる黒猫がいました。この黒猫、戦いに強いばかりでなく、生まれつき人間のことばを理解できました。兵を率いて戦場を駆け回る夢をよく見るので、「前世は人間だったかも?」と自分では思っています。
 ある日、彼は不覚にも路地裏で商人に捕まり、船で倭国の筑紫州、今の日本の福岡県に連れてこられます。そして毛並みが立派なので天皇に献上され、平安の都で皇子の定省の飼い猫「クロ」として暮らすことになります。当時、朝廷では太政大臣の藤原基経が権勢を振るい、先帝の母の藤原高子と対立していました。やがて天皇になった定省も政争に巻き込まれますが、クロは定省を助けて大活躍します。
 語り手はクロこと「おれさま」。猫目線で物語が進むところは、夏目漱石の『吾輩は猫である』を思わせます。定省は実在の人物で、後の宇多天皇。宇多天皇は実際、その日記『寛平御記』のなかで、父からもらい受けた黒猫について書いています。歴史的事件や歴史的人物が出てくる一方、都を二分する猫どうしの抗争に巻き込まれるクロの活躍も見ものです。
 ふだんは「一生ぐうたら生活すること」を目標に生きているクロ。でも戦いでは中国仕込みの兵法を使って強さを見せ、菅原道真と会う場面では器の大きささえ感じさせます。人間のことばを理解し、兵法をあやつるクロの前世は、果たして何者なのでしようか。猫の世界では強者でも、飼い主から見ればかわいいペット。そのギャップがおもしろく、歴史が苦手な人でも、猫が主人公の物語として楽しめます。

『やねうらべやのおばけ』

  • しおたにまみこ=作

  • 偕成社=刊

  • 定価=1,200円+税

  • 対象:幼児向け・小学校低学年向け

おばけは言いました 「ここはぼくの場所。 もう来ないでくれる?」

 古い家の屋根裏部屋に、小さなおばけが住んでいます。誰かが来るとからだを透き通らせて姿を消すので、誰もおばけがいることを知りません。おばけは飛ぶこともできます。でも外に出るのは少し怖いので、いつもこの部屋で独り、気ままに過ごしています。あるとき、この家に住む女の子が屋根裏部屋に入ってきました。「ここはぼくの場所なのに。やだなあ」。おばけは女の子が来ないよう、怖がらせることにしました。ところが…。
 木炭鉛筆でていねいに描かれた絵が、どきどき感のある不思議な世界をつくり上げています。独りでやきもきするおばけがかわいらしく、読めばおばけの友だちがほしくなるかもしれません。

『木があつまれば、なんになる?』

  • おおぎやなぎちか=作

  • マリーニ・モンティーニ=絵

  • あかね書房=刊

  • 定価=1,200円+税

  • 対象:小学校低学年向け

木が二つで「林」 木が三つで「森」 では木が四つなら?

 学校で「木」がつく漢字を習った、小学1年生のかん太。木が1本なら「木」、木が2本あれば「林」、木が3本あれば「森」。それなら木が4本集まれば何になるんだろう。そんなことを考えながら、練習帳に「木」のつく字をどんどん書いていくかん太。学校帰りに立ち寄った公園でも、地面に「木」のつく漢字を書いていきます。気がつけば、いつもの公園が木でいっぱいになっていました。
 練習帳に「木」の字を書くうちに、イメージが膨らんできて、「木」の字のすき間に動物の絵を描いていくかん太。練習帳に現れたジャングルが、いつのまにか外の世界と重なっていきます。漢字をテーマにした楽しい絵童話です。

10テン!』

  • 板橋雅弘=作

  • 柴崎早智子=絵

  • 岩崎書店=刊

  • 定価=1,200円+税

  • 対象:小学校中学年向け

さえないおじさんが くるりと見事にバック転、 いったい、何者!?

 小学4年生のわたしは、学校から帰るといつも、川沿いの小さな広場でダンスと歌の練習をしています。本当は習いたいのですが、ママと二人暮らしの家にそんな余裕はありません。ある日、広場に行くと、見知らぬおじさんがベンチで本を読んでいました。おじさんに気兼ねしつつ、トレーニングを終えますが、次の日もおじさんはいました。
 ママを助けるため、歌って踊れるアイドルをめざす主人公。学校では、バレエやピアノを習う友だちにひけ目を感じる毎日ですが、広場で知り合った名前も知らないおじさんからバック転を習うことになり、毎日が変わり始めます。4年生の女の子と、おじさんとのほのぼのした交流の物語です。

『博士の愛したジミな昆虫』

  • 金子修治・鈴木紀之・安田弘法=編著

  • 岩波書店=刊

  • 定価=880円+税

  • 対象:小学校高学年向け

目立たないけどすごい! 研究者が熱く語る 驚くべき生態

 コナガの幼虫はキャベツを食べます。そのときキャベツは匂いを発して、コナガの幼虫に寄生するハチを誘い出すので、コナガはハチにやられてしまいます。でもコナガとモンシロチョウの幼虫が一緒にキャベツを食べると、キャベツは違う匂いを発するので、ハチは来ません。このためコナガの母親は、モンシロチョウの幼虫がいるキャベツを選んで産卵します。そこがコナガのすごいところです。
 カブトムシやクワガタのようなスター性はないけれど、地味な昆虫にも驚くべき生態があります。そんな地味な虫に取りつかれた研究者たちが、みずからの研究内容を熱く語ります。アリやテントウムシなど、身近にいる虫の見方が変わります。

『21世紀の「女の子」の親たちへ 女子校の先生たちからのアドバイス

  • おおたとしまさ=著

  • 祥伝社=刊

  • 定価=1,500円+税

  • 対象:保護者向け

わかっているようで 実はわかっていない 娘にとっての幸せ

 同性ゆえ、母は娘の気持ちがわかると思いがち。でも「自分と娘は違う人間だと意識することが大事です」と言うのは鷗友学園女子中学高等学校の大内まどか先生。たとえば理系に進むと決めた娘に、理系科目が苦手だった母親は、「本当に大丈夫?」と繰り返し尋ね、娘もぐらついてしまう。そんなケースもあるそうです。
 グローバル化、生き方の多様化が進み、女性のキャリア形成の在り方も変わりつつあるなか、女の子を持つ親はわが子とどう向き合ったらよいのでしょうか。桜蔭・女子学院・神戸女学院など、女子校のベテラン先生たちの声を紹介しながら、教育問題に詳しい著者が21世紀を生きる女の子の子育てについてアドバイスします。

その道のプロに聞く 生きものの持ちかた』

  • 松橋利光=著

  • 大和書房=刊

  • 定価=1,500円+税

突然やってくる 生きものとの遭遇も 備えあれば憂いなし


新越谷校 校舎責任者

 子どものとき、よく虫を捕まえては首根っこを持って、顔の前で「こんにちは」なんて言っていました。時には力を入れ過ぎてつぶしてしまうこともありましたが、虫の持ちかたはそうやって体感で身につけていました。今は虫に触る機会がない子どもたちが多いと思いますが、いきなり虫に遭遇して、捕まえたいと思うときがあるかもしれません。そんなときに役立つのがこの本です。
 昆虫だけでなくイヌやネコ、ハムスターなどのペット、さらにはヘビやサソリ、オオトカゲなどまで、生き物カメラマンの著者や獣医さん、ペットショップのオーナーなどが持ちかたを教えてくれます。たとえばシマリスは、人差し指と親指で首の後ろの皮膚をつまんで、ぶらさげるようにして持ちます。ペットとして飼っている人でもこういう持ちかたはあまりしないと思いますが、野生の動物の親が、こうやって子どもを口にくわえて運んでいるのを見たことはないでしょうか。そんなことを考えながら読むのも楽しいと思います。生き物の生態や世話のしかたも簡単に紹介されています。爪の切り方一つをとっても、生き物によってさまざまです。「カメも爪を切るんだ」なんて驚くこともあるかもしれません。
 モデル役の生き物は、どれもきれいな選りすぐりの個体ばかり。カナヘビは動物園などでは普通、しっぽが取れて短くなっているものしか見られませんが、本書に登場するカナヘビは、しっぽがからだの2倍くらい長くて完璧。「持ってみたい」と思ってもらえるよう、工夫して撮影しているのがわかります。
 猫カフェなど生き物と遊べるところに行きたいと思っている人、きちんと持ちかたを知っていますか。ハムスターを飼っている人、ハムスターが嫌がらない持ちかたをしていますか。カニやザリガニを飼ってもすぐ死なせてしまう人、持ちかたが悪くてストレスを与えたからではないですか。思い当たることがあったら、ぜひこの本を開いてみてください。

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