受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

Booksコーナー

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2021年1月のBooks

 毎年変わらずやってくるのが祝日や記念日。祝日は誰もが知っていますが、祝日以外にもたくさんの記念日があります。たとえば1月22日は「カレーの日」。1982年のこの日、全国の小中学校の給食で一斉にカレーライスが出されたそうです。食べ物の記念日はほかに、平安時代の宮中行事に由来する「和菓子の日」、イタリアの王妃の誕生日に由来する「ピザの日」などさまざま。今月紹介する『366日じてん』を見れば、「今日が何の日か」すぐに調べられます。

『神様のパッチワーク』

  • 山本悦子=作

  • 佐藤真紀子=絵

  • ポプラ社=刊

  • 定価=1,300円+税

  • 対象:小学校中学年向け

養子って気の毒なの? おれって、 かわいそうな子なの?

注目の一冊

 結は4年生の男の子。家はみかん農家で、両親と2歳違いの姉との4人暮らしです。ある日、学校で家族に向けた手紙を書くことになった結。テーマは家族への感謝と将来の夢についてです。結はさっそく手紙に育ててくれた両親と、生んでくれたお母さんへの感謝のことばを書きました。
 結は生まれてすぐ、特別養子縁組で今の両親のところに来ました。そのことはクラスのみんなも知っています。ところがそのことを初めて聞いた転校生のあかねは、焦って結にこんなことを言うのでした。「ごめんね。悪いことを聞いちゃって」。どうして謝るんだろう。結は首をかしげます。将来の夢を書くときも結は考え込みます。結の家は「後継ぎがほしくて養子をもらった」とうわさされているからです。おれの将来は決まってるってことなの?
 特別養子縁組をした子どもとその家族の物語です。両親に大切に育てられている結は、自分が養子だということをあまり意識したことがありません。でも同じく、生まれてすぐ特別養子縁組で両親の子どもになった姉の香は、複雑な思いを抱えます。
 どこで生まれようと、人間はもともとそれぞれが違う存在。違う人が集まって家族になる。だから家族の形はさまざまでいい。そんな作者のメッセージが伝わってきます。家族とは何でしょう。家族にとって大切なことは何なのでしょう。家の裏山に広がるみかん畑。母が作るみかんマフィン。父と入るゆずの皮の入ったお風呂。甘酸っぱい香りが物語を温かく包みます。

せとうちたいこさん ふじさんのぼりタイ』

  • 長野ヒデ子=作

  • 童心社=刊

  • 定価=1,300円+税

  • 対象:幼児向け・小学校低学年向け

タイの家族が富士山の頂上でご来光 めでたいものづくし!

 「せとうちたいこさん」は、何でもやってみたがりのタイのお母さん。海から見える富士山がとてもきれいなので、富士山と友だちになりたいと、富士山のところまでやってきました。さっそく富士山と遊ぶことにしましたが、魚のタイと富士山、いったいどんな遊びをするのでしょうか。
 25周年を迎えた「せとうちたいこさん」シリーズの最新刊。好奇心旺盛のたいこさんが、タイの行列の先頭に立って、富士山に登って楽しく過ごします。富士山の笠雲の種類、全国にある「富士」という名の付く山、富士山誕生の歴史もわかります。富士山のふところ深くに入った気分で、「富士山ってやっぱりすごい」という気持ちになる絵本です。

『アルマの名前がながいわけ』

  • フアナ・マルティネス-ニール=作

  • 宇野和美=訳

  • ゴブリン書房=刊

  • 定価=1,500円+税

  • 対象:幼児向け・小学校低学年向け

長い長い名前には 家族の物語が 込められている

 アルマの名前は、正式にはアルマ・ソフィア・エスペランサ・ホセ・プーラ・カンデラ。全部書こうとすると、長すぎて紙からはみ出してしまいます。でもパパは言います。「この名前にはどれも一つひとつ、物語があるんだよ」と。まずソフィア。これはおばあちゃんからもらった名前です。おばあちゃんは本と詩とジャスミンの花が好きでした。アルマも本と花が好きです。
 そんな、ある女の子の名前の由来にまつわるお話です。アルマの名前には、一生懸命に生きた家族の歴史が刻まれています。さてあなたの名前にはどんな由来、どんな意味がありますか。誰もが自分の名前の由来を知りたくなる、自分の名前が好きになるお話です。

きょうはなんの記念日? 366日じてん』

  • 平野恵理子=著

  • 偕成社=刊

  • 定価=2,000円+税

  • 対象:小学校低学年向け・小学校中学年向け・小学校高学年向け

今日は何の日? 何が起きた日? 記念日で知る身近な歴史

 1月の祝日といえば「元日」と「成人の日」。休日ではありませんが、1月にはほかに「月ロケットの日」「スキーの日」「都バスの日」「カレーの日」といった記念日もあります。1年365日または366日、そのどの日も毎日のように、歴史的な出来事があったり、何かが発見されたりした日なのです。そんな366日、それぞれの日の出来事や記念日を、イラストつきで紹介しています。
 特に多いのは、「初めて○○した日」です。身近な生活にかかわる歴史がわかります。どんなことが記念日になったかで、人々が何を大切にしてきたかもわかります。「自分の誕生日はどんなことがあった日だろう」と調べるのも楽しいのではないでしょうか。

『フン虫に夢中』

  • いどきえり=著

  • 中村圭一=解説

  • くもん出版=刊

  • 定価=1,400円+税

  • 対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け

中高時代から 観察・実験を続け 夢の博物館を実現!

 フン虫とはその名のとおり、動物のウンチを食べる虫のこと。カブトムシやコガネムシと同じ甲虫の仲間です。中村圭一さんは中学生のときにフン虫に出合ってから大好きになり、ついには自分でフン虫だけの博物館をつくりました。といっても中村さんは研究者ではありません。サラリーマンを続けながら研究を続け、50歳のときに会社を辞めて博物館を開いたのです。
 中村さんの歩みをフン虫の魅力とともに紹介します。中村さんのフィールドは自宅近くの奈良公園。中高時代に奈良公園で仲間と行ったフン虫の観察と実験は、博物館実現のベースになっています。夢を実現するにはどうすればよいか、参考になる話がいっぱいです。

『てっぺんの上』

  • イノウエミホコ=作

  • スカイエマ=絵

  • 文研出版=刊

  • 定価=1,400円+税

  • 対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け

思ったことを言うって 難しい、でも 話さないと伝わらない

 5年生の始業式の日、母は家を出て行きました。「遠くへ行きます」と書かれたメモだけを残して。それ以来、エナが何度も思い出すのは、その直前に交わした母との会話でした。母とけんかになり、「家にいたくないんだったら、どこにでも行けばいいじゃん!」とつい言ってしまったのです。わたしのせいでお母さんは出て行った。エナは罪悪感でいっぱいになりました。
 エナの母を思う気持ち、家族で一緒に暮らしたいと思う気持ちが、読む人の胸に迫ります。人とは必要以上に近づかないほうがいい、思っていることは言わないほうがいい。そう思って生きてきたエナが、新しい出会いを通じて変わっていきます。

『5分でたのしむ数学50話』

  • エアハルト・ベーレンツ=著

  • 鈴木直=訳

  • 岩波書店=刊

  • 定価=1,300円+税

算数が好きな人に 知ってほしい 数の論理のおもしろさ


千葉校 校舎責任者

 算数というと、ドリルの問題を決められた時間内に間違えずに解く、そんなイメージもあると思います。しかし算数の本来のおもしろさは、時間を気にすることなく、論理を突き詰めていくところにあります。そんな算数・数学の本質に触れられる本です。
 もともとはドイツの新聞に掲載された数学者の連載コラムで、「数の世界」「ゼロと素数」「図形」「確率」など内容別に章分けされた50話が掲載されています。第1章「いろいろな数の世界」の第1話は整数の話です。まず好きな3桁の整数を思い浮かべて、それを2回続けて書いてみます。たとえば761761。この6桁の数を7で割った余りの数をラッキーナンバーとします。「どんな3桁の整数を選んでもいいので、計算したラッキーナンバーをはがきに書いて送れば、その数と同じ枚数の100ユーロ紙幣を送ってあげましょう」。そんなことが書いてあります。ところが計算してみると、どんな数を選んでもラッキーナンバーは「0」。なぜだか知りたい人は本文を読んでみてください。
 なかには、高校の数学を知らなければ理解できないような数式も出てきます。逆に数学者の生い立ちや法則の発見にからむエピソードなど、数学史の読み物として楽しめるものもあります。一つひとつのトピックは短く、短時間で読めるようになっていますが、読みやすいもの、興味を持ったところをじっくり読むほうがいいと思います。
 わからなかった問題が解けたときの達成感は格別です。解けたのは何となく解けたからではなく、正解の背後にある論理がきちんと理解できたからです。人を引きつけてやまない論理のおもしろさが数学の魅力です。小学生の段階で読むには難しい部分もあるので、算数好きの人が中学で数学を習うようになってから、あるいは数学に興味がある保護者の方にお薦めしたい一冊です。

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