受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

Booksコーナー

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2021年2月のBooks

 日本でいちばん大きい図書館といえば、東京都千代田区にある国立国会図書館です。国内で発行されたほぼすべての本と雑誌が収納されています。そのためになんと地下8階、深さ約30mの地下書庫があるそうです。地下にあるものというと、地下鉄や地下街が思い浮かびますが、防火水槽、洪水を防ぐための放水路などさまざまなものが埋まっています。今月紹介する『分解する図鑑』は機械や道具の内部、地下の施設など、ふだんは隠れて見えないものを見せてくれます。縁の下の力持ちの世界、のぞいてみませんか。

『ひかりの森のフクロウ』

  • 広瀬寿子=作

  • すがわらけいこ=絵

  • 国土社=刊

  • 定価=1,400円+税

  • 対象:小学校中学年向け

おじさんの手を離れて ホーちゃんは 空高く飛んでいった

注目の一冊

 「もどき」ということばを知っていますか。ものを表すことばの下に付くと、それに似ているものという意味になることばです。
 「森みたいだけど森じゃない、こういうの、森もどきっていうんだ」。哲にこう教えてくれたのは兄ちゃんでした。父さんが母さんと別れて、兄ちゃんを連れて遠い町に行ってしまう日、哲は兄ちゃんと小学校の裏にあるフクロウ森を見に行きます。哲は小さいころ、兄ちゃんと「フクロウ森のものがたり」という絵本を作りました。でもフクロウ森には行ったことがなかったので、別れの日に行ってみることにしたのです。
 兄ちゃんが言った「森もどき」は、フクロウ森に行く途中にある、木が生い茂った民家の庭のことです。そこで哲は、投げた石でトカゲを傷つけてしまいます。逃げ去ったトカゲが残した切れたしっぽ。しょんぼりする哲に「また生えてくるよ」と、兄ちゃんはなぐさめるのでした。やがて森もどきの民家に住む、文平おじさんと知り合いになった哲。兄がいなくなった寂しさを引きずる哲のように、文平おじさんもまた過去の深い悲しみを抱えていました。
 物語の途中では登場しなかったフクロウとフクロウ森が、最後に圧倒的な存在感で登場するシーンが印象的です。哲と文平おじさんの思いにていねいに触れながら、絵本を読むようにゆっくり味わってほしい物語です。

『くまのこのるうくんと おばけのこ』

  • 東直子=作

  • 吉田尚令=絵

  • くもん出版=刊

  • 定価=1,200円+税

  • 対象:幼児向け・小学校低学年向け

うれしい気持ちも 寂しい気持ちも 二人は一緒

 ある日、散歩に出かけたくまのこのるうくん。いい天気だったので、「ぽんぽん山」に登ることにしました。山に続く一本道を、目をつぶりながらスキップしていたら、何かふんわりしたものにぶつかってしまいました。目の前にいたのは白い「おばけのこ」でした。仲良くなった2人は、一緒にぽんぽん山に登ることにしました。
 茶色いふさふさした毛の、くまのこのるうくんと、白いふわふわしたからだのおばけのこ。気が合う2人の友情物語です。お互いを思いやる気持ちが温かく、そしてちょっとせつないお話です。見開きページすべてに挿し絵が入っているので、絵本から読み物へと読書の幅を広げようとしている年齢の子どもにぴったりです。

『なぞなぞのにわ』

  • 石津ちひろ=なぞなぞ

  • 中上あゆみ=絵

  • 偕成社=刊

  • 定価=1,200円+税

  • 対象:幼児向け・小学校低学年向け

「いったいなあに?」 絵の中に隠れた 答えを探そう

 「生まれたときはまっ白で、時間がたったらまっ黒け。寒いときはまん丸で、暑くなったらぺっしゃんこ。さていったいなあに?」わかりますか。寒い季節に作ったことがある人もいるでしょう。答えはそう、「ゆきだるま」です。
 身近な自然を題材にしたなぞなぞ集です。ピンクの桜が空をおおい尽くす春、ヨットが浮かぶ海がまぶしい夏、赤や黄色の葉に彩られた秋、雪景色に散らばるツバキの赤がきれいな冬。季節ごとに豊かな表情を見せる庭の絵の中に、なぞなぞの答えが隠されています。親子で一緒に答えを探してもいいでしょうし、絵の中に隠されたものを見つけて、自分たちでなぞなぞを作ってみても楽しそうです。

小学館の図鑑NEO+ 分解する図鑑』

  • 監修・指導=森下信

  • 監修・指導=石井克枝

  • 監修協力=水野仁輔

  • 小学館=刊

  • 定価=1,900円+税

  • 対象:小学校低学年向け・小学校中学年向け・小学校高学年向け

どうなっているの? どうやって動くの? 中をのぞいてみよう

 たとえば学校で使う鍵盤ハーモニカ。ピアノのように大きくないのに、どうやって音が出せるんだろう、中はどうなっているんだろう、なんて思ったことはありませんか。
 スマートフォンやテレビなど身近な器具・機械から、自動改札機やトンネルなど大きな物まで。どのような仕組みで動いたりはたらいたりしているのか、内部の写真やリアルなイラストで見せてくれます。この本を作るために、実際に分解して、組み立て直した物も多数あるそうです。食べ物や身近な生活用具などの原材料に焦点を当てたページもあります。身近な物でも、ふだん見えないところから見てみると、新しい発見がいっぱい出てくるでしょう。

『ライラックのワンピース』

  • 小川雅子=作

  • めばち=絵

  • ポプラ社=刊

  • 定価=1,400円+税

  • 対象:小学校高学年向け

じいちゃんは言った 「選ばなくていい、 好きなら全部やればいい」

 地元のクラブで活躍するサッカー少年、トモにはひそかな趣味があります。それは裁縫です。姉に頼まれた巾着袋を作るときなど、どんな生地にしようかと考えるだけでわくわくしてきます。祖母が亡くなってしばらくしたある日、クリーニング店を営む祖父のところで、お客さんに返し忘れた服を見つけたトモ。お客さんがいるハーブ園に服を返しに行った先で、出会ったのが、丈の短い青いワンピースを着た少女、リラでした。
 リラのために奔走するトモの姿を横糸に、ていねいに仕事と向き合ってきた祖父母の生き方を縦糸に、物語は紡がれていきます。好きな道を進むことの大切さを知っていくトモの姿がさわやかに描かれています。

『エリーゼさんをさがして』

  • 梨屋アリエ=作

  • 講談社=刊

  • 定価=1,400円+税

  • 対象:小学校高学年向け

ピアノを弾くには 巧みな手でなくていい 優しい手になればいい

 ピアノを習っている亜美。ところがちっともうまくならないため、母にピアノをやめさせられてしまいます。亜美はピアノを弾くのが好きなのに。母は何でも思いどおりにしないと気が済まないのです。ある日、介護施設の伴奏ボランティア募集のチラシを見た亜美は、ふとしたことからギター好きの女子高生と知り合い、一緒にボランティアをすることになります。
 ピアノを弾く娘がいるおばあさんのエリーゼさん、ぐいぐい距離を縮めてくる美術男子の水野くん、かっこいいギター高校生のポーラCさん。新しい出会いのなかで変わりゆく日常が、気が弱くいつも人に謝ってばかりいた亜美を、少しずつ強くしていきます。

『夢中になる! 江戸の数学』

  • 桜井進=著

  • 集英社=刊

  • 定価=480円+税

江戸時代は娯楽だった!? 知ってほしい 算数本来の楽しさ


お茶の水校 校舎責任者

 中学受験の算数というと、どうしても正解すること、点数を取ることが要求されます。もちろん必要なことではありますが、それがうまくいかないと嫌な気持ちになってしまう。そんなところから、小さいころは算数が好きだったのに、高学年になってから算数に気持ちが向かなくなった、という人もいるのではないでしょうか。
 もともと算数や数学には、難しい問題にチャレンジする楽しさ、考えて気づく楽しさ、答えが出る楽しさがあります。江戸時代にはそういう感覚で人々は和算を楽しんでいました。和算とは、江戸時代に発展した日本独自の数学です。当時は大名から庶民まで、受験のためでもなく、何かに役立たせるためでもなく、人々は娯楽のように、和算に親しんでいたようです。この本はそんな和算の魅力を3章に分けて紹介しています。第1章は和算の概要、第2章は円周率の解明、第3章は和算と現代とのつながりについて述べています。実際、「継子立て」「絹盗人算」「俵杉算」などは今の中学入試でよく出てきます。サピックスの授業でも「継子立て」などを説明すると、初めて聞いた子どもたちは感動します。知ってみれば「なるほど、すごい」と納得でき、今でも生かされていることがわかります。
 巻末には和算の練習問題が載っています。なかには4~5年生ぐらいでも取り組めるものもあります。せっかく算数を学んでいるのですから、受験算数で終わってほしくありません。算数を算数として素直に楽しむ、そういう気持ちを持ってほしいと思います。算数は正解へのこだわりが強くなりがちな教科です。でもわかっていても正解しないことがあるのが算数です。大切なのは結果より過程です。たとえ最適な解き方でなくても、自分なりに考えた過程を受け止めてくれる環境があれば、算数嫌いにはならないでしょう。その意味で保護者の方に読んでいただければ、お子さんを楽しい算数の世界に導く参考になると思います。

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