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歴史小説は歴史上の人物や出来事を題材にした物語。激動の時代を背景にしたスケールの大きさ、スリルある物語展開など、おもしろい要素が詰まった作品がたくさんあります。今月紹介する『アテルイ』もその一つ。社会科の教科書にも出てくる「坂上田村麻呂」や「蝦夷と朝廷の戦い」が題材で、大切なものを守ろうとする主人公の姿から、歴史上の出来事の背景には、その時代を生きた人の強い思いがあることがわかります。史実と想像で紡ぐ物語の世界、あなたも歩いてみませんか。
『夜叉神川』
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- ◆安東みきえ=作
- ◆田中千智=画
- ◆講談社=刊
- ◆定価=1,540円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け
川の神さま、守ってください ぼくたちが、恐ろしい ばけものにならないように
塾で知り合った辻くんと、夜叉神川上流の山奥に釣りに来た主人公。「魚は食わなきゃ。食ってこその魚釣りだからな」と辻くん。釣りはスポーツではなく漁だ、という考えには主人公も同感でした。特に釣った魚をその場で食べるのは最高です。
2人の狙いは山女魚。辻くんが3匹釣ったので、塩焼きにしようとナイフでさばき始めたそのとき、主人公の心はざわつきます。手早くさばくのが常識なのに、辻くんは魚の腹の中に指を入れて、何やらまさぐっているのです。そして取り出した赤黒いものを手のひらに乗せて、ニッと笑いました。まだ動いている山女魚の心臓でした。
日常生活のなかでふと、不安な気持ちになることはありませんか。誰もいないのに誰かがいるような気がしたり、自分のなかのずるい部分が気になってどきどきしたり。あるいは、身近な人の心の闇をのぞき見てしまったり。人間の心のなかには、恐ろしい夜叉と優しい神の二つが同居している、そんなことを思い起こさせる不思議な物語を集めた短編集です。
収録されているのは、釣りでの恐怖の体験を描く「川釣り」、ガラス越しに見る景色から生まれた「青い金魚鉢」、鬼をまつる神社を舞台にした「鬼ヶ守神社」、老人との奇妙な交流を描く「スノードロップ」、戦時中の西表島の悲しい歴史を背景にした「果ての浜」の全5話。「魂という漢字に鬼の字が入っているのは、もともと人の心には鬼がすんでいるから」。「鬼ヶ守神社」の中で語られるこのことばが、五つの物語をつなぎます。
『さいがいで かつやくする くるま』
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- ◆こわせもりやす=作・絵
- ◆偕成社=刊
- ◆定価=1,320円(税込)
- ■対象:幼児向け
頼りになる車たち 前から、後ろから、 横からよく見てみよう
前から見れば大きな赤い車体。後ろから見れば「消防本部」の文字。消防車かなと思って横から見ると、高いところから周りを照らせる照明装置や、重いものを持ち上げるクレーン、ロープなどの救助道具が搭載されています。そう、これは消防車ではなく、レスキュー隊員を乗せて人々を助けに行く救助工作車などです。
ほかにも中型水陸両用車、特殊救急車、排水ポンプ車など、災害が起こったときに駆けつけてくれる、働く車たちが続々登場。初めに車の前と後ろの姿を見て、「どんな車かな?」と考えてから、ページをめくって確かめてください。どれも一台の中に、人々を助ける機能がぎゅっと詰まった頼もしい車たちです。
『クマとこぐまのコンサート』
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- ◆デイビッド・リッチフィールド=作
- ◆俵万智=訳
- ◆ポプラ社=刊
- ◆定価=1,540円(税込)
- ■対象:幼児向け・小学校低学年向け
クマは思った ぼくはやっぱり ピアノが弾きたい!
ピアノが大好きなクマのブラウン。ふるさとの森から街に移り、仲間と一緒に世界中でコンサートをして大スターになりました。やがて時は流れ、ブラウンは年をとり、迫力あるピアノ演奏ができなくなりました。もう誰も拍手をしてくれません。ブラウンは寂しく森に帰ることにしました。ところが、すべてをひっくり返す出来事が起きたのです。
たとえスターでなくても、たとえステージに立てなくても、音楽が与えてくれる喜びは変わりません。音楽は親と子、そして昔からの友だち同士をつないでくれます。「クマと森のピアノ」シリーズの第3弾。森の木漏れ日、暗い森から眺める夜の街明かり。美しい光が物語を温かく照らします。
『アテルイ 坂上田村麻呂と交えたエミシの勇士』
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- ◆おおぎやなぎちか=作
- ◆江頭大樹=絵
- ◆くもん出版=刊
- ◆定価=1,650円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け
おれはエミシの長だ みなが願う未来へ 民を導かなくてはならない
アテルイは北の地に生まれたエミシの子。10歳になったある日、狩りをしていた野で、ひょんなことから身なりの立派な鶴丸と名乗る少年の命を救います。都人の鶴丸と、都人が野蛮人とさげすむ民であるエミシの子、アテルイ。この偶然の出会いは、お互いを忘れられない存在にしました。
奈良時代から平安時代の初めにかけて、今の東北地方にはエミシといわれる人たちが暮らしていました。朝廷は彼らの土地を勢力下に置こうと兵を送り込みました。エミシを率いて対抗するアテルイ。そして朝廷軍を指揮しつつも平和を願う坂上田村麻呂。進むべき未来をかけた勇気ある2人の姿を、壮大なスケールで描く歴史物語です。
『値段がわかれば社会がわかる はじめての経済学』
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- ◆徳田賢二=著
- ◆筑摩書房=刊
- ◆定価=902円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け・一般向け
商品とともに育つ「値段」 その長い旅を知って 経済を見る目を養おう
スーパーや八百屋さんの店頭に並ぶ野菜は、元をただせば一粒の種から始まります。農家が種から育て市場に出荷して、店頭に出て販売されます。その過程で商品とともに「値段」が生まれ、育っていきます。
そんな値段の旅の道筋を追いながら、わたしたちの社会生活のなかで経済がどう動いていくかを解き明かす、経済学の入門書です。値段の意義と役割から、値段が決まるメカニズム、生産者と値段との関係、市場のしくみ、小売店の値段戦略、消費行動まで。具体的な生活場面に即して説明されているので、値段の旅に多くの人がかかわり、それによってわたしたちの生活が支えられていることがよくわかります。
『AI時代に生きる数学力の鍛え方 思考力を高める学びとは』
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- ◆芳沢光雄=著
- ◆東洋経済新報社=刊
- ◆定価=1,980円(税込)
- ■対象:保護者向け
弊害だらけの“暗記数学”に 陥らないための 考える力を養う学びとは?
同じことを問う問題でも、出し方を変えると解けなくなる。よく指摘されることです。平行四辺形の面積を求める問題でも、図の高さの示し方を変えたり、図そのものを回転させたりすると正答率が下がるのです。「底辺×高さ」という面積の公式だけを暗記して、「底辺」「高さ」とはそもそも何かという認識があいまいだからだと著者は言います。
数学・算数の豊富な指導経験を持つ著者が、わが子を“暗記数学”に陥らせない、思考力を高める学び方をアドバイスします。問題例を通して、“暗記数学”の教え方と、プロセス重視の教え方とを比較して説明しているのでわかりやすく、明日から実行したくなることが詰まっています。
『この形にはワケがある! ゆかいな実験器具図鑑 ビーカーくんとそのなかまたち』
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- ◆うえたに夫婦=著
- ◆誠文堂新光社=刊
- ◆定価=1,650円(税込)
実験器具のキャラクター図鑑 読めば理科の授業が ちょっとだけ楽しくなる!?
若葉台校 校舎責任者いろいろな実験器具を楽しいキャラクターで紹介しています。それぞれのキャラクターには特徴があります。着火しやすい、転がりやすい、洗いにくい等々。間違って使うと大変なことになるものも多く、たとえば「三角フラスコくん」には怖い体験があります。すごい暑さで目が覚めたら、下から「アルコールランプくん」に加熱されていたのです。三角フラスコは加熱NGなのに。「丸底フラスコくん」にも怖い体験があります。彼は加熱はオーケーですが、加熱されていたとき沸騰石が入っていなかったことに気づいて大あわて。液体を加熱するときは沸騰石を入れないと、急激な沸騰が起きて危険なのです。
中学入試でも実験器具に関する問題は多く、間違った使い方をするとどうなるかといった問題もよく出るので、覚えておくと役に立つはずです。
最初は知っている器具のところだけを読んでもいいでしょう。中学・高校に上がってからまた読むと、「あ、これ使った」というものが増えているでしょう。ちなみにわたしのいち押しキャラは「スチールウールくん」。燃焼反応の実験で使うスチールウールは、燃焼前後のギャップがすごく、燃焼後は黒くくたびれた「スチールウールじいさん」になってしまうんです。
副題は「この形にはワケがある!」。実験器具は用途によっていろいろな形をしています。「どうしてこうなっているんだろう」というところから、ものには意味があることを知ってくれればうれしいです。理科とは基本的に、何でも、何かしらの意味があるという考え方をするものだからです。理科好きの人はもちろん、理科に興味がない人でも、読めばいつもよりちょっと理科の授業が楽しくなるかもしれません。より学習効果を高めたい人には、同じ著者の『ビーカーくんのゆかいな化学実験』もお薦めです。
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