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平安時代といえば1000年ほど前の遠い昔。でも当時の貴族の男の子たちも、インドア派はゲーム(囲碁やすごろく)、アウトドア派はサッカー(けまり)が好きでした。ファッションに気を遣ったり、うわさ話が好きだったりするところも今と同じです。今月紹介する『平安男子の元気な! 生活』では、平安貴族の男子たちがどんな毎日を過ごし、どんな人生を送っていたかを紹介しています。今と同じように競いつつも、悩みながらがんばっていた平安男子たち。その暮らしぶりを見てみませんか。
『ぼくはおじいちゃんと戦争した』
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- ◆ロバート・K・スミス=著
- ◆こだまともこ=訳
- ◆あすなろ書房=刊
- ◆定価=1,320円(税込)
- ■対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け
頑固で意地っ張り 似た者同士の2人 その戦いの決着は?
事件は、妹のジェニーのひと言から始まりました。「あたし、いいこと知ってるんだ」。両親の電話を盗み聞きしたジェニーによれば、大好きなおじいちゃんが一緒に暮らすことになったとのこと。それはピーターにとってもうれしい話でした。
ところが、なんとピーターの部屋をおじいちゃんが使って、ピーターは3階の暗くて怖い部屋に移らなくてはならないというのです。2階にある今の部屋は、ピーターがずっと暮らしてきたお気に入りの場所です。「絶対に何があってもいやだ!」。大声を出して両親に訴えるピーターでしたが…。
自分の部屋を取り戻そうと、おじいちゃんと「戦争」を始めたピーターの物語です。戦争といっても相手は、小さいころからよく遊んでくれた大好きなおじいちゃん。しかも、おばあちゃんが亡くなってから、おじいちゃんは元気がありません。「自分はなんてひどいことをしているんだろう」「いや、一方的に自分の部屋を奪われたくはない」。二つの気持ちの板挟みに悩みつつ、戦いはエスカレートしていきます。
「戦争をしたがるのは愚か者だけだ」。おじいちゃんのことばの真意を理解できず、戦争を続けようとするピーター。戦う理由はあるにしても、「この仲の良い2人がなんで戦争を?」と思わざるを得ません。そこに物語のおもしろさ、そして奥深さがあります。映画『グランパ・ウォーズ おじいちゃんと僕の宣戦布告』の原作本です。37年前に出版された本で、当時のアメリカの子どもたちの日常生活を生き生きと描きながら、大切なことを教えてくれます。
『でんしゃとしょかん』
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- ◆深山さくら=文
- ◆はせがわ かこ=絵
- ◆文研出版=刊
- ◆定価=1,430円(税込)
- ■対象:幼児向け
本が好きな子も 電車が好きな子も みんな集まれ
広い団地の中の小さな公園に、その黄色い電車はありました。電車といっても走るわけではありません。中に本をたくさん載せた、電車図書館です。散歩途中の幼稚園の子どもたちがやってきて、友だちと一緒に絵本をめくったり、小学校帰りの高学年の子どもが、小さい子どもたちに読み聞かせをしてあげたり。運転席に座っている子どももいます。みんな電車図書館が大好きなのです。
お話の基になったのは、東京都東村山市にある「くめがわ電車図書館」です。西武鉄道の古くなった車両を改造して造られたもので、地元のボランティアの人たちが運営しています。こんな図書館が家の近くにあるといいですね。
『エナジが紹介 エネルギーの仲間たち』
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- ◆ジョセフ・ミッドサン=作
- ◆サミュエル・ヒーティー=絵
- ◆羽村大雅=訳
- ◆くもん出版=刊
- ◆定価=1,650円(税込)
- ■対象:小学校低学年向け
エネルギーって何? どこでどう使われている? イラストで楽しく紹介
車や電車を動かすときに使うエネルギー。水を沸騰させ、液体から水蒸気に変えるエネルギー。エネルギーはいろいろなところに隠れています。その“故郷”は太陽です。太陽から光と熱のエネルギーがやってくるおかげで、地球上で生き物が暮らすことができるのです。
さまざまな姿で身近に潜むエネルギーについて、キャラクターのエナジくんが、楽しいイラストと写真を使って教えてくれます。エネルギーの誕生・種類・変換のほか、化石燃料を使う問題点、再生可能エネルギーの可能性にも触れていきます。エネルギーの全体像をつかみながら、人間生活との関係を解き明かしていく、科学の基礎がわかる絵本です。
『神さまの通り道 スサノオさんキレてるんですけど』
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- ◆村上しいこ=作
- ◆柴田ゆう=絵
- ◆偕成社=刊
- ◆定価=1,320円(税込)
- ■対象:小学校中学年向け
自分だけのはずの 新しい部屋に 変な神さまが同居!?
家の裏庭に自分だけの部屋を造ってもらって、大喜びのガンちゃん。でもパパはちょっと心配そう。「家の裏の土地は神さまの通り道。何も建ててはいけない」と、代々伝えられてきたからです。その夜、自分の部屋に入ったガンちゃんは、天井近くに雲が浮かんでいるのを見つけます。雲の上にはなんと、小さなおじいさんが寝ころんでいました。
変な神さま、スサノオノミコト、自称スーさんが、ガンちゃんの生活に割り込んできて大騒ぎ。人の道に外れたことが嫌いなスーさんですが、自分勝手なところもあって、お気楽な小学生のガンちゃんとはいいコンビです。2人が一緒にクラスメートの悩みを解決する、楽しく心温まるお話です。
『クルミ先生とまちがえたくないわたし』
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- ◆令丈ヒロ子=作
- ◆雛川まつり=絵
- ◆ポプラ社=刊
- ◆定価=1,430円(税込)
- ■対象:小学校中学年向け・小学校高学年向け
大人げない大人と 子どもっぽくない子ども 2人が一緒に暮らすと…
パパと2人暮らしのモトキは、5年生ながら家事と学校生活をきちんとこなすしっかり者。でも出張期間中に独りになるのを心配したパパは、モトキを親戚の開業医、クルミ先生に預けます。クルミ先生は仕事に熱中し過ぎるせいか、髪はぼさぼさ、部屋は散らかり放題、料理の経験もゼロ。何事も間違いがないよう計画的にやってきたモトキには、驚くことばかりでした。
不器用で大人げないところがあるクルミ先生と、大人顔負けのしっかり者のモトキ。正反対の2人がぶつかり合いながらも、互いに受け入れ合っていく過程を、楽しくさわやかに描きます。作者は開業医の家で育ったというだけに、お医者さんの生活がよくわかります。
『平安男子の元気な! 生活』
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- ◆川村裕子=著
- ◆岩波書店=刊
- ◆定価=968円(税込)
- ■対象:小学校高学年向け
連日の儀式に出世競争 平安貴族の毎日は こんなにハード
夜明け前、京の都に太鼓の音が響きます。一日のスタートを告げる合図です。お役所勤めの平安貴族、藤原行成くんも起きて、身支度を整え、大内裏へ向かいます。彼らの正装は「束帯」といわれるもの。何枚もの衣を重ねて着るので重く、偉い人に会うたびに着たり脱いだりするうちに、行成くんは頭がくらくらしてしまうのでした。
食べ物からファッション、趣味、働き方、結婚・恋愛事情まで、平安男子がどんな生活、どんな人生を送っていたのかを、実在の人物や物語の人物のエピソードを通して楽しく教えてくれます。優雅に見える平安貴族ですが、現代と変わらないところもあり、平安時代が身近に感じられます。
『WHAT IS LIFE? 生命とは何か』
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- ◆ポール・ナース=著
- ◆竹内薫=訳
- ◆ダイヤモンド社=刊
- ◆定価=1,870円(税込)
人類は何を探究してきたのか 生物学の全体像を概観し 生命の本質に迫る
町田校 校舎責任者ノーベル医学・生理学賞を受賞した生物学者が一般読者向けに、「細胞」「遺伝子」「自然淘汰による進化」「化学としての生命」「情報としての生命」という五つのテーマから、生命のしくみをやさしく解き明かします。その過程で、これまで世界の研究者たちがどんなことを考え、何を発見してきたか、という成果がひと通り見える形になっています。
生物学の本というと、図解を交えた解説書が多いと思いますが、この本は著者の体験を交えながら、エッセイ風に書かれていて読みやすくなっています。難しい用語も出てきますが、サピックスで5・6年生が使う理科の資料集に出てくるものもあるので、わからないところは調べながら読むのもいいでしょう。
第1章~第5章では研究の成果だけでなく、そのための実験の進め方も紹介されていて、研究する際に何が大切なのか、また複雑なものを調べるにはどうするのか、どう研究対象を絞るとやりやすいのか、といったこともわかります。著者自身は菌類の研究をした人で、そこから細胞が分裂を繰り返すメカニズムを解明し、それがヒトの細胞にも当てはまることをつきとめました。そうした自身の研究体験が、地道な作業の苦労話などとともに語られていて、これもおもしろいと思います。
後半の二つの章では、未来に向けての生物学の可能性と、本書のテーマ「生命とは何か」について語っています。ここでは生物の研究成果が実生活にどう生かされているのか、医療の分野などでどんな可能性があるのかについて語られているほか、現在、地球規模で問題になっていることへの著者の主張も網羅されていて、大人が読んでも興味深いところだと思います。
理系の学問のなかで生物学は研究対象が広く、研究のしがいのある分野だと思います。この本をきっかけに、生物学に興味が湧き、「もっと深く学びたい」「生物分野に進みたい」と思ってくれる人がいたらうれしいです。
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