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[入試に出る時事問題]これだけは知っておこう! さぴあニュースバンク

総チェック目次
政治・経済 | 国際社会・環境理科的なニュース2017年の主な出来事

これだけは押さえておこう! 入試に出る時事問題さぴあニュースバンク2017年 入試対策/ニュース総チェック

 皆さんは、2017年の国内外の出来事ではどんなことが印象に残っていますか。まだ小学生でも社会の一員なのですから、話題になったニュースはその主な内容を理解しておいたほうがよいでしょう。実際、多くの中学校では受験生の社会への関心の程度を見るため、社会や理科の入試で、国内外のニュースをもとにした「時事問題」を出題しています。ここでは今年の入試に出そうな2017年の主なニュースと、その学習のポイントをまとめました。時事問題の総仕上げにご活用ください。 ※西暦のない日付はすべて2017年です。

政治・経済

1衆議院議員総選挙をめぐって

与党の自民党が勝利
今回の総選挙での党派別当選者数
政党名 小選挙区 比例区 合計 選挙前勢力
与党 自由民主党 218 66 284 284
公明党 8 21 29 34
野党 立憲民主党 18 37 55 15
希望の党 18 32 50 57
日本共産党 1 11 12 21
日本維新の会 3 8 11 14
社会民主党 1 1 2 2
日本のこころ 0 0 0
諸派 0 0 0 0
無所属 22 22 45
合計 289 176 465 472
(欠員3)

読売新聞より

 第48回衆議院議員総選挙の投票・開票が10月22日に行われました。その結果、与党の自由民主党(自民党)は284議席を獲得し、勝利しました。自民党と連立している与党の公明党は29議席で、両党を合わせると313議席と、定数465の3分の2(310)以上になったので、衆議院では与党だけで憲法改正の発議を可決できる議席数を維持したことになります。

 一方、野党では選挙直前に大きな動きがありました。小池百合子東京都知事がみずから代表に就任して「希望の党」を立ち上げたのです。これを受け、支持率が低迷していた最大野党の民進党は、この希望の党に合流して選挙に臨むことになりました。しかし、小池代表は政策の一致を重視したため、希望の党への参加を認められなかった民進党の前議員もいました。そのため、枝野幸男氏は、こうした前議員らを中心に立憲民主党を立ち上げました。

 このように野党がばらばらに戦ったことも、自民党が有利になった要因の一つです。野党のなかでも明暗がくっきり分かれました。希望の党は小池代表が立候補しなかったこともあり、議席を選挙前の57から50に減らしたのに対し、立憲民主党は15から55に増やして野党第一党になったのです。これにより、希望の党では小池代表の求心力が低下し、11月には今回当選した議員のなかから新代表を選びました。それに伴い、小池氏は都政に専念することになりました。

 今回の総選挙の争点の一つは、現在は8%の消費税の税率を、2019年10月から10%に引き上げることの是非でした。それによる増収分は主に国の借金を返済するために使われることになっていましたが、安倍晋三首相は社会保障の充実や子育て支援、教育の無償化などのために使いたいと提案。使い道を変更するのだから、国民の信を問う必要があるとして、9月28日に召集された臨時国会の冒頭で衆議院の解散に踏み切ったのです。一方、希望の党や立憲民主党は、税率の引き上げそのものに反対しました。

 また、原子力発電所の再稼働の是非も問われました。再稼働を進める方針の自民党に対して、希望の党は、再稼働は容認するものの、2030年に「原発ゼロ」をめざすとしました。立憲民主党は、現状では再稼働は認められないと主張しました。

 さらに、憲法改正の是非も争点になりました。安倍首相は憲法第9条を改正して、自衛隊の存在を明記したいという考えを持っています。希望の党も現実的な安全保障政策をとり、憲法改正には賛成という立場でした。立憲民主党は憲法改正には慎重で、この点が希望の党と立憲民主党の大きな違いでした。

 結果は自民党の勝利で、国民は安倍内閣の継続を選択したことになります。それを受けて、11月1日に召集された特別国会では内閣総理大臣指名選挙が行われ、自民党の安倍総裁が衆議院・参議院の両方で内閣総理大臣に指名されました。これにより、同日に第4次安倍内閣が発足しました。

「18歳以上」に選挙権

 今回の総選挙の投票率(小選挙区)は53.68%でした。選挙権の年齢が「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられた後、初めて行われた衆議院議員総選挙でもありましたが、10代の投票率は全年齢の投票率よりさらに低く、課題を残しました。総務省によると、10代の投票率(抽出調査)は41.51%(18歳が50.74%、19歳が32.34%)でした。2016年7月10日に行われた参議院議員通常選挙での10代の投票率(選挙区)は46.78%(18歳が51.28%、19歳が42.30%)だったので、いずれも下がったことになります。

 また、定数は10削減(小選挙区6減、比例区4減)され、戦後最少の465(小選挙区289、比例区176)になりました。これは「一票の格差」を是正するための措置です。「一票の格差」とは、選挙区によって議員1人当たりの人口や有権者数が大きく異なるため、一票の「重み」にも大きな差が出ること。憲法第14条に定められた「法の下の平等」に反するとされます。

 今回の選挙での「一票の格差」は最大1.98倍でした。最高裁判所は最大格差が2倍以上になっていた2009年、2012年、2014年の衆議院議員総選挙について、いずれも「違憲状態」と判断したため、最大格差が2倍未満になるように定数是正が行われたのです。それでも、「選挙区によって一票の価値が異なるのは憲法違反だ」と主張する弁護士グループは投票日翌日の10月23日、今回の小選挙区の選挙無効を求めて、全国14の高等裁判所とその支部に一斉に提訴しました。

学習のポイント

 国政選挙が行われると、翌年の入試では、その選挙の結果や選挙制度についての出題が増える傾向にあります。10月の衆議院議員総選挙については、関連する話題も含めて整理しておきましょう。

 それに先立つ7月2日には東京都議会議員選挙も行われました。こちらで注目されたのも小池都知事です。自身が代表を務めていた地域政党「都民ファーストの会」が定数127のうち55議席(追加公認を含む)を占め、都議会での第一党になりました。

 この都議会議員選挙に関連して押さえておきたいのは、日本の地方自治の基本は、知事などの首長と、議会の議員が別々の選挙で住民に直接選ばれる「二元代表制」であること。首長と議会が互いにチェックし合いながら、その地方公共団体の政治を行うのです。ということは、もし知事がみずから政党を結成し、その政党の議員が大量に当選して議会で多数を占めるようだと、チェック機能がはたらかなくなる恐れがあるわけです。一方、国の政治では、国会議員のなかから選ばれた首相が内閣を組織する「議院内閣制」がとられています。内閣は行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負います。

2日本国憲法施行70年

日本国憲法は国の最高法規

 日本国憲法が公布されたのは1946年11月3日、施行されたのは1947年5月3日のことです。2017年で、施行から70年という節目を迎えたことになります。その70年の間には、時代の変化に合わせて改正することの是非がたびたび議論されてきました。日本国憲法は前文と11章103条で構成されており、三大原則として「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」が盛り込まれています。そして第98条では、この憲法は国の「最高法規」であるとしています。憲法に反する法律・命令などは無効ということです。

 そのため、特に「戦力を持たない」と定めている第9条と自衛隊の関係が問題にされてきましたが、国民の意見は分かれており、憲法は70年間一度も改正されずに現在に至っています。

焦点は第9条と自衛隊との関係

 与党の自民党は1955年の結成時から基本方針として「憲法の自主的改正」を掲げています。しかし、自民党のなかにも、いろいろな考えがあり、これまでの政権では、憲法改正の優先順位は、必ずしも高くはありませんでした。ただ、安倍首相は在任中にぜひとも憲法改正を成し遂げたいと考えています。

 1945年、太平洋戦争に敗れた日本は、アメリカ軍を中心とする連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の占領下で、民主化を進めました。「天皇主権」を掲げる大日本帝国憲法の改正も求められました。日本は当初、字句の一部修正で済ませようとしたのですが、これに強い不満を持ったGHQはみずから憲法の草案を作って日本政府に提示。それを帝国議会で議論し、一部修正を加えて成立したのが日本国憲法です。これを「押しつけ」ととらえる人たちは自分たちで憲法を作りたいと考えているのです。

 改正の最大の焦点は、戦争を放棄すること、戦力を持たないこと、国の交戦権を認めないことを定めた第9条と自衛隊との関係です。政府は、独立国であれば当然持っている自衛権まで放棄したわけではなく、自衛隊はそれを行使するための最小限の実力なので、戦力ではないとしています。しかし、そのような解釈には異論もあり、自衛隊が必要ならば、憲法を改正して堂々と持つべきだという声もあります。

 日本国憲法施行70年を迎えた5月3日、各地で改憲派と護憲派の双方が集会を開きましたが、自民党の安倍総裁は、改憲派の集会に寄せたビデオメッセージのなかで、「第9条の全文を残したうえで、自衛隊の存在を認める規定を追加する」という提案をしました。これまでは戦力を持たないこと、国の交戦権を認めないことを定めた部分は削除するという案が有力だったので、より現実的な案を示したことになります。この改正憲法は2020年に施行したいとも述べました。

 しかし、憲法改正の論点は第9条だけではありません。健康的で快適な環境の保全・回復を求める「環境権」、個人の私生活をのぞき見されたり、他人に干渉されたりしない「プライバシーの権利」などの新しい人権を憲法に明記しようという主張は以前からあります。教育の無償化、参議院議員通常選挙での「合区」(複数の選挙区を一つにすること)の解消などを、憲法を改正して実現しようという議論も現在行われています。

学習のポイント

 日本国憲法は国の最高法規であるだけに、その改正の手続きは厳格です。第96条では「各議院の総議員の3分の2以上の賛成で国会が発議し、国民投票において過半数の賛成を必要とする」と、簡単には改正できないよう定めています。しかし、今回の衆議院議員総選挙で与党が衆議院で3分の2以上の議席を占めたことを考えると、改正の発議や国民投票は現実味を帯びてきたといえるかもしれません。憲法は公民分野の最重要項目ですが、今年は例年以上に多く出題されるのではないでしょうか。第9条をはじめ、重要な条文はきちんと確認しておきましょう。

32019年4月30日に天皇陛下が退位

2019年5月1日に皇太子殿下が即位、改元も

 12月1日、宮内庁で皇室会議が開催されました。これは6月9日に天皇の退位特例法(天皇の退位等に関する皇室典範特例法)が成立したことを受けて、退位の日を決めるために開かれたものです。退位とは存命中に天皇の位を皇位継承者(皇太子殿下など)に譲ることです。この会議により、2019年4月30日に天皇陛下が退位し、翌5月1日に皇太子殿下が即位するとともに、改元(元号を改めること)することが決まり、1週間後の12月8日、正式に閣議決定されました。

 皇室会議は皇室に関する重要事項を審議するため、「皇室典範」という法律の規定に基づいて設置されます。議長は内閣総理大臣が務め、皇族から2人、衆議院・参議院の議長・副議長、最高裁判所の長官とその他の裁判官1人、宮内庁長官の計10人が出席します。審議する内容は皇位継承順位の変更や天皇・男性皇族の結婚など。皇室会議が開かれるのは今回が8回目で、1993年1月に皇太子殿下の結婚について審議されて以来、およそ25年ぶりのことです。

特別な法律を制定して対応

 天皇の退位が政治の課題になったのは、2016年8月8日、宮内庁が天皇陛下のビデオメッセージを公表してからです。これは「象徴としてのお務め」についてのおことばを収録したもの。天皇陛下はご自身が80歳を超える高齢になったことを踏まえ、「これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています」と、「退位」ということばを慎重に避けながらも、「生前退位」の希望をにじませました。

 しかし、皇室典範には生前退位の規定がありません。そこで、皇室典範を改正するか、現在の天皇陛下に限って退位を認める特別な法律を制定するかが検討されたのですが、政府は後者の方針をとることにしました。それを具体化したのが天皇の退位特例法なのですが、日本国憲法第4条によると、天皇は「国政に関する権能を有しない」と定められています。天皇の要望で法律が作られると憲法違反になる恐れがあります。天皇陛下のお気持ちを国民がくみ取って、法律を制定するという形でなければならなかったのです。ビデオメッセージで「退位」ということばが使われなかったのはそのためです。

 ところで、天皇の退位は江戸時代の安永8(1779)年11月25日から文化14(1817)年3月22日まで在位した光格天皇以来、約200年ぶりのこと。退位後、天皇は「上皇」と、皇后は「上皇后」と、それぞれ呼ばれることになります。

学習のポイント

 天皇は日本国憲法第1条に「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」と規定される存在です。内閣総理大臣や最高裁判所長官の任命、法律・政令・条約の公布、国会の召集、衆議院の解散などの国事行為を行っています。天皇に関する日本国憲法の規定は確認しておいてください。そのほかに、外国からの要人との会見、戦没者の慰霊、災害被災地への訪問など、公的行為は非常に多岐にわたっています。だからこそ高齢により、このような「象徴としての務め」を全身全霊で果たすことが難しくなると案じられたのです。また、歴史上の上皇や、元号をテーマとした出題も考えられます。元号のついた歴史的な事柄をまとめてみるのもよいでしょう。

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政治・経済 | 国際社会・環境理科的なニュース2017年の主な出来事

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