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  • 20年2月号 [入試に出る時事問題]これだけは知っておこう! さぴあニュースバンク

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総チェック目次
政治・経済国際社会・環境理科的なニュース2019年の主な出来事

これだけは押さえておこう! 入試に出る時事問題さぴあニュースバンク2019年 入試対策/ニュース総チェック

 2019年は「平成」という時代が終わり、「令和」という新しい時代が始まった年でした。一つの節目といえますが、皆さんはどんな出来事が記憶に残っているでしょうか。小学生といえども社会の一員であり、将来はより良い世の中を築くための担い手とならなければなりません。そのためには国内外のさまざまなニュースに無関心ではいられないはずです。みずから積極的に触れ、絶えず問題意識を持つことが求められます。中学入試でも社会科や理科で時事的な内容が頻出するようになっていますが、これは、受験生の社会に向き合う姿勢を確認したいという学校側の考えの表れなのでしょう。そこで、ここでは今年の入試に取り上げられそうな2019年の主なニュースと、その学習のポイントをまとめました。時事問題学習の総仕上げにお役立てください。 ※西暦のない日付はすべて2019年です。

社会・環境

1NEWS CHECK 世界遺産をめぐって

「百舌鳥・古市古墳群」が登録

 カスピ海の西に位置する旧ソビエト連邦のアゼルバイジャンで開かれていた国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会は7月6日、大阪府南部にある「百舌鳥・古市古墳群」(大阪府堺市・羽曳野市・藤井寺市)を世界文化遺産に登録することを決定しました。これで日本の世界遺産は23件(文化遺産19件、自然遺産4件)になりました。

 「百舌鳥・古市古墳群」は49基の古墳から構成されています。その内訳は、墳丘の長さが486メートルと日本一の前方後円墳「大仙(大山)古墳」(堺市)などがある百舌鳥古墳群が23基、墳丘の長さが425メートルと2番目に大きい「誉田御廟山古墳」(羽曳野市)などがある古市古墳群が26基です。

 このように、墳丘の長さが400メートルを超える巨大な古墳がある一方で、20メートル程度の小さなものもあります。形も前方後円墳(前が方形=四角形、後ろが円形。人物が葬られている石室があるのは円形部分)、円丘に小さな方形の張り出しがついた帆立貝式古墳、四角形の方墳、円形の円墳とさまざまです。

 これらの古墳は4世紀後半から5世紀後半にかけて造られた、ヤマト政権の有力者の墓とされています。当時、大王(後の天皇)や豪族(その地域で強い勢力を誇る一族)が亡くなると、大きな墓を造る風習がありました。そのような墓は大勢の人を動員できる権力がなければ造れません。大きな墓はいわば権力の象徴だったわけで、それを外国からの使節にも見せつける狙いがあったようです。

 ところで、古墳の名称には注意が必要です。登録が決まった古墳のうち29基は皇室の祖先の墓である「陵墓」などとされています。そのため宮内庁が管理し、これまで発掘調査もほとんど行われてきませんでした。宮内庁は大仙(大山)古墳を「仁徳天皇陵」と、誉田御廟山古墳を「応神天皇陵」と、それぞれ呼んでいますが、葬られているのが本当にその天皇であるかどうか、学問的に証明されているわけではありません。だからこそ、学者はそれぞれの古墳を、その古墳がある場所の地名で呼んでいるのです。

有名な歴史的建造物が焼失

 2019年にはフランスと日本の有名な歴史的建造物が火災で焼失するという残念な出来事もありました。

 4月15日午後7時ごろ(日本時間16日午前2時ごろ)、フランスの首都パリの中心部にあり、「パリのセーヌ河岸」の一つとして世界文化遺産にも登録されているノートルダム大聖堂で火災が発生。高さ96メートルの尖塔と、屋根の3分の2が焼失するなど大きな被害が出ました。改修工事に伴う失火の可能性が高いとみられています。フランス人の誇りにかかわる建物だけに、エマニュエル・マクロン大統領はすぐに、必ず再建すると宣言しました。

 その約半年後、同じくらい衝撃的な歴史的建造物の火災が日本でも発生してしまいました。10月31日午前2時40分ごろ、那覇市の首里城正殿から出火し、北殿・南殿などにも燃え移り、7棟の建物を焼いて、昼すぎにようやく鎮火したのです。原因は特定されていませんが、電気系統のトラブルの可能性があります。

 琉球国王の居城だった首里城は、太平洋戦争ですべての建物が焼失しましたが、1992年に正殿が復元されました。首里城跡が「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の一つとして世界文化遺産に登録されたのは2000年のことです。ただし、首里城跡については、地下の遺構が世界遺産なのであって、復元された正殿などの建物自体は、世界遺産ではありません。とはいえ、沖縄のシンボルだった建物を失ったことに、県民はがくぜんとしています。

 なお、2020年5月2〜3日には東京オリンピックの聖火リレーが沖縄でも行われます。沖縄ルートの走者は首里城公園から出発する予定でしたが、あえて変更せず、焼失を免れた守礼門からスタートすることになる見込みです。

学習のポイント

 新たに登録された世界遺産は翌年の入試で必ず問われます。今回の「百舌鳥・古市古墳群」は大阪市などに通う人が多く住むベッドタウンのなかにあるため、開発と保護をいかに両立させるかという観点からその意義を理解しておくことも大切です。ノートルダム大聖堂と首里城正殿の焼失というショッキングなニュースもあったため、文化財の保護をめぐる問題については例年以上に多く出題されるかもしれません。

2NEWS CHECK COP25と地球温暖化対策

温暖化対策に消極的な「排出大国」

 12月2日からスペインのマドリードで開かれていた国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)が15日、当初は13日までの予定だった会期を2日間延長し、成果文書を採択して閉幕しました。

 今回の会議の目的は、地球温暖化をもたらす二酸化炭素(CO₂)をはじめとする、温室効果ガスの排出量を削減するための新たな取り決めである「パリ協定」について、2020年からの実施を前に、より細かいルールを決めることでした。「パリ協定」は2015年の第21回締約国会議(COP21)で採択され、2016年11月に発効しました。その内容は産業革命以降の気温上昇を2度未満、できれば1.5度未満に抑えるため、発展途上国を含む各国がそれぞれ目標を決めて、温室効果ガスの排出量削減に取り組むというものです。

 しかし今回も、削減に後ろ向きな、排出量の多い国(中国、インドなど)と、海面が上昇すると国の存続そのものが脅かされる島国(ツバル、モルディブなど)の主張が対立。温室効果ガス排出量の削減目標を引き上げる機運を高める強い内容は成果文書に盛り込まれず、「各国が2020年に可能な限り最も高い野心を持って、現行の温室効果ガス削減目標を引き上げることを求める」という表現にとどまりました。もはや「可能な限り」などとは言っていられない危機的な状況だと認識している人たちを、大いに失望させる結果で、グテレス国連事務総長も「がっかりした」との声明を出しています。

 また、ある国が国際協力によって削減できた温室効果ガスの排出量を、自国の削減分とその国の削減分に二重にカウントしないためのルール作りは、自国の削減分が減らされることに強硬に反対した国があったため合意に至らず、今年11月にイギリスのグラスゴーで開催される第26回締約国会議(COP26)に先送りされました。

 ところで、アメリカは共和党のトランプ大統領の就任後、「パリ協定」から離脱することを表明していました。実際に離脱を通告できるのは発効から3年が経過した2019年11月4日からでしたが、この日、アメリカは協定から離脱することを国連に正式に通告しました。離脱が確定するのはちょうど1年後の2020年11月4日。その日はトランプ大統領が再選をめざす、2020年のアメリカ大統領選挙の一般国民による投票が行われる日(11月3日)の翌日でもあります。この選挙で民主党の候補者が勝利した場合、その候補者は直ちに「パリ協定」への復帰を表明する可能性もあります。

「国連気候行動サミット」も開催

 一方、9月23日にはアメリカ・ニューヨークの国連本部で「気候行動サミット」も開催されました。地球温暖化がさらに進むことを防ぐための取り組みについて、各国の首脳らが話し合ったのです。77か国が2050年までに温室効果ガスの排出量を「実質ゼロ」(森林による吸収量以上に排出しないこと)にすることを表明しました。また、CO₂排出量の多い石炭火力発電を続ける日本への批判もありました。

 この会議でひときわ注目されたのが、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(当時16歳)です。グレタさんは各国の首脳らに向けて「わたしたちは大量絶滅時代の始まりにいる。わたしたち若者を裏切ることを選ぶなら許さない」と、温暖化対策の遅れを強く非難する演説を行いました。グレタさんはもちろん、COP25にも参加しましたが、CO₂排出量の多い飛行機は利用しないと決めているため、アメリカからヨットで大西洋を横断し、マドリード入りしたことも話題になりました。グレタさんは6日、COP25の会場近くで行われた「気候危機デモ」に参加し、「権力者たちが行動を起こすことを望む。わたしたちはもう待てない」と訴えました。また、11日にはCOP25の地球温暖化による危機をテーマにしたイベントのパネリストとして参加しましたが、ここでも「最大の脅威は何も行動を起こさないこと」だと述べました。

危機が迫っているとの報告が相次ぐ

 国連気候行動サミットが終わってから、COP25が始まるまでの間には、温暖化に関する衝撃的な内容の報告書も出されました。まず9月25日には「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)が特別報告書を発表しました。今のまま温室効果ガスを排出し続けた場合、今世紀末までに海面は最大で1.1メートル上昇し、氷河の40%以上が失われるおそれがあると警告したのです。氷河が減少すれば雪解け水も減少して水不足になり、水をめぐる紛争が増加するでしょう。

 続いて11月26日には国連環境計画(UNEP)が、世界各国の2018年の温室効果ガスの排出量はCO₂換算で553億トンと、過去最高に達したとする年次報告書を公表しました。過去10年間で、平均すると毎年1.5%ずつ増えたとのことです。このままでは、今世紀末の気温は産業革命前と比べて最大3.9度上昇し、「破壊的な影響」が出るとしています。「パリ協定」で各国が掲げている目標がすべて達成されても3.2度上昇するとされています。気温上昇を1.5度未満に抑えるという「パリ協定」の努力目標を達成するには、2020年から2030年にかけ、世界全体の温室効果ガス排出量を毎年7.6%ずつ減らす必要があるとして、各国に目標の積み増しを求める内容になっています。さらに、石炭火力発電を推進する日本については、国名を挙げて批判し、石炭火力発電所の新規建設を中止すること、石油の利用も段階的にやめることを求めています。

学習のポイント

 このところ、国連気候変動枠組み条約締約国会議は予定していた会期では終わらず、最終日に徹夜で翌朝まで議論を続けることが多くなっていましたが、今回はそれでも終わらず、約40時間も延長されました。省エネルギーが進んでいて排出量削減の余地が少ない先進国、経済成長に伴いまだまだ排出量が増えそうな新興国、国土が海に沈む危機に瀕している島嶼国など、各国の状況も異なれば、利害もまちまちなので、なかなか一致点を見いだせなかったのです。

 地球温暖化は生態系や農林水産業に計り知れない悪影響を与えます。このことは人類共通の認識になっているはずですが、その防止のためには化石燃料の消費を減らすしかありません。それはわかっていても、そのために経済成長をどれだけ犠牲にできるかと想像すると、厳しい規制をおいそれとは受け入れられないと考える人や国はまだまだ多いのです。一方で、もはやそんなことを言っていられる状況ではないと、危機感を募らせるグレタさんのような人もいます。ただ一つの正解がある問題ではないだけに、多角的な視点から考えるようにしましょう。

3NEWS CHECK 「便利さ」の陰で

日本でもレジ袋を有料化へ

 2018年になって、にわかに注目されるようになった環境問題として、プラスチックごみによる海洋汚染があります。2019年に入ると、レジ袋やストローなど、使い捨てのプラスチック製品を規制する動きが加速しました。レジ袋は、海外ではすでに禁止されている国や都市も少なくありませんが、日本でも6月3日、原田義昭環境大臣(当時)が、プラスチック製レジ袋の無料配布を禁じ、有料化することを法律で店側に義務づける考えを明らかにしたのです。スーパーマーケットやコンビニなど、すべての種類の小売店がその対象になる見込みです。同15日には世耕弘成経済産業大臣(当時)が、長野県軽井沢町で開催されたG20サミットのエネルギー・環境関係閣僚会合で、2020年4月1日からの有料化をめざすことを表明しましたが、その後、3か月延期し、2020年7月からにすると発表されました。ただし、植物を原料としたバイオマスプラスチックや、微生物によって分解される生分解性プラスチックでできたものは有料化の対象外として、従来どおり無料で配布してよいことにする方針です。

 この問題は先に述べた大阪でのG20サミットでも話し合われ、海に流れ込むプラスチックごみを2050年までにゼロにするという目標が首脳宣言に盛り込まれましたが、海外の取り組みは進んでいます。たとえば、6月10日にはカナダのジャスティン・トルドー首相が、カナダではレジ袋やストローなどの使い捨てプラスチック製品を、早ければ2021年にも禁止すると発表しました。また、これまでプラスチックごみの「輸出先」とされてきた東南アジアの国々も対策に乗り出しました。不法に輸出されてきたごみを発生国に送り返すようになったほか、自国のごみも減らそうとしているのです。タイでは政府の提唱により、2020年1月1日から大手の小売店でレジ袋が提供されなくなりました。

食品ロス削減推進法が施行

 レジ袋の問題は、便利さを追求し過ぎるとどうしても無駄が発生するという例だともいえます。似たような問題に「食品ロス」があります。

 たとえば、コンビニでは経営上、「売れ残りが出る」ことより、「買いたい人がいたのに商品がなかった」ことのほうが悪いとみなされます。また、コンビニは値引きをして売るくらいなら廃棄したほうが、会社はもうかるシステムになっています。

 そのため、本来なら食べることができたはずの食品が、消費・賞味期限が過ぎたか、迫っているなどの理由で大量に捨てられています。こうしたことを「食品ロス」というのですが、その原因は、もちろんコンビニだけにあるのではありません。わたしたち消費者の心がけも大きく影響します。消費期限までに食べ切れないほど買い過ぎてしまった、飲食店で食べ残した、などの理由で廃棄される食品も多いのです。日本では1年間に600万トン以上もの食品ロスが出ていますが、これは日本のわたしたち全員が毎日、茶わん1杯分のご飯を捨てていることになる計算です。

 そこで、5月24日に「食品ロスの削減の推進に関する法律(食品ロス削減推進法)」が成立し、10月1日に施行されました。この法律では、政府には基本方針を決めることを、地方公共団体にはそれを踏まえた具体的な計画づくりを、それぞれ義務づけています。また、企業はその計画に協力することを求められました。コンビニ各社も食品ロスを減らすための取り組みを始めています。とはいえ、最終的には一人ひとりの心がけ次第です。この法律が消費者にも食品の買い方や調理法の改善を促しているのはそのためです。

学習のポイント

 今やプラスチックはすっかりわたしたちの生活に欠かせないものになりました。しかし、その一方で、それらがごみとなったときに環境に与える負荷は、もはや見逃せない水準に達しています。また、消費・賞味期限を厳格に守ることは、店にとってはお客さまの信頼を得るためには必要なことですが、行き過ぎると食品ロスが増えてしまいます。

 これらは小学生にとっても極めて身近なニュースです。学校側は受験生がこうしたことに問題意識を持っているかどうかを見たいからこそ、時事問題を出題しているのです。自分にもできることはないか、日常生活を通じて考えるようにしましょう。

4NEWS CHECK スポーツをめぐる話題

ラグビーワールドカップが日本で開催

 9月20日から11月2日まで、日本で第9回ラグビーワールドカップが開催されました。ラグビーワールドカップは夏季オリンピック、サッカーワールドカップと並ぶ世界三大スポーツイベントの一つとされています。

 今回は東京都調布市の東京スタジアム、東日本大震災で津波の被害にあった岩手県釜石市に新たに建設された「釜石鵜住居復興スタジアム」など、全国12の競技場で試合が実施されました。まずプール戦(1次リーグ)は、20チームが5チームずつA〜Dの4組に分かれ、それぞれの組のなかで総当たり戦を行うことになっていましたが、10月12日・13日に予定されていた試合の一部は、台風19号の接近・上陸により残念ながら中止されました。

日本代表の戦績

 決勝トーナメントに進めるのは各組の上位2チーム、計8チームです。A組の日本はロシア、アイルランド、サモア、スコットランドに全勝し、目標としていた決勝トーナメント(8強)進出を初めて実現しました。決勝トーナメントの初戦(準々決勝)では、日本は南アフリカ共和国と対戦し、3対26で敗れました。

 決勝は神奈川県の横浜国際総合競技場で11月2日に行われ、南アフリカ共和国が32対12でイングランドを破って優勝しました。南アフリカ共和国の優勝は2007年以来12年ぶり3度目で、3度の優勝はニュージーランドと並んで最多です。

 今回の大会ではこれまでラグビーのルールを知らなかったような人も「にわかファン」になって応援し、そのおもしろさに目覚めたようです。また、外国からもたくさんのファンが観戦に訪れました。10月13日の釜石でのカナダ対ナミビア戦は台風19号で中止になりましたが、カナダの選手らは現地に残って土砂を取り除くボランティア活動を行ったなどのエピソードもあり、またとない国際交流の機会になったといえるでしょう。

東京オリンピック・パラリンピックがいよいよ開催

 東京オリンピック(7月24日〜8月9日)と東京パラリンピック(8月25日〜9月6日)が開催される2020年がいよいよやってきました。これらをめぐり、2019年に起こった主な出来事を振り返っておきましょう。

 まず3月には、オリンピックの聖火リレーの出発地点が福島県楢葉町にあるサッカー施設「Jヴィレッジ」に決まったと発表されました。ここは約20キロ北の東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業の拠点になっていたところで、東日本大震災からの復興をうたうオリンピックにふさわしいといえそうです。

 10月16日には、国際オリンピック委員会(IOC)から突然、驚くべき発表がありました。オリンピックの男女マラソンと競歩について、暑さから選手の健康を守るためだとして、競技会場を東京から札幌に移すことを検討しているというのです。これには賛否両論がありましたが、結局、10月30日から11月1日まで東京で開かれたIOC調整委員会で、札幌での開催が正式に決定されました。

 11月30日にはメイン会場となる新国立競技場が完成しました。今後は「国立競技場」と呼ばれます。12月21日にオープニングイベントが行われ、2020年1月1日には「天皇杯 JFA 全日本サッカー選手権大会」の決勝の舞台になりましたが、これが新国立競技場で最初に行われたスポーツイベントとなりました。

学習のポイント

 日本は2019年、ラグビーワールドカップを開催して成功させました。2020年には東京でオリンピック・パラリンピックが開催されます。2年続けてスポーツのビッグイベントが日本で行われることになります。世界最高峰のスポーツを間近で観戦できることは楽しいものですが、世界中から訪れる多くの選手や観客にしっかり対応することも大切です。同時に、大会期間中も東京での通常の仕事や生活に支障を来さないようにすることが必要です。オリンピックは真夏の開催となるだけに、暑さへの対策も重要になります。また、ラグビーワールドカップで実際にあったように、期間中に台風などによる災害が発生することもあり得ます。どう行動してよいかわからない外国人に、多言語で情報を提供しなければなりません。皆さんも街の中で外国人に接する機会が増えるはずです。「おもてなし」の精神を発揮し、日本を訪れてよかったと思ってもらえるようにしたいものです。

5NEWS CHECK 猛威を振るった台風

台風19号で13都県に大雨特別警報

 日本は毎年、台風や地震などの自然災害に見舞われています。電気・ガス・水道、道路や鉄道、電話やインターネットなどの「ライフライン」が断たれ、ふだんどおりの生活が送れなくなることも少なくありません。2019年も集中豪雨や台風による被害が目立ちました。

 千葉県を中心に大規模な停電などをもたらした台風15号による被災から約1か月後の10月12日、今度は台風19号が静岡県の伊豆半島に上陸し、関東地方を北東に進みました。記録的な大雨が予想されたため、気象庁はこの日の午後から翌13日未明にかけて、群馬・埼玉・東京・神奈川・山梨・長野・静岡・宮城・福島・茨城・栃木・新潟・岩手の1都12県に大雨特別警報を出しました。2018年の西日本豪雨でも、大雨特別警報が出たのは11府県だったので、それを上回ったことになります。

 台風15号では強風による被害が大きかったので、それも警戒されていましたが、今回は雨による被害が甚大でした。平年の年間降水量の3〜4割が集中して降ったところがあったため、長野県の千曲川(信濃川の上流)、福島県・宮城県を流れる阿武隈川など、各地の川の水が同時多発的にあふれたのです。

「内水氾濫」の発生も

 首都圏でも東京都世田谷区の多摩川沿いや川崎市中原区の武蔵小杉などで、下水道による雨水の排水が追いつかなかったことによる「内水氾濫」が発生し、広い範囲が浸水しました。浸水した範囲の面積は10月24日現在の集計によると、17都県で約2万8800ヘクタールにもなりましたが、これは2018年の西日本豪雨による浸水面積を大きく上回っており、JR山手線の内側の約4.5倍にも相当します。死者も多く、13都県で約100人に上りました。

 鉄道にも被害が出ました。長野市にある北陸新幹線の長野新幹線車両センターでは10編成の新幹線の車両が冠水し、そのすべてが廃車になったのです。車両が足りなくなったため、北陸新幹線は一時、通常より本数を減らして運行することを余儀なくされました。JR東日本では吾妻線・水郡線の一部区間がいまだに運転を見合わせているほか、私鉄や第三セクター鉄道にも、まだ復旧していない路線があります。

 今回、台風19号が強い勢力を保ったまま上陸したのは、関東周辺の海水温が平年より高かったからです。台風のエネルギー源は暖かい海面から供給される水蒸気なので、海水温が高ければ巨大化し、あまり衰えないまま日本に接近・上陸することになるのです。しかも、台風19号の進路沿いには神奈川県の丹沢山地や、岩手県から宮城県に広がる北上高地などがありました。ここに台風に向かって南東から流れ込んできた暖かく湿った空気がぶつかり、上昇気流を生んで記録的な大雨となったとみられています。

学習のポイント

 日本ではあらゆる種類の自然災害が発生します。そのうち集中豪雨や台風、猛暑、大雪などの気象災害は数日前に予測できるため、ある程度備えておくことも可能ですが、地震は突然起こります。近い将来、甚大な被害が想定される南海トラフ地震や首都直下地震の発生も警告されています。いざというとき、「自分の身は自分で守る」ために必要なのは正しい知識です。中学入試の社会科・理科の両方で、自然災害に関する出題が増えているのはそのためでしょう。また、災害は社会の弱い部分を突いてきます。ライフラインの途絶、帰宅困難者の発生、劣悪な避難所の環境、高齢者が「災害弱者」になりがちなことなど、災害のたびに違った社会問題がクローズアップされています。どうすればこうした問題が改善できるかも、真剣に考えておきたいものです。

総チェック目次
政治・経済国際社会・環境理科的なニュース2019年の主な出来事

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