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  • 20年2月号 [入試に出る時事問題]これだけは知っておこう! さぴあニュースバンク

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これだけは押さえておこう! 入試に出る時事問題さぴあニュースバンク2019年 入試対策/ニュース総チェック

 2019年は「平成」という時代が終わり、「令和」という新しい時代が始まった年でした。一つの節目といえますが、皆さんはどんな出来事が記憶に残っているでしょうか。小学生といえども社会の一員であり、将来はより良い世の中を築くための担い手とならなければなりません。そのためには国内外のさまざまなニュースに無関心ではいられないはずです。みずから積極的に触れ、絶えず問題意識を持つことが求められます。中学入試でも社会科や理科で時事的な内容が頻出するようになっていますが、これは、受験生の社会に向き合う姿勢を確認したいという学校側の考えの表れなのでしょう。そこで、ここでは今年の入試に取り上げられそうな2019年の主なニュースと、その学習のポイントをまとめました。時事問題学習の総仕上げにお役立てください。 ※西暦のない日付はすべて2019年です。

理科的なニュース

1NEWS CHECK 吉野彰氏にノーベル化学賞

リチウムイオン電池を開発

日本のノーベル賞受賞者

氏 名賞の名称
1949湯川 秀樹物理学賞
1965 朝永 振一郎物理学賞
1968川端 康成文学賞
1973江崎 玲於奈物理学賞
1974佐藤 栄作平和賞
1981福井 謙一化学賞
1987利根川 進医学・生理学賞
1994大江 健三郎文学賞
2000白川 英樹化学賞
2001野依 良治化学賞
2002小柴 昌俊物理学賞
田中 耕一化学賞
2008南部 陽一郎物理学賞
小林 誠物理学賞
益川 敏英物理学賞
下村 脩化学賞
2010根岸 英一化学賞
鈴木 章化学賞
2012山中 伸弥医学・生理学賞
2014赤﨑 勇物理学賞
天野 浩物理学賞
中村 修二物理学賞
2015大村 智医学・生理学賞
梶田 隆章物理学賞
2016大隅 良典医学・生理学賞
2018本庶 佑医学・生理学賞
2019吉野 彰化学賞

※南部陽一郎さんと中村修二さんは日本出身だが、アメリカ国籍を取得

 12月10日、ノーベル賞各賞の授賞式がスウェーデンの首都ストックホルムで(平和賞のみノルウェーの首都オスロで)行われました。日本からは化学賞の受賞者である吉野彰氏が出席しました。授賞式の後、「やっとノーベル賞を受賞したという実感が湧いてきた。メダルはずっしりと重かった」と喜びを話した吉野氏は、旭化成名誉フェローで、名城大学大学院教授でもあります。日本のノーベル賞受賞者はこれで27人になりました(日本出身だが、アメリカ国籍を取得した人物を含む)。

 吉野氏の授賞理由は「リチウムイオン電池の開発」です。電池は「一次電池」と「二次電池」に分けられます。充電できない使い切りの電池が一次電池で、充電して繰り返し使える電池が二次電池です。リチウムイオン電池は代表的な二次電池として、1990年代半ばごろから広く利用されるようになりました。現在ではノートパソコンやスマートフォンなど身近なところで使われており、リチウムイオン電池なしの生活は考えられないほどです。

 また、電気自動車、電動アシスト自転車にも使われています。飛行機の燃料には「ケロシン」という灯油に似たものが使われますが、将来は小型機であれば、リチウムイオン電池で飛ばすことも可能になるとみられています。変わったところでは、日本の小惑星探査機「はやぶさ2」にも搭載されています。

地球温暖化防止にも寄与か

 リチウムイオン電池は、プラスとマイナスの電極の間をリチウムイオンが移動することで、電気をためたり、放出したりするものです。リチウムのような金属の原子にはプラスの電気を帯びやすい性質があります。そうなった原子を「イオン」といいますが、そのような金属のなかで最も軽いリチウムを使えば、電池を高出力かつ小型・軽量にすることができるのです。

 このリチウムをマイナス極に使った電池が最初に開発されたのは1970年代のことでした。1980年にはコバルト酸リチウムをプラス極に使うことで、より安定した電池を作れることがわかりました。しかし、いずれも充電すると発火したり、爆発したりする危険性がありました。この難点を克服したのが、マイナス極に炭素材料を使う方法を開発した吉野氏だったのです。これが現在のリチウムイオン電池の原型となり、誰もが電子機器を持ち歩くモバイル文化の原動力となりました。

 リチウムイオン電池は地球温暖化対策にも大きく貢献することが期待されています。太陽光などの再生可能エネルギーを蓄え、さまざまなものを動かす動力として利用すれば、石油などの化石燃料に頼らない社会を実現することが可能と考えられているからです。12月8日にストックホルム大学で行われた受賞記念講演「ノーベルレクチャー」では吉野氏自身、このことに触れ、「持続可能な社会は技術革新によって間もなくやってくる。リチウムイオン電池はその中心的役割を担う」と述べました。

学習のポイント

 ノーベル賞とは、ダイナマイトを発明したスウェーデンの化学者アルフレッド・ノーベル(1833〜1896年)の遺言によって創設された、人類に貢献した人や団体(団体は平和賞のみ)に授与される賞です。化学賞のほか、医学・生理学賞、物理学賞、文学賞、平和賞、経済学賞の6部門があります。平和賞があるのは、ダイナマイトが戦争に使われるようになったことに、発明したノーベル自身が心を痛めたからです。この点を押さえるとともに、吉野氏の業績やリチウムイオン電池について理解しておきましょう。

 2019年の物理学賞は「太陽系外惑星」の発見に貢献した3人に授与されました。いずれも日本人ではありませんが、理科的には非常に興味深いテーマです。直接見ることが難しい系外惑星がなぜそこにあるとわかるのか、調べてみるのもよいでしょう。

 平和賞については受賞者が日本人でなくても注目することが必要です。現在の世界でどんなことが問題になっているか、わかるからです。これまでの受賞者のうち、特に有名な人は知っておいてください。

2NEWS CHECK 待たれる「はやぶさ2」の帰還

「リュウグウ」のサンプル採取に成功

 2018年6月に小惑星「リュウグウ」に到着した日本の探査機「はやぶさ2」は、2019年も活発に活動しました。

 まず、2月22日には「リュウグウ」への1回目のタッチダウン(接地)に成功し、サンプル(石や砂)を採取しました。続いて4月5日には、「はやぶさ2」から分離された衝突装置が「リュウグウ」の高度約200メートルで爆発し、その力で重さ2キロの銅の板を秒速2キロで「リュウグウ」の表面に撃ち込みました。人工クレーターを生成し、「リュウグウ」の地下にある、太陽からの光や放射線で風化していない物質を表面に露出させるためです。これを受け、7月11日には「リュウグウ」への2回目のタッチダウンを試みて成功。元々は地下にあったサンプルを採取することができたものと思われます。

期待される生命誕生の謎の解明

 あとは「はやぶさ2」が無事に帰還できれば大成功です。「リュウグウ」のような小惑星は、太陽系が誕生した約46億年前の物質がそのまま残っている「タイムカプセル」のようなものだといわれています。地球の海の基になった水や、生命の基になった有機物は小惑星からもたらされたという考えもあります。それだけに、「リュウグウ」のような小惑星の、それも地下にあったサンプルを地球に持ち帰って分析すれば、太陽系の成り立ちや生命誕生の謎に迫れる可能性があるのです。

 11月13日、「はやぶさ2」は「リュウグウ」を離れ、地球へと戻る旅を始めました。2020年12月ごろに地球に接近したとき、「リュウグウ」のサンプルが入っているとみられるカプセルを分離し、オーストラリアの砂漠地帯に落下させることになっています。

学習のポイント

 日本は宇宙開発を積極的に行っている国の一つです。国際宇宙ステーション(ISS)での日本人宇宙飛行士の活躍も含め、これまでどんな成果を上げてきたか、振り返っておきましょう。

 また、今後は民間の宇宙開発企業の動向にも注目したいものです。2019年5月4日にはその先駆けとして、インターステラテクノロジズが北海道大樹町から小型ロケット「MOMO」3号機を打ち上げ、高度113.4キロの宇宙空間に到達させることに成功しました。国内の民間企業が単独で開発したロケットが高度100キロ以上の宇宙空間に到達したのはこれが初めてです。

3NEWS CHECK 日食とブラックホールの話題

1月と12月に部分日食を観測

 2019年は1月6日午前と12月26日午後の2回、ほぼ日本全国で部分日食が観測されました。日本で日食が見られたのは2016年3月9日以来、2年10か月ぶりのことで、同じ年に2回も観測されたのは1992年以来、27年ぶりのことです。

日食が起こる仕組み

 日食とは太陽・月・地球がこの順番に一直線上に並ぶ新月のとき、地球上のある地点から見ると、月が太陽の手前を横切ることになるため、太陽が隠され、欠けたように見える天文現象のこと。ただし、地球が太陽の周りを回っている公転面(黄道面)に対して、月が地球の周りを回っている公転面(白道面)は約5度傾いているため、新月のときに必ず日食が起こるとは限りません。地球から見た太陽の通り道(黄道)と地球から見た月の通り道(白道)が交わっているところの近くに太陽があるとき、新月になると日食が起こります。

 太陽の直径は月の約400倍ですが、偶然にも太陽は月より約400倍遠くにあります。そのため、地球からはどちらもほぼ同じ大きさに見えます。ただ、地球の軌道も月の軌道も完全な円ではないので、太陽と月の見かけの大きさは常に変化しています。月の見かけの大きさが太陽より大きいときは、月が太陽を完全に覆い隠す皆既日食になりますが、逆に、太陽の見かけの大きさが月より大きいときは、月が太陽を隠しきれないため、月の外側に太陽の縁だけがリング状に見える金環日食になるというわけです。

ブラックホールの撮影に成功

 日本の国立天文台などが参加した国際研究チームは4月10日、重力が非常に強いため、光さえもそこから脱け出せない巨大なブラックホールの影の撮影に、世界で初めて成功したと発表しました。

 アメリカ・ハワイ州のハワイ島にある日本の国立天文台の「すばる望遠鏡」など、世界6か所にある八つの電波望遠鏡で同時に観測することで、解像度が非常に高い巨大な一つの仮想望遠鏡として機能させて撮影したのです。これにより、光が脱出できなくなる境界より内側を真っ黒な穴として捉えることができました。

 今回、撮影に成功したブラックホールは、地球から約5500万光年(1光年とは光が1年かかって進む距離で、約9兆4600億キロ)離れた「おとめ座銀河団」の楕円銀河「M87」にあります。光が脱け出せない範囲の直径は約400億キロで、太陽の約65億倍もの質量を持つと考えられています。

学習のポイント

 日食と月食は、中学入試の理科では頻出のテーマです。地球から見た太陽や月の動きを本当に理解しているか、試すのに適した題材だからでしょう。2019年は部分日食が27年ぶりに2回も観測されただけに、出題される可能性は例年より高いものと予想されます。その仕組みをきちんと理解しておきましょう。たとえば、日食と月食はそれぞれ東と西、どちらから欠け始めるでしょうか。実際に見たことがあれば、このように問われても思い出して正しく答えられるはずです。

 ブラックホールの影が世界で初めて撮影されたことも大きなニュースとなりました。ブラックホールの存在は1915〜1916年に、ドイツ生まれの理論物理学者アルベルト・アインシュタインが唱えた「一般相対性理論」から予言されていました。それが今回、目に見える形で示されたわけで、100年来の科学の課題を解決したことになります。このブラックホールの話題は、科学に詳しい人ほどいかに画期的なことだったかがわかるようなものなので、ぜひともチェックしておきましょう。

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