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  • 21年2月号 [入試に出る時事問題]これだけは押さえておこう! ニュース総チェック

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これだけは押さえておこう! 入試に出る時事問題さぴあニュースバンク2021年 入試対策/ニュース総チェック

 2020年は新型コロナウイルス感染症に始まり、新型コロナウイルス感染症に終わった年でした。しかし、それに関連する出来事以外にも、さまざまなことが国内外で起こりました。未来を担う小学生なら、そのなかには当然知っておくべきで、かつ自分だったらどうするかと考えてほしいことがあります。中学校でもその点を確認したいのでしょう、入試の社会科や理科の問題には時事的な内容が多く出題されるようになりました。そこで、ここでは今年の入試に取り上げられそうな2020年の主なニュースと、その学習のポイントをまとめました。この時期からの時事問題学習にご活用ください。 ※西暦のない日付はすべて2020年です。

新型コロナウイルス
感染症関連のニュース

1NEWS CHECK 新型コロナウイルス感染症とは

WHOが「パンデミック」を宣言

 2019年12月末、中華人民共和国(中国)中部にある湖北省の中心都市・武漢市で、新型肺炎の発生が報告されました。2020年1月に入り、その原因は新型コロナウイルスであることが判明。中国政府は国内外への感染拡大を防ぐため、1月23日から武漢市に通じる交通機関を止め、同市を「ロックダウン(都市封鎖)」しました。

 この新型コロナウイルスに感染すると、最初は発熱やせきなど風邪のような症状が現れます。悪化すると肺炎になり、最悪の場合、死に至ります。しかし、軽症の人や、症状が出ないため感染したことに気づかない人も多くいるのが大きな特徴です。

 世界保健機関(WHO)は2月11日、この感染症を「COVIDー19」と命名したと発表しました。WHOは国連の専門機関で、各国の政府を支援して、公衆衛生の向上や感染症対策のためのさまざまな活動を行っています。

 新型コロナウイルス感染症はその後、中国以外でも感染者が増え始めました。日本もその例外ではなく、安倍晋三首相(当時)は2月26日、多くの人が集まるイベントの中止・延期、規模の縮小を要請。翌27日には全国すべての小学校・中学校・高校に対して3月2日からの休校を要請しました。

 3月11日にはWHOが「パンデミック」を宣言しました。「パンデミック」とは、ある感染症が世界的に広がり、コントロールが利かない状態になったということです。日本では3月13日、さらに事態が悪化した場合に備えて、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が改正されました。この法律は、政府が「緊急事態宣言」を出したとき、都道府県知事は外出の自粛を要請したり、さまざまな業種の休業を要請・指示したりできるというものでしたが、これを新型コロナウイルス感染症の場合にも適用できるようにしたのです。

 4月7日、政府はついに東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・兵庫・福岡の7都府県に緊急事態宣言を発令しました。そして4月16日、緊急事態宣言の対象は全国に拡大されました(5月25日までにすべて解除)。

ウイルスと細菌の違い

 コロナウイルスには多くの種類がありますが、電子顕微鏡で見ると、表面に王冠(コロナ)状の突起がある点が共通しています。これが「コロナウイルス」という名前の由来です。風邪を引き起こすウイルスは200種類以上あるといわれていますが、風邪の原因の10〜15%(流行期には35%)は4種類のコロナウイルスだとされています。

 しかし近年、新たに動物から人に感染し、重大な病気を引き起こすようになったコロナウイルスもあります。2002年から2003年にかけて中国を中心に流行した「重症急性呼吸器症候群(SARS)」と、2012年に中東への渡航歴のある人から発見された「中東呼吸器症候群(MERS)」のウイルスです。今回の新型コロナウイルスも動物から人に感染したものとみられています。

 こうした新たな感染症がたびたび出現するようになったのは、人間が森林などを開発し、野生動物のすみかに入り込むようになったからだとされています。それまで野生動物の体内にあったウイルスが、人に感染する機会が増えたというわけです。

 感染症を引き起こす病原体を大きく分けると、ウイルスと細菌の二つがあります。その根本的な違いは細胞の有無。ウイルスには細胞がないため、生きた生物の体内でなければ増えることができません。感染した生物の細胞を乗っ取って増えるのです。ウイルスが原因の感染症の代表的なものはインフルエンザです。一方、細菌は一つの細胞から成っており、自分で増えることができます。細菌が引き起こす感染症としてはペスト、コレラなどが代表的です。また、細菌には抗生物質が効きますが、ウイルスには効かないという違いもあります。

学習のポイント

 新型コロナウイルス感染症は世界が直面した新たな脅威です。インフルエンザワクチンの予防接種を受けたことがあると思いますが、2020年末になって新型コロナウイルス感染症のワクチンが完成し、予防接種を始めたというニュースが飛び込んできました。ワクチンは毒性をなくしたり、弱めたりした病原体を体内に入れ、その特徴を体に覚えさせるためのものです。そうすれば、次に同じ種類の病原体が体に侵入してきたとき、素早く撃退できるようになり、感染や重症化が防げるのです。ワクチンの開発には数年以上かかるのが普通ですが、今回は世界中の研究者が総力を挙げて急ピッチで開発に取り組みました。しかし、その安全性や効果には未知数の部分もあります。どのような人に優先して接種するかも問題です。また、低温で保存しなければならないワクチンもありますが、その輸送体制が世界的に整っているとはいえません。このように、課題はまだまだ山積していますが、新型コロナウイルス感染症対策の決め手になるかどうか、注目しましょう。

2NEWS CHECK 経済にも重大な悪影響

2020年は「マイナス成長」に

 新型コロナウイルス感染症は経済にも甚大な被害を与えました。経済は人が自由に移動し、さまざまな物やサービスを消費することで成り立っています。

 しかし、感染症対策として有効なのは、一般的に人の外出・移動・接触や、人が集まるイベントの開催を制限することです。4〜5月の緊急事態宣言の発令中は、こうしたことの「自粛」が強く求められましたが、自粛はそれ以前の2〜3月から始まっていました。このため、レストランや居酒屋などの飲食業、航空・鉄道・バス・タクシーなどの運輸業、ホテル・旅館などの宿泊業が特に大きな痛手を受けました。また、緊急事態宣言の発令中は幅広い業種に対して休業要請が出されたため、遊園地・テーマパーク・映画館などは閉鎖され、スポーツの試合やコンサート、演劇などもまったく行われなくなりました。この結果、多くの会社や店の経営が悪化しました。倒産や廃業に追い込まれたところも少なくありません。

 経済活動が極端に低下したことは数字にもはっきり表れています。内閣府は8月17日、緊急事態宣言発令期間を含む4〜6月期の実質国内総生産(GDP)は1〜3月期に比べ、7.8%(季節による物価変動の影響を除いた1次速報値)減ったと発表しました。この状態が1年間続くと27.8%減ることになります。これは統計をさかのぼれる1955年以降では最悪です。実際にはその次の7〜9月期でやや回復したため、そこまでは悪化しない見込みですが、2020年は前年よりGDPが減る「マイナス成長」になることは確実で、大きな衝撃が走りました。

追い詰められる女性や非正規雇用者

雇用者(役員を除く)に占める男女別の正規・
非正規の割合(2019年平均)

※総務省「労働力調査」より

 こうした事態はこれまで述べてきたような業種の会社や店で働く人も直撃しました。仕事が減ったことなどを理由として、自宅で待機させられたり、給料を減らされたりする人が続出したのです。さらに厳しい立場に置かれたのが、派遣社員・契約社員・アルバイト・パートタイマーなどの非正規雇用者です。仕事がなくなったという理由から、契約を打ち切られる人が急増しました。こうした非正規雇用者の約3分の2は女性で、人と直接対面してサービスを行う仕事に携わっているのも女性が多いといえます。そのため、働く場を失った女性が相次ぎました。

 女性が多い職場といえば、医療、介護の現場が挙げられます。しかし、ここでも子どもを預けられるところが見つからないなどの理由で働けなくなった女性が出たため、「医療崩壊」の危機に影響を与えました。

経済と感染防止は両立可能か

 今、課題とされているのは経済の復興と感染防止を両立させることです。そこで、経済の立て直し策の一環として、特に観光業界や飲食業界を救済し、それらの職場で働いている人たちの雇用を維持するために政府が始めたのが「Go To キャンペーン」です。旅行代金を割り引いたり、旅行先で使える割引クーポンを発行したりして旅行を奨励する「Go To トラベル」などがあります。しかし、あまり打撃を受けていない業種の人や、感染した場合、重症化するリスクが高いとされている高齢者などからは、感染が拡大するのではないかという批判もありました。政府は板挟みになりましたが、12月に入り、感染者が増えてきたことを受けて、菅義偉首相はその一時中断を決めました。

学習のポイント

 新型コロナウイルス感染症が国内外の経済に与えた悪影響は想像をはるかに上回るものでした。そのため、経済を優先すべきか、感染拡大防止を優先すべきかをめぐる対立は深まる一方です。この問題はそれぞれの人の価値観や置かれている立場によって考え方がまったく異なり、絶対的な正解はないともいえますが、経済活動をずっと止めたままでは、わたしたちは生きていけないことも事実です。今となっては、一時的に我慢すれば状況は良くなると考えるのではなく、事態がある程度長期化することも想定して、ウイルスとのつきあい方を考えざるを得なくなっているともいえるでしょう。

3NEWS CHECK 誤った情報の拡散や人権侵害も

「インフォデミック」の脅威

 新型コロナウイルス感染症については不明な点が多かったこともあって、誤った情報が流れたり、それに影響された人々が不適切な行動を取ったりして、かえって感染者が増えたり、他人の人権を侵害したりした側面もあります。WHOではこれを「インフォデミック」と呼び、注意を促しました。「インフォメーション(情報)」と「エピデミック(一定の地域で、ある感染症が大流行すること)」を組み合わせて作られたことばです。

 特に多かったのが、予防法などに関するデマ。たとえば、インターネット上のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて広まった「お湯をたくさん飲めば感染しない」というものなどです。医学的な根拠はまったくありません。

 また、トイレットペーパーがスーパーマーケットなどの売り場から消えるという事態も起こりました。トイレットペーパーは中国から輸入されているから不足するという誤った情報が流され、買い占める人が続出したためです。しかし、トイレットペーパーはそのほとんどが国内で生産されているので、これも完全なデマでした。

 買い占めなどにより足りなくなったのはマスクも同様です。こちらは実際に中国からの輸入が大半を占めていました。しかも、これまではマスクを着用する習慣のなかった人までが着用するようになったため、急激に需要が増大したころに輸入も滞り、現実にマスク不足が起こってしまったのです。

 こうした生産の現場から消費者の手元に物が届くまでの一連のつながりを「サプライチェーン」といいます。現在はいろいろな国で生産された部品を集めて、一つの製品ができあがっていることも多いのです。生産するのにかかる費用が安いなどの理由により、そうなっているのですが、今回のように関係する国のうちのどこかで何かが起こると、その製品はたちまち手に入らなくなってしまうという問題点があります。

差別による人権侵害が横行

 新型コロナウイルス感染症は人々に不安や恐怖感も植えつけました。ウイルスは目に見えないうえに、最悪の場合は死に至ることもあるからです。

 こうした状況の下では不安や恐怖感を和らげるはけ口として、少数派や弱者に対する差別が見られるようになります。たとえば、新型コロナウイルス感染症は中国の武漢市で最初に発生したことから、中国では武漢出身者が差別されました。日本や韓国では中国人全体が、欧米諸国ではアジア系の人全体が差別されるような風潮が生じました。

 そうした差別は感染者や、医療に従事する医師・看護師をはじめとした「エッセンシャルワーカー」にも広がりました。こうした職業の人は、ほかの職業の人より感染する可能性が高いと見なされたのです。場合によっては、その家族までもが差別されることもあったようです。さらには、大都市から感染者の比較的少ない地域に帰省した人を、その人の事情も考慮せずに一方的に非難し、嫌がらせをする人も続出しました。これらはいずれも深刻な人権侵害といわざるを得ません。

学習のポイント

 人間の心は弱いものです。ふだんなら落ち着いて判断できることでも、非常事態では冷静さを失い、誤った情報やデマに踊らされてしまうのです。今回の新型コロナウイルス感染症の流行はそうしたことを浮き彫りにしました。こんなときはいつにも増して、集めた情報を自分で分析し、ほかのリスクとも冷静に比較したうえで行動を決めることが大切です。間違っても、他人の人権を侵害するような行為があってはなりません。過去に感染症が流行したときにどんなことが起こったのか知っておくなど、歴史に学ぶことも大切です。

4NEWS CHECK 東京オリンピック・パラリンピックの延期が決定

戦争以外の理由での延期は史上初

2021年の東京オリンピックと祝日の移動

 本来ならば、2020年は東京オリンピック(7月24日〜8月9日)と東京パラリンピック(8月25日〜9月6日)が開催される年でした。しかし、安倍首相(当時)と国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は3月24日に電話会談を行い、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて「1年程度延期」することで合意。3月30日には、オリンピックは2021年7月23日から8月8日まで、パラリンピックは8月24日から9月5日まで開かれることが決まりました。戦争以外の理由で、近代オリンピックが予定どおりに開催できなくなったのは史上初めてです。

 東京オリンピックを円滑に開催することを目的として、2020年は祝日が移動しました。7月第3月曜日の「海の日」は、予定されていた開会式前日の7月23日に、10月第2月曜日の「スポーツの日」は開会式が予定されていた7月24日に、8月11日の「山の日」は予定されていた閉会式翌日の8月10日に、それぞれ変更されたのです。そして、2021年も同様に移動することが11月に決まりました。「海の日」は開会式の前日の7月22日に、「スポーツの日」は開会式当日の7月23日に、「山の日」は閉会式当日の8月8日に、それぞれ変更されます。8月8日は日曜日なので、閉会式の翌日の9日は振り替え休日になります。

 なお、「スポーツの日」は、2019年までは「体育の日」で、1964年の東京オリンピックを記念して1966年から祝日になったものです。当初は10月10日に固定されていましたが、2000年からは10月第2月曜日になり、2020年からは名称も「スポーツの日」に変わりました。「体育」では運動を通じた教育というだけの意味で、余暇を楽しむ、相手を尊重してフェアプレーの精神で勝負するといった意味が含まれないからです。

危機に直面したスポーツ

 ほかのさまざまなスポーツも新型コロナウイルス感染症の影響を受けました。

 たとえば、プロ野球の開幕は3月末の予定でしたが、6月19日に延期されました。しかも、当初は無観客で、観客を入場させるようになったのは7月10日からです。

 プロサッカーのJリーグは、J1がいったん2月21日に開幕しましたが、2月25日以降に開催が予定されていた公式戦はすべて延期されました。無観客で再開されたのは7月4日で、観客を入場させるようになったのは7月10日からです。

 アマチュアスポーツも多大な影響を受けました。たとえば、3月19日から阪神甲子園球場で開催される予定だった第92回選抜高等学校野球大会(センバツ)は中止されました。さらに、8月に行われる予定だった第102回全国高等学校野球選手権大会も中止されたのです。

学習のポイント

 さまざまなスポーツの試合ができなくなった2020年、スポーツを生で観戦するという楽しみを奪われたと嘆いた人も少なくなかったでしょう。一方の選手は練習の成果を披露する場が奪われたわけで、こちらもやりきれない気持ちになった人が多かったはずです。プロの場合、試合数や観客が少なくなれば収入減に直結します。チームの経営が苦しくなれば、契約を打ち切られる選手も出てくるはずです。こうした状況は音楽や演劇などに携わる人もまったく同様です。また、全国のお祭りなども2020年はそのほとんどが中止、または規模縮小となってしまいました。「文化」が大きな危機に直面しているといっても過言ではありません。

5NEWS CHECK 働き方、学び方のオンライン化

「テレワーク」が普及

 新型コロナウイルスに感染するリスクを減らす方法としては、たとえば人と人との接触を避けることが挙げられます。そこで、会社や学校で導入が一気に進んだのが、自宅と会社、自宅と学校をインターネットで結び、パソコンなどで仕事や学習を行うオンライン化です。

 仕事をオンラインで行うことを「テレワーク(リモートワーク)」といいます。テレワークは以前から推奨されてきました。育児や介護をしている、障害があるなどの理由で、長時間家を空けられなかったり、通勤が困難だったりする人も、テレワークであれば働ける可能性があり、多様な人材を活用することにつながるからです。しかし、導入にあまり積極的ではなかった会社も多くありました。ところが、2020年はそんな会社も急きょテレワークを認めざるを得なくなりました。これにより、大都市では通勤時間帯の電車の混雑が緩和され、感染リスクが低下する効果もありました。働く人も満員電車に乗らなくてすむようになったため、仕事を始める前に体力を消耗してしまうことがなくなったという声もあります。とはいえ、良いことばかりではありません。従業員の間のコミュニケーションが少なくなった、仕事と私生活のめりはりがつきにくくなった、などの問題点も出ています。

 また、テレワークができる職種は限られているのも事実です。医療従事者をはじめ、電気・ガス・水道・交通機関などのライフライン関係者、警察官、消防士などの公務員、スーパーマーケットやコンビニエンスストアの店員などのエッセンシャルワーカーは、テレワークをすることができません。こうした人たちが感染するリスクを冒して働いてくれているからこそ、社会は維持されているのです。それにもかかわらず、政府や地方公共団体などからは「仕事はテレワークで」という、それになじまない職種は存在しないかのような呼び掛けが繰り返されました。

 さらに、会社のさまざまな制度が、そもそもテレワークを想定したものになっていないという問題もあります。それでも、これをきっかけに今後、本格的にテレワークが普及し、わたしたちの働き方が大きく変わる可能性もあります。

オンライン授業を行う学校も

 4月21日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)から憂慮すべきことが発表されました。新型コロナウイルスの感染拡大による休校のため、全世界で少なくとも約15億人の子どもが対面授業を受けられない状態だったというのです。

 そこで実施されたのがオンライン授業です。しかし、発展途上国の子どもや、先進国でも貧困層の子どもは、自宅でオンライン授業を受けられる環境が整っていないことが少なくありません。日本でも、パソコンやタブレットなど必要な機器をそろえられない家庭に配慮して、オンライン授業に踏み切れなかった学校があったようです。このようにオンラインに頼ると、どうしても格差が生じてしまいます。また、実験や実習などオンラインではできないこともあります。

 十分な教育を受けられなかった世代が生まれてしまえば、国の未来にも影響しますし、何よりも本人の将来の可能性が狭くなります。だからこそ、どう教育を維持していくかということも、深刻な問題になっているのです。

学習のポイント

 オンラインで仕事をしたり、学習をしたりすることができれば、確かに便利です。しかし、多くの会社・学校でオンライン化を試した結果、新たな問題も出てきました。会社では何げない雑談から、新たなアイデアが生まれることもあるでしょうし、新人は先輩の働く姿を見ながら学んでいくものでしょう。学校も単に知識を身につけるだけの場ではありません。友だちや先生と触れ合って成長する場でもあります。対面での教育にも重要な意義があります。仕事や学校のあり方が大きく変わろうとしている今、オンライン化のメリットとデメリットを考えてみましょう。

6NEWS CHECK 外国との人の往来が困難に

「インバウンド消費」が蒸発

訪日外国人数と出国日本人数の推移

※日本政府観光局(JNTO)の資料より。2020年は1〜11月の合計(推計値)

 新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年の春から世界中の国・地域が入国制限を強化し、海外旅行が事実上できなくなりました。

 少子高齢化と人口減少が急速に進み、経済の縮小が心配されている日本では、その対策の一つとして外国人観光客を増やす取り組みを、国を挙げて推進してきました。国内でお金を使ってもらうためです。外国人が訪れることを「インバウンド」といいますが、「インバウンド消費」を重視するようになったのです。

 その結果、2010年代には外国人観光客数がものすごい勢いで伸びました。受け入れ態勢の整備が追いつかず、交通渋滞や交通機関の混雑の激化など、さまざまな「観光公害」も発生したほどです。観光庁の発表によると、2019年に日本を訪れた外国人は約3188万人でした。初めて1000万人を超えたのは2013年で、このときは約1036万人だったので、わずか6年間で3倍に増えたことになります。また、2019年に外国人が国内で消費した金額は約4.8兆円で、こちらも2013年の約1.4兆円から3倍以上に増えています。

 外国人観光客の来日は、2020年1月にはまだ例年並みでしたが、中国が1月下旬に海外への団体旅行を禁止するとともに減り始めました。やがて、日本側も外国人の入国を厳しく規制するようになったため、4月の訪日外国人数は、わずかに約2900人という事態になりました。前年同月の約293万人から99.9%もの減少です。これにより、交通機関も含め、観光関連産業は壊滅的な状況に陥っています。外国人の消費にすっかり依存してしまっていたからです。

困窮する外国人労働者

 一方、深刻な人手不足を補い、生産やサービスの一翼を担っていたのが外国人労働者です。その出身国を国籍別に見ると、これまで最も多かったのは中国人でしたが、ここ数年でベトナム人が急激に増えており、中国人を追い越す勢いです。2019年4月には改正された「出入国管理及び難民認定法(入管法)」が施行され、外国人労働者の受け入れが本格的に始まりました。それまでもアルバイトをする留学生や、「外国人技能実習制度」によって来日した「技能実習生」がいましたが、「特定技能」を持つ外国人を正式に労働者として受け入れることになったのです。

 「特定技能」とは日本に滞在して働くための資格で、取得するには試験に合格し、日本語での日常会話がある程度できて生活に支障がないと認められることが必要です。認定されれば介護・建設・農業・宿泊・外食など14業種の仕事ができるようになります。これに対し、「技能実習生」は農林水産業や工業などの分野で、働きながら各種の技術を身につけてもらい、それを帰国後、母国の発展に役立ててもらうためのものです。しかし、単に目先の人手不足を解消する手段になってしまっていたのが実態でした。

 そんな状況のなかで、新型コロナウイルス感染症が拡大したわけです。外国人が多く働いていた業種のうち、宿泊、外食は特に大きな打撃を受けました。製造業も国内外の需要の落ち込みにより不振になりました。そのため、外国人の解雇に踏み切る会社も多く、相当数の外国人が職を失ったようです。それでも帰国できず、国内で困窮してしまった人もいます。一方で、外国人の新たな来日が困難になったため、農業など人手不足になった業種もあります。

学習のポイント

 日本は今や、生産も消費も外国人頼みになってしまった面があります。そのため、外国との行き来が自由にできなくなった途端に、大きな影響を受けてしまった業種がありました。こうしたことから、これまでのような来日する観光客数が多ければ多いほどいいという考えは変革を迫られるでしょう。より「質」を重視し、海外に日本のファンを増やすような観光でありたいものです。労働者についてもそれは同様です。日本が嫌いになってしまうような扱いをしていなかったかどうかは、大いに反省しなければならないでしょう。

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理科的なニュース2020年の主な出来事

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