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  • 22年6月号 [入試に出る時事問題]これだけは知っておこう! さぴあニュースバンク

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さぴあニュースバンク 2022年4月

1 金曜日 社会 2018年に改正された民法が施行され、成人年齢が「20歳」から「18歳」に引き下げられた。 もっと詳しく参照
1 金曜日 社会 2021年6月4日に成立した「プラスチック資源循環促進法」が施行された。 もっと詳しく参照
4 月曜日 環境 地球温暖化の主な原因とされる二酸化炭素(CO₂)などの温室効果ガスの排出量を減らすための対策について、国際連合(国連)の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が新たな報告書を発表した。「パリ協定」では、「産業革命以降の気温上昇を2度未満に抑える、かつ1.5度未満をめざす」ことになっているが、この報告書によると、そのためには2025年までに温室効果ガスの排出量を減少に転じさせることが必要だという。また、各国が2020年までに示した目標がすべて達成されたとしても、今世紀末の気温上昇は3.2度に達すると警告している。
5 火曜日 科学 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2021年12月20日から2022年3月4日まで、13年ぶりに宇宙飛行士を若干名募集していたが、最終的に過去最多の4127人の応募があったと発表した。前回の2008年の募集では、応募者は963人だった。今回から大学の自然科学系の学部卒業以上といった学歴を初めて不問としたことなどが大幅な増加につながったとみられる。22日にはそのうち2266人が書類選抜を通過したと発表した。そのうち女性は485人(21.4%)で、年代別に見ると30代が1084人で最も多かった。この5月に英語や一般教養の試験を行い、さらに身体能力の測定やプレゼンテーションなどの1〜3次試験を経て、2023年2月ごろに合格者が決定する予定。
7 木曜日 国際 国連総会はこの日の緊急特別総会で、ウクライナに侵攻したロシア軍が重大な人権侵害を行ったとして、ロシアの国連人権理事会の理事国としての資格を停止する決議を賛成93、反対24、棄権18で採択した。事実上の追放で、これによりロシアは人権理事会を脱退した。
7 木曜日 社会 家族の介護や世話をする18歳未満の子どもを意味する「ヤングケアラー」について、厚生労働省は今年1月、全国の公立校に通う約2万4500人の小6生を対象に実施した初の実態調査の結果を発表した。それによると、「世話をしている家族がいる」と回答したのはおよそ15人に1人、6.5%に上った。ケアをする相手は「きょうだい」が71.0%で、次いで「母」「父」の順だった。
10 日曜日 スポーツ プロ野球・パシフィックリーグ(パ・リーグ)の千葉ロッテマリーンズに所属する佐々木朗希投手が、千葉市のZOZOマリンスタジアムで行われた対オリックス・バファローズ戦で完全試合を達成した。完全試合とは1人の投手が試合終了まで投げ抜き、相手チームの打者を1人も塁に出さずに勝つこと。「ノーヒットノーラン」の場合、ヒットを打たれず、点を取られなければ、エラーや四死球で打者を塁に出してもよいが、完全試合ではそれも許されないので、達成が非常に難しい。国内のプロ野球での完全試合は28年ぶり16度目(16人目)で、20歳での達成は史上最年少。また、1試合での最多奪三振「19」はプロ野球タイ記録で、連続奪三振「13」はプロ野球新記録だった。佐々木投手は続いて17日の対北海道日本ハムファイターズ戦に登板し、8回まで打者を1人も塁に出さない快投を見せたが、味方が無得点だったため降板。チームは0対1で敗れた。
20 水曜日 国際 主要20か国・地域(G20)の財務大臣・中央銀行総裁会議が、ロシアがウクライナに侵攻してからでは初めて、アメリカの首都ワシントンD.C.で開かれた。ロシアの財務大臣もオンラインで参加したが、アメリカやイギリスの財務大臣らはそれに抗議し、ロシアの財務大臣が発言を始めると一斉に退席するという異例の展開になった。日本の財務大臣は退席せずにロシアを非難したという。このため、共同声明も出せずに終わった。
24 日曜日 国際 フランスで大統領選挙の決選投票が行われ、ヨーロッパ連合(EU)加盟国どうしの連携や、アメリカとの関係を重視する現職のエマニュエル・マクロン氏が、「国民連合」の下院議員マリーヌ・ルペン氏を破って再選された。任期は5年。ルペン氏は移民がヨーロッパの価値観を脅かしていると主張し、貧困層などの支持を集めていた。また、EUや北大西洋条約機構(NATO)の権限拡大にも反対していたため、その結果が注目されていた。

飲酒・喫煙は「20歳以上」のまま成人年齢が「18歳」に

18歳成人が4月からできること(○)、できないこと(×)

 4月1日、2018年に改正された民法が施行され、成人年齢が「20歳」から「18歳」に引き下げられました。これにより、この日の時点で18歳と19歳の約240万人が成人となりました。

 選挙で投票できる年齢もかつては「20歳以上」でしたが、2015年の公職選挙法の改正により、2016年からすでに「18歳以上」になっています。選挙権年齢を引き下げた以上、民法上の成人年齢もそれに合わせて引き下げるべきだという議論が出てくるのは自然なことでした。また、海外では18歳で成人になる国が主流であるため、国際的に足並みをそろえようという理由もあったようです。

 成人年齢の引き下げに伴う大きな変化の一つは、18歳と19歳の人が、賃貸アパートや携帯電話の契約、クレジットカードの作成といった契約行為を、法定代理人(両親など)の同意なしでできるようになったことです。ただし、良いことばかりではありません。未成年者が法定代理人の同意を得ずにした契約は、未成年者本人や法定代理人が無効にできるという「未成年者取消権」が18歳で使えなくなったからです。そのため、まだ社会経験が乏しい18・19歳が、契約内容がよくわからないまま商品を買ったり、サービスを受けたりして、高額な代金を請求されるといったトラブルの増加が懸念されています。消費者教育の充実が急務です。

 また、女性が結婚できる年齢は「16歳以上」でしたが、4月1日からは男性と同じ「18歳以上」になりました。一方、飲酒や喫煙、競馬などの公営ギャンブルが許されるのはこれまでどおり「20歳以上」で変わりません。

 なお、同日に施行された改正少年法により、今後は裁判員裁判の対象になるような重大事件を起こした18・19歳については、裁判所に起訴された後は実名での報道が認められるようになりました。また、この改正少年法により、「18歳以上」に選挙権を与えた公職選挙法の改正後も、18・19歳は裁判員にはしないと定めていた同法の付則が削除されたため、4月1日からは裁判員に選ばれる年齢も「18歳以上」になりました。ただし、2022年分の裁判員候補者名簿の作成は2021年にすでに終わっているため、18・19歳の人が実際に裁判員に選ばれるのは2023年からです。

ごみの削減と再利用をめざす「プラスチック資源循環促進法」が施行

 2021年6月4日に成立した「プラスチック資源循環促進法」が4月1日に施行されました。プラスチックごみによる海の汚染が世界的に大きな問題となってきた今、その排出量を減らし、リサイクルを強化するため、2020年7月からは全国でレジ袋が有料化されましたが、それに続く取り組みを進めるのが目的です。

 まず、市区町村に対しては、家庭から出るプラスチックごみのうち、食品トレーやペットボトルだけではなく、文房具やおもちゃなども含めた幅広い製品をまとめて回収することを求めています。また、コンビニエンスストアや飲食店などには、プラスチック製品の使用量削減を義務づけています。その対象となるのはスプーン、フォーク、ストローなどのほか、クリーニング店でもらえるハンガー、ホテルでもらえる歯ブラシなど12種類に及びます。

 ただ、今のところは、スプーンやストローを有料化した店はあまり多くはありません。法律では必ずしも有料化しなくても、受け取りを断った人にはポイントを還元するなどの方法を採用してもよいことになっているからです。それでも、一部の店舗で木製のスプーンやフォークを提供することにしたハンバーガーチェーンもあります。

 石油からつくられたプラスチックは分解されにくいため、ごみとして捨てられると、最終的に川などを経て海に流れ込みます。そのようなごみを餌と間違えて食べてしまったり、ひも状のごみにからまったりして命を落とす海の生物が後を絶ちません。また、プラスチックが波や紫外線などで風化し、細かく砕かれて大きさが5㎜以下の粒になった「マイクロプラスチック」が世界中の海から検出されるようになっています。それ自体は健康に大きな害を及ぼすことはないとされていますが、発がん性のあるポリ塩化ビフェニル(PCB)などの有害物質がつきやすい性質があります。それが体内に入った魚介類を人間が食べると、人間の体内にも有害物質が入ることになります。だからこそ、プラスチックごみを減らさなければならないのです。

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