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「改憲勢力」が3分の2の議席を確保参議院議員通常選挙で与党が圧勝
今回の当選者の過半数が自民党
政党名 | 今回の当選者数 | 新勢力 | |||
選挙区 | 比例代表 | 計 | |||
与党 | 自由民主党 (自民党) | 45 | 18 | 63 | 119 |
公明党 | 7 | 6 | 13 | 27 | |
野党 ・ その他 | 立憲民主党 | 10 | 7 | 17 | 39 |
日本維新の会 | 4 | 8 | 12 | 21 | |
日本共産党 | 1 | 3 | 4 | 11 | |
国民民主党 | 2 | 3 | 5 | 10 | |
れいわ新選組 | 1 | 2 | 3 | 5 | |
NHK党 | 0 | 1 | 1 | 2 | |
社会民主党 (社民党) | 0 | 1 | 1 | 1 | |
諸派(※) | 0 | 1 | 1 | 1 | |
無所属 | 5 | ー | 5 | 12 | |
計 | 75 | 50 | 125 | 248 |
※その他の団体
7月10日、第26回参議院議員通常選挙の投票・開票が行われました。今回選ばれた議員は全部で125人ですが、政権を担当する与党の第1党である自由民主党(自民党)は、単独でその過半数の63議席を占めました。同じく与党の公明党は、13議席を獲得。両党合わせて76議席となり、与党が圧勝したといえます。
今回の選挙の投票・開票日2日前の8日には、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で自民党候補者の応援演説を行っていた安倍晋三元首相が銃撃され、死亡するという事件がありました。このことは有権者の投票行動に影響を与え、自民党の得票数が上積みされた可能性があるといわれています。
一方、野党で議席を大きく伸ばしたのは、任期切れ6人に対して12議席を獲得した日本維新の会でした。野党第1党の立憲民主党は17議席を獲得しましたが、任期が切れたのは23人なので差し引き6議席の減少でした。国民民主党も7人の任期が切れたにもかかわらず、当選は5人にとどまりました。
この結果、自民党・公明党の与党に、日本維新の会と国民民主党を加えた、日本国憲法の改正に前向きな、いわゆる「改憲勢力」は、今回非改選だった議席を含めると177となりました。改憲の発議に必要な「3分の2」に当たる166議席を超えたことになります。
物価高対策などが争点に
今回の選挙の最大の争点は物価高への対応でした。2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻したことをきっかけとして、その前から上昇していた食料やエネルギーの価格がさらに上がっています。それに拍車をかけたのが円安で、各種食品の価格、電気料金、ガソリン価格などが軒並み高騰。2022年に入ってからすでに値上げされた食品と、値上げの予定がある食品を合わせると1万8000品目を超えており、まさに「値上げラッシュ」となっています。国民の生活が圧迫されるこの状況に、政治がどう立ち向かうかが問われたのです。
また、ロシアのウクライナ侵攻により、日本の外交・安全保障政策のあり方も争点となりました。防衛費を大幅に増やすことの是非や、いざというときに敵国のミサイル基地を攻撃できる「反撃能力」を持つことの是非などです。これに関連し、日本国憲法第9条を改正して自衛隊の存在を明記することの是非なども議論されました。岸田文雄首相は選挙後、「できるだけ早く憲法改正の発議をして、国民投票に結び付けていく」と話しました。
衆議院議員総選挙は2021年10月に終わったばかりです。衆議院議員の任期は4年で、参議院議員通常選挙は必ず3年ごとに行われるため、今後、衆議院が解散されない限り、全国一斉に行われる国政選挙は、およそ3年間はないことになります。この期間は「黄金の3年」ともいわれ、与党がめざす政治を実行しやすいと考えられます。そのため、改憲に向けての動きが活発化する可能性もあるといえそうです。
このほか、新型コロナウイルス感染症対策のあり方、選択的夫婦別姓の導入の是非、少子化対策、地球温暖化対策、原子力発電所の再稼働の是非なども争点になりました。
女性の当選者数は過去最多
●参議院議員通常選挙での候補者と当選者に占める女性の割合(総務省発表資料から)
参議院の定数は248(選挙区148、比例代表100)です。参議院議員の任期は6年ですが、3年ごとに半数が改選されるため、1回の選挙では選挙区74人、比例代表50人の計124人が選ばれます。しかし、今回選ばれた議員は1人多い125人でした。これは神奈川県から選ばれた、任期が残り3年の議員のなかに欠員が1人あったため、神奈川県ではそれを補う「合併選挙」も行われたからです。神奈川県からは通常、1回の選挙で4人が選ばれますが、今回は得票数が5位の候補者も当選となりました(ただし、任期は3年)。
また今回は、2018年5月に「政治分野における男女共同参画推進法(候補者男女均等法)」が成立してから2度目の参議院議員通常選挙だったため、女性がどれくらい立候補し、当選するかも注目されました。この法律は、国と地方の議会議員選挙の候補者数をできる限り男女均等にすることを各政党に義務づけたものです。
各政党の候補者の男女比を見ると、野党の立憲民主党や日本共産党は半々に近くなっていました。それに対し、与党の自民党と公明党は女性の割合が20%台と低いままでした。全体では、545人の候補者のうち、女性は181人と過去最多で、その割合の33.2%も過去最高でした。また、当選者も35人と過去最多でした。これで、今回改選されなかった29人を含めて、女性の議員は64人、25.8%になりました。しかし、衆議院では女性議員の割合は10%前後と極めて低いままです。
なお、総務省は7月11日、今回の選挙の投票率は52.05%(選挙区)だったと発表しました。戦後2番目の低さだった前回の48.80%よりは上昇しましたが、過去4番目の低さでした。
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