さぴあニュースバンク
最終文書を採択できずに決裂NPT再検討会議が開催
国・地域 | 保有数 | |
---|---|---|
NPT加盟 | アメリカ | 5425 |
ロシア | 5975 | |
イギリス | 225 | |
フランス | 290 | |
中国 | 350 | |
NPT非加盟 | インド | 160 |
パキスタン | 165 | |
イスラエル | 90 | |
NPT脱退宣言 | 北朝鮮 | 40 |
長崎大学核兵器廃絶研究センター調べ
8月1日から26日まで、アメリカ・ニューヨークの国際連合本部で、核拡散防止条約(NPT)のあり方を見直す再検討会議が開催されました。NPTは核兵器を保有する国をこれ以上増やさないことを目的とする条約で、1970年に発効しました。1967年1月1日の時点で核兵器をすでに持っていたアメリカ、ソビエト連邦(ソ連、現ロシアなど)、イギリス、フランス、中華人民共和国(中国)だけに核兵器の保有を認め、それ以外の参加国は今後も核兵器を持ってはならないと定めています。これは5大国にだけ核兵器の保有を認めている不平等な条約だともいえます。そのため、インド、パキスタン、イスラエルは参加しておらず、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)も2003年に脱退を宣言しました。この4か国は事実上の核保有国とされています。前述の5大国と合わせ、現在の世界では9か国が核兵器を持っていることになりますが、何らかの行き違いにより、本当に核兵器が使われてしまう危険性は常にあります。
8月1日の会議初日、グテレス国連事務総長はそんな現状に強い危機感を示しました。また、被爆地の広島1区選出の衆議院議員でもある岸田文雄首相も、NPTは「軍縮・核不拡散体制の礎石」だとしたうえで、日本はその守護者として「NPTをしっかり守り抜く」と演説しました。ロシアのウクライナ侵攻を踏まえて、核兵器による威嚇はあってはならない、長崎を最後の被爆地にしなければならないとも述べました。しかし、日本が批准していない核兵器禁止条約について触れられなかったことには失望の声もありました。
会議中の8月には、ウクライナのザポリージャ原子力発電所付近で戦闘があったため、最終文書案にはロシアを非難する内容が盛り込まれました。最終日の26日にはそれを全会一致で採択するはずでしたが、名指しは避けたにもかかわらず、やはりロシアが反対し、採択できませんでした。2015年の前回の会議でも、中東を非核地帯とする構想にイスラエルとアメリカが反対したため、最終文書の採択に失敗しています。2回続けて合意に至らなかったことで、NPT体制への信頼が揺らぎ、核軍縮の機運がしぼむ恐れが出てきました。
今年も各地で「線状降水帯」が発生東北・北陸などで記録的豪雨
8月の初め、前線や低気圧の影響により、東北地方や北陸地方が大雨に見舞われました。気象庁は3日午後7時15分、山形県南部の置賜地方(長井市、南陽市、米沢市、高畠町、飯豊町、川西町)の6市町に、今年初めての大雨特別警報を発表。続いて4日朝までに、山形県小国町、新潟県村上市、胎内市、関川村にも大雨特別警報が出されました。
このとき、山形県や新潟県には南から暖かく湿った空気が流れ込み、複数の「線状降水帯」が発生していました。これにより、新潟県関川村下関では4日午前6時20分までの24時間に、平年の8月1か月分を大きく上回る560.0ミリという雨量を記録しました。そのうち午前2時3分までの1時間の雨量は、観測史上6位タイの149.0ミリでした。
その後、前線は次第に南下し、4〜6日には石川県・福井県・滋賀県などでも大雨が降りました。青森県や秋田県でも大雨が続き、各地で河川の氾濫、道路の冠水、道路への土砂流入、住宅の浸水などの被害が発生しました。なかでも特に深刻だったのは鉄道の被害です。JR米坂線は山形県飯豊町内で、JR磐越西線は福島県喜多方市内で、それぞれ鉄橋が崩落し、その前後の区間は長期間の運休を強いられそうです。また、青森県内のJR津軽線とJR五能線、秋田県内のJR奥羽本線とJR花輪線にも大きな被害を受けた区間があります。これにより、日本海側を北上して北海道に向かう貨物列車も運行できなくなりました。
このように近年、7〜8月に線状降水帯などにより、「数十年に一度」といわれるほどの大雨が降り、重大な災害がたびたび発生しています。線状降水帯は日本の南から暖かく湿った空気が流れ込み、同じ場所で積乱雲が次々に発生して、それが線状に並び、猛烈な雨を降らせるものです。地球温暖化の影響で大気中の水蒸気が増えると、線状降水帯が発生しやすくなるという見方もあります。梅雨の時期から台風の襲来する秋にかけては特に警戒が必要です。
◎学校関連リンク◎
◎人気コンテンツ◎