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  • 22年10月号 [入試に出る時事問題]これだけは知っておこう! さぴあニュースバンク

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さぴあニュースバンク 2022年8月

1 月曜日 国際 この日から26日まで、アメリカ・ニューヨークの国際連合本部で、核拡散防止条約(NPT)再検討会議が開催された。岸田文雄首相は初日のこの日、「日本がNPTをしっかり守り抜く」と演説した。26日には最終文書を全会一致で採択するはずだったが、ウクライナのザポリージャ原子力発電所付近で戦闘があったとして、名指しを避けながらもロシアを非難する内容が盛り込まれたことに反発したロシアが反対したため、採択できずに終わった。 もっと詳しく参照
2 火曜日 国際 アメリカ連邦議会のナンシー・ペロシ下院議長がこの日から台湾を訪問した。翌3日には蔡英文総統らと会談し、「アメリカはけっして台湾を見捨てない」と述べて、安全保障や経済での結び付きを深める考えを示した。これに対して、台湾は中華人民共和国(中国)の一部であるとする中国政府は強く反発し、4日から台湾周辺で大規模な軍事演習を行った。
2 火曜日 スポーツ プロ野球セントラル・リーグ(セ・リーグ)の東京ヤクルトスワローズの村上宗隆選手は、東京都新宿区の明治神宮野球場で行われた対中日ドラゴンズ戦で5打席連続ホームランを達成した。村上選手は7月31日の対阪神タイガース戦の第3打席から3打席連続でホームランを打っていて、この日の第1打席・第2打席にも連続してホームランを打ったため。四死球を挟まない4打席連続ホームランを達成した選手は過去に13人いる。
3 水曜日 気象・災害 この日の夜から4日午前にかけて、山形・新潟両県では「線状降水帯」による大雨に見舞われ、計10市町村に一時、大雨特別警報が出された。 もっと詳しく参照
5 金曜日 社会 農林水産省は2021年度の食料自給率を発表した。食べ物のカロリーを基準にして計算する「カロリーベース」では38%で、2020年度の37%より1ポイント上昇した。しかし、食べ物の金額を基準にして計算する「生産額ベース」では63%と、1965年度以降で最低になった。
9 火曜日 スポーツ アメリカ・メジャーリーグのロサンゼルス・エンゼルス(アメリカン・リーグ=ア・リーグ)の大谷翔平選手は対オークランド・アスレチック戦に「2番・投手兼指名打者」として先発出場し、6回を投げて今シーズン10勝目を挙げた。この日は今シーズン25本目のホームランも打っており、1918年のベーブ・ルース選手以来104年ぶりとなる「2桁勝利・2桁ホームラン」の偉業を達成した。ベーブ・ルース選手は、投手としては94勝し、打者としては714本のホームランを打った「野球の神様」と称される人物。
9 火曜日 社会 住民基本台帳に基づく今年1月1日現在の日本の人口が総務省から発表された。それによると、日本人の総人口は1億2322万3561人で、2021年1月1日より61万9140人減少していた。1968年の現行調査開始以降では最大の減少幅で、これで2009年をピークとして、13年連続で減ったことになる。首都圏1都3県の日本人人口が初めて減ったことも注目された。
17 水曜日 文化 囲碁の関西棋院は、9歳4か月の小3生・藤田怜央さんを9月1日付でプロとして採用すると発表した。2019年4月に10歳0か月でプロ入りした仲邑菫二段よりさらに若く、世界最年少の囲碁棋士が誕生することになった。
24 水曜日 政治 岸田首相は首相官邸で開かれた「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」にオンラインで参加し、次世代型原子力発電所(原発)の新設や既存の原発の運転期間の延長を検討するように指示した。昨今の電力不足を受けたもので、2011年の東京電力福島第一原発の事故以来、新増設や建て替えを凍結してきた方針を大きく転換させたことになる。
29 月曜日 科学 名古屋大学などの研究グループは、2人乗りの小型潜水船が8月13日に父島の北約250kmの海域で、水深9801mの小笠原海溝最深部に潜ることに成功したと発表した。日本人の深海への潜航記録は、これまでは1962年の千島・カムチャツカ海溝での9545mだったが、それを256m更新した。
30 火曜日 国際 旧ソビエト連邦(ソ連)の最後の指導者だったミハイル・ゴルバチョフ元大統領が91歳で死去した。

最終文書を採択できずに決裂NPT再検討会議が開催

世界の核弾頭保有数(2022年6月現在)
国・地域保有数
NPT加盟アメリカ5425
ロシア5975
イギリス225
フランス290
中国350
NPT非加盟インド160
パキスタン165
イスラエル90
NPT脱退宣言北朝鮮40

長崎大学核兵器廃絶研究センター調べ

 8月1日から26日まで、アメリカ・ニューヨークの国際連合本部で、核拡散防止条約(NPT)のあり方を見直す再検討会議が開催されました。NPTは核兵器を保有する国をこれ以上増やさないことを目的とする条約で、1970年に発効しました。1967年1月1日の時点で核兵器をすでに持っていたアメリカ、ソビエト連邦(ソ連、現ロシアなど)、イギリス、フランス、中華人民共和国(中国)だけに核兵器の保有を認め、それ以外の参加国は今後も核兵器を持ってはならないと定めています。これは5大国にだけ核兵器の保有を認めている不平等な条約だともいえます。そのため、インド、パキスタン、イスラエルは参加しておらず、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)も2003年に脱退を宣言しました。この4か国は事実上の核保有国とされています。前述の5大国と合わせ、現在の世界では9か国が核兵器を持っていることになりますが、何らかの行き違いにより、本当に核兵器が使われてしまう危険性は常にあります。

 8月1日の会議初日、グテレス国連事務総長はそんな現状に強い危機感を示しました。また、被爆地の広島1区選出の衆議院議員でもある岸田文雄首相も、NPTは「軍縮・核不拡散体制の礎石」だとしたうえで、日本はその守護者として「NPTをしっかり守り抜く」と演説しました。ロシアのウクライナ侵攻を踏まえて、核兵器による威嚇はあってはならない、長崎を最後の被爆地にしなければならないとも述べました。しかし、日本が批准していない核兵器禁止条約について触れられなかったことには失望の声もありました。

 会議中の8月には、ウクライナのザポリージャ原子力発電所付近で戦闘があったため、最終文書案にはロシアを非難する内容が盛り込まれました。最終日の26日にはそれを全会一致で採択するはずでしたが、名指しは避けたにもかかわらず、やはりロシアが反対し、採択できませんでした。2015年の前回の会議でも、中東を非核地帯とする構想にイスラエルとアメリカが反対したため、最終文書の採択に失敗しています。2回続けて合意に至らなかったことで、NPT体制への信頼が揺らぎ、核軍縮の機運がしぼむ恐れが出てきました。

今年も各地で「線状降水帯」が発生東北・北陸などで記録的豪雨

 8月の初め、前線や低気圧の影響により、東北地方や北陸地方が大雨に見舞われました。気象庁は3日午後7時15分、山形県南部の置賜地方(長井市、南陽市、米沢市、高畠町、飯豊町、川西町)の6市町に、今年初めての大雨特別警報を発表。続いて4日朝までに、山形県小国町、新潟県村上市、胎内市、関川村にも大雨特別警報が出されました。

 このとき、山形県や新潟県には南から暖かく湿った空気が流れ込み、複数の「線状降水帯」が発生していました。これにより、新潟県関川村下関では4日午前6時20分までの24時間に、平年の8月1か月分を大きく上回る560.0ミリという雨量を記録しました。そのうち午前2時3分までの1時間の雨量は、観測史上6位タイの149.0ミリでした。

 その後、前線は次第に南下し、4〜6日には石川県・福井県・滋賀県などでも大雨が降りました。青森県や秋田県でも大雨が続き、各地で河川の氾濫、道路の冠水、道路への土砂流入、住宅の浸水などの被害が発生しました。なかでも特に深刻だったのは鉄道の被害です。JR米坂線は山形県飯豊町内で、JR磐越西線は福島県喜多方市内で、それぞれ鉄橋が崩落し、その前後の区間は長期間の運休を強いられそうです。また、青森県内のJR津軽線とJR五能線、秋田県内のJR奥羽本線とJR花輪線にも大きな被害を受けた区間があります。これにより、日本海側を北上して北海道に向かう貨物列車も運行できなくなりました。

 このように近年、7〜8月に線状降水帯などにより、「数十年に一度」といわれるほどの大雨が降り、重大な災害がたびたび発生しています。線状降水帯は日本の南から暖かく湿った空気が流れ込み、同じ場所で積乱雲が次々に発生して、それが線状に並び、猛烈な雨を降らせるものです。地球温暖化の影響で大気中の水蒸気が増えると、線状降水帯が発生しやすくなるという見方もあります。梅雨の時期から台風の襲来する秋にかけては特に警戒が必要です。

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