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  • 23年2月号 [入試に出る時事問題]これだけは押さえておこう! ニュース総チェック

さぴあニュースバンク

総チェック目次
ウクライナ問題と国際情勢
政治・経済あれから何周年?社会・環境
スポーツ
理科的なニュース
2022年の主な出来事

これだけは押さえておこう! 入試に出る時事問題さぴあニュースバンク2023年 入試対策/ニュース総チェック

 2022年の世界を揺るがした大きな出来事といえば、ロシアによるウクライナ侵攻でしょう。日本国内では歴史的な円安と物価高に関するニュースも注目を集めました。これらも含め、未来を担う小学生なら当然知っておくべきで、なぜそれが起こったのか、どうすれば解決できるのか、自分の頭で考えてほしいことがたくさんあります。中学入試の社会科や理科で時事的な問題が多く出されるのは、そうした姿勢を持って学んできたかを確認するためです。ここでは今年の入試に取り上げられそうな2022年の主なニュースをまとめました。6年生は時事問題の最終確認に、5年生以下はこの1年間の国内や海外の動きを知っておくために、ぜひご活用ください。 ※西暦のない日付はすべて2022年です。

ウクライナ問題と
国際情勢

1NEWS CHECK 北大西洋条約機構(NATO)が焦点に

ロシアのウクライナ侵攻の狙い

ウクライナとその周辺

 2月24日、ウラジーミル・プーチン大統領の命令により、ロシア軍がウクライナへの侵攻を開始しました。

 ウクライナでは2014年に、親ロシア派の政権が倒れて親欧米派の政権が成立しましたが、このときから東部の「親ロシア派」の住民が多い地域はウクライナから事実上独立し、ロシアの支援を受けて政府軍と内戦状態になっていました。また、ロシアの重要な海軍基地があるクリミア半島もウクライナからの独立を宣言しましたが、ロシアはその直後、住民投票の結果だと称して、クリミア半島を一方的に併合しました。

 それ以来、ウクライナとロシアの関係は険悪になっていました。親欧米派の政権がロシアと距離を置き、ヨーロッパ連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)への加盟を希望したからでもあります。このため、ロシアは2021年末ごろからウクライナとの国境に軍を集結させ、いつでも侵攻できる態勢を整えました。これに対し、アメリカはウクライナに近いポーランド、ルーマニア、そしてドイツに軍を派遣しました。不測の事態に備えるためでしたが、結局、ロシアによるウクライナ侵攻を防ぐことはできませんでした。

 アメリカ、ポーランド、ルーマニア、ドイツはいずれもNATOという軍事同盟の加盟国です。NATOは加盟30か国のうちどれか1か国でも攻撃されれば、加盟国全体に対する攻撃と見なして共同で反撃することになっています。つまり、NATO加盟国を攻撃すれば、世界最強の軍事力を持つアメリカに反撃される可能性があるということです。よって、単独では軍事力の弱い国も、加盟すれば安全が守られることになります。だからこそ、ウクライナも加盟を希望しているのです。

 NATOは冷戦時代に社会主義国のリーダーだったソビエト連邦(ソ連)に対抗するためにつくられた、アメリカ、カナダと西ヨーロッパ諸国による資本主義国の同盟でした。これに対し、ソ連と東ヨーロッパの社会主義国はワルシャワ条約機構という軍事同盟をつくりました。1989年に冷戦が終結すると、ワルシャワ条約機構は1991年に解散したのですが、NATOは存続しました。

 ロシアはかつて何度も陸続きの国から侵攻され、そのたびに大きな被害を出しながらも撃退してきました。それだけに、隣り合う国はすべて自国の同盟国か、中立国にしておきたいと考える傾向が強いのです。ソ連が存在していた時代、ウクライナはソ連の一部で、ポーランドやルーマニアなどの東ヨーロッパ諸国はソ連の同盟国でした。つまり、ソ連は一部を除いてNATO加盟国と直接国境を接してはいなかったのです。ところが、冷戦が終結すると、ポーランドやルーマニアを含む東ヨーロッパの旧社会主義国は次々とNATOに加盟しました。これはアメリカの勢力範囲が東方に拡大し、ロシアの勢力範囲が縮小したことを意味します。そのため、プーチン大統領はさらにウクライナまでもがNATOに加盟したら、国の安全が脅かされると考え、それだけは絶対に阻止しようと、今回ついにウクライナ侵攻に踏み切ったのです。ウクライナではロシア軍による民間人、民間施設への攻撃が繰り返されており、多くの難民・避難民がポーランドなど周辺国に逃れる事態になっています。

スウェーデン、フィンランドが加盟を申請

NATO加盟国と周辺国

 NATOは1949年にアメリカ、イギリス、フランスなど12か国(原加盟国)で発足しました。冷戦終結後には東ヨーロッパの旧社会主義国もその多くが加盟し、現在では30か国を数えます。

 2022年5月には新たに加盟を申請した国がありました。北ヨーロッパのスウェーデンとフィンランドです。従来、この2か国はロシアを刺激しないよう、NATOには加盟せずに中立政策を取っていました。しかし、ロシアのウクライナ侵攻に直面し、ロシアの脅威をより強く感じるようになったため、加盟申請を決断したと考えられます。

 NATOは加盟している30か国のうちどの2か国を取り出しても、お互いに同盟国どうしという関係になります。したがって、すべての加盟国の同意がなければ、新たに加盟することはできません。スウェーデンとフィンランドの場合、7月に加盟30か国すべてが両国の加盟議定書に署名したため、あとはすべての加盟国の批准手続きが終了すれば、両国は正式な加盟国になります。すでに30か国中28か国が批准しており、残りはハンガリーとトルコです。このうちハンガリーのオルバン・ビクトル首相は11月24日、ハンガリー議会は2023年の早い時期に批准するとの見通しを明らかにしました。あとはトルコの批准を待つばかりです。

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領も加盟を申請すると表明しましたが、こちらはいつ実現するか、まだ見通せません。

補足しておくと

 このニュースを理解するにはウクライナという国のあらましをある程度知っておくことが必要です。ウクライナは旧ソ連を構成していた15の共和国の一つで、面積は約60万㎢と日本の約1.6倍あり、旧ソ連15か国のなかではロシア、カザフスタンに次いで3番目に広い国です。人口は約4200万人(関東地方とほぼ同じ)で、旧ソ連15か国のなかではロシアの次に多くなっています。ソ連のなかでも重要な共和国だったことがわかります。

 それだけに、ロシアにとってはソ連崩壊によりウクライナが別の国になったことは大きな打撃でした。ウクライナは言語や宗教の面でもロシアと共通性があります。ウクライナ語とロシア語はどちらもインド・ヨーロッパ語族のスラブ語派に属し、文法や単語がよく似ています。宗教も、両国の国民の多くはキリスト教のうち、カトリックともプロテスタントとも異なる東方正教会の信徒です。こうしたことからプーチン大統領は、ウクライナ人はロシア人の一部であり、独立した民族とはいえないと考えているようです。しかし、ウクライナでは1991年の独立以来、「自分たちはウクライナ人」という民族意識が育っており、プーチン大統領のこうした考えは受け入れがたいものなのです。

2NEWS CHECK 機能不全に陥った国連

ロシアが「拒否権」を行使

 ロシアがウクライナ侵攻を開始した直後の2月25日、国連安全保障理事会はロシアを非難し、武力行使の即時停止とウクライナからの撤退を求める決議案の採決を行いました。理事国15か国のうち、アメリカ、イギリス、フランスなど11か国は賛成したのですが、常任理事国のロシアが「拒否権」を行使したため、否決されました。中華人民共和国(中国)、インド、アラブ首長国連邦(UAE)の3か国は棄権でした。

 安全保障理事会は国連の六つの主要機関のなかで最も重要とされています。紛争が発生して平和が脅かされたとき、国連の加盟国を代表して、どう解決するかを決める役割を担っているからです。安全保障理事会はアメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国の常任理事国5か国と、任期2年の非常任理事国10か国の計15か国で構成されています。このうち9か国以上の賛成で決議は成立しますが、常任理事国が1か国でも反対すると、9か国以上が賛成しても決議は成立しません。これが拒否権です。ただし、「棄権」であれば、拒否権を行使したことにはなりません。

 拒否権が常任理事国だけに認められているのは、国連が第二次世界大戦で勝利した「連合国」をもとに創設されたためです。主要な戦勝国であるアメリカ、イギリス、フランス、ソ連、中華民国の5か国がそのまま常任理事国となったのですが、これらの国々の意見が一致しないと国際秩序を維持するのは難しいと考えられ、拒否権という特権が与えられたのです。なお、ソ連の常任理事国の地位はロシアに、中華民国の常任理事国の地位は中華人民共和国に、それぞれ引き継がれたものと見なされています。

 この5大国のいずれかが国際ルールを破ったときにどうするかという問題は以前からありました。それが今回のロシアの拒否権行使によってあらわにされたのです。国連が機能不全に陥ったといえるでしょう。

 安全保障理事会がその役割を果たせないため、国連総会の緊急特別会合が開かれ、3月2日にはロシアを非難する決議が加盟193か国中141か国の賛成で採択されました。ただ、安全保障理事会の決議とは異なり、総会の決議に法的拘束力はありません。それでも紛争を武力で解決することは認めないという国際社会の意思を示したとはいえます。

 なお、国連総会ではその後もロシアを非難する決議が採択されています。ロシアが9月30日にウクライナ東部・南部の4州(ルハンシク州・ドネツク州・ザポリージャ州・ヘルソン州)の併合を一方的に宣言したことについては、「違法で無効」とする決議が143か国の賛成で採択されました。3月の決議のときに比べ、2か国増えたわけです。

補足しておくと

 国連の主要機関は総会と安全保障理事会のほか、経済社会理事会、信託統治理事会(対象となる地域がすべて独立したため活動停止)、国際司法裁判所、事務局があります。それぞれの役割を整理しておきましょう。また、常任理事国5か国は次の項目で説明する核保有5大国とまったく同じです。国際社会の分野で最も重要な知識なので、しっかり定着させておくことが大切です。

3NEWS CHECK 核兵器に関する国際会議が続く

核兵器禁止をめぐる歴史

核保有5大国と事実上の核保有国

 1945年8月6日には広島に、同じく9日には長崎に、それぞれアメリカ軍によって原子爆弾が落とされました。どちらの街も壊滅状態になり、いまも放射線を浴びたことなどによる後遺症で苦しむ人がいます。

 こうしたことを二度と繰り返さないために、国際社会では核兵器を新たに保有することを禁止する条約や、核実験を禁止する条約を採択してきました。

 たとえば、1967年1月1日の時点で核兵器を保有していた、核保有5大国(アメリカ、イギリス、フランス、ソ連、中国)以外の国が核兵器を保有することを禁止したのが、1970年に発効した核拡散防止条約(NPT)です。しかし、非加盟のインド、パキスタン、イスラエルと、脱退宣言をした朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が事実上の核保有国になるのを防ぐことはできませんでした。

 次に、核爆発を伴うすべての核実験を禁止する包括的核実験禁止条約(CTBT)が1996年に国連総会で採択されました。しかし、核保有5大国や事実上の核保有国の一部が批准していないため、発効の見通しは立っていません。

 そして、2017年7月7日に120か国以上の賛成を得て採択され、2021年1月22日に発効したのが、核兵器禁止条約です。これは人類の破滅につながりかねない核兵器の開発・製造・保有・使用などを、初めて全面的に禁止したものです。使うという脅しも禁止です。ただし、核保有5大国と事実上の核保有国は採択のための話し合いに参加せず、条約も批准していません。

 唯一の戦争被爆国である日本も参加しませんでした。政府は「核保有国と非核保有国との対立を助長するから」だとしていますが、国の安全をアメリカの「核の傘」に頼っているため、核兵器の禁止を強くは主張できないという事情があるからではないかとみられています。

 「核の傘」とは、もし日本を武力で攻撃したら、日本の同盟国であるアメリカに核兵器で反撃される恐れがあるので、どの国も簡単には日本を攻撃できないということです。同じような状況の大韓民国(韓国)やNATO加盟国であるカナダ、ヨーロッパ諸国なども批准していません。

 これが核兵器をめぐる世界の現状です。冷戦終結後、核軍縮が進んだとはいえ、最近ではその動きは停滞しています。今も主にアメリカとロシアが、人類を何度も滅ぼすことができるだけの核兵器を保有していることには変わりありません。しかも、新たに核兵器を持とうとしていると疑われている国もあります。イランです。11月には国際原子力機関(IAEA)が、イラン国内の地下施設で濃縮度60%のウラン製造が始まったと明らかにしました。ウランは濃縮度が90%を超えると核兵器の材料として使えるようになるだけに、先行きが懸念されます。また、弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮が、7回目の核実験に踏み切るのではないかという見方も根強く残っています。

核兵器禁止条約第1回締約国会議

 2022年は核兵器に関する条約の締約国会議が相次いで開かれた年でした。

 6月21日から23日までオーストリアのウィーンで開催されたのが、核兵器禁止条約第1回締約国会議です。この会議には条約を批准していないオブザーバー(議決権のない参加者)を含む、80以上の国と地域が参加しましたが、日本は核保有国が1か国も参加していないことを理由にオブザーバーとしての参加も見送りました。ただし、広島市と長崎市の市長はそろって参加し、核廃絶を訴えました。

 会議の最終日である23日には「核兵器のない世界への私たちの誓約(ウィーン宣言)」を採択。ウクライナに侵攻したロシアを念頭に、名指しは避けながらも、「核兵器を使う」といういかなる脅しも明確に非難するとしました。そして、自国や同盟国の核兵器によって他国からの核攻撃を防げるという「核抑止論」をあらためて否定しました。

NPT再検討会議

世界の核弾頭保有数(2022年6月現在)

国・地域保有数
NPT加盟アメリカ5425
ロシア5975
イギリス225
フランス290
中国350
NPT非加盟インド160
パキスタン165
イスラエル90
NPT脱退宣言北朝鮮40

長崎大学核兵器廃絶研究センター調べ

 続いて8月1日から26日まで、アメリカ・ニューヨークの国連本部でNPTのあり方を見直す再検討会議が開かれました。この会議は本来なら2020年4〜5月に開かれることになっていましたが、新型コロナウイルス感染症の流行により、4度にわたって延期されていました。

 8月1日の会議初日には岸田文雄首相が、NPTは「軍縮・核不拡散体制の礎石だ」としたうえで、日本はその守護者として「NPTをしっかり守り抜く」と演説しました。しかし、日本が批准していない核兵器禁止条約について触れられなかったことには失望の声も上がりました。

 会議中にはウクライナのザポリージャ原子力発電所付近で戦闘があったため、最終文書案にはロシアを非難する内容が盛り込まれましたが、名指しを避けたにもかかわらず、ロシアの反対によって採択できませんでした。これで前回の2015年の会議に続いて、2回連続で最終文書の採択ができずに終了したことになります。

補足しておくと

 核兵器を禁止する条約があることはここで述べた通りですが、それでも核兵器が一向になくならないのはなぜでしょうか。「核の傘」や「核抑止論」といったキーワードとともに考えてみましょう。なお、2023年の主要7か国首脳会議(G7サミット)は、被爆地であり、岸田首相の選挙区でもある広島市で開催されます。

4NEWS CHECK 食料とエネルギーをめぐる問題

アフリカなどが食料危機に

 ロシアによるウクライナ侵攻は世界的にも大きな影響を与えています。食料とエネルギーが不足し、その価格が高騰しているという問題です。

 まず、食料問題について見てみましょう。アジアでは米を主食としている地域もありますが、それ以外の多くの地域ではパンなどの原料である小麦が主食とされています。その小麦の輸出量は、ロシアが世界一で、ウクライナが第5位。両国の輸出量を合計すると、世界の約3割を占めています。

 ウクライナは国土の約7割が農地であり、その「青と黄色」の国旗は「青い空と小麦畑」を表しています。ところが、ロシア軍の侵攻で畑が荒らされたり、地雷を埋められたりしたことに加え、農家にも兵士となってロシア軍と戦っている人が少なくないため、農作業が進まなくなっています。こうして国内消費用の小麦が不足するようになったため、ウクライナ政府は輸出規制を実施しています。また、ウクライナ産の小麦は主に黒海に面したオデーサ港から船で輸出されていますが、その黒海が一時は安全に航行できなくなりました。このため、収穫された小麦が倉庫に備蓄されているにもかかわらず、輸出できない時期もありました。

 そのウクライナを上回る小麦の輸出国がロシアです。しかし、アメリカやヨーロッパ諸国がロシアに対して経済制裁を行っているため、各国ともロシアからの輸入が大幅に減っています。ロシアも対抗措置として輸出を制限しており、食料不足に拍車がかかっています。

 特に厳しい状況に陥っているのが、食料を主にこの両国からの輸入に頼っている中東とアフリカの国々です。イエメン、エジプト、エチオピア、スーダン、南スーダン、ソマリアなどが深刻な食料不足に直面しています。ロシアはこうした国々の人々にも大きな影響を与えているといえます。

 なお、日本の小麦の輸入先はアメリカ、カナダ、オーストラリアであり、ロシアやウクライナではありません。しかし、ロシアやウクライナからの輸入を減らした国が、その分アメリカ、カナダ、オーストラリアからの輸入を増やせば、日本もこれまでと同じ量を同じ価格で輸入できるとは限らなくなります。

高騰するエネルギー価格

 ロシアは石炭、原油、天然ガスなどの化石燃料を大量に産出し、輸出しているエネルギー大国でもあります。特に陸続きのヨーロッパへは、原油や天然ガスがパイプラインで供給されていたため、ロシアに対する依存度が極めて高くなっています。しかし、アメリカやヨーロッパ諸国がロシアに経済制裁を科したことにより、ロシアからの輸入が止まったり、大幅に減ったりして、いずれも価格が急激に上がりました。もちろん、日本も例外ではありません。

 このため、アメリカやヨーロッパ諸国、日本は石油輸出国機構(OPEC)に原油の増産を働きかけています。しかし、世界最大級の産油国で、OPECを主導するサウジアラビアはロシアとの関係が深いこともあってか、増産に応じる姿勢を示してはいません。

 ロシアがウクライナに侵攻するまでは、特にヨーロッパでは地球温暖化対策の一環として化石燃料、なかでも石炭の使用を減らそうという流れが顕著でした。しかし、深刻な天然ガス不足のため、石炭火力発電所をフル稼働させて急場をしのごうという、逆行する動きも出ています。

 こうした苦境から脱け出すための根本的な対策は、ウクライナとロシアとの停戦を実現させることですが、その見通しは立っていません。省エネルギーを促進しつつ、太陽光などの再生可能エネルギーを上手に活用する新たな戦略を打ち立てることが求められます。

補足しておくと

 ウクライナの冬は厳しく、最高気温が0℃未満の日が連日続きます。ところが、ロシアが発電所などを攻撃したことによって停電が日常化しており、暖房を使うのも困難な地域があるようです。暖房がなければ凍死する可能性もあります。また、ドイツなどこれまでエネルギーをロシア産の天然ガスに頼っていたヨーロッパ諸国もガスの節約を迫られており、これまでのように好きなだけ暖房を使うことができない、厳しい冬を迎えています。エネルギーだけでなく、食料の価格も高騰しており、世界中が物価高にあえいでいます。このように、ウクライナ以外でも多くの人々が苦しんでいることを考えると、やはり1日も早い紛争の解決が求められます。

 日本の物価高については後述(政治・経済)しますので、そちらも参照してください。

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ウクライナ問題と国際情勢
政治・経済あれから何周年?社会・環境
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理科的なニュース
2022年の主な出来事

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