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| 2022年の主な出来事
2022年の世界を揺るがした大きな出来事といえば、ロシアによるウクライナ侵攻でしょう。日本国内では歴史的な円安と物価高に関するニュースも注目を集めました。これらも含め、未来を担う小学生なら当然知っておくべきで、なぜそれが起こったのか、どうすれば解決できるのか、自分の頭で考えてほしいことがたくさんあります。中学入試の社会科や理科で時事的な問題が多く出されるのは、そうした姿勢を持って学んできたかを確認するためです。ここでは今年の入試に取り上げられそうな2022年の主なニュースをまとめました。6年生は時事問題の最終確認に、5年生以下はこの1年間の国内や海外の動きを知っておくために、ぜひご活用ください。 ※西暦のない日付はすべて2022年です。
政治・経済
1NEWS CHECK 参議院議員通常選挙をめぐって
自由民主党・公明党の与党が圧勝
●2022年の選挙での党派別の当選者数
政党名 | 今回の当選者数 | 新勢力 | |||
選挙区 | 比例代表 | 計 | |||
与党 | 自由民主党 (自民党) | 45 | 18 | 63 | 119 |
公明党 | 7 | 6 | 13 | 27 | |
野党 ・ その他 | 立憲民主党 | 10 | 7 | 17 | 39 |
日本維新の会 | 4 | 8 | 12 | 21 | |
日本共産党 | 1 | 3 | 4 | 11 | |
国民民主党 | 2 | 3 | 5 | 10 | |
れいわ新選組 | 1 | 2 | 3 | 5 | |
NHK党 | 0 | 1 | 1 | 2 | |
社会民主党 (社民党) | 0 | 1 | 1 | 1 | |
諸派(※) | 0 | 1 | 1 | 1 | |
無所属 | 5 | ー | 5 | 12 | |
計 | 75 | 50 | 125 | 248 |
※その他の団体
第26回参議院議員通常選挙の投票・開票が7月10日に行われました。
参議院の定数は248(選挙区148、比例代表100)です。議員の任期は6年ですが、3年ごとに半数が改選されるため、1回の選挙では選挙区74人、比例代表50人の計124人が選ばれます。しかし、今回選ばれた議員は1人多い125人でした。これは神奈川県から選ばれた、任期が残り3年の議員のなかに欠員が1人あったため、神奈川県ではそれを補う「合併選挙」も行われたからです。
結果は、政権を担当する与党の第1党である自由民主党(自民党)が、今回の当選者の過半数となる63議席を単独で獲得しました。同じく与党の公明党は13議席を獲得。両党合わせて76議席となり、与党が圧勝したといえます。
一方、野党で議席を大きく伸ばしたのは、任期切れ6人に対して12議席を獲得した日本維新の会でした。野党第1党の立憲民主党は17議席を獲得しましたが、任期が切れたのは23人なので、差し引き6議席の減少でした。国民民主党は7人の任期が切れましたが、当選は5人にとどまりました。
今回の選挙の最大の争点は、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけとして拍車がかかった物価高への対応だったといえるでしょう。日本の外交・安全保障政策のあり方、新型コロナウイルス感染症対策のあり方、多様性が尊重される社会づくり(選択的夫婦別姓の導入の是非など)、少子化対策、地球温暖化(気候変動)対策、原子力発電所の再稼働の是非といった問題についても、各政党や候補者がそれぞれ考えを示しました。
女性の当選者数が過去最多に
「ジェンダー平等」も争点の一つだったといえます。今回は2018年5月に「政治分野における男女共同参画推進法(候補者男女均等法)」が成立してから2度目の参議院議員通常選挙でした。この法律は国と地方の議会議員選挙の候補者数をできる限り男女均等にするよう各政党に努力義務を課したものです。そのため、女性がどれくらい立候補し、当選するかも注目されました。
その趣旨に最も沿っていたのは野党の立憲民主党や日本共産党で、候補者の男女比は半々に近くなっていました。これに対し、与党の自民党と公明党は候補者のうち女性の占める割合が20%台と低いままでした。
全体では、無所属を含む545人の候補者のうち、女性は181人と過去最多で、その割合の33.2%も過去最高でした。また、女性の当選者も35人と過去最多でした。これにより、今回改選されなかった29人を含めると、女性の議員は64人になりました。総議員248人に対する割合は25.8%で、ほぼ4人に1人ですが、衆議院の女性議員の割合は10%前後と極めて低いままです。
今回も問われた「一票の格差」
●参議院議員通常選挙での候補者と
当選者に占める女性の割合
(総務省発表資料から)
国政選挙が実施されるたびに、毎回「一票の格差」が問題にされます。「一票の格差」とは選挙区によって議員1人当たりの人口や有権者数が大きく異なるため、1票の重みにも差が出ることをいいます。それがあまりにも大きいと、憲法第14条に定められた「法の下の平等」に反することになるとされます。
今回の参議院議員通常選挙では、「一票の格差」が最大3.03倍でした。そのため、終了直後に二つの弁護士グループが選挙の無効(やり直し)を求めて、全国すべての高等裁判所(高裁)とその支部に対して計16件の裁判を起こしました。
この選挙での定数1当たりの有権者数は、最少の福井選挙区(定数1)が63万7068人だったのに対して、最多の神奈川選挙区(定数4。合併選挙を除く)は193万1855人だったのです。この格差が3.03倍ということです。つまり、神奈川選挙区の有権者の1票は、福井選挙区の有権者の1票の約3分の1の価値しかないことになります。
このような定数配分はおかしいというのが弁護士グループの主張です。11月15日に出そろった各高裁・支部の判決は「違憲」が1件(仙台高裁)、「違憲状態」が8件、「合憲」が7件でした。前回、2019年の参議院議員通常選挙の最大格差は3.00倍で、判決は「合憲」が14件、「違憲状態」が2件だったので、厳しい判決が大幅に増えたといえます。
なお、「違憲状態」とは、憲法に違反する状態になってからまだそれほど時間がたっていないので、その間に国会が定数を是正できなかったとしてもやむを得ないということです。「違憲」はより厳しく、国会は定数を是正できたはずだということです。ただし、いずれの場合も選挙そのものは有効だとされました。最高裁判所ではこの16件の判決を踏まえ、2023年中にも統一判断を示す見通しになっています。
衆議院の小選挙区が「10増10減」に
「一票の格差」は衆議院議員総選挙でも問題とされています。参議院では「3倍」が違憲状態とされる目安ですが、衆議院では「2倍」とより厳しくなっています。しかし、地方では人口減少が著しいため、最も有権者数の少ない小選挙区の2倍以上の有権者がいる小選挙区が、大都市圏を中心にたくさんできていました。そのため、区割りが見直されることになり、11月18日には小選挙区を「10増10減」する改正公職選挙法が参議院本会議で可決され、成立しました。区割りが見直された小選挙区は25都道府県の140にも及びます。「10増10減」とは東京都で5、神奈川県で2、埼玉県・千葉県・愛知県で1ずつ小選挙区を増やすと同時に、地方の10県で1ずつ小選挙区を減らすという意味です。
今回は2020年の国勢調査の結果による人口に基づき、従来の決め方より人口比が正確に反映される「アダムズ方式」によって各都道府県の小選挙区数を決定しました。これにより、「一票の格差」は2.096倍から1.999倍に縮小しました。この法律は12月28日に施行されたため、次回の衆議院議員総選挙では新たな区割りが適用されます。
補足しておくと
参議院議員通常選挙や衆議院議員総選挙が行われると、翌年の入試では、選挙制度や、その結果を踏まえた動きなどについての出題が増える傾向にあります。今回の参議院議員通常選挙の一つのポイントは女性の候補者と当選者が過去最多だったことです。また、11月にはその参議院議員通常選挙での「一票の格差」に対する各地の高裁とその支部の判決が出そろいました。さらに、衆議院議員総選挙の小選挙区を「10増10減」する改正公職選挙法も成立しました。こうしたニュースにも注意を払っておきましょう。
2NEWS CHECK 歴史的な物価高と円安
相次ぐ食品などの値上げ
12月23日に総務省から発表された11月の消費者物価指数(2020年=100)は、天候などの影響で値動きの大きい生鮮食品を除いた総合指数が103.8でした。前年同月より3.7%も上がったのですが、この上昇率は第2次石油危機の影響があった1981年12月の4.0%以来、40年11か月ぶりの高さです。
最近、お菓子が値上がりしたなと感じる人も多いのではないでしょうか。実際、帝国データバンクの調査によると、2022年に値上げされた食品は2万品目以上に上っています。この主な原因は小麦、家畜の飼料、肥料など輸入品の価格が上昇していることです。それに加えて、原油の価格も高騰しているため、輸送コストが上がり、プラスチックの包装資材も値上がりして、あらゆる食品の価格上昇を引き起こしているのです。その背景の一つは前述したようにロシアによるウクライナ侵攻です。
また、新型コロナウイルス感染症の流行初期に、世界的に需要が急激に落ち込んだため、それに合わせて生産体制を縮小したことによる影響も見逃せません。現在では、新型コロナウイルスとは共存していくしかないという考えから、多くの国では、規制はほぼ解除されており、需要がいわば「V字回復」しています。ところが、生産体制はすぐには元に戻せません。このため、需要に供給が追いつかなくなり、必然的に物価が上がったのです。
円相場が一時、1ドル=150円台に
●円相場の動き(1ドルが何円だったか)
東京外国為替市場における円=ドル相場
国内での物価上昇に大きな影響を与えたもう一つの要因が円安です。10月20日には東京外国為替市場で円相場が一時、1ドル=150円台を記録しました。これほどの円安(=円の価値が下がる)は32年ぶりのことです。
「外国為替市場」とは日本の「円」やアメリカの「ドル」、EUの「ユーロ」、イギリスの「ポンド」など、異なる通貨を交換=売買する場のこと。たとえば、日本では街の普通のお店で使えるのは「円」なので、「ドル」を持って日本を訪ねた人は、手持ちのお金の一部を「円」に替えることが必要になるわけです。
ただし、それぞれの通貨の価値は固定されているわけではなく、その時々の各国の経済状況などを反映して、高くなったり低くなったりします。「円」の価値が外国の通貨、特にアメリカの「ドル」に対して上がることを「円高」といい、下がることを「円安」といいます。1ドルと交換できる「円」の金額が少ないほうが「円高」で、多いほうが「円安」であることに注意してください。
最近の円安の背景にあるのは日本とアメリカとの金利(利息)の差だといわれています。金利が上がると、家を買おうとする個人や工場を新たに建てようとする会社などは、そのためにお金を借りるとより多くの利息を払わなければならなくなるので、お金が借りにくくなって経済活動が低調になります。すると、物を買おうとする人が少なくなり、物価も下がることが見込まれるのです。
アメリカでは物価高が続いているため、金利を上げていますが、日本は景気が良くないので、金利を極端に低い状態に据え置いています。すると、金利が低い「円」を売って、金利が高い「ドル」を買おうとする動きが活発になります。「円」よりも「ドル」でお金を銀行に預けたほうが、より多くの利息がもらえるからです。その後、1月初めには、円相場は一時1ドル=129円台まで戻りました。2023年はむしろ円高になるという見方も出ています。
補足しておくと
食品の値上げラッシュは2023年もまだまだ続きそうですし、電力会社のなかには4月からの大幅な値上げを申請すると発表したところもあります。こうなると、小学生にとっても経済のニュースは自分に関係ないこととはいえません。物の値段は需要と供給の関係によって決まること、需要が多い(ほしい人が多い)のに、供給が少ない(商品が少ない)のであれば、当然、値上がりすることは理解しておきましょう。
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