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2022年の世界を揺るがした大きな出来事といえば、ロシアによるウクライナ侵攻でしょう。日本国内では歴史的な円安と物価高に関するニュースも注目を集めました。これらも含め、未来を担う小学生なら当然知っておくべきで、なぜそれが起こったのか、どうすれば解決できるのか、自分の頭で考えてほしいことがたくさんあります。中学入試の社会科や理科で時事的な問題が多く出されるのは、そうした姿勢を持って学んできたかを確認するためです。ここでは今年の入試に取り上げられそうな2022年の主なニュースをまとめました。6年生は時事問題の最終確認に、5年生以下はこの1年間の国内や海外の動きを知っておくために、ぜひご活用ください。 ※西暦のない日付はすべて2022年です。
スポーツ
1NEWS CHECK 北京で冬のスポーツの祭典が開催
オリンピックで「外交的ボイコット」
2022年2月4日から20日まで、中国の首都北京で冬季オリンピックが開かれました。北京では2008年に夏季大会も開かれたため、史上初めて夏と冬の両方のオリンピックを開催した都市になりました。
この大会には91の国と地域から約2900人の選手が参加し、史上最多の7競技109種目で熱戦が繰り広げられました。日本からは124人(男子49人、女子75人)が参加しましたが、これは前回、2018年に韓国の平昌で開かれた大会の123人を上回り、海外での冬季大会としては史上最多でした。日本は金3、銀6、銅9の計18個のメダルを獲得しました。
今回は競技以外のことにも注目が集まりました。中国の新疆ウイグル自治区や香港などで深刻な人権侵害が行われているとして、アメリカ、イギリスなどが政府関係者を派遣しない「外交的ボイコット」を行ったのです。参加そのものをボイコットすべきだという意見もありましたが、それは選手にとってあまりにも酷だという声も上がり、外交的ボイコットのみが行われました。
また、国家ぐるみで薬物の不正使用(ドーピング)を行っていたとされたロシアは、今回も国としての参加が認められず、ROC(ロシアオリンピック委員会)として参加しました。それでもフィギュアスケートの女子選手がドーピング検査で陽性になり、大きな問題になりました。
パラリンピックではロシアの参加を認めず
続いて3月4日から13日までは同じ北京で冬季パラリンピックが開催されました。パラリンピックは夏季・冬季とも、オリンピックの終了後に必ず同じ都市で開かれるようになっています。
この大会は、2月24日にロシアがウクライナに侵攻した直後に開幕の日を迎えました。国際パラリンピック委員会(IPC)は当初、ロシアパラリンピック委員会(RPC)と、ロシアに協力しているとされたベラルーシの選手を、国名・国旗・国歌などを使用しない「中立」の立場で出場させることを考えていました。しかし、多くの国のパラリンピック委員会や各競技のチーム・選手が、それなら自分たちは出場しないとほのめかし、大会が開けなくなる恐れが出てきました。IPCが開会式前日に態度を一転させ、両者の出場を認めないことにしたのはそのためです。
今回は46の国と地域から約560人の選手が参加し、6競技78種目で熱戦が展開されました。ウクライナの健闘が目立ち、金メダルの獲得数は中国の18個に次いで多い11個でした。日本からの参加者は男女合わせて29人で、金4、銀1、銅2の計7個のメダルを獲得しました。
補足しておくと
オリンピックは平和の祭典といわれますが、実際には国際政治の状況を如実に反映します。たとえば、1980年にソ連の首都モスクワで開かれた夏季オリンピックは、日本やアメリカなどが参加をボイコットしました。これはその前年にソ連がアフガニスタンに侵攻したことに抗議したものです。選手にとっては鍛えてきた技と力を発揮する場を奪われたことになります。今回のパラリンピックでも同様のことが繰り返されました。
なお、2026年の冬季オリンピック・パラリンピックはイタリア北部のミラノとコルティナダンペッツォで開かれます。2030年の大会の開催都市には札幌市が立候補しています。開幕まであと1年半ほどになった2024年の夏季オリンピック・パラリンピックの舞台はフランスのパリです。
2NEWS CHECK カタールでサッカーワールドカップ
中東では初めての開催
11月20日から12月18日まで、中東のカタールで国際サッカー連盟(FIFA)のワールドカップ大会が開催されました。この大会は4年に一度開かれる、男子サッカー世界一の国・地域を決めるもので、オリンピックより人気があるといわれるほどです。2002年には日本と韓国が共同で開催しました。中東で開かれるのは今回が初めてです。この地域では夏に猛烈な暑さになり、最高気温が50℃を超えることさえあるため、従来のように6〜7月に開催するのは避け、初めて11〜12月に開かれました。
試合は1次リーグと決勝トーナメントに分けて行われます。まず32チームが4チームずつA〜Hの8組に分かれて、総当たりで1次リーグを戦い、各組の上位2チーム、計16チームが決勝トーナメントに進みます。1次リーグ・グループEの日本は、初戦のドイツに2対1で逆転勝ちした後、コスタリカに0対1で敗れましたが、スペインにも2対1で逆転勝ちし、グループ首位で決勝トーナメントに進出しました。ドイツとスペインはどちらもワールドカップで優勝経験のある強豪です。日本が優勝経験国に勝利したのは今回が初めてです。
決勝トーナメント1回戦ではクロアチアと対戦しましたが、延長戦まで戦っても1対1と決着がつきませんでした。どちらが準々決勝に進出するかを決めるPK戦で日本は敗れ、目標としていた初のベスト8入りは果たせませんでした。最終日の12月18日に行われた決勝は、アルゼンチンとフランスとの対戦になりました。延長戦にもつれ込んでも3対3とどちらも譲りませんでしたが、PK戦でアルゼンチンが勝利し、1986年以来36年ぶりの優勝を果たしました。
なお、次回の2026年のサッカーワールドカップはアメリカ、カナダ、メキシコで共同開催され、本大会参加国・地域は32から48に増えます。
カタールとは
アラビア半島からペルシア湾に突き出た半島のカタールは秋田県ほどの面積で、1971年にイギリスの保護領から独立しました。国土の大半は砂漠で、5月から9月にかけては最高気温が50℃になることもあるほどです。国民のほとんどがイスラム教徒で、アラビア語が使われます。主な産業はほかの湾岸諸国と同様、石油の輸出ですが、サウジアラビアやUAEとは異なり、天然ガスの輸出量も多いのが特徴です。液化天然ガス(LNG)は日本の火力発電所で最も多く使われる燃料ですが、こうしたエネルギーの輸出により、経済的には非常に豊かです。
しかし、中東の国々では宗教的な背景などから、欧米諸国とは価値観が大きく異なっています。カタールも例外ではなく、人権が侵害されている人々がいることは事実です。そのため、ヨーロッパの国々を中心に、観戦のボイコットを呼び掛けたり、試合のパブリックビューイングを取りやめたりする動きがありました。
その人権問題の一つは外国人労働者の待遇です。カタールには国籍を持つ国民よりはるかに多い数の外国人労働者がいて、主にインドやパキスタンなど、南アジアの国々から来ています。スタジアムの建設もこうした外国人労働者の力で行われましたが、猛暑のなかで過酷な労働を強いられ、多数の死者が出たといわれているのです。ほかにも性的少数者の人権問題が指摘されました。これらはサウジアラビアやUAEにも共通する問題です。
補足しておくと
オリンピックやパラリンピック、サッカーワールドカップなど大規模なスポーツの大会は、政治とは切り離されていることになっています。しかし、こうした大会を成功させれば、その国の政権の求心力が高まることも事実です。独裁的な政治を行う国が自国のイメージ一新にスポーツを利用していることも否定できません。
一方で、できるだけコストをかけず、かつ環境に配慮して開くことも求められるようになっているため、開催国が限られるようにもなってきました。民主主義が確立している国では、いったんは開催したいと手を挙げたとしても、巨額の費用が問題視され、途中で撤退に追い込まれるケースも少なくないのが現状です。
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