受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

  • Top
  • 読み物/教養
  • 23年2月号 [入試に出る時事問題]これだけは押さえておこう! ニュース総チェック

さぴあニュースバンク

これだけは押さえておこう! 入試に出る時事問題さぴあニュースバンク2023年 入試対策/ニュース総チェック

 2022年の世界を揺るがした大きな出来事といえば、ロシアによるウクライナ侵攻でしょう。日本国内では歴史的な円安と物価高に関するニュースも注目を集めました。これらも含め、未来を担う小学生なら当然知っておくべきで、なぜそれが起こったのか、どうすれば解決できるのか、自分の頭で考えてほしいことがたくさんあります。中学入試の社会科や理科で時事的な問題が多く出されるのは、そうした姿勢を持って学んできたかを確認するためです。ここでは今年の入試に取り上げられそうな2022年の主なニュースをまとめました。6年生は時事問題の最終確認に、5年生以下はこの1年間の国内や海外の動きを知っておくために、ぜひご活用ください。 ※西暦のない日付はすべて2022年です。

理科的なニュース

1NEWS CHECK 11月に皆既月食を観測

442年ぶりに、同時に惑星食も

 11月8日、日本各地で皆既月食が観測されました。今回、月が欠け始めた(部分月食が始まった)のは午後6時9分からで、皆既月食になったのは午後7時16分からです。その状態は午後8時42分まで続き、再び部分月食になって、午後9時49分に元に戻りました。

 日本で皆既月食が見られたのは2021年5月26日以来ですが、皆既月食の全過程(部分月食の始まりから皆既月食を経て、部分月食の終わりまで)が全国で観測されたのは2018年1月31日以来、約4年9か月ぶりのことです。

 今回は皆既月食の間に天王星が月に隠される「天王星食」も観測できました。月が天王星などの惑星の手前を横切り、惑星を隠す天文現象を「惑星食」といいます。皆既月食と惑星食が重なったのは、日本では1580年7月26日の「土星食」以来、実に442年ぶりのことでした。当時は織田信長が天下統一をめざしていた時代です。

満月のときに起こる月食

月食と日食の欠け方の違い(イメージ)

 月食とは、太陽・地球・月がこの順番に一直線上に並ぶ満月のとき、地球の影のうち「本影」(地球によって太陽が完全に隠された部分)に月が入ることで、月が欠けて見える天文現象です。月はみずから発光しているのではなく、太陽の光を反射して光っているので、その一部が本影に入ると欠け始めて部分月食となり、完全に本影に入ると皆既月食となります。月食はそれが起こっているとき、月が見えている(夜の)場所であれば、どこからでも観測できます。満月のたびに必ず月食が起こるわけではないのは、地球が太陽の周りを回っている公転面(黄道面)に対し、月が地球の周りを回っている公転面(白道面)が約5度傾いているためです。

 ところで、皆既月食の間、月は完全に見えなくなるわけではありません。今回の皆既月食を観測した人はわかると思いますが、暗い赤銅色に見えます。実は、本影のなかにも、地球の大気で屈折させられた太陽の光がわずかに届いています。ただ、地球の大気を通過するとき、波長の短い青色の光は散乱してしまい、波長の長い赤色の光が残るのです。この光が月面に当たって反射するため、赤銅色の月が見えたというわけです。

補足しておくと

 月は約1か月で地球の周りを、地球は約1年で太陽の周りを、それぞれ北極側から見て反時計回りに公転しています。月と太陽が天球上を移動する速さを比較すると、月のほうが速いため、月食のとき、月は地球の影に西から入り、東に抜けていきます。このため、東から欠けていくことになります。北半球の南の空に月が見える地域では左から、南半球の北の空に月が見える地域では右から欠けていくということです。

 これに対し、日食は太陽・月・地球がこの順番に一直線上に並ぶときに起こりますが、月は太陽の上を西から東に移動します。月食と異なり、欠けるのは月自身ではないため、日食は西から欠けていきます。この違いも理解しておくとよいでしょう。

2NEWS CHECK 南太平洋のトンガで海底火山が噴火

巨大な噴煙が島々を覆う

 1月15日午後1時10分ごろ(日本時間)、南太平洋の南緯20.3度、西経175.2度の位置にある海底火山「フンガ・トンガーフンガ・ハアパイ」で大規模な噴火が発生しました。この海底火山はトンガの首都ヌクアロファのある島から北に65㎞離れた海域にあります。

 トンガは約170の島からなる王国で、そのうち人が住んでいる島は45ほど。約628㎢の東京23区よりやや広い程度の約720㎢の国土に、約10万人が暮らしています。1900年から70年まではイギリスの保護領でした。このため、公用語は英語とポリネシア系のトンガ語です。

 日本の気象衛星「ひまわり8号」が撮影した画像を解析すると、噴煙は半径約260㎞にわたって広がっていました。関東地方をすっぽり覆ってしまうほどの規模だったため、周辺の多くの島には火山灰が降り積もり、津波による被害も出ました。ほとんどの住宅が倒壊した島もあったようです。

 また、電話やインターネットなどの回線を収めた海底ケーブルが損傷し、通信障害が発生。現地の被災状況がわからない状態がしばらく続きました。このため、オーストラリアとニュージーランドは偵察機を飛ばして状況を確認したうえで支援を始めました。日本も自衛隊を派遣して飲み水などを届けました。

特殊な「津波」が発生

 今回の「津波」はトンガだけでなく、太平洋沿岸の広い地域に押し寄せました。南アメリカのペルーでは死者が2人出たほか、船から製油所に荷降ろし中の原油が流出して「環境非常事態」が宣言される事態になったほどです。

 トンガから日本までは約8000㎞離れています。気象庁は、15日午後7時すぎの時点では「若干の海面変動が起こる可能性はあるが、被害の心配はない」と発表していました。ところが、予想された時刻よりずっと早い午後8時ごろから各地で潮位の変化が観測され始めました。このため、気象庁は16日未明、潮位上昇が大きかった観測点のあった鹿児島県の奄美群島とトカラ列島、および岩手県に津波警報を発令しました。それ以外の太平洋沿岸には津波注意報を出しました。

 このように、津波は地震以外に火山の噴火によって起こることもあります。もちろん、今回も海底の地殻変動による津波が発生し、周辺の島々に被害を与えましたが、日本に到達したのはそのような通常の「津波」ではなかったようです。噴火の熱で空気が急激に膨張し、気圧の変化が生じてそれが周囲に伝わっていく「気圧波」が海面を押して発生したものだと考えられています。つまり、通常の地震による津波とは異なるメカニズムで発生したので、伝わってくる速さについても予想が外れ、気象庁が警報・注意報を出す前に潮位の変化が起こってしまったということです。前例のない現象のため、気象庁はそもそも「津波」かどうかもわからないと、異例の説明をしました。このことを教訓に、気象庁では海外で噴火が起こった場合の情報の出し方を改善しました。

補足しておくと

 「フンガ・トンガーフンガ・ハアパイ」の噴火は、2021年8月に小笠原諸島の南硫黄島付近にある海底火山「福徳岡ノ場」で起こった噴火よりずっと大規模なものでした。20世紀で最も規模の大きい噴火は1991年のピナトゥボ山(フィリピン)の噴火でしたが、それに匹敵するとみられます。このような大噴火が起こると、上空に吹き上げられた噴出物が太陽光をさえぎり、地球全体の気温がやや低下することがあります。農作物がとれなくなって食料不足になり、噴火による直接の被害よりも、ずっと大きな被害を出すこともあるのです。江戸時代の飢饉にも海外での火山の噴火の影響があったという見方もあります。

3NEWS CHECK 2022年も気象災害が多発

「線状降水帯」をめぐって

 2022年も各地で大雨による災害が多発しました。特に「線状降水帯」による大雨が警戒されました。線状降水帯は日本の南から暖かく湿った空気が流れ込み、同じ場所で積乱雲が次々と発生する状態になったときにできます。積乱雲は風に流されて移動しますが、元の場所では新たな積乱雲が発生するため、積乱雲が線状に並んで猛烈な雨を降らせるのです。地球温暖化の影響で大気中の水蒸気が増えると、線状降水帯が発生しやすくなるという見方もあります。梅雨の時期から台風の襲来する秋にかけては特に警戒が必要です。

 8月初めには、東北地方の日本海側から北陸地方にかけての各地で線状降水帯が相次いで発生しました。3日夜から4日午前にかけては、山形県南部(米沢市など)と新潟県北部(村上市など)に大雨特別警報が発表されました。新潟県関川村下関では4日午前6時20分までの24時間に、平年の8月1か月分を大きく上回る560.0ミリという雨量を記録。そのうち午前2時3分までの1時間の雨量は、観測史上6位タイの149.0ミリでした。重大な災害につながる猛烈な雨といえます。この雨により、JR米坂線・磐越西線では鉄橋が崩落し、長期間の運休を強いられることになりました。

 その後、前線は次第に南下し、石川県・福井県・滋賀県などでも大雨が降りました。そのため、各地で河川の氾濫、道路の冠水、道路への土砂流入、住宅の浸水などの被害が発生。青森県や秋田県でも大雨が続き、2023年1月になっても復旧していない鉄道路線が複数あります。

 このような被害が毎年発生し、その主な原因が線状降水帯だといわれるようになったため、気象庁では6月1日から、スーパーコンピュータ「富岳」も活用するなど世界最高レベルの技術を用いた線状降水帯の発生予測を開始し、その情報を発表するようになりました。線状降水帯による大雨の可能性が予測された場合、早めの避難につなげるため、「半日後に九州南部で発生」といった情報を半日前から提供していくというものです。

 最初に発表されたのは7月15日午前10時30分の情報で、九州南部・北部地方(山口県を含む)では15日夜から16日午前にかけて線状降水帯による大雨災害が発生する可能性があるとされました。しかし、実際には線状降水帯は発生しませんでした。

 こうした運用を経て、気象庁は11月16日、線状降水帯の予測情報の的中率が約23%にとどまったと発表しました。6月1日以降、気象庁は予測情報を13回発表しましたが、その通りに発生したのは3回にとどまったのです。また、実際には11回発生したのですが、そのうち8回は事前に予測できず、「見逃し率」は約73%になりました。これについて気象庁は、事前の想定通りで、半日前に正確に予測するのは難しいケースが多かったとしています。精度をいかに高めるかが今後の課題といえます。

「伊勢湾台風並み」の台風が上陸

 2022年には4号・8号・14号と、3個の台風が日本本土に上陸しました。特に注目されたのは9月14日に小笠原諸島の南海上で発生した14号です。海面水温の高い海域を通って沖縄・奄美地方に近づき、「大型」で「非常に強い」勢力を保ったまま鹿児島県の屋久島付近を通過後、18日午後7時ごろに鹿児島市付近に上陸しました。このときの中心気圧は940ヘクトパスカルで、1959年9月26日に和歌山県潮岬の西に上陸した後、東海地方を直撃した「伊勢湾台風」に匹敵する、過去最大級のものでした。これほどの勢力だったため、17日夜の時点で鹿児島県に暴風・波浪・高潮の特別警報が、18日午後には宮崎県に大雨特別警報が発表されました。19日未明には熊本県と宮崎県で線状降水帯の発生も確認されました。

東京で9日連続の猛暑日

 猛暑により、熱中症で病院に搬送される人も少なくなく、2012〜21年の10年間で、死者は9642人にも上ります。気象庁でも「一種の災害」と認識しています。

 2022年も猛暑が相次いで報道されました。特に、6月下旬から7月上旬にかけては関東地方以西の広い範囲で記録的な暑さとなりました。たとえば、群馬県伊勢崎市では6月25日と29日に国内での観測史上初めて、6月の最高気温が40℃以上に達しました。7月1日には気象庁が管轄しているアメダス(地域気象観測システム)のうち6地点で最高気温が40℃以上になりました。

 東京都心では6月25日から7月3日まで、9日連続で最高気温が35℃以上となる猛暑日を記録。2015年の8日連続を上回りました。これを含め、2022年の東京都心での猛暑日の日数は16日となり、これまでの最多記録(1995年と2010年の13日)を更新しました。

補足しておくと

 ここでは大雨・台風・猛暑について振り返りましたが、日本はそれ以外にも大雪・地震・津波・噴火など、あらゆる種類の自然災害が発生する国です。気象災害であればある程度備えることはできますが、地震・津波・噴火による災害は突然起こるため、事前に予測して備えることが難しく、大きな被害を受けやすいといえます。そんな緊急事態に直面したとき、自分の身を守るために必要なのは正しい知識です。自然災害のニュースに接したときは、それがなぜ起こったのか、どうすれば対処できるのか、といった観点から理解するように努めましょう。

ページトップ このページTopへ