受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあ職場見聞録

第14回/病院:
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さぴあ職場見聞録 第14回/病院

 「病院」とは、病気やけがをした人に、医師が診断や治療を行う施設のうち、入院をするためのベッドが20床以上ある施設です。そこでは医師や看護師をはじめ、さまざまな専門家が働いていますが、医療に携わる人にはどのような心構えが必要なのでしょうか。また、医療の世界は近年、どのように変わりつつあるのでしょうか。看護師を養成する聖路加国際大学の付属病院である聖路加国際病院で副院長を務める石松伸一さんに話を聞きました。

医療の知識と技術を駆使して
病気やけがに苦しむ人を助ける

患者が横たわる手術台、麻酔器、心電図や血圧のモニターなど、さまざまな機器が並ぶ手術室。外科医、麻酔科医、看護師、臨床工学技士などがチームを組んで手術に当たります

多種多様に分かれている診療科

聖路加国際病院
副院長
救命救急センター長
相談・支援センター長
石松 伸一さん
聖路加国際病院
副院長
救命救急センター長
相談・支援センター長
石松 伸一さん

 病院の組織は、扱う病気や行う治療によって、さまざまな専門分野に分かれています。これを「診療科」と呼び、それぞれに専門の医療技術を習得した医師が所属しています。聖路加国際病院には約40の診療科があり、がんの免疫療法を専門に行う「免疫・細胞治療科」(2014年11月開設)や、子どもの心のケアに特化した「児童精神科」(2016年8月開設)などは比較的新しい診療科です。

 しかし、医療の長い歴史を振り返ると、「手術をしないなら内科」「手術をするなら外科」というように、昔は診療科は二つでした。そこからいろいろな診療科が派生したのは、近代以降です。たとえば、「産婦人科」は外科から、「小児科」は内科から派生した診療科です。また、外科から派生した「皮膚泌尿器科」は、今は「皮膚科」と「泌尿器科」に分かれています。このように、診療科は細分化され、医師の仕事も、より専門的になっています。

●病院で働く人々


病院には「医師」や「看護師」だけでなく、さまざまな専門知識や技術を持った人々が働いています。リハビリテーションを担当する専門家としては、「理学療法士(PT)」や「作業療法士(OT)」「言語聴覚士(ST)」「視能訓練士(ORT)」などがいて、それぞれの患者が抱える問題に合った適切なリハビリができるようにします。たとえば、歩行などの運動能力に問題がある患者は「理学療法士」が担当し、話したり聞いたりといった、ことばでのコミュニケーションに支障がある患者や、食べ物をうまく飲み込めない患者は「言語聴覚士」が担当する、というように分かれているのです。このほか、薬の調剤などを行う「薬剤師」や、「診療放射線技師」「臨床検査技師」「臨床工学技士」などの技師、患者の栄養管理を行う「栄養士」、医療機関特有の事務を担当する「医療事務」などの職種の人々が働いています

人の役に立ちたい気持ちが大切

聖路加国際病院の小児病棟のナースステーション入り口には、入院している子どもたちに少しでも楽しい気分になってもらうため、機関車の模型が置かれています

(1)標準化…医学は日進月歩です。医師は常に学会などで発表される最新の治療法を学び、実践しているため、今ではどの医療機関でも同じ治療が受けられるようになっています。

(2)自己決定…医師任せにするのではなく、患者さんと家族が判断して治療法などを選択するようになりました。医師には選択肢となる治療法について、患者さんに十分に説明することが求められます。

(3)入院日数の短期化…その背景には、患者さんの体に負担の少ない手術法の普及や、国が推進する「医療連携」などがあります。最近は、手術後も同じ病院にずっと入院しているのではなく、リハビリを行う時期には専門の病院に移る方法が一般的です。このように、地域の病院、診療所、介護施設などの医療機関が連携し、患者さんの状態に合わせて最も適切な施設で治療を受けられるようにするのが「医療連携」です。

 医療に携わる人に大切なのは、「自分のことは二の次にしてでも、人の役に立ちたい」という気持ちです。また、医学部の入試では理数系科目が重視されますが、医師になってから最も重要なのは国語力。患者さんの話を聞いたうえで治療方針などを説明しなければなりませんし、長い文章を書く機会も多いからです。医師をめざす小学生の皆さんは、いろいろな人とコミュニケーションをとったり、たくさんの本を読んだりしてくださいね。

●医師になるまで


医師になるには国家資格である医師免許を取得することが必要です。それには、まず大学の医学部に進学することが絶対条件。その6年制の課程を卒業した人、または卒業見込みの人だけに、医師国家試験の受験資格が与えられるのです。この国家試験に合格した後は、2年以上の臨床研修を受けて初めて、医師として医療行為ができるようになります

●手術マシン


最近、患者の体に負担の小さい最新の治療方法が普及しつつあります。たとえば、おなかの手術をする場合、メスで大きく切ってしまうと通常退院までに3週間程度かかりますが、おなかに小さな穴を開け、そこから内視鏡などの器具を挿入して行う「腹腔鏡手術」なら4~5日で退院できるようになります。写真は、聖路加国際病院が2011年に導入した手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」。内視鏡手術を行う際、繊細な操作を可能にします

第14回/病院:
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