受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあ職場見聞録

第16回/市役所:
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さぴあ職場見聞録 第16回/市役所

 わたしたちが住んでいる地域には、特別区(東京23区)や市なら「役所」、町や村なら「役場」が置かれており、住民が安心・便利に暮らせるようさまざまな仕事をしています。今回は武蔵野市役所を訪ね、総合政策部企画調整課の真柳雄飛さんに市役所の仕事について話を聞きました。
※政令指定都市の「区役所」は、厳密には「事務所」

住民や議会などと協力し合い
誰もが住みやすいまちをつくる

武蔵野市役所防災安全部の事務所。市役所のほかの部の事務所と違うのは、災害が起きたときに職員がかぶるヘルメットなどの防災用品がたくさんあったり、火災の有無など市内の様子を見るためのモニターがあったりするところ。職員は常に災害発生に備え、おそろいの災害対策服を着ています

役所と議会は「車の両輪」の関係 受け持つ仕事は多種多様

武蔵野市役所
総合政策部企画調整課
課長補佐
真柳 雄飛さん武蔵野市役所
総合政策部企画調整課
課長補佐
真柳 雄飛さん

 わたしたちが住んでいる地域で、役所が行っているさまざまな事業の費用は、住民や企業などが納める税金で賄われます。その使い道や条例(地方公共団体ごとの独自のルール)などを決めるのは地方議会です。住民の代表である地方議会議員と、市長や特別区の区長など地方公共団体の最高責任者は、住民が投票する選挙で選ばれます。そして、市長や区長は議会で決定された仕事を、役所で働く職員と一緒に実行します。また、議会には、役所が住民のためにきちんと仕事をしているかどうかをチェックする役割もあります。つまり、役所と議会は「車の両輪」のように協力し合う関係といえるでしょう。

 役所の仕事は多種多様なので、その種類によって専門の「部」「課」「係」などに分かれて仕事をしています。それらを大きく分けると、「管理部門」と「事業部門」の二つがあります。管理部門は職員の配置や予算の管理など役所内部の仕事を担当するのに対し、事業部門は高齢者の医療や子育て支援など、仕事を通じて地域の人たちと触れ合う機会が多いのが特徴です。このように役所では管理部門と事業部門が連携し、暮らしを支えるさまざまな仕事をしているのです。

市政のしくみ


住民の代わりに市政を運営するため、住民は選挙によって市長と市議会議員を選びます。執行機関である市長は、市民の要望を政策として具体的に予算化し、条例を制定・改廃するため議案を提出します。市議会議員で構成される市議会は、議決機関として議案を審議・決定し、市長は市議会の決定に基づいて仕事を進めます。このように市議会と市長は、それぞれ独立した機関として対等の立場にあり、市民にとってより良いまちをつくるために知恵を出し合っています

幅広く市民の意見を聞き 計画に基づいた事業を行う

武蔵野市が運行しているコミュニティバス「ムーバス」。お年寄りや赤ちゃん連れのお母さんも気軽に外出できるよう、民間のバスが運行していない地域にも走らせています

 武蔵野市独自の取り組みを紹介しましょう。武蔵野市役所では「交流事業課」を設置し、国内外の都市との交流事業に力を入れています。2016年1月には、新たにルーマニア国ブラショフ市のホストタウンとして登録されました。今後、当市ではルーマニアを応援し、文化やスポーツでの相互交流を深める予定です。

 武蔵野市では10年間の長期計画と5年間の調整計画に基づき、さまざまな事業を行っています。それらの計画は市内在住の学識経験者や民間の会社員、公募市民、副市長で構成される「策定委員会」が策定します。また、計画の策定には市民・議員・職員の参加が欠かせません。そのため、市政の方向性を決める計画を策定するに当たっては、無作為に抽出した市民によるワークショップを開くなど、幅広い人々の意見を聞きます。さらに、地域の生活環境を調べたり、将来の人口を推計したり、市政アンケートや市民意識調査を実施したりもします。この策定方法は「武蔵野市方式」と呼ばれ、全国から関係者が視察に来ることもあります。

※ 政府が2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、参加国・地域との交流を図るために行う事業

~子どもから高齢者まで みんなが笑顔で暮らせるように〜
武蔵野市×地域 コラボレーション事業

 市政運営の基本となる長期計画の策定に必ず市民が参加する武蔵野市では、地域の団体や事業者と協力し、市民のニーズに合わせたさまざまな事業を展開しています。
 「テンミリオンハウス」は、市に寄付された家や空き家を地域の福祉団体や住民グループに貸し出して運営をゆだね、高齢者や小さな子どもが楽しく過ごせる場を提供するというもの。「テンミリオン」は英語で1000万という意味で、事業の運営資金を年間1000万円まで市が補助することが、その名前の由来となっています。
 一方、2016年4月から開始された、吉祥寺でのベビーカー貸し出しサービス事業「ベビ吉」は、市内の中学生がタウンミーティング(対話集会)形式の授業で市長に提言したことがきっかけで計画されました。街頭アンケートなどを通じて多くの人々の意見をもとに検討を重ね、各事業者の協力によって実施することになったそうです。

さまざまな活動で経験を積み 相手の立場で考える人になろう

 役所に勤務するには、地方公務員試験(筆記試験)に合格する必要があります。地方公務員試験には、都道府県や政令指定都市の職員を採用する「地方上級」「地方中級」「地方初級」のほか、「市役所(大卒程度)」「市役所(高卒程度)」などがあります。試験内容は一般教養が中心ですが、最も難しい「地方上級」はそれに加えて、法律や経済などの専門知識を問う問題も出ます。

 また、筆記試験だけでなく面接もあります。武蔵野市は集団討論面接や市長面接などを計4回実施します。市役所職員になるための一般的な一次試験では、主に教養が問われますが、それとは別の採用方法として、より多様な人材を確保するため、言語・計数理解問題をウェブで実施する新方式を2015年度より導入しました。市役所の職員は、国や都道府県の職員よりも、地域に暮らす人々にとって身近な存在です。仕事ではさまざまな事情を抱える人と接する機会が多く、相手の立場で考えることが求められます。将来、市役所で働きたいと思う小学生の皆さんは、いろいろな活動を通して経験を積み、視野を広げてください。

武蔵野市役所の主な仕事

困っている人を助ける担当部署 健康福祉部(地域支援課・生活福祉課・高齢者支援課・障害者福祉課など) 高齢者や体に障がいがある人、生活するお金がない人など、助けが必要な人の生活を支える仕事をしています
健康な暮らしを支える担当部署 健康福祉部(健康課) 市民の健康を守るために健康診査や予防接種をしたり、保健師や栄養士などが相談に乗る会を開いたりしています
子育てをサポートする担当部署 子ども家庭部、教育部 子育てする人を助けるために保育所や幼稚園をつくったり、小学生が放課後を安全に過ごせるように学童クラブを運営したりしています
安全なまちをつくる担当部署 防災安全部、都市整備部(道路課・まちづくり推進課) 事故や事件が起きないように、また災害が起きたときに困らないように、安全なまちにするための仕事をしています
ごみを処理してきれいにする担当部署 環境部(ごみ総合対策課)、クリーンセンター 市民が家から出すごみを処理するなど、清潔な環境をつくる仕事をしています
活気あるまちづくり担当部署 市民部(生活経済課) 市内のお店を応援したり、お祭りを実行したりしています
住みやすいまちづくり担当部署 都市整備部、環境部、水道部 住みやすいまちをつくるために、市民の考える住みやすさとはどういうものかを調べたり、ルールを決めたり、電車・バスのことを考えたり、安全な水を家庭に送ったりと、生活にかかわる仕事をしています

武蔵野市の主な施設

図書館や体育館など公共施設の管理も市役所の大切な仕事です。

武蔵野プレイス


「図書館」「生涯学習センター」「市民活動センター」「青少年センター」などといった、これまでの公共施設の種類分けを超え、複数の機能を融合させた施設です

0123はらっぱ


恵まれた自然環境のなかにある、0〜3歳の子どもとその保護者が楽しめる遊び場。館内にはプレイルームや談話室があり、さまざまな行事も行われています

吉祥寺美術館


吉祥寺の街なかにあり、日常生活と文化・芸術を結んでいる美術館。常設展示、展覧会(年4〜5回)のほか、ワークショップなどの催しも行っています

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