受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあ職場見聞録

さぴあ職場見聞録 第24回/書店

 皆さんのなかには、読書が大好きという人も多いのではないでしょうか。さまざまなジャンルの本や雑誌を販売している書店は、小学生にも身近なお店です。そこではどんな人が、どんな仕事をしているのでしょうか。話題の新刊から専門書まで約40万冊もの在庫を持つ、くまざわ書店ACADEMIA港北店を訪ねました。

さまざまな分野の本や雑誌を販売
本との新しい出合いの場に

ACADEMIA港北店は、横浜市営地下鉄センター北駅前の複合商業施設「ノースポート・モール」3階にある約700坪の大型店舗です。毛塚さんが担当している「人文」のコーナーは広いので、お客さまに質問されたときに何でも答えられるよう、日々勉強しているそうです。お客さまがこの棚の前で、「こんな本もあるんだ」という新しい発見をしてくれるよう、本の並べ方一つひとつにもさまざまな工夫を凝らしています

「出版取次」から毎日届く新刊を ジャンルごとに仕分けして陳列

株式会社くまざわ書店
ACADEMIA港北店
毛塚 萌さん

 書店が扱う商品は大きく分けて雑誌、書籍、文具の3種類です。雑誌と書籍は日曜・祝日を除く毎日、「出版取次」と呼ばれる本の問屋さんから書店の各店舗に届けられます。書店ではそれをまず「児童」「文芸」「実用」「人文」「理工」「コミック」などといった分野ごとに仕分けし、各分野を担当する売り場スタッフが、さらに細かく分類して該当する書棚に入れます。

 どの本も基本的に1冊は書棚に収められますが、新刊やベストセラーはその前にたくさん平積みにされることもあります。さらに、人気作家の最新作などもっと売れている本は、ワゴンに積んで特設コーナーで販売されることもあります。

 今回訪問したACADEMIA港北店の社員は、毛塚萌さんを含めて5人。そのほかにパートやアルバイトのスタッフも25人くらいいて、常時8人ほどが店舗に出勤しています。最近は店舗での販売だけでなく、インターネット通販を行っている書店もありますが、くまざわ書店では、出版取次のトーハンが運営している「全国書店ネットワーク オンライン書店e-hon」に加盟しています。このe-honは、インターネットで注文した本を、加盟している最寄りの書店で受け取ることができるという仕組みです。そのため、e-honのサイトで注文した本であれば、近所のくまざわ書店で受け取れるのです。

売り場スタッフが実際に読んでおもしろかった文庫本を集めた「スタッフが選んだ文庫フェア」のコーナー。それぞれの文庫本のところに展示されているPOPには、文庫本を読んだスタッフの感想や、本の内容が手書きされています。読書好きなスタッフが多いだけに、POPも本への愛情が感じられる力作ぞろい。『火星の人』のPOPは毛塚さんの作品です


子ども用のいすが並べられた児童書のコーナーでは、毎月最後の日曜日に「おはなし会」が開かれ、毎回10人くらいの子どもたちが集まるそうです。初めは売り場スタッフが児童書を読んであげていましたが、今は読み聞かせをするボランティアの人が来てくれているとのこと

季節のイベントに合わせた売り場作りをすることも、書店の売り場スタッフの大切な仕事の一つ。春の入学シーズンには、辞書や学習参考書がいちばん売れるので、それらをたくさん集めたコーナーを目立つ場所に作ります。また、夏には児童書のコーナーに、夏休みの自由研究のための工作キットや、読書感想文の課題図書などを陳列します

全国の書店員が選ぶ!「本屋大賞」とは

2020年大賞決定!! 本屋大賞

 一般的な文学賞は、主催者が出版社だったり、選考委員が作家や文学者だったりしますが、2004年から始まった「本屋大賞」は書店のスタッフが読んでおもしろかったと思う本に投票して選ぶ文学賞です。今年の大賞は、凪良ゆうさんの『流浪の月』に決まりました。「本当にいろいろな本を読んでいる書店スタッフが、ノミネート作品を全部読んで投票し、お客さまにぜひ読んでほしいという作品が選ばれます」と毛塚さん。いつか投票したいと考えているそうです。

過去10年の本屋大賞
2020『流浪の月』 凪良ゆう
2019『そして、バトンは渡された』 瀬尾まいこ
2018『かがみの孤城』 辻村深月
2017『蜜蜂と遠雷』 恩田陸
2016『羊と鋼の森』 宮下奈都
2015『鹿の王』 上橋菜穂子
2014『村上海賊の娘』 和田竜
2013『海賊とよばれた男』 百田尚樹
2012『舟を編む』 三浦しをん
2011『謎解きはディナーのあとで』 東川篤哉
sappy

イベントの企画やPOP作りで 本との出合いを促進する

 書店の売り場スタッフの主な仕事は、主に入荷した新刊を自分が担当する分野の書棚に並べたり、売れている本の発注を行ったりすることです。また、売り場作りもしています。たとえば、本を紹介するPOPを作成したり、季節のイベントなどを出版社の担当者とも相談しながら企画し、特設コーナーを作ったりするのです。

 毛塚さんは歴史・哲学・心理学・社会学など幅広い分野が含まれる「人文」のジャンルを担当しています。「わたしは、大学では文学部で日本文学を専攻していたので、それとかかわりが深いジャンルを担当していますが、ほかの社員が学生時代に学んだことはさまざまです。経済学部や理系出身の人もいます。ただ、やはり読書好きの人が多いですね」と毛塚さん。

 小学生の皆さんには、「たくさん本を読んでください。自分が将来したいことを見つけるときにも、たいへん役立ちますよ」とアドバイスしてくれました。

第24回/書店:
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