受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあ職場見聞録

さぴあ職場見聞録 第26回/海運会社

 生産者から消費者に物資を届けることを「物流」といいます。島国の日本へは、船や飛行機で海を越え、エネルギー資源、食料、工業製品など、あらゆるものが運ばれてきますが、物流の重要な役割を担っているのが、商船※1で物資を運ぶ海運会社です。今回は、千代田区丸の内にある日本郵船株式会社を訪ね、広報グループの三澤慶太さんに海運会社の仕事について聞きました。さっぴー

※1 旅客・貨物などを輸送してその輸送費を取り、商売をするための船。客船・貨物船・貨客船など。

さまざまな商船で世界中のあらゆる物資を運び
人々の豊かな衣・食・住を支える

コンテナ船/生活に欠かせない食料品、日用品、電化製品など、さまざまな貨物をコンテナと呼ばれる箱に入れて輸送します ばら積み船/鉄鉱石、非鉄鉱石、石炭、穀物、セメント、ガラスの原料になるシリカサンドなどの貨物を、船の中にそのまま入れて運びます 自動車専用船/完成した自動車を運ぶため、内部は立体駐車場のような構造になっています。なかでも2020年10月に竣工した「SAKURA LEADER」は、日本で初めての液化天然ガス(LNG)を主燃料とする自動車専用船で、従来の重油で動いていた船に比べ、CO₂(二酸化炭素)の排出量を車1台の輸送単位当たり40%削減できました タンカー/船内に頑丈なタンクがいくつもあり、原油、液化石油ガス(LPG)、石油製品、液体化学製品などを運びます LNG船/超低温(マイナス162度以下)のLNGを特殊なタンクに入れ、温度を保ったまま運びます モジュール船/工場などに設置する大型の構造物や装置、機器などを広く平らなデッキに積んで運びます

貿易が盛んな日本では 海運は物流の大動脈

日本郵船株式会社
広報グループ
報道チーム
三澤 慶太さん

 たとえば、石油・石炭・液化天然ガス(LNG)は、生活に欠かせないエネルギー資源ですが、その必要量のほとんどを海外からの輸入に頼っています。周囲を海に囲まれている日本に、必要な物資を絶やさず安定的に運び、人々の生活を支えることが、海運会社の大切な仕事です。

 1885年に設立された日本郵船は、日本の三大海運会社の一つです。自動車専用船とLNG船の運航規模は世界でも最大級で、784隻※2の船があり、運ぶ貨物や航路によって、さまざまな種類の船を運航しているほか、貨物専用の飛行機や、陸上を走るトラックも使って、多種多様な貨物を運ぶネットワークを世界中に張り巡らせています。そのため、海外から日本に貨物を運んだり、日本で製造したものを海外に輸送したりするだけではなく、たとえば中国からアメリカへ、ブラジルからドイツへというような、外国から外国へと貨物を運ぶ「三国間輸送」にも力を入れています。

※2 2020年3月末時点


社員のほぼ全員が海外勤務を経験 技術系と海上職は専門知識が必要

 海運会社の業務は「陸上職」と「海上職」に分かれていて、陸上職には事務系と技術系の職種が、海上職には航海士と機関士の職種があります。また、日本郵船の社員のほぼ全員が海外勤務を経験します。

 陸上職事務系では4年制大学の文系学部と理系学部の出身者が働いていて、営業・総務・経理・人事・運航管理・広報などの部署を数年ごとに経験します。一方、陸上職技術系は、東京大学工学部船舶海洋工学科をはじめ、理工学系の学科で学んだ人を年に若干名採用しています。造船計画・図面承認・工務監督・船舶保守管理・新技術開発などの業務において、船を技術面で支えるための専門知識が必要だからです。

 航海士は商船に乗り、操船や貨物の受け渡し、外国人乗組員の指揮監督などを行います。機関士は、船の機器の運用、整備・点検・修理を行う機関部員の指揮監督などを行います。航海士も機関士も、海事系大学で海洋学や航海工学を専門的に学んだ人材を採用するほか、自社での養成も行っています。また、航海士と機関士は陸上職に就くこともありますが、海上のみで働く海上特定職の採用も行っています。

 海運会社の社員は、日々の業務を通じて国内外のさまざまな産業や人々とかかわるので、好奇心旺盛な人が向いているでしょう。コミュニケーション能力、英語力が必要なことは言うまでもありません。

輸入の流れ
グレープフルーツをコンテナ船で運ぶ場合

sappy

日本の輸出品・輸入品は重量ベースで99.6%が船で運ばれています。飛行機による空輸はわずか0.4%です。
たとえばグレープフルーツの場合は、10~3月はアメリカ(フロリダ)産、6〜9月は南アフリカ共和国産というように産地を変えて、船で安定的に輸入されているため、わたしたちは年間を通じてグレープフルーツを食べることができるのです。ちなみにフロリダからは、温度調節のできるコンテナに果実を入れて、コンテナ船で運ばれます。南アフリカ共和国産のグレープフルーツは、冷蔵設備を備えた船で運ばれています。

生産者
↓
倉庫貨物の保管とバンニング
(コンテナに貨物を積み込む作業)
↓
陸上輸送
↓
船積み
↓
海上輸送
↓
荷揚げ
↓
陸上輸送
↓
倉庫貨物のデバンニング(コンテナから取り
出す作業)と保管
↓
スーパー
マーケット・
小売店
↓
食卓
第26回/海運会社:
1|

ページトップ このページTopへ