受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあ職場見聞録

さぴあ職場見聞録 第29回/東京消防庁

 日本では市町村などの地域ごとに消防本部が置かれていますが、東京消防庁は、東京都のうち23区と多摩地域29市町村を管轄する消防本部です。東京消防庁には現在、消防署が81か所、消防分署が3か所、消防出張所が208か所あり、それぞれに消防車や救急車などを配備。働く職員は約1万8600人に上ります。今回はそんな東京消防庁を訪問し、さまざまな担当に分かれている消防官の仕事などについて、人事部人事課の藤田勝さんに伺いました。

東京で生きる人々の生命と財産を
あらゆる災害から守る

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災害救急情報センター 都内で119番通報をすると、原則として、23区内なら千代田区の東京消防庁内にある災害救急情報センターに、多摩地区内なら立川市にある災害救急情報センターにつながります。そこから、現場近くの消防署や消防出張所、または移動中の消防車・救急車が指令を受けて、消防官が現場に駆けつけるのです

東京消防庁のマスコット「キュータ」

東京消防庁のマスコット「キュータ」「119番・救助・救急・レスキュー・緊急」に共通する「キュー」に、多くの人を「助ける」の「タ」をつけて、「キュータ」という名前になりました

いつでも災害に備えた活動を

東京消防庁 人事部人事課
採用係 募集広報担当
消防司令補

藤田 勝さん

 東京消防庁の使命は、東京都民約1400万人の生命と財産をあらゆる災害から守ること。都内のほぼ全域(※)の消防・防災を担い、24時間365日いつでも災害に対応できる体制で活動しています。

 消防署での主な仕事は、災害時に現場に駆けつける「災害対応業務」、けが人や具合の悪い人の対応に当たる「救急業務」、火災を未然に防ぐための「予防業務」、地域防災力の向上をめざす「防災安全業務」などです。千代田区大手町にある本部庁舎での本庁業務には、「警防部」「救急部」「予防部」などの部門や、「救急機動部隊」「航空隊」「即応対処部隊」などの多様な部隊があります。各消防署と本庁各部門・部隊が連携して、都民の命を守るための活動や災害対策が実践されています。

※伊豆諸島などの島しょ地域と稲城市は、消防組織法の原則通り、独自の消防本部を設置しています。本来、市町村は、このように独自の消防責任を負うことになっていますが、東京都の市町村の場合は、ほとんどが東京消防庁に委託しています。

誠実さと前向きな姿勢が大事

 東京消防庁の職員は「消防官」と「一般職員」に大別され、消防官は所属する部署によって、いろいろな担当に分かれます。ページ上部で紹介している仕事以外にも、はしご車に乗務する「はしご隊」、消防車両などを操作する「機関員」、火災や山岳事故などから人命を救うための高度な知識と救助技術を持つ「レスキュー隊」らが活躍しています。一方、一般職には事務職のほか、自動車整備士として働く職員もいて、東京消防庁で保有する2000台以上の車両の維持と管理を担当しています。

 採用試験は、一次試験が教養試験と論文(作文)で、二次試験が身体・体力検査、口述試験、適性検査です。合格した後は、消防官に必要な知識や技術を習得するために、消防学校に入校。その後、配属先の消防署でも、さらに6か月間の研修を受けます。なお、消防官の採用試験は29歳まで受けられるため、ほかの職業を経験してから消防官になった人も多くいます。

 消防官として最初に配属されるのは主にポンプ隊です。その後、庁内の選抜試験に合格して、さらに高度な知識や技術を得るための研修を受けると、機関員や救急隊員といった専門性の高い業務を担当できるようになります。

 東京消防庁で働くすべての人々に共通して求められる資質は、都民から信頼されるための「誠実さ」と、東京の安全・安心を守るために日々努力する「前向きな姿勢」だと思います。また、消防官は常にチームで動くので、消防官をめざす小学生の皆さんは、日常生活のなかでもチームワークの大切さを学びながら成長してほしいです。

東京消防庁で働く人々

さっぴー

ポンプ隊 ポンプ隊

救急隊 救急隊

さっぴー

予防係 予防係

防災安全係 防災安全係

 消防官の仕事は、所属する部署によって、細かく分かれています。

❶ポンプ隊…ポンプ車に乗って火災現場に急行し、消火・救助活動などを行います

❷救急隊…病人やけが人の応急処置をしながら、救急車で医療機関に運びます

❸予防係…たとえば新築の建物の審査など、火災を未然に防ぐための業務を行います

❹防災安全係…地域の人々の防災意識を高め、防災知識を普及させる活動をします

消防学校で学ぶこと

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 消防官として採用されると、職員教育施設の「消防学校」に入校し、仲間と6か月間の寮生活をしながら、消防官として求められる規律や知識、技術を学びます。たとえば、ホースや三連はしごなどの道具の扱い方を習ったり、実際の火災現場と同じような状況下で消火訓練を行ったりするほか、救助の仕方、チームで効率良く動く方法なども習得します。また、座学の時間も多く、消防法をはじめとする法律や、火災の予防に関する知識も学びます

第29回/東京消防庁:
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