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「第46回 秘書」:
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第46回 秘書

 いわゆる事務職のなかでも、特に女性のあこがれを集める職種の一つが、秘書です。社長などの役員に付いて、スケジュール管理などを行い、その仕事をサポートするのが秘書の役割です。実際にはどんな資質や能力、心がけが求められるのでしょうか。秘書のための教育セミナーや交流の場などを提供している日本秘書協会を訪ね、理事・事務局長の高森邦彦さんにお話を伺いました。

秘書はどんな仕事をするの?


一般社団法人 日本秘書協会
理事・事務局長
高森 邦彦さん

高森 秘書の仕事の最大の特徴は、会社などで重要な役職を務める人に付き、その人が本来の役割を果たせるようにサポートすることです。たとえば会社なら、社長に付く秘書もいれば、会長に付く秘書もいます。秘書にとっては、そうした人が自分の仕事を果たすべき対象で、敬愛の情を込めて「ボス」と呼ぶこともあります。そのボスのスケジュール管理をすることや、社内外のいろいろな人とのさまざまな事前交渉をボスに代わって処理することが、秘書の代表的な仕事です。

 一例を挙げましょう。自分のボスである社長が出張するとします。この場合、社長がみずから新幹線の切符や宿泊先の手配などをしてしまうと、本来行うべき重要な仕事をする時間が減ってしまいます。そこで、そうした周辺の仕事は秘書が代わりにするのです。これにより、社長は会社の経営者としての本来の仕事に集中し、能力を発揮することができます。このように、秘書は自分のためではなく、ボスのために仕事をし、ボスが満足することで喜びが得られる仕事といえます。

 ところで、会社の規模が大きくなればなるほど、役員の仕事の範囲は広がります。場合によっては業界団体の役員を務めるなど、公的な立場も併せ持つことになります。こんなボスの場合、仕事の内容や多さに応じて複数の秘書が付くこともあります。

秘書に必要な資質って?

高森 秘書は社長や会長などのそばで働くため、会社の経営上の秘密に接する機会が少なくありません。そこで、まずは口が堅いことが求められます。それにより、ボスの信頼を得て、より大事な仕事を任されるようになります。

 また、人との約束をきちんと守れること、その場の空気が読めること、相手の気持ちをくむのが上手なこと、明るく穏やかで魅力のある人物であること、公平な感覚を持っていることなども、秘書に求められる資質といえます。さらに、気分転換がうまくでき、失敗しても落ち込まず、その失敗を次に生かせるという前向きさも必要です。

 仕事をするうえでの心がけとして大切なのは、常に先を読むこと。次の展開を考え、起こり得るトラブルなども想定しながら仕事を進めれば、次に何を準備しなければならないかがわかるようになるもの。そうすれば余裕を持って仕事に当たることができます。

 また、ボスに頼まれた仕事は小さなことでも大切にし、結果を報告することを怠ってはいけません。たとえば、ボスに「この手紙を出しておいて」と頼まれたとします。この場合、言われたとおりにやればいいというわけではありません。「◯時に速達で出しました」などとひと言添えて報告できるのが、ボスに信頼される秘書です。さらに、「到着日を指定しますか」などと、よりきめ細かな気配りができれば、小さなこともおろそかにしない秘書として、一層頼りにされるはずです。

 こうしたこと以外に、秘書として身につけておかなければならないこともあります。その代表的なものが、冠婚葬祭の作法を知り、正しい敬語・ことばを使うことです。加えて近年では、経営者を身近でサポートする立場として、財務の知識やパソコンなどを使って情報を管理する能力なども不可欠になってきました。

秘書になるには?

高森 人事担当者は、その人に資質があるかどうかを見極めて秘書に任命します。そのため、最初は別の職種だった人が、秘書に向いていると判断され、人事異動で秘書になるケースもあります。男性の秘書も少なくなく、わたしもかつては文具メーカーで営業や人事を経験した後に秘書を命じられました。このように、秘書は「なりたい人」より「させたい人」がなることが多いようです。もし自分が「なりたい人」であるなら、なれるように努力しましょう。たとえば、次のような資格試験に合格すると、一定の意欲が認められ、秘書として配属されやすくなります。

 まずは日本秘書協会が実施している「CBS(国際秘書)検定」です。「プライマリー(準CBS)」と「ファイナル(CBS)」の2段階に分かれており、「プライマリー」は秘書の実務経験がない人でも、勉強すれば身につく内容のため、仕事のステップアップを考える社会人や就職活動を控えた大学生も受検しています。一方、「ファイナル」は、「プライマリー」に合格しなければ受検できません。高い英語力が必要なうえ、実務経験を積んでいないと合格できないレベルです。

 これに対し、実務技能検定協会の「秘書検定」には3級、2級、準1級、1級がありますが、いずれも実務経験が不要の試験なので、秘書をめざす方は学生のうちからチャレンジするとよいでしょう。

 秘書の仕事に興味を持った小学生の皆さんは、まず基本的な学習を大切にしてください。ふだんの授業を大切にすれば十分です。また、正しい日本語を身につけるよう心がけましょう。秘書は高いコミュニケーション能力が求められる仕事でもあるからです。

高い英語力を持つ秘書の証し CBS(国際秘書)検定

 日本秘書協会が実施する「CBS(国際秘書)検定」は、日本語と英語の両方を使いこなせる語学力があり、実務処理能力、人間性ともに優れた人材であることを認定する資格試験です。1979年に第1回が実施されて以来、バイリンガル(2か国語)で仕事のできる秘書の実力を証明する資格として、広く認められるようになりました。

 「プライマリー(準CBS)」は、ビジネス実務とビジネス英語の2科目で実施。日本語と英語で出題され、記述問題が多いことが特徴となっています。「プライマリー」の合格者が受検できる「ファイナル(CBS)」は、オフィス実務管理、経営・会計・法律の知識、秘書実務、日英両言語による個人面接の4科目で実施されます。


「プライマリー」を受検する人のために、日本秘書協会ではオリエンテーションを実施しています


「プライマリー」(2014年)の試験問題集。ことば遣いが重視されるほか、経理や財務の知識が問われたり、英語で出題されたりするのが、「CBS(国際秘書)検定」の大きな特徴です

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