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「第47回 検察官」:
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第47回 検察官

 公益の代表者として、犯罪の被害に遭った人の立場も考えながら、犯人に刑罰を与えるための裁判を起こし、裁判に立ち会って犯罪を証明するのが「検察官」の役割です。“正義の味方”である点や発音は「警察官」に少し似ていますが、司法試験に合格した“法律の専門家”であることは弁護士や裁判官と共通しています。今回は、そんな検察官の仕事について詳しく見ていきましょう。

検察官ってなに?

 検察官は、法律に違反した事件を調べ、その被疑者(犯罪を行った疑いがある捜査対象者)を裁判にかけるかどうかを決める仕事をしています。検察官は、最高検察庁の長であり全国の検察庁の職員を指揮する「検事総長」、その補佐役を務める「次長検事」、高等検察庁の長である「検事長」、地方検察庁の長である「検事正」、最高検察庁、高等検察庁、地方検察庁などで働く「検事」と、主に区検察庁で働く「副検事」に分かれています。

 事件が発生すると、まず、警察が被疑者を特定し、捜査を行うことで犯罪の内容を明らかにします。そして、警察は調べた結果をまとめた「捜査記録」を検察官に送ります(書類送検)。すると検察官は、被疑者が本当に犯人かどうかを確かめるために、警察と協力して自分でも捜査を行い、裁判にかけるかどうかを決めるのです。

●刑事裁判における法曹三者の役割

 裁判にかけることを「起訴」、裁判にかけないことを「不起訴」といいます。入念な捜査の結果、証拠が不十分な場合や、被疑事件が罪にならないと判断された場合は、不起訴となります。また、たとえ悪いことをした犯人でも、罪の軽重や境遇、反省の度合いなどを考慮し、起訴をしない場合もあります。また、検察官は起訴した事件の裁判に立ち会い、被告人(起訴された被疑者)が犯罪を行った証拠を示し、犯人にどのくらいの刑罰を与えるべきか、意見を言う役割も担っています。

 裁判では、裁判官が検察官と弁護士(刑事事件では「弁護人」と呼びます)の主張をよく聞いたうえで、判決を宣告します。ここに登場する「検察官」「裁判官」「弁護士」は、「法曹三者」とも呼ばれています。そのうち、裁判官と弁護士は民事事件(権利・義務を争って起きる一般的なトラブル)も担当しますが、検察官は法律に違反した事件を裁く刑事事件を主に扱います。

検察庁ってどんなところ?

●検察庁の種類
最高検察庁
1庁
最高裁判所に対応する検察庁。東京に1か所だけあります。高等裁判所が行った刑事事件の裁判で、上告された事件などを取り扱います。
高等検察庁
8庁(支部6庁)
高等裁判所に対応する検察庁。地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所が行った刑事事件の裁判で、控訴された事件などを取り扱います。東京・大阪・名古屋・広島・福岡・仙台・札幌・高松の8か所に加え、6か所の支部があります。
地方検察庁
50庁(支部203庁)
地方裁判所・家庭裁判所に対応する検察庁。地方裁判所・家庭裁判所が担当する刑事事件などを取り扱います。各都道府県庁所在地に北海道の函館・旭川・釧路を加えた50か所にあり、支部も203か所にあります。
区検察庁
438庁
簡易裁判所に対応する検察庁で全国438か所にあり、比較的軽い刑事事件を取り扱います。

 検察庁では検察官(検事・副検事)だけでなく、検察官の指揮を受けて犯罪の捜査や罰金の徴収などの事務を行う「検察事務官」も働いています。

 検察庁は、国や社会の秩序維持を目的として設けられました。その種類は、最高検察庁・高等検察庁・地方検察庁・区検察庁の4種類があります(P76参照)。

 検察庁では、警察から送られてきた事件を捜査するほか、検察庁に直接、告訴・告発された事件などを警察とは関係なく独自に捜査することもあります。ちなみに、「告訴」は、被害者が犯人の処罰を求めること、「告発」は、被害者でない人が犯罪の捜査や犯人の処罰を求めることを意味します。

捜査はどのように行うの?

 検察官はあらゆる犯罪の捜査を行うことができますが、通常、検察官が捜査を開始するのは、検察庁が事件を受理してからです。

 ところで、警察の捜査と検察の捜査はどう違うのでしょうか。警察は、罪を犯した被疑者を特定し、必要があれば逮捕を行ったうえ、被疑者が罪を犯したことを明らかにするための証拠を収集します。一方、検察は、警察の収集した証拠を法律家の立場で確認したうえ、みずからも被疑者の取り調べをしたり、必要に応じて参考人(被害者や目撃者)に事情を聞いたりします。また、独自に、証拠品を探して差し押さえをし、その分析や証拠能力の検討を行うこともあります。このように、検察官は、警察と協力して事件の真相を解明するために努力し、最終的に起訴・不起訴を決定するのです。

 起訴処分には、法廷で裁判が開かれる「公判請求」と、書類審査で罰金などの刑が言い渡される「略式命令請求」があります。検察官は、公判請求をした事件の裁判に立ち会い、裁判所に証拠を提出したり、目撃者などの証人を尋問したりして、被告人が犯罪を行ったことなどを証明し(証拠調べ)、「このくらいの重さの刑罰がふさわしい」という意見を述べます。そして、裁判官による判決の後には、懲役刑や罰金刑などが正しく執行されるように指揮・監督します。

 なお、検察官も被告人も、裁判所の判決に対して不服がある場合は、より上位の裁判所に上訴することができ、合計3回までの審理が受けられます。

●検察庁の役割(刑事事件の場合)

犯罪が発生し、警察が被疑者を逮捕した場合、警察は逮捕から48時間以内に被疑者と事件記録を検察庁に送致しなければなりません。事件が検察庁に受理されると、検察官が被疑者や参考人の取り調べをし、証拠が不十分な場合は、みずから、または警察を指揮して補充捜査を行います。そして、収集した証拠の内容を検討したうえで起訴・不起訴を決定しますが、十分な証拠があり、確実に有罪判決が得られると判断した場合のみ、起訴することとしています

検察官(検事)になるには?

●検察官(検事)になるまで

 法科大学院で学んだ後、最難関の国家試験の一つである司法試験に合格し、その後、司法修習という研修を終えれば、法曹三者になる資格が得られます。そのなかで検事になるには、司法修習が修了する時期に「検事採用面接」を受け、採用される、という方法が一般的です。採用の判断基準としては、適性・人格・識見・能力などのほか、司法研修所での成績や学ぶ姿勢なども総合的に考慮されます。そのほか、特定の大学で法律学の教授または准教授として3年以上働いた人や弁護士、裁判官も検事になるための資格を持っています。

「特捜部」ってどんなところ?

 特別捜査部(特捜部)は、東京・大阪・名古屋の地方検察庁にだけ置かれ、主に独自捜査を専門とする部門です。企業の不公正な取引などを取り締まる「公正取引委員会」や、株式や債券など証券取引の監督・監視を行う「証券取引等監視委員会」、国税の課税・徴収を行う国家機関である「国税庁」などが告発した事件を捜査するほか、汚職や企業犯罪などでも独自捜査を展開し、被疑者の逮捕も検察官が行います。  これまでに特捜部が検挙・摘発した事件としては、「ロッキード事件」「撚糸工連事件」「リクルート事件」「ライブドア事件」などがよく知られています。特捜部が動いた事件では、大物の政治家や財界人が逮捕されることもあり、世間の注目が集まります。

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