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さぴあ仕事カタログ

「第48回 消防官」:
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第48回 検察官

 火災や救急などの出場※1要請があった場所に駆けつけ、消火活動や人命救助を行うのが「消防官」の主な役割です。一刻を争う現場で被害を最小限に食い止めるためには、日々の訓練や勉強が欠かせません。今回は、そんな消防官の仕事について詳しく見ていきます。東京都(一部の地域を除く)の消防を管轄する東京消防庁を訪ね、人事部人事課の須藤健一さんにお話を聞きました。

※1 消防車・救急車が現場に赴くこと

消防署は何をするところ?

東京消防庁 人事部人事課
採用係長 消防司令
須藤 健一さん

須藤 消防署は消防官が勤務している職場です。東京消防庁には現在、消防署が81か所、消防分署が3か所、そして消防出張所が208か所あり、それぞれに消防車や救急車などが配備されています。都内で119番通報をすると、原則として東京23区内なら大手町の「災害救急情報センター」に、多摩地区の場合は立川の「多摩災害救急情報センター」につながります※2。そして、現場近くの消防署や消防出張所、もしくは移動中の消防車・救急車が指令を受けて現場に駆けつけます。

 また、消防署では火災や災害の被害を最小限に食い止めるための「予防業務」も行います。たとえば、建築物に消火器などの消防用設備が設置されているかどうかを確認し、建物の所有者や事業所の方に防災意識を高めてもらうための指導をしています。さらに、地域の方々に向けてさまざまな災害を想定した訓練も実施し、消防車や救急車が到着するまでの間に、現場でみずから身を守ったり、周囲の人々と助け合ったりする方法や知識を伝えます。このほか、各地域には住民の方々やそこで仕事をしている方々で構成される「消防団」もありますが、消火器具の整備や消火訓練などについて、消防団の方を指導することも消防署の大切な仕事です。

※2 稲城市と島しょ地域を除く

消防官はどんな仕事をするの?

芝消防署での訓練の様子

消防署では実際の災害に備え、いろいろな場面を想定した訓練が毎日行われています。写真の芝消防署は、2015年の秋に現在地へ移転したばかり。建物内にはさまざまな現場を想定した訓練を実施するための最新設備を整えています

須藤 消防署の職員を「消防士」と呼ぶ場合がありますが、消防士は消防官のなかでいちばん下の階級名を表します。

 消防官は出動要請があった現場に消防車や救急車で駆けつけ、消火・救急・救助に当たります。これらの任務を安全かつ確実に果たすために、消防官はさまざまな現場を想定した訓練を行っています。また、事業所や地域の方々を対象とした防災訓練の内容を考え、指導もするなど、防災・火災予防に関する業務も行います。

 消防官の仕事は所属する部署によって細かく分かれています。たとえば、ポンプ車に乗って火災現場へ行き、消火活動を行うのは「ポンプ隊員」で、はしご車に乗務するのは「はしご隊員」です。また、病人やけが人を救急車で病院へ運ぶのは「救急隊員」で、救急隊のうち、救急車などの救急車内で医師の指導の下、救急救命処置を行うのは「救急救命士」に限られます。救急救命士になるには国家資格が必要ですが、消防官になってから勉強し、資格を取ることもできます。

 消防車両などの運転や操作をする職員のことを「機関員」と呼びます。ポンプ車の運転や操作をするのは「ポンプ機関員」、はしご車の運転や操作をするのは「はしご機関員」、救急車の運転をするのは「救急機関員」です。

 そのほかにも、さまざまな役割の消防官がいます。レスキュー隊員もその一つで、火災や交通事故、水難事故、山岳事故などから人命を救うための高度な知識と救助技術を持っており、「特別救助隊」や「水難救助隊」「山岳救助隊」などがあります。また、消防艇に乗って海の消防を担当する「舟艇隊員」、ヘリコプターに乗って空から消火・人命救助活動を行う「航空隊員」、消防活動二輪車という赤いバイクに乗って災害の現場へ行き、いち早く初期救助活動を行う通称「クイックアタッカー」もいます。

消防官になるには?

須藤 消防官は各市町村の消防本部に所属する地方公務員であるため、採用は市町村ごとに行われます※3。試験の内容も市町村によって異なりますが、東京消防庁の場合は、1次試験は教養試験(筆記試験)と論文で、2次試験は身体・体力検査、口述試験、適性検査です。採用試験に合格した後は、6か月間の寮生活を送りながら、東京消防庁消防学校で専門的な知識と技術を習得します。法律に関する知識もその一つ。消火・救助活動をする際、現場によっては建物を壊さなければならない場合があるため、関係する法律について学びます。消防学校で半年間学んだ後は、配属先の消防署でもさらに6か月間の研修を行います。

 消防官になり、最初に配属されるのはポンプ隊が多いです。機関員になるには、筆記試験や運転技能試験に合格後、消防学校で研修を受けます。目標がある人は、消防官になってからもたくさん勉強し、知識・技術の向上に励んでいます。

※3 稲城市と島しょ地域を除く東京都は、消防署が市町村ごとになく、全体を東京消防庁が担当しているため、東京都が採用を行います

消防署のさまざまな車両

消防署には特殊な装備を搭載した次のような車両が配備されています。

【ポンプ車】 消火栓などから水を吸い上げ、ポンプの力で勢いよく放水して火を消す。
【はしご車】 ビルの高層階に取り残された人の救出や、高所への放水活動などで活躍する。
【指揮隊車】 災害現場で指揮をとる隊員が乗務し、逃げ遅れた人の情報などを無線で全隊員に伝える車。
【救 助 車】 災害現場で救助活動をする車両。
【救 急 車】 救急救命士が応急処置をするための道具を積み、けが人や病人を病院に運ぶ車両。

消防官にはどんな資質が必要?

須藤 「困っている人を助けたい」「人の役に立ちたい」という思いを持つ人が消防官に向いています。火災や災害の現場では危険を伴う仕事もあります。自分自身の安全を確保しながら最大限の力を発揮し、被害をできるだけ小さく抑えるためには、冷静な判断力と的確な行動力が求められます。また、消防官は常にチームで仕事をするため、チーム全員が気持ちよく働くためにも、仲間に対する思いやりや、仕事に対する熱意を持つことも大切です。

 小学生の皆さんは、勉強だけでなく、運動や趣味などさまざまなことにチャレンジし、学校やクラブなどの仲間とさまざまな経験を積んでください。

防災館に行ってみよう!

 東京消防庁では、体験コーナーやゲーム、展示の見学などを通じて、楽しみながら防災知識と技術が学べる防災体験施設を都内に3か所設けています。事前に各防災館のホームページで確認のうえ、見学に行くといいでしょう。

池袋防災館 東京都豊島区西池袋2-37-8
本所防災館 東京都墨田区横川4-6-6
立川防災館 東京都立川市泉町1156-1

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