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第55回 将棋棋士

 将棋の起源は古代インドのチャトランガというゲームにあるといわれ、日本最古の将棋史料としては、平安時代に使われていた将棋の駒が残っています。それほど長い年月を経ても人気は衰えず、国内の将棋人口は約700万人に上ります。そのうち現役のプロ棋士は約160人を数えるのみ。そんな将棋のプロ棋士の世界について、日本将棋連盟メディア部メディア広報課の荻間崇暢さんに教えていただきました。

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プロ棋士の仕事って?

荻間 将棋を指すことによって収入を得るのが、プロの将棋棋士です。主な収入には、対局をするたびにもらえる対局料や、プロ棋戦などの賞金があります。そのほかに、イベントなどへの出席や指導対局、将棋番組への出演、将棋教室の運営、将棋記事の執筆、書籍の出版などによっても収入を得ることができます。

段位やタイトルについて教えて

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公益社団法人 日本将棋連盟
メディア部 メディア広報課

荻間 崇暢 さん

荻間 将棋の実力(強さ)を示す位には「段」と「級」があります。将棋の普及活動を行っている日本将棋連盟では、プロ棋士を養成するための機関として「奨励会」を設けており、その最も下の位が6級です。級は数字が小さいほど、段は数字が大きいほど格上であり、四段以上でプロ棋士となります。

 プロ棋士になると、いろいろなプロ棋戦に出場することができます。プロ棋戦には八つのタイトル戦と七つの公式棋戦があり、それらの棋戦において昇段条件を満たす成績を収めると昇段していき、九段が最高段位になります。

 タイトル戦には、竜王戦・名人戦・叡王戦・王位戦・王座戦・棋王戦・大阪王将杯王将戦・ヒューリック杯棋聖戦があり、各タイトル戦ではトーナメント戦またはリーグ戦を行い、その優勝者が挑戦者として前年のタイトル保持者と戦うことができます。タイトル保持者と挑戦者は、七番勝負や五番勝負を行い、勝ち越したほうがその年のタイトル保持者になります。そしてタイトル保持者は、その後1年間は段位ではなく、「◎◎竜王」「○○名人」などと呼ばれ、タイトル名が肩書きになるのです。

 また、1人の棋士が複数のタイトルを持っているときは、「◎◎三冠」「△△七冠」などと呼ぶこともあります。

 さらに、各タイトル戦にはもっと“高み”があり、連続優勝や通算優勝の回数によって、殿堂入りともいえる「永世称号」が設けられています。その達成基準は、たとえば名人戦なら、通算5期の優勝で「永世名人」の資格が得られ、竜王戦なら連続5期か通算7期で「永世竜王」となります。羽生善治九段は、2017年12月に「永世竜王」となり(通算7期)、同時に史上初の「永世七冠」となりました。

 ちなみに、八つのタイトル戦のうち、竜王戦・名人戦・王位戦・王座戦・棋王戦・大阪王将杯王将戦・ヒューリック杯棋聖戦の七つは、新聞社が主催。叡王戦は、2017年に一般棋戦からタイトル戦に昇格した最も新しいタイトル戦で、将棋番組のインターネット配信なども手がける株式会社ドワンゴが主催しています。

プロ棋士になるには?

プロ棋士への道(奨励会の場合)プロ棋士への道表

荻間 将棋のプロをめざすには、原則として、プロ棋士の養成機関である「奨励会」に入会することが必要です。

 奨励会では毎月2回の例会が開催されており、そこで規定の成績を収めると、6級から三段まで一つずつ昇級・昇段していきます。そして、四段に上がるとプロ棋士になれるのですが、そのためには三段同士で戦う「三段リーグ」を勝ち抜き、上位2名に入らなければなりません。三段リーグは年に2度行われるため、プロになれるのは半年に2人、1年に4人しかいないという狭き門です。

 また、奨励会には年齢制限があります。満21歳の誕生日までに初段になれなかった場合や、満26歳の誕生日を含むリーグ終了までに四段になれなかった場合は、原則として奨励会を退会しなければなりません。

 なお、女性も奨励会に入ってプロ棋士をめざすことはできますが、以上の条件をクリアしてプロ棋士になった女性はいまだかつておらず、三段リーグにたどりついた女性もこれまでに2人しかいません。女性への将棋普及のため、日本将棋連盟では女性だけで対局するプロの「女流棋士」という制度(下記参照)を設けています。

奨励会に入るには?

奨励会画像 東京・千駄ヶ谷にある将棋会館では月2回、奨励会の例会が開催されています(大阪の将棋会館でも開催)。この例会で行われる対局の成績によって昇級・昇段し、最終的に三段リーグを勝ち抜けばプロになることができます

荻間 奨励会では毎年8月に入会試験を実施しており、満19歳以下で、四段以上のプロ棋士から推薦を受けた人が試験を受けることができます。それには、小学校低学年のころから地域の将棋道場などで腕を磨き、さまざまな将棋大会に出場して強くなることです。そして、プロ棋士の弟子になって、推薦してもらいます。日本将棋連盟では師匠となるプロ棋士の紹介は行っていませんが、通っている将棋道場で紹介してもらうことが可能です。最近ではプロ棋士が将棋教室を開いている場合も多いので、そちらに通うという方法もあります。ただし、日本将棋連盟が主催する小・中学生の全国大会でベスト4に入賞した人などは、プロ棋士の推薦がなくても受験できます。

 奨励会の入会試験は1次と2次があり、主に対局によって合否が決まります。そのほか、アマチュアで活躍している人を対象として、三段リーグに編入される制度や、奨励会を経ずにプロ編入試験の受験資格を取得する方法もありますが、かなりの難関です。

女流棋士について

女流棋士はどんな仕事をするの?

 将棋界には、女性のプロ棋士である「女流棋士」がいます。その人数は60人ほどです。
 女流棋士の仕事も、基本的には男性のプロ棋士と違いはありません。対局が主な仕事であり、女流プロ棋戦に出ることができます。また、テレビの将棋番組や各地で行われる解説会では、棋士が解説、女流棋士が聞き手という役割分担が多いのが特徴です。
 女流棋戦には、女性の活躍を応援する企業からの協賛や、行政からの協力など多くの支援があり、近年では女性の将棋人口も増加しています

女流棋士になるには?

女流棋士画像

 女流棋士になるには、日本将棋連盟が設けている「研修会」に入会する方法があります。研修会には30歳未満の女性が入会できます。この研修会で規定の成績を挙げると女流棋士3級となり、女流3級は2年以内に規定の成績を収めると、女流2級になります。この女流2級以上が正式なプロの女流棋士です。

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